サウザンド   作:かりん2022

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神:アッシュ

『貴方達は病気で倒れました。実験に付き合ってくれるのならば、治療をします』

 

 そう言って、「奴ら」は俺達を電脳空間に閉じ込めた。

 やる事は、VRゲームのテスター等々。

 逆らった奴は容赦なく消されていった。

 逆らった奴がどうなったかもわからない俺たちは、従うしかなかった。

 報酬は支払うとの事だったが、それも実際はどうかわからない。

 延々とゲームをさせられた俺達は、その結果により、5段階に分けられた。 

 

 アイテム・魔法を使えてアイテムの駒や建物を設置するだけの「ゲスト」が100人。

 設定された魔物やアイテムを製作し、それらの駒を設定付きで設置できる「職人」が600人。

 独自のアイテムや植物、動物、魔物を設定でき、駒の設定をより細かく弄れる「クリエイター」が295人。

 魔法や種族といったシステム周りを設定できる「精霊」が3人。

 惑星というサーバーを作る「神」が2人。

 

 そうして、ゲームをしつつ、それで手に入った駒を作った惑星に設置するというのを延々とさせられた。

 神は1000人中たったの二人。俺、日本人の灰原 縁。本名を名乗るのを禁じられていた為、名乗っていたのは名字の灰から取ってアッシュ。

 アメリカ人の少年、レオン。ロボットのアバターを使っているが、たぶん少年だと思う。

 俺達は、リアルの姿の使用も禁じられていたのだ。

 ちなみに俺は、適当に、嘘だ、めちゃくちゃ頑張ってイケメンデザインしてアバターにした。他のプレイヤーもイケメン美女、アニメキャラクターなど非常に多彩で、まめな奴なんかは毎日変えていた。

 

 俺達はせっせと頑張り続け、ついにノルマを達成した。

 

「よし、レオン! やっとクリアだ!」

「やったね、アッシュ!」

「やったなー!」

 

 俺達は喜ぶ。クリアをすれば、治療をして目覚めさせてもらう約束だった。

 一致団結して、俺達はやり遂げたのだ。

 

「お疲れ様でした。全ての実験は終了しました。約束通り、あなた方を目覚めさせます」

「パパとママの元に帰れるの?」

「ええ」

「レオン、良かったな!」

「俺は帰りたくない」

 

 目覚めるのが怖かった。俺は自殺未遂をしていたのだ。起きても希望なんてない。

 

「そうですね。オンライン環境には接続できなくなりますが、次の実験環境が整うまでは滞在を許しましょう」

「アッシュ……僕は帰るよ」

「ああ、幸せになれよ、レオン」

「それでは皆様、困った事になりたくなければ1年間の守秘義務は守る事をお勧めしますよ。バイト代は3年を掛けて分割で支払いますが、後半2回は1年間の守秘義務を守って下さった方のみに配布いたします」

「バイト代が本当に出るのか!?」

「だいぶタイムラグがあるんだな」

「報酬をくれると言うが、いくら貰えるんだ?」

「目覚めた時に確認してください。ただし、一年の守秘義務がありますし、お金の出所を追求されたら困るでしょう。1年間はおとなしくする事をお勧めしますよ。あとは、あとは誰に何を言おうと、どれほど散財しようと自由です。慎ましく暮らせば一生はなんとかなる金額ですよ」

 

 歓声が上がる。

 俺の他にも帰りたくないものはいたようだが、バイト代が出るなら話は別。

 そんなわけで、帰還拒否は俺一人。次の瞬間には俺は一人になっていた。

 俺は、一人で自分の惑星を作り、あるいは駒やアイテムゲットのゲームを遊び続けた。たまに実験の手伝いもした。何を意味するかは全然わからなかったが。

 

 そして3年位した頃、俺はとうとう「次の実験環境が整い」、夢の世界を出ることになった。

 

「目覚めるのが怖い。怖いんだ」

「そんなに心配ならば、新しい戸籍を取得しますか?」

「そんな事ができるのか?」

「ええ。それぐらいのサービスはします。ただし、バイト代の配布は5年後になりますが、それまでの生活はなんとかなるでしょう」

「お願いします」

 

 頭を下げると、管理人は頷き、そうして次の瞬間、俺は赤ちゃんに転生していた。

 目覚めさせると言うのは肉体的な意味ではなく、転生させるという意味だったのだろうか。確かに、新しい戸籍と生きる場所は手に入ったのだし。

 

 

とにかく、俺は優しい両親に囲まれて生活をしていた。

今の俺の楽しみは、保育園への通学だ。いよいよ今日、初めて保育園に行くのだ。

 

「まーまっ ほいくえん!」

「悠人、いい子ね。そう、今日は保育園に行くわよ」

 

 やたっ ようやく外に出れる!

