『皆様、惑星ファンタジーアースの製作実験協力ありがとうございました。大変お待たせいたしました。バイト代の1回目の支払いを行います。1回目は階級ごとに一律の報酬を差し上げます。それと共に、ステータスを解放いたします。ステータスオープン、クローズでステータス画面を表示非表示できます。第二回は実験協力の際に得たアイテム等を報酬としてお支払いします。最後に個々の功績を査定した成果給をお支払いします。楽しみにお待ちください。1年間の守秘義務の厳守をお願いします』
頭の中の声に、白白こと李白礼は驚いた。
白白は驚きつつも、胸を高鳴らせた。
理想の国が現実化するかもしれないのだ。白白の愛する理想の中華帝国が。
仙人、龍、これぞ中国、これこそ中華というものを作ったつもりだ。
またとない機会をくれた運営に、毎日感謝の祈りを捧げる白白。
白白は、一年経ったら直ぐに、両惑星の仲立ちをするつもりだった。
互いの星に行くまで、数年は掛かるだろう。一年後に動いても十分間に合う。そのはずだった。
だが、あの偽アッシュがやらかした。
白白は追い詰められる事となって、泣きながら転生チケットを破った。
「惑星の仲立ち、したかったね」
たった一回の晴れ舞台だったのだ。
だが、転生すれば動けるのはどんなに早くとも10年後。それがたまらず悔しかった。
転生した白白が生まれたのは、全く見知らぬ場所だった。
使われているのは日本語だが、国名が変わったにしても人種が違いすぎる。
何より、空に星がなかった。
白白の両親はダンジョンで早々に死に、白白もまた預けられた孤児院で売られる前にダンジョンへと抜け出した。白白はハクと名乗る事とした。
アナウンスがあった。
『グレートライブラリ星が解放されるまで後15年です。守秘義務解除のタイミングは一括で処理されるため、体感での守秘義務期間は延長されます。その代わり、1年ごとに回復アイテムのセットをプレゼントします』
ハクは管理人の計らいに感謝した。
15歳ならば、十分に惑星間の外交に介入出来る。
解放されたら転移チケットで外交戦に参戦すればいいのだ。
ここは恐らく、アッシュかレオン、いやアッシュの星だろう。
この雑な感じと日本語。間違いないようがない。
ハクは5歳だ。いくら前世で武術が使えたとはいえ、通常なら5歳ではどうにもならない。だが白は階級精霊。魔法と種族の創造を許された階級である。
種族魔法である仙術と妖術は使えないが、信仰魔法である道術は使える。
更に、式神召喚、弓召喚、付与と強大な異能を三つも持って生まれていた。チートである。おそらく、名家の駆け落ちだったのだろう。何せ両親はやたらと美しかった。近接がお留守だが、そもそも子供で力もないし、ハクは後ろに控えていたいタイプだったのでこれが良い。
道術で持って本の品定めをして、異能で持ってカードや本の魔物を狩る。
宿泊はマイルームがある。どうしても必要な物資はアイテムポイントで買えばいい。なんならマイファームもある。農作業をどうしようか考えて、思い当たった。
種族を作り出せばいいのである。
現状の材料で、10人は作る事ができる。
この世界なら戸籍も何もない。
ハクは早速、仙人と妖怪仙人を創造した。
マイファームとマイキャッスルを必要分だけ整える。
人種が違うから、顔立ちが若干違うのが難点だったが、不便なようなら妖怪仙人は人に化ける事もできるので、それを活用すればいい。
なんだかんだで、ダンジョンに飛び込んで5年も過ぎてしまった。
マイファームとマイキャッスルを整え、ダンジョンを攻略するのにそれだけの時間が掛かってしまったのだ。
ようやく余裕が出来た白白は、護衛を引き連れてライブラリギルドへと向かった。
集めた本を護衛がカウンターの上に載せる。
「えっ これ、全部新しい図鑑!?」
大声が響き渡り、ハクは顔を顰めた。
「これをお金に変えて欲しいある」
「は、はい、ただいま!」
「これはこれはお貴族様、ようこそ、乱書国へ。どうぞ鑑定の間、奥でお寛ぎください。お茶をお出ししても良いですか?」
一発で外国人だ判断される。まあ、着る服と顔立ちが違うんだからそうなる。
「ご馳走になるね」
「我が名はハクある。この者達は護衛の紅姫と聞ね」
ボンキュッボンの美貌の女と美貌の頭の良さそうな男が頭を下げる。
「諸事情あって出身に関してはいえないあるが、お忍びでここにいて、あと5年滞在予定ある。何も知らないから、いろいろ教えて欲しいある。一番栄えているところに行きたいある。あと、買い物をするのにいい場所を教えて欲しいある」
「それはそれは! もっとも進んだ所といえば、大図書館帝国ですね。大図書館帝国はご存知ですか? この大陸で随一といえばあそこですよ」
「聞きたいある」
「ダンジョンの中にある魔物の国ですよ。全ての本とカードはそこで作られているのです」
「ほほう」
「地上で、私が知る中でもっとも進んだ場所は猫の墓国です」
「変わった名前あるな」
「好奇心は猫を殺す。故に猫の墓で出来た国と言われています。もちろん、この国も長閑でいい国ですがね。あそこは好奇心が豊かなので、見知らぬ国の者となれば大喜びして迎え入れてくれるでしょう。大使館に行ってみますか? そこならば、ダンジョンから出たあらゆる本のデータが読めますよ。有料ですがね」
「良い話を聴いたある。買い物を済ませたらそこに行くある。市の場所と案内人をお願いできるあるか?」
「喜んで」
そういうことで、ハクは街を見て回る事にした。
市場をいろいろと見て、見たことのない果物の種などを積極的に買っていると、騒ぎが近づいてくる。なんとホバーバイクとそれに乗った若き青年がやってきた。
どうやら、この国はよほど発展途上国らしい。ホバーバイクは明らかに量産品。ということは、それが当たり前に量産される文明があるということだ。そして、それが周辺に見えないという事は、隔絶した国力の差がある事を意味する。
「ああ、来ましたね」
「あれは?」
「こんにちは、異国の貴族! おおー! 確かに服の様式が全然違うな! 物語の中華仙立帝国の挿絵と登場人物に似てるか? 俺は窟住 疾風! 猫の墓の大使!」
あまりにあっさり爆弾発言をされて、ハクは驚いた。
「は? ハ、ハクいうある。お忍びで来ていて、15歳までは事情も国のことも話せないある」
ハクは動揺した。何やってんだアッシュ。
「話し方以外は全然この国の人間っぽいけどな。護衛の人はいかにも異国って感じだよな。人種違うのなