異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む) 作:2F29くん
ダンジョンの道中は至って簡単だった。
なぜなら、日向が目に付く魔物を全てなぎ倒していったからだ。
おかげですごい楽ができたが、少し物足りなく感じる。
そんな風に思って進んでいると、見える景色が変わってきた。
今まではブロックを幾重にも積み重ねられた壁が続いていたが、大きな扉がいきなり現れた。
その壁面にはヒエログリフとは違うが、意味の分からない文字?の羅列がある。
「これはどういう意味なんだろう?」
ない頭をフル回転させて考える。
しかし、現状はなにも変わらない。
分かっていたが、少し悲しくなってくる。
「そんなの気にしなくていいよ。こうやってぶっ、壊せば〜」
日向は左手に魔力を込めて、大きく振りかぶった。
「いいの〜」
そして、思いっ切り壁に向けてぶつけた
"バァーーン!"
大きな音とともに、扉は崩れていった。
その余波で周囲の壁にも亀裂が入っている。
「(うわ〜脳筋ゴリラだ…)」
※今回は珍しく頭を使っていたが、そんなことを思っているメアも脳筋です。
「じゃあ入ろっか。こっからはボス戦だから、メアちゃんに任せるよ。私なんて気にせず、好きに暴れちゃっていいからね」
「うん、これからやっと私の出番ね」
腕が訛りそうだったので、ここで戦えるのは嬉しい。
日向はボス戦と言っていたが、どんな相手なのだろうか?。
以前潜ったダンジョンでは、道中での護衛だけだったので、ボス戦は初めてだ。
楽しみ半分、不安半分、といった心境で前に進む。
すると、天井から光が差し込んできた。
ここはダンジョンの中なので、大きい光源があるのは不自然に思える。
気になって上を見てみると、満月が天井の割れ目から姿を現している。
内装は異様に凝っているようで、驚きが増していく。
それから視線を下ろすと、地面には苔が生い茂り、霧が薄く漂っている。
そんな地を踏み出したが、ボスどころか魔物の気配すらしない。
「それでボスはどこにいるの?」
「ダンジョンのボスは毎回派手に登場してくるんだよ。だから、それまではいないんだ」
随分とバラエティに富んだダンジョンだ。
さらに期待感が上がっていく。
刹那の間待っていると、天井から物音がしだした。
満月を背景に光を反射させながら、巨大な影が姿を現す。
それはーー狼の頭が3つあるケルベロスだった。
そのケルベロスは、轟音とも呼べる叫び声をあげながら降りてきた。
その着地とともに、衝撃波がやってきた。
空気が揺れて、空間が圧迫される。
そしてケルベロスは、ゆっくりと頭を上げる。
月光がその姿を包み、背中の毛が光を帯びて逆立つ。
咆哮が夜を裂いた瞬間、この部屋全体の魔法陣が目を覚ます。
「うわ〜綺麗。魔法陣でいっぱい」
そんな日向の気の抜けた発言が飛び出た。
実際綺麗だが、あの魔法陣からいろいろな魔法が飛び出してくることが容易に想像できる。
だから、今は避けるに徹するのが先決…
いや、それではジリ貧になるだけだ。
そうなるぐらいなら、突っ込んだ方が結果的に良くなるだろう。
足に魔力を込めて踏み出す。
すると、辺り一帯の魔法陣からカラフルな魔法達が放たれた。
四方八方から魔法がやってくるが関係ない。
自分に到達するまでの僅かな時間で、ボスの元まで辿り着けばいいだけだ。
「(メアちゃんすごい集中してるね〜。そのおかげであれだけの速度がだせるわけか。普通あれぐらいの魔力量なら、絶対壁の魔法に蜂の巣状態になって終わるだけなんだけどね)」
メアは飛んでくる魔法よりも、早く動いた。
躱したり、避けたりすることなく、愚直に突き進んだ。
そして、背後からの大きな音を感じながら、狼のケルベロスと対峙する。