異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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隠し味は愛+α

「それでどうやって部屋に入ったの?この前みたいにマスターキーでも盗ってきたの?」

 

 ルナならおそらくそれぐらいなら出来るだろう。

 今後このようなことが、また続くとなると先が思いやられる。

 強く言いつけるぐらいで自重してくれるだろうか?

 

「そんなことはしてませんよ。私がイリーガルなことをするのは、ヘルト様に頼まれた時だけですよ。

ちなみにどうやってこの部屋に入ったかというと、ヘルト様と同室のごmi …じゃなくてメア先輩にカードキーを見せてもらったんです」

 

「なにしてるんだよ…メア…」

 

 メアは危機管理能力が低いのではないたろうか?

 

 おそらくカードキーのセキュリティ番号を暗記されて、スペアを作られたようだ。

 普通の鍵ならともかく、一般的にはカードキーのスペアを作るにはいくつかのステップを踏まないといけない筈だが、この学園は異様に簡略化されているせいで、セキュリティ番号だけで作れる。

 

 そのことをメアは知らないのか、ルナにカードキーを見せてしまったようだ。

 だから、こんな堂々とルナが料理を作れているのだろう。

 

「そんな女のことは気にしないで、私の作った料理を食べてくださいよ」

 

 

 気になることはまだ複数あるが、お腹は空いているので大人しく料理をいただくことにした。

 頭の片隅には、メアが帰ってきたら非常に面倒なことになりそうだなと思いつつも、ルナにそのことを言っても無駄そうなので諦めた。

 

「ヘルト様のお好きな食べ物は存じ上げないので、私オススメの精のつく料理を作らせていただきました」

 

 ルナは続々と料理を運んでくれる。

 本日のお品書きはひつまぶし、牡蠣、レバニラと、前者の2つは学生ではなかなか食べなさそうな料理が並んでいる。

 実家が昔ながらの貴族であることを知っているからわざわざ選んでくれたのかもしれない。

 しかも、この食材たちは俗に言う精のつく料理というものではないか?

 

「なんか方向性が統一されてる感があるね…」

 

「はい!先輩は普段眠そうにされてることも多いので、元気になってほしくてそのラインナップになりました。しかも、隠し味として私の愛情を入れておきました」

 

 以前は愛情を込めると言っていたのに、今回は入れると表現している。

 ただの気にしすぎの可能性もあるが、少し引っかかる…。

 しかし、料理はすごく美味しそうである。

 そんなものに異物混入など考えたくはない。

 

 

「そこまで言ってくれるのなら食べようか」

 

「ありがとうございます!」

 

 ヘルト様はやっぱり、私の愛の入ったお手製料理を食べてくださるのですね。

 これは私の愛を受け入れてもらえた。と、認識していいのかな?

 いいよね。いいはずだ。

 

 

「それではいただきます」

 

 まずひつまぶしに箸を伸ばす。

 最初のひと口は、香ばしく焼かれた鰻の皮と、ふっくらした身が甘辛いタレをまとって口いっぱいに広がる。

 

 なぜか一般的なタレよりも、少し甘く感じる…。

 自分の好みとはあっているので嬉しいのたが、色々勘繰ってしまう。

 

「すごくおいしいよ」

 

「本当ですか、嬉しいです!」

 

 実は全ての料理に私の体液を入れておいた。

 なぜそんなことをするかというと、ヘルト様の体の一部になりたかった。

 しかも、私の一部がヘルト様の血肉になると思うと、多幸感でとびそうになる。

 

 そんな夢が目前で叶っている。

 この瞬間が永遠になるなら、もう何も望まない。   

 そんなことすら思ってしまうほどだ。

 

 

 

「(なんかルナの表情がおかしい気がする…)」

 

 いつもはニコニコと、穏やかな笑顔を見せてくれている(俺以外の人にはどうやら違うらしい)が、今は顔をぐちゃぐちゃにしている。

 そんな姿を見せられると次の箸が進まない。

 こんなに困ったことは人生で無いかもしれない。

 

 次にレバニラを食べようと覚悟を決めて、箸を伸ばそうとすると、玄関の奥から声が聴こえた。

 

「ちょっと帰ってくるのに時間がかかっちゃったかな?」

 

 

 どうやらメアが帰ってきたようだ。

 この場にルナが居ると知られると、話が拗れそうである。

 

「ルナ、異能で姿を消すんだ」

 

 大きな声を出してしまうとメアにバレてしまうので、小声で言った。

 すると、ルナは名残惜しそうな表情のまま、異能を使って姿を消した。

 

 

 その数秒後にメアが扉を開け、部屋に帰ってきた。

 

「なんか良い匂いがするわね。ってなによこの料理!すごく美味しそうね」

 

 頭の中をリフレッシュ出来たのか、メアは幾分か元気を取り戻していた。

 そんなメアに言い方は悪いが、人柱になってもらうことにしよう。

 

「それは帰る途中に出店があってね。そこで買ったんだ。だからメアも食べていいよ」

 

 

 ルナがものすごく不機嫌になったような気がする。

 多分、俺のために作ったのに、メアに食べることを俺が勧めたからだろう。

 しかし、これを食べるのは危険だと、自分の勘が言っているので、メアに任せることにした。

 

 メアはどうやらお腹は空いていたようで、喜んで食べていた。

 俺はもう今日はご飯を食べるのをやめた。

 

 

「ねぇねぇ、この料理どこで買ったの?私リピートしたいんだけど」

 

 答えたくないので、無視を決め込むことにした。




※ルナの靴は隠してあるのでメアには見つかっていません。
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