異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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お師匠様

 城に残ってもらった面々には、後のことは執事のバーナードに任せておけとメッセージを送っておいた。

 これでナタリーの件は問題ないだろう。

 そもそも家に丸投げしているからね。

 バーナードの管轄だ。

 

 

 ルナはまだ両親と話しているかもしれない。

 なぜだかそんな気がする。

 

 そんな事は置いておいて、目の前に集中しよう。

 

 ここは地下深くに存在する都市。

 その名もサンディーゴ。

 ここは国からも見放されるほどの荒れ地だ。

 

 なぜなら地殻変動によって、マグマの一部が地面から飛び出すようになったのだ。

 元から気温が高く住みにくなかった都市であったのに、マグマまであるとなると普通の人は住めない。

 その結果として犯罪者や浮浪者の巣窟となっている。

 

 その場所に用事があった。

 

 時間を確認するためにスマホを見る。

 もうそろそろかな?

 

 少しだけ待っていると、遠くから足音がした。

 今日も勘が冴えているようで安心する。

 

 その足音の人物には、この場所に関しての頼み事をしている。

 それが終わったとの報告を受けたので、この場にやって来た。

 

「私を雑に扱いすぎです、お師匠様。こんな調子だと愛弟子に見限られますよ。まぁ、私はそんなこと天地がひっくり返ってもしませんけど」

 

 ふてくされた顔で言ってきた。

 彼女はいつもこんな感じなので気にしない。

 これが氷上詩乃という人間を構成している大部分だ。

 

「学園も休んで貰っちゃってごめんね」

 

「それは別にいいです。私はあそこでしたいことなどないので。私が不満なのは、こんなしみったれた場所に一人っきりにしたからです!お師匠様がいるならともかく、ここにおるのはマグマと犯罪者だけなんですよ」

 

 思ったより不満が溜まっていたみたいだ。

 しかし、この件を任せられるのは彼女しかいなかった。

 こんな短期間でこの広い地を治められるのわね。

 

「それで制圧状況はどれぐらい?」

 

「制圧状況ですか?それは98%ぐらいですかね。お師匠様に言われた通り、ここの頭は抑えました」

 

 さすがこの数年でセブンキングスまで上り詰めた弟子だ。

 これでエリオット様の悩みの種は一つ減ったと思う。

 しかも、ここを有効活用する手立てもある。

 そのためにはここの偉い人と会っておかないと。

 

「その頭は連れてきてる?」

 

「連れてきてませんけど。けど、転移で行けますよ」

 

 これは好都合。

 だいぶ久し振りに大立ち回りが出来そうだ。

 

 今、自分は悪い顔をしているだろう。

 こういう事を画策している時が一番楽しいと思ってしまう。

 まぁ、若気の至りってことで。

 

「じゃあ詩乃、転移お願いね」

 

「はいはい。分かりました」

 

 詩乃は左手を宙にかざす。

 それだけで転移には十分だ。

 

 転移で着いた先は、ビルの中だった。

 辺りはあまり荒れておらず、人の手が入っていることは明らかだ。

 

「こっちです」

 

 詩乃がこのビルの奥に進んでいく。

 こんな場所にサンディーゴを支配するものがいるんだろうか?

 それとも空間を拡張しているのか。

 

「この中にいるはず」

 

 立ち止まった場所は、最奥の少しだけ飾りのある扉の前だった。

 これから話し合いをするのだから、キレイな部屋だったら良いな。

 

 そんなつまらない事を考えていると、詩乃が声を張り上げた。

 

「おじさん入りますよ!」

 

 扉が勢いよく開けられた。

 それに伴って部屋に入ると、パッと見は誰もいなかった。

 しかし、机の後ろにある椅子が不自然に動いている。

 

「もう、隠れるなら真面目に隠れてください。無意味な茶番につき合わされるこちらの身にもなってくださいよ」

 

「…ひっ…!」

 

 椅子の後ろから気弱そうな男の声が聞こえた。

 もしかしてこの男なのだろうか。

 

 その男は及び腰で姿を表した。

 背中が丸まっていて、目がものすごく泳いでいる。

 服もヨレヨレで非常に不安になる。

 しかし、そんな外面はただの仮面なのかもしれない。

 どこかに鋭さも併せ持っている気もする。

 

「君がこのマグマの都市を力で抑えて、頭になったというトビアスかい?」

 

 最初は詩乃の方を怯えながら見ていたが、俺が質問をすると視線がこちらに向いた。

 何か面白い反応をしてくれると期待していた。

 しかし、結果は残念でこちらを見て固まっているだけだ。

 

「お師匠様が聞いてんだから答えたら」

 

 詩乃が脅すように強く言うと、打ち上げられた魚のように勢いよく跳ねた。

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