異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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セブンキングスへの道

「メア、君は知ってるかい?」

 

「何についてなの?」

 

 突然ヘルトが話しかけてきた。

 静香先生からテストの内容を聞いた直後なので、定期試験関連の話題なのかしら?

 

「セブンキングスについてだよ」

 

「…っ…、もちろん知っているわよ」

 

 振られたのは意外な話題だった。

 ヘルトは私の心境を察してなのか、いずれ目標となるであろうセブンキングスの話をしてくれるのだろうか?

 

「でも、セブンキングスになる方法は知らないだろう?」

 

「まぁ、それは知らないわ」

 

「メアの特訓を見てあげると言ったけど、具体的な目標の事を知っていた方がモチベーションも上がるだろう?」

 

 私は少し食い気味に頷いた。

 ヘルトの言っている事はその通りで、再決心したのは良いものの、目指すのは自分の序列を上げるというふわっとした内容だった。

 そこに肉付けをして貰えるのは非常にありがたい。

 

「まず大前提として、この学園のセブンキングスは不動ではない。

 年始と夏休みの時期にセブンキングスを除いた当時で序列の上位20位が王位戦というトーナメントに参加出来るんだ。

 その王位戦を勝ち抜いた4名は現セブンキングスとの入れ替わり戦を行って、継続か入れ替わりが決まるんだ。

 だから、ひとまずはこの王位戦に出ることを目標にしようか」

 

 王位戦………。

 なんだかすごくかっこいいイベントだ。

 これはぜひ参加してみたい。

 

「分かったわ。でも、道はかなり厳しそうね。まぁその方が面白いと私も思うけどね!」

 

 ということは今後、序列が27位に入ることを意識すればいい訳だ。

 

 私が出会った中だと、ヤンキー、姉妹、キリカさんと同列の強さになる必要があるということだ。

 キリカさんとは真っ向から相対して、前回は複数人なんとか勝てたが、次は負けるだろう。

 

「大きな目標は決まったけど、まずは再来週のテストが大事だからね。一部の例外を除いて、学園行事かテストでしか序列を上げられないからね」

 

「そんなこと言われなくても分かっているわ」

 

 これから実技テストに向けて、さらに忙しくなりそうだ。

 だが逆に、その忙しさが心地良いとすら感じる。

 

 

 

 ヘルトはメアが次のテストに向けて、明確な目標を持ってくれたようで満足していた。

 メアがどれほど強くなれるかは分からないが、俺の弟子になったのならば、セブンキングスと戦えるぐらいの実力になってもらわないと困る…。

 

 あいつはセブンキングスになれたけど、メアと比べるのは可哀想かな。

 2人には決して超えられない才能の壁を感じるからね。

 

 

 

 

 

「学園長、風紀委員長のダリア・ブライスから連絡が入りました。どうやらテロ組織の幹部を名乗る男を捕まえたので、キツめの尋問をさせて欲しいとのことでしたが…」

 

 壁一面を覆う書棚には革張りの書物が整然と並び、古びた背表紙の列はまるで歴史そのものを語りかけてくるかのようだ。

 

 そんな威厳漂う学園長の執務部屋で、だらしなく机にもたれかかっている人物と、正装に身を整えて机の前に立っている人物がいる。

 

「好きにさせればいいでしょ。そもそも風紀委員にはかなりの権力をあげてるんだから、わざわざ確認なんてしなくて良いのに」

 

 こっちの意図としては、権力をあげることで仕事を減らしてくれると期待していた。

 しかし、毎回今日のように確認をとってくるのは逆にやめて欲しい…。

 

「ダリア・ブライスはメリハリがはっきりとしていますからね。仕事となるときちんとしたいのでしょう」

 

 小鳥遊先生はダリアのクラスの担任でもある。

 なので、日頃の姿はよく知っている。

 

「報告はそれだけ?なら、早く帰ってくれない?私は寝ta…じゃなくて、仕事で忙しいのよ」

 

 学園長はしくじったという表情を取り繕おうとしているが、全然出来ていない。

 

「はぁ…重要な案件ですよ」

 

「嫌だよ〜。絶対面倒な案件じゃ〜ん」

 

 学園長は三十路なのに、子供のように駄々をこねている。

 その姿はこの世界一を誇る、異能学園の学園長とは見えない。

 

 この状態になると長いので、気にせず報告を始める。

 

「先程の話と繋がるのですが、ダリア・ブライスが捕まえた奴の組織のリーダーである"ドミナス"から、次の定期試験に乗じてこの学園の……」

 

「もういい、もういい」

 

 そう言って学園長は小鳥遊先生の話を無理やり遮った。

 その声には呆れが含まれていて、このような出来事が過去複数回起こっている事が分かる。

 

「どうせ犯行声明かなんかでしょ」

 

「そうですけど…」

 

「そんなの聞いても無駄無駄。結局、うちには規格外の怪物がゴロゴロいるんだから、その子たちに任せるのが一番だよ。それより定期試験の最終調整を行いましょうよ」

 

 正論を言っているように見えて、ただ自分が楽をしたいだけである。

 それを見抜いている小鳥遊先生は、冷やかな視線を向ける。

 

「(今回の敵は狡猾で有名な組織です。だから、水面下で高度な罠を仕掛けているかもしれない。これは学園長に内緒で風紀委員に駆け寄ってみるとしますか)」

 

 また小鳥遊先生の仕事が増えるのであった。

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