 ここは治安が悪いらしくて、お外に出してもらえなかったんだよな。

 初めて外に出る。

 

 外に出て、ホワァーっと声をあげる。

 綺麗な街だ。ビルが立ち並び、車が飛んでいる。

 近未来的な町だな……。

 科学は進んでいるのか。地球よりも進んでいるのかもしれない。

 

 空飛ぶバスに乗り、保育園に行くと、爽やか系イケメンがいた。

 

「初めましてだね、お名前言えるかな?」

「ユート! 3歳!」

「すごいね! 僕はカイだよ。カイ先生って呼んでね。よろしくね」

「よろしくお願いします! カイ先生!」

 

 元気にお返事して、俺は他の子達にも挨拶をした。

 まずは中華風のお姫様っぽい子に挨拶しとくか。

 

「あら、殊勝ですわね。私は紅鈴麗ですわ!」

「コーリンレイ」

「リンリン様と呼ぶ事を許しますわ!」

「リンリン様! よろしく! 僕ユート!」

「ええ、よろしく」

 

 次に挨拶したのはお花の人だ。

 ドリアッドで可愛らしいお花が咲いている。

 ここは本当に地球じゃないんだな。

 

「エリーゼよ、よろしく」

「ユートだよ、よろしく!」

 

 おっと、妖精さんがいる!

 

「妖精さん! 僕ユートっていうの! よろしく」

「わたしはルルよ、よろしく」

 

 女の子ばっかりじゃん。ハ、ハーレムだ!

 お、本がある!

 家にはテレビも本もないんだよな。ありがてぇ、文字が学べる!

 

「せんせー、ご本読んで!」

「いいよ」

 

 そこで、俺はこの世界の事をようやく学べるようになった。

ヒーローとかヴィランが本当にいる世界だった。

空に星は一つだけ。太陽のみだ。

ずいぶん寂しい空だと思う。夜は本当に真っ暗になってしまう。

この星では、夜には何かをするのは厳禁らしい。

火を扱うのもNGだそうだ。万一火事になったら対応できないからと。

それもそうだろうな。

星明かりのない空がこんなに暗いとは思わなかった。

ここの国名はアメリカンフロンティア。

レオンが中心になって作っていた国である。

俺が作っていた国?

超最強中華仙国とカオス国の事? 滅びてた。

超最強中華仙国は白白の作った国に滅ぼされ、カオス国はダンジョンのスタンピードで自滅した。

でもしょうがない。歴史が始まって4000年経ってるんだもの。

白白(中国人のプレーヤー)が自分の国は4000年の歴史が良い、と言ったのが原因だろう。白白の責任だ、うん。俺のせいじゃない。

おのれ、腐女子達が作った薔薇王国は残っているのに……!

それに対抗して男どもが作った百合王国だって残っているのに……!

あ、あれ? まさか滅んだのって俺が作った国だけ……いや、そんなはずはない!

記憶も3年経って曖昧だし、俺が仕入れられるのは絵本の知識だけだしな。

他にも滅んだ国は沢山あるに違いない。

 

頭の中で白白が、あれだけダンジョンを設置すれば滅んで当たり前だ馬鹿、と文句をつけるのを無視する。俺悪くない。

 

それにしても、この世界……、俺達が作ってた世界みたい……。

管理人様、目覚めさせるのが嘘っぱちだと思ってすみません。

いや、目覚めさせるってのは嘘だったけどさ……。転生したわけだし。

 

流石に4000年も経ってるから、設置してた神器が紛失や壊れたり、消耗品が無くなったりしているらしい。そのせいで、結構な魔法が失伝している。

 

っていうか俺らが作った世界が現実化してる? まじで?

 

俺は種族を二つ作ったのだが、両親はそれらしい。忍族と魔族。

ただ、両者の種族魔法は失伝しているらしいので二人とも何もできない。

いや、探せば使える奴もいるのかもしれないけど、少なくとも両親は知らないみたいだ。

 

いずれはどうにかしてあげたい。

 

俺が5歳になると、頭の中でアナウンスが流れた。

 

『皆様、惑星ファンタジーアースの製作実験協力ありがとうございました。大変お待たせいたしました。バイト代の1回目の支払いを行います。1回目は階級ごとに一律の報酬を差し上げます。それと共に、ステータスを解放いたします。ステータスオープン、クローズでステータス画面を表示非表示できます。第二回は実験協力の際に得たアイテム等を報酬としてお支払いします。最後に個々の功績を査定した成果給をお支払いします。楽しみにお待ちください。1年間の守秘義務の厳守をお願いします』

