異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
私の異能解放の能力の一つに、半径1mの状態が分かるというものがある。
しかし、デュランダルを顕現させたおかげで、新たな能力が使えることになる。
まぁ純粋に、デュランダルが私に魔力を貸してくれるだけなのだが。
そもそも、この擬似聖剣はもう私の所有物なので、自分の力だと言ってもいいだろう。
私はこの剣から魔力を引き出し、新しい魔法へと昇華させる。
「
擬似聖剣を空に掲げた。
すると、目に見えぬ力が空間を引き裂くように、光と熱が凝縮していく。
そして、爆ぜる閃光の後、彼女の周囲に浮かび上がったのはーー燃え狂う巨大な輪。
あまりの熱に砂漠ですら燃え、周囲の温度は爆発的に上がった。
彼女の意思を象徴するその火は、敵を殲滅するだけでなく、敵を拒む防壁にもなる。
つまり、汎用性の高い技である。
「(これは随分派手な魔法…さすがに直撃するとまずそう)」
あれには驚異的な魅力が込められている。
もし、まともに食らうと、そうとう痛いだろう。
メアの切り札に危機感を抱いたイザベルは、もう一度異能を使うことに決めた。
「"消え去れ"」
この言葉は普段使わない強力なものだ。
私の異能は、使う言葉の意味によって左右される。
吹き飛べや、止まれは、相手の動きには干渉出来るが、相手そのものには影響を与えられない。
しかし、多くの魔力を消費すると、そのものに影響を与えることが出来る。
さすがに、死ねとかは当然無理だが、異能の効果を消すぐらいなら、なんとか出来る。
炎の勢いが強いため、かなり遠くで見守っていたヘルトにも熱気が届くぐらいだったが、それがパッと消えた。
「…へっ?…」
この技が消された…。
これはデュランダルの魔力まで使って、ようやく使える技だったのに。
きちんと、イザベルの異能が発動したことを耳で確認したが、理解できなかった。
どうして…?
いや、そんなことを考える暇はない。
思考を中断して、しっかり前を見る。
すると、デジャヴを感じる。
そのデジャヴとは、イザベルがこちらに接近してきていることであった。
今からでは防ぐのは間に合わない。
なら、守りよりも攻めに回るのが先決!
霧散してしまった魔力を再び剣に纏わせ、感覚だけで振るう。
どこから攻撃されるのか分からないが、これは経験則である程度分かる。
これが私の唯一の長所かもしれない。
異能省にいた頃に、いろんな場所を飛び回っていたから、経験則が溜まっている。
そう思っていると、ドンピシャでイザベルが視界に入った。
「狙いは悪くないけど、単純に出力が低いのと」
ここでイザベルはあえて、ワンテンポ遅らせることで攻撃のタイミングをずらした。
「攻撃が単調すぎて、先読が簡単すぎる。フェイントをもっと組み込まないと」
ヘルトに頼まれので、独自で彼女の分析を続けて、淡々と指摘していく。
その合間にナイフを握っていない方の手で、メアの首元を手刀で打った。
すると、メアは静かにその場で崩れ落ちた。
朦朧とする意識の中、イザベルからの言葉は、しっかり心に刻み込んだ。
メアが倒れるのを確認したヘルトは、砂漠のフィールドを元の運動場に戻した。
その瞬間に意識を手放していたメアも、フィールドと同時で元に戻った。
「ハァ…ハァ…、これは完敗ね」
体にダメージは残っていなくとも、疲労はどうしても残ってしまう。
そんな状態でも、メアは今までの戦いを振り返って、素直に結果を受け止める。
しかし、当初の目的である、力量差をある程度測ることはできた。
「完敗……。全然そんなことはない。私の異能は魔力依存だから、正直持久戦に持ち込まれたら厳しかったかも?」
たとえ持久戦になったとしても、勝つ手はずはあるが、あまり使いたくない。
それに、厳しいのには変わりはない。
「まずお疲れ様。良い戦いを見させてもらったよ」
これまで一切喋らなかったヘルトが、ここで始めて口を開いた。
ヘルトはこれからの方針を決めるために、一切この戦いに関与せず、傍観していた。