異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
「じゃあ、今回のルールを説明するよ」
「…まぁ、いいわよ」
先程の衝撃にまだ一呼吸つけてないが、ルールは大事である。
こういう細かな所にも、何かヒントが含まれているかもしれない。
「この子と戦ってもらうのは前述通りだけど、メアはイザベルに一撃を与えてほしい」
「私とイザベルとの力量差はそこまであるのね…」
以前の私なら、「おかしいでしょ」と言ったはずだが、今なら理解できる。
悔しいが、それぐらい実力に乖離がある。
だから、それを覆さないと一撃すら与えられない。
「しっかり実力差を把握出来てるんだね、意外…」
前回会った時は自らの力を過信して、現実に叩き潰されるだけの女かと思っていた。
しかし、今となっては現実を上手く呑み込めたのか、冷静に実力差を把握している。
これは"成長"と呼んでも差し支えないだろう。
「メアは痛みの許容量を超えると、特訓は中止だからね。".一撃"でいいから与えるんだよ」
「うん、分かった。どんな手段を使ったとしても、勝ってみせるわ!」
自分を鼓舞するために大声で叫びながら、拳を上に突き上げる。
その姿は吹っ切れた者のそれだった。
「先輩とか関係なく完勝させてもらう」
イザベルも負けじと意気込みを語る。
格下とまでは言わないが、何か想定外のトラブルが無ければ負けない相手である。
なので、当然のように勝たないといけない。
なぜなら、この場にはヘルトさんがいる。
「それじゃあ2人とも準備をしてね」
ヘルトから準備を促される。
これからイザベルと戦うと思うと緊張する。
たしかイザベルの異能は魔力を声に込められるという、稀有なものだったはずだ。
異能の詳細は分からないが、この前見た限りだと、相手の動きを止めたり、吹き飛ばしたりしていたはずだ。
対処法など分からない。
そもそもこの世にあるのかすら分からない。
「私は準備出来たけどメアさんは?」
イザベルは自分の喉をさすっただけで、準備を終わらせた。
私は悩みまくっているのに、イザベルの方はそんなことはないようだ。
「はぁ〜、私も終わったわ」
深呼吸をして、緊張を少しでも和らげる。
これからは全力のバトルなので、予断は一切許されない。
「2人とも準備が終わったのなら始めようか」
ヘルトが不適な笑みを携えながら、指を"パチン"と鳴らす。
すると、授業でもたまに使っている運動場から、灼熱の太陽が照り付けている、砂漠にフィールドが変わっている。
しかし、暑さなどは一切感じない。
なのに、自分の足には確かに砂を踏んでいる感覚がある。
感覚の不一致で、非常に不思議な気分だ。
「この場では君たちの力は妨げられない。思う存分に戦っておくれ。バトルスタート!」
ヘルトが魔力で声を拡声させて、スタートの合図を送った。
まず先制をとったのは意外にもメアだった。
イザベルの異能が発動される前に、決着をつけるのが一番だと考えたうえでの行動だ。
「煉獄閃」
イザベルに向けてまっすぐと、異能で作った炎を剣に纏わせて振るう。
その炎は激しい音と熱量をもって、イザベルに迫ってくる。
メアがよく使う技ではあるが、普段のそれとは熱量も威力も全然違う。
それだけでメアのやる気が伝わってくる。
「"消えろ"」
イザベルは声に魔力を乗せて、冷静に炎を異能でかき消す。
しかし、範囲が広かったため全ては消せられなかった。
そのせいで煙は完全には、なくならなかった。
イザベルはメアの居場所が分からなくなってしまった。
それを危険に思ったイザベルは咄嗟に身を引いた。
すると、先程まで自分が居た場所をメアの剣が斬り裂いた。
この一瞬で距離を詰められてしまった。
続けざまにメアが剣を振るう。
しかし、イザベルもやられっぱなしという訳ではない。
「"止まれ"」
イザベルの異能がメア本人に向けられた。