 

 俺は周囲を見回した。幸い、今は両親が共に出ている。

 

「ステータスオープン」

『灰原・縁・アッシュ(V)

 名前 弓星 悠人

 種族 忍族・魔族

 ジョブ なし

 素質

 アイテムボックス

 マイエリア

 ショップ

 ノート』

 

 ふむふむ。

 素質を見てみる。

 

『忍術(V) 魔族式魔術(V) 紋章術(V) 錬金術(V) 基礎魔術(V) 創造魔法(Ⅴ)』

 

 忍法と魔族式魔術は種族魔法だ。紋章術は俺が設定した魔術。錬金術と基礎魔術は最初からあった魔術、創造魔法はクエストをクリアするともらえるアイテムを消費する事で使える魔法。

 

 アイテムボックスはまず飛ばして、マイエリア。

 選択したら、ドアが出たから驚いた。

 ドアのノブが回せるようになっていて、メモリが書かれている。

 マイルーム、マイハウス、マイファーム、マイキャッスル、マイシティ。

 マイルームを開けてみたら、ガランとした部屋に繋がった。

 初期設定の部屋だ、これ。中身は一年後なのだろうか。

 

 ショップはタブが5枚あって、これは階級で分かれている。

 どれもプレオープンとなっていた。

 本格的な開店は一年後ということだ。

 しかし、それでも品数は多い。

 回復薬、素材、宝飾品、スキルにジョブなども。

 

 さて、おまちかねのアイテムボックスだ。

 報酬ボックスが5個。

 報酬ボックスは5個あって、階級名が書かれていた。

 【ゲスト】回復薬の詰め合わせと100IP、5SP、1JP、転移チケットが2枚、転生チケットが1枚。

 【職人】錬金術のセットと1,000IP、10SP、5JP、グループ転移チケットが6枚、転生チケットが3枚。

 【クリエイター】下級創造魔法の触媒の詰め合わせと10,000IP、30SP、10JP、グループ転移チケットが12枚。転生チケットが6枚。

 【精霊】中級創造魔法の触媒の詰め合わせと500,000IP、50SP、30JP、転移パス、グループ転移チケット100枚、転生パス。

 【神】高級創造魔法の触媒の詰め合わせと3,000,000IP、100SP、50JP、グループ転移パス。

 

 IPはアイテム、SPはスキル、JPはジョブを買えるものだ。

 なるほど、IPが主なバイト代となるのか。すごいことになるな。

 アイテムでもスキルやジョブは得られるけど、ポイントだと適性があるものは安く買える。

 転生パス、グループ転移パスは何度でも使える代わりにチャージが必要みたいだ。

 

 ノートはメモ帳。白紙だった。

 

 うーん。5歳児にこれをお金に変えろと? 

 IPで貴金属は帰るけどさぁ……。難易度激高っすよ管理人様。

 今からでも振り込み口座にならない? ならないか。

 

 そもそも、ゲスト分だけでもポケットからはみ出ると思う。

 

 俺は腕を組んで悩む。

 そうこうしているうちに、両親が慌てて帰ってきた。

 ラジオを買ってきている。おお、うちに文明の利器が!

 

 両親は怯えながらラジオを聴く。

 

 夜が来て、不安そうに窓を開ける。

 青空に美しい星空が透けて見えて、両親は怯えた。あっ 地球がある。

 マジか、地球だ。すげー。なるほど、蒼い。

 

 俺の頭の中では、ミニキャラと化した俺と俺以外のプレイヤーが地球とファンタジーアースに分かれて大戦争していた。やばくね?

 

 ちなみに種族は11種族いる。

 

人間(デフォルト)

忍族(俺)忍術

魔族(俺)魔族式魔術

パワード(レオン)スーパーパワー

メカリア(レオン)ハッキング

ドリアッド(テオ)植物操作

魔女(テオ)魔女式魔術

妖精(エーリャ)妖精術

獣人(エーリャ)ワイルド・マジック

仙人(白白)仙術

妖怪(白白)妖術

 

精霊3人、神2人の二種類ずつとデフォルトで11人だ。

多様性にも程があるが、まだまだ作りたい種族が山ほどあったんだよな。

もちろん、今からでもテコ入れはできるだろう。

泥沼の争いが見えるっ!!




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。

こっそりな感想はこちら
https://odaibako.net/u/karin2022v
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