異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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嵐の前の静けさ

「…それでなんの用ですか…?」

 

 私はいつも通りに学園に行っているだけなのに、声をかけられてしまった。

 この人はどこかで見たことがあるような…。

 

 あっ、そういえば学年交流会の時に、私にすごい技を打ってきた人だよね。

 

 そういえばヘルト君は元気かな?

 

「別に用があって話しかけたんじゃなくて、特別イベントの時に何も聞けなかったから、何かお話できないかな、って」

 

「…そういう事なんですね。全然いいですよ」

 

 久し振りに人と話したような気がする。

 上手く喋れるだろうか?

 以前最後に誰かと話したのは、コンビニのお姉さんにレジ袋をいるかどうか聞かれた時以来かも…?

 

 

「橋本さんの異能ってすごいよね。ヘルトに魔力をもらっていたとしても、1対3でかなり危なかったから」

 

 私がヘルトから魔力をたくさんもらっても、あそこまで強くならないだろう。

 これはひとえに、異能の性質がまったく違うと

いうのもあるが。

 

「…わ、私がすごいというよりかは、ヘルト君がすごいだけだと思いますけどね…。しかも、負けちゃいましたし私…」

 

 当時はヘルト君への感謝で胸がいっぱいだったが、時間が経つにつれて悔しさが増していった。

 ヘルト君にいい姿を見せたかったな…。

 

 そういえば、メアさんはヘルト君と仲が良いんだよね。

 おこがましいけど、ヘルト君の連絡先とか教えてくれないかな…。

 

「負けたのは仕方ないと思うよ。しかも、味方だった2人は序列が高かったから」

 

「…そそそ、そう言っていただけると嬉しいです…」

 

 そんなことを話しながら歩いていると、橋本さんがいきなりテンパりだした。

 どうしたのだろう、もしかしてそういうお年頃なのだろうか?

 

「おやおや、珍しい人と登校しているようだね」

 

 もう聞き慣れてしまった声がする。

 その声を頼りに振り返ると、橋本さんがおかしくなった元凶がいた。

 朝に少し遅れると言っていた男だ。

 

「久し振りだね優奈。息災だったかい?」

 

「…ははは、はい。おかげさまで元気に過ごさせていただいています…?」

 

 自分でも文法上の表現が分からなくなってきた。

 おそらく、下手な日本語で話しているだろう。

 

 日頃から、ヘルト君とまた会いたいなと思っていたが、いざそれが起きてしまうとパニックになってしまう。

 

 

「(別にヘルトは橋本さんを元気にさせるための事なんてしてないと思うけど?)」

 

 ヘルトは久し振りと言っていたし、あれから会ってないはずよね?

 しかも、さっきとは随分雰囲気変わったわね。

 

「そういえば優奈とは連絡先を交換していなかったよね?」

 

「…は、はい!」

 

 これはもしかしてヘルト君の連絡先をもらえるのだろうか?

 これで好きな時にヘルト君と話せるのかも…。

 

 そう思うと飛び跳ねてしましそうだ。

 

「じゃあ交換しようか」

 

「…いい、良いの…こんな私で?」

 

「別にそんなにヘルトに畏まらなくて良いのよ。もっと気軽に接してみなさいよ」

 

 ヘルトの実力や実績は途轍もないが、本人はけっこうラフな性格だ。

 だから、ここまで慌てたり、焦らなくても大丈夫なはず。

 

「それをメアが言うのかい。まぁ構わないけど。これからもよろしくね優奈」

 

 優奈に自分のスマホのQRコードを見せて、優奈と連絡先を交換した。

 

 今日は朝から思わぬ収穫があった。

 これで気になっていた、優奈の異能の限界を測る実験が出来そうだ。

 

 

 

 今日も教室は活気に溢れている。

 いつも通りメアと一緒に教室に入る。

 もうクラスの面々にもこの光景に慣れたようで、好奇な目線は向けられなくなった。

 

 しかし、教室に入ったら常に騒がしい奴が居なかった。

 

「渡のやつがこの時間に居ないなんて珍しいわね。嵐でもやってくるのかしら」

 

「当たらずも遠からずかな…」

 

 私が適当なことを言ったにも関わらず、ヘルトは意味ありげな反応をしている。

 しかも、表情が暗くなっている。

  本当に今から嵐でもくるのだろうか?

 

「ヘルトどうしたの?」

 

「はぁ…、嵐なんて可愛く見えるほどの女王様がやって来るみたいだ…」

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