異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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ダリア・ブライス

「ダリア・ブライス」

 

 彼女は生まれながらに孤独だった。

 なぜなら全てが圧倒的だったからだ。

 富、知能、容姿、強力な異能、全てを最高水準で持っていた。

 

 その中でも特に異能が際立って強力だった。

 異能で全てを"断つ"ことができたからだ。

 

 しかも、生まれてすぐに異能が発現した。

 そのせいで、私より明らかに強い人など誰も居なかった。

 

 実際、同い年や年上で私に並ぶ人はいた。

 しかし、すぐにそれら烏合の衆を実力で抜いていった。

 そんな私は少し調子に乗っていた。

 いや、自分に酔っていた。

 

 そんな私の元に1つ年下の少年がやって来た。

 

 どうやら親曰く、お見合い相手らしい。

 親が頭を下げてセッティングしてもらったようだ。

 相手は私の家より格の高い家の出身らしい。

 

 

 例えそうだとしても、私と釣り合う男なんてこの世に居ないのに。

 

 ーーそう思っていた。

 

 しかし、その少年は何か違った。

 髪の色は金色に輝いて綺麗だったが、そんなことどうでもよくなるほどだ。

 

 どうやら少年の方は乗り気ではないようだが、私はその違和感の正体が気になった。

 なので、話し合うより異能で勝負することにした。

 私が8歳で彼が7歳だったが、人の本質を知るにはこれが手っ取り早い。

 

 私の豪邸にある広い庭で戦った。

 威嚇のために、異能で少年の前の空間を"断って"みせた。

 すると、彼は何の反応も示さなかった。

 

 普通なら驚くか、避けるように動くものだ。

 ということは、初見で私の異能を把握して、避ける必要はないと判断したようだ。

 

 さらに好奇心が湧いてきた。

 

 今度はしっかり狙って異能を行使した。

 

 すると、片手間で相殺された。

 異能を防がれたのは始めてで驚いた。

 要因はあの意味の分からない魔力量のせいだろう。

 私の方が魔力が少ないから、力で押し切られてしまったようだ。

 

 そもそも今まで出会った人の中で、私より魔力の多い人など初めて会った。

 

 その後も辺りに被害が出ないように、異能を使ってバトルをした。

 

 すごく楽しかった。

 こんなに楽しかった日は、生まれて初めてだった。

 

 結局勝敗はつかなかった。

 しかし、この一件で私は少年ーーヘルト・アリーネスのことが気になった。

 

 

 その後、ヘルトは誰とも結婚などしたくなかったようで、無理やりお見合いの話を打ち消された。

 正直かなり残念だった。

 

 それからなかなか会うことは出来ず、再会できたのは私が2年生になった時だ。

 ものすごく嬉しかった。

 あの日以来、ヘルトのことが忘れられなかった。

 

 しかし、入学してきたばかりのヘルトは凄い人気だった。

 しかも、昔もかっこよかったが、今はそれに磨きが掛かっている。

 

 それに話す口実が見つからないせいで、無理やり突っかかっている形になってしまった。

 職務上仕方ないの面もあったのだが、下心もあったことは否定できない。

 

 そんな関係が今日まで続いてしまっている。

 この状態を打破するために、私はあなたと仲良く

したいと伝えたかった……。

 しかし、爆音のせいで邪魔された。

 

 許さない。

 私を邪魔するゴミは駆除しないと…。

 

 

「ヘルト、下手人の居場所は分かってる?」

 

 自分よりもヘルトの方がこの手の事は得意なので、頼んだ。

 ヘルトなら、もう原因が掴めてるはず。

 

「北西の10m先で走ってる男が犯人だね」

 

 言われた方向に意識を向けると、ヘルトがマーカーを付けてくれていたようで、一瞬で魔力を感知することができた。

 

 こいつが諸悪の根源だ。

 

 異能を行使して、下手人の周りの空間を360°断った。

 これで身動きが取れなくなったはずである。

 

 そこでスマホを取り出し、風紀委員の面々に連絡した。

 ちょうど今は昼休みなので、手が空いているはずだ。

 

 警察より委員会の部下の方が信頼できるので、そっちに取り敢えず任せる事にした。

 

「もうこの状態ではランチを食べれるような状態じゃないわね」

 

 もう楽しい時間は終わってしまった。

 これからは下手人から情報を聞き出すだけの、退屈な時間の始まりだ。

 

「そんなことは無いよ。どうやらここのシェフは職人気質らしい。こんな爆発があってもなお、料理を作り続けているようだ。だから、待とうではないか」

 

 こんな状態で待つ?

 そもそも、なぜシェフは料理を作りつづけているのか?

 

 そんな疑問が頭で渦巻く。

 しかし、ヘルトにそう言われると断れない。

 

「ヘルトがそう言うなら分かった。じゃあ下手人の件は部下に完全に任せる事にするわ。ゆっくり料理を待ちましょう」

 

 それから数分後に豪華な料理が運ばれてきた。

 

 前菜でキャビアが添えてあるアスパラや、フォアグラのロワイヤル仕立て。

 メインでムニエルや仔牛ヒレ肉のステーキ。

 デザートでスフレを食べた。

 

 どれも美味しかったが、それよりも普段見ないヘルトの表情に視線が向いた。

 ヘルトも貴族だが、この学園で食べるものはジャンクなものや、即席で出来るものばかりだった。

 そんなヘルトがこうやって、優雅で身の丈に合ったものを食べていると、それだけで絵になる。

 

 今日はヘルトを無理やり連れ出して良かったと思った。

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