異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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幸先不安

 とある組織が根城にしている廃屋にて。

 その場に集っている者達はザワついていた。

 

 なぜなら、テストに紛れて味方を解放し、ついでに膨大な生徒の異能データを盗むための、作戦のほとんどが決まっていた。

 そんな時に、学園の生徒だけが閲覧できるアプリに、とある一文が掲載されていた。

 「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。さすればダンジョンの秘密の部屋に、君らの望むものが待っている。などと書いてあります」

 

「この我ら黒き福音をバカにしているのか!」

 

 大柄な男が間髪入れず、憤慨した様子で机をおもいっきり殴った。

 そのせいで音が反響して、遠くまで響いている。

 

 その気持ちは理解できるが、これにはさすがに苦情がでる。

 

 

「悔しい気持ちは分かりますわ。けれども、そんなに大きい音を出したら、他の連中にこの場所が見つかるかもしれないじゃない。カル坊の結界も絶対という訳ではないのだから」

 

 絹のドレスを纏い、白磁のように透き通った肌をもつその貴婦人は、扇を軽やかに揺らしながら窘める。

 

「す、すまない」

 

 彼は感情的な一面も持っているが、根は素直で真面目だ。

 だから、誰もこれ以上の追及はしない。

 

「これからの方針を伝えようではないか」

 

 この組織のリーダーである、仮面を被ったドミナスが口を開いた。

 すると、先程のざわめきは一瞬で 消え、緊張感が張りつめた。

 

「この文章は明らかに我々を誘い込むためのものだろう。しかし、あの学園のことだから、本当に我らの望むもの…つまり、同胞であるハゲ・コリンズか、生徒の情報、そのどちらかは確実にダンジョンにあるだろう。となれば、我らが鮮やかに罠をかいくぐって見せようではないか!」

 

 ドミナスの号令に幹部は一斉に頷いた。

 

 

 

 

 

「定刻になりましたので、A組から順番に入っていってください」

 

 とうとう先生から案内が出された

 

 これで後はゲートをくぐるだけだが、そのゲートは以前とは少し違い、静かで力強い雰囲気を醸し出している。

 

 中の状態によって雰囲気が変わるのだろうか?

 

「よし、じゃあ中に入ろうか」

 

 ヘルトは私を先導するように歩いていく。

 

 それに続けて私も歩いたが、へルトはいきなり立ち止まった。

 

「どうしたの?忘れものでもした?」

 

「一つメアに情報共有をしたくてね」

 

 これは珍しいことになった。

 ヘルトが私に情報共有をしてくれるとは。

 普段はわざと、重要な情報を隠してくるのに。

 明日は雪でも降るのだろうか?

 

「ゴールがわからなくなったら、天井に魔力を当ててごらん。そうすれば、ゴールへの道筋が浮かび上がってくるから」

 

「そうなの!それは良い情報を聞いたわ」

 

 先生からも地図関連の話がされなかったので、気になっていたが、もしかしたら他の生徒はこの情報を知っているのだろう。

 そうでないと、探知魔法の使えない生徒の踏破出来る確率が大幅に減ってしまうからだ。

 

 これでもう、万全と呼んで良い状態になったのではないだろうか?

 

「気を取り直して入ろうじゃない!」

 

 メアは意気込んで歩みを進める。

 すると、ゲートまですぐに着いた。

 

 なので、そのままゲートを通る。

 

 すると、視界に飛び込んだのは暗い通路に、松明がほんのり灯っている姿だった。

 しかも、ここに足を踏み入れてから、空気そのものが重く、肌に刺さるような魔力の気配が満ちている。

 

「ねぇヘルト、ここの場所雰囲気すごいわ…ね?」

 

 後ろを振り向くと、そこには壁があった。

 ゲートが一時的に閉じたので、それは当たり前なのだが、いるべきはずの人がいない。

 

 そう、この場にはヘルトがいない。

 

 ヘルトが私にヒントをくれるなど、おかしいとは思った。

 こうなることを知っていたのだろう。

 だから、ヒントをくれたのか。

 

 

 ヘルトがいないとなれば、全て自分で行わなければならない。

 一応そのプランも考えてはいたが、仕事量が桁違いだ。

 

 

 これからどうするか悩んでいると、どこからか足音が聞こえてくる。

 一瞬ヘルトかと思ったが、ヘルトより足取りが軽やかに感じる。

 だから、おそらく別人だろう。

 

 その足音が段々近づいてくる。

 

「おっ、ヘルトと一緒に戦ってた子じゃん。やっほ〜」

 

 暗闇から姿を現したのは、少し前に見たセブンキングスの朝倉日向であった。

 その日向はこの場にそぐわない、軽いノリで挨拶をしてきた。

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