異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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思いの丈を綴る

 予約していたレストランは「Etoile」(エトワール)。

 先日オープンしたばっかりで、気になっていたお店でもある。

 コース料理のみの提供で、旬の食材を取り扱っているので、季節でメニューが変わる。

 値段が高いからといって、美味しいとは限らないが、期待してもいいだろう。

 

「このお店のプライベートルームを予約したのよね?」

 

「そうだよ。だって、俺たちは目立ちすぎる。良い意味でも悪い意味でもね」

 

 セブンキングスにはそれぞれファンがついている。

 ダリアは性格の苛烈さも相まって、ファンの母数は多くない。

 しかし、その分熱心的なファンがいる。

 そのファンに見つかりでもしたら、お店側に迷惑がかかるだろう。

(ちなみに俺のファンもそこまで多くない。なぜならかなり前に、弟子が俺の自称ファンを脅して回ったりしたせいで、体感半分ぐらいまで減った。

正直人気などどうでもいいが、悪目立ちするのはよして欲しい)

 

 

「じゃあ、お店に入ろうか」

 

 ダリアは頷いて俺の隣に並んだ。

 そして、2人で店に入った。

 

 内装はダークウッドとクリスタルのシャンデリアを基調としたモダン・クラシック調で、華やかさの中に落ち着きがある。

 

 既にホールのスタッフが待ってくれていたので、大人しくついて行った。

 

「どうぞ奥の席へお掛けください」

 

 促されるまま席に座った。

 そして、テーブルには2つの立派なメニュー表が置かれていた。

 そのメニュー表を見てみると、事前調査通りでコース料理しか無かった。

 

 しかし、初めて来店したので、どれを選んでいいか分からない。

 なので、このいかにも推されている、極シェフの気まぐれコースという、変なネーミングのコースに決めた。

 たまに高級なお店でも、変な名前の料理があるのは面白い試みだと思う。

 

「じゃあこの極シェフの気まぐれコースで」

 

 ずっと隣で待機してくれていたスタッフに注文をする。

 今どきデジタルじゃない注文方法は久し振りにした気がする。

 この店のスタンスなのだろう。

 

「ダリアは決まった?」

 

「私もヘルトと同じので良いわ。あまりにも判断材料が少なすぎるから」

 

 どうやら思考は同じだったようだ。

 

「かしこまりました。どうぞごゆるりとお楽しみください」

 

 そう言ってスタッフはドアを閉めてから出ていった。

 これでこの場にはダリアと2人っきりになった。

 

「(気まずいな…)」

 

 特にダリアと話したいこともないので、場は静寂に包まれていた。

 そもそも論、俺はダリアのことが苦手である。

 ダリアは異様にそわそわしていて、落ち着きがない。

 いつもは風紀委員長として非常に規律に厳格で、俺や他の生徒だけでなく、教職員にも細かい注意をしている。

 しかし、今日みたいに私情で動くこともあるが、それは自分の権利の範囲内で自由にしているだけである。

 

 俺はその注意される筆頭格なので、もう嫌気がさしている。

 だから、ダリアと出かけるなどごめんだ。

 しかし、なぜかダリアはなにかと俺に理由をつけては、今日みたいに付き合わされる。

 

 

「ねぇ、ヘルト。1つ聞きたいのどけれど?」

 

「別に構わないよ」

 

 

「ありがとう。ヘルトって私のことを避けてるよね」

 

「………」

 

 思ったより切り込んだ内容が飛び出た。

 実際その通りである。

 しかし、なぜわざわざそんなことを聞いてくるのだろうか?

 

「そうよね、そんな気がしていた…。確かに私はヘルトに強く当たったりしたこともあったけど、本当は…………」

 

"ドォォォン!"

 

 ダリアが言葉を紡いでいるさなか、部屋の外から鼓膜を突き破るような破裂音が、ドア越しに荒々しく轟く。

 熱と衝撃が混ざり合い、乾いた空気を押し広げ、建物の壁を震わせていく。

 

「物騒なお客さんが来たようだね」

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