異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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異常性の発露

「なぜその事を知っているんだい?ルナにはそんな能力は無かっただろう」

 

 盗聴器などは魔法で調べた所、部屋には無かった。

 俺の知らないところで覚醒でもしたのかな?

 

「それは愛の力です!……と、言えれば良かったのですが、そうではありません。実はメア先輩のカバンに盗聴器を仕込まさせて頂きました。こうすればヘルト様に気付かれずに、お話の内容を聞けるかな〜と思いまして」

 

 そういうことだったのか。

 昨日探知魔法を使った時には、メアは買い出しに行ってくれていた。

 だから、探知魔法が反応しなかったのは………。

 ん、いや待てよ。

 それでは説明がつかない。

 

「メアは昨日バックを持って買い出しに行っていたのに、返信があんなに早かったんだ?」

 

 そう聞くと、ルナはポカンとした顔をした。

 

「昨日ですか?それは偶然ですね。メア先輩は寮の中にいなかったようですし、私が知る術はありません。ですから昨日は奇跡だと思いました!」

 

 あまりの勢いで膝の上に乗っていたお弁当が落ちそうだ。

 それぐらい、言葉の最後につれて勢いが増していった。

 

「偶然ねぇ……。まぁ、ルナのことを信じようじゃないか」

 

「ありがとうございます。それと誠に差し出がましいのですが、私もヘルト様にご同行したいのです。せっかくこうして自由の身になれたのですから、ヘルト様のお役に立ちたいのです」

 

 まっすぐとこちらの瞳を見つめてくる。

 ここまでど直球に頼まれると断りづらい。

 けれど、メアも付いてくるから、ルナ一人が増えたとしても変わらないか。

 

「良いよついてきて。でも、その代わりに喧嘩はだめだからね」

 

「はい、分かっています」

 

 今後のためにも、ヘルト様の両親にご挨拶をしなければいけません。

 そんな状態で喧嘩など起こる訳はないのだから。

 

 

 

 

 自然を感じながらお弁当を食べた。

 ルナは食事中終始、笑顔を絶やさなかった。

 

 そこまで嬉しいものかと内心思ったが、向こうでの手駒が増えるのは良いことだ。

 これでとれる作戦の幅が広がる。

 

 あっちの情勢は知らないけど、俺の勘だとだいぶ荒れてそうだ。

 となると動かせる人は多ければ多いほど良い。

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みという学生が最も楽しみな事柄を前にして、学園の雰囲気は非常に緩んでいた。

 そんな中、一際異彩を放つ場所がある。

 

 それはとある寮の1室であった。

 ここだけは外の世界と隔絶されていた。

 

 そこでは早速この学園の序列第1位である妹に通話をかけようとしている男がいた。

 今から行うのは妹に、帰省をする時に同級生と後輩が1人ずつついてくるという報告をするだけだ。

 なのに、ここは魔境となっていた。

 

「対策はこれで十分なはずだ。よし、通話をかけよう」

 

 通話の着信音は特異なこの空間では響かない。

 ヘルトの周りで吸収されて終わりだ。

 

 

 そして、奏は少しの時間を置いて通話に出た。

 

「お兄様から連絡をいただけるとは珍しいですね。何かご要件があるのですか?…私は何時でもお待ちしていたのに…」

 

 スマホ越しからは少し拗ねているような声色に聞こえる。

 

「あまり連絡しなくてごめんな。それで今日連絡したのは帰省の件で伝えたいことがあってね」

 

「帰省に関することで何かあったのですか?」

 

 お兄様は家がお嫌になられたのだろうか?

 だとしたら、私もこの学園に残りましょうか。

 お兄様のいない家など、ただ空虚な箱である。

 そんな場所に行く価値などない。

 

「それが帰省に後2人ついてくることになったんだ。だから、あまり虐めないでおくれよ」

 

 ヘルトには謎の緊張が走るが、それは解消されることとなる。

 

「ご要件はそれだけですか?なら問題はありません。重要なのはお兄様がいることですから」

 

 思ったより軽く承諾してくれた。

 もしかしたら前の弟子の時のように、暴れだすかもしれないと思っていた。

 しかし、杞憂に終わってくれたようだ。 

 

 

「そうか、なら安心したよ。少し話は変わるけど、奏にはルナがどう見える?」

 

 奏はスマホ越しにコクンと首を傾げた。

 そして、いつも通りの可愛らしい声で言う。

 

「雑味が強そうだから、恐らく微妙ですかね」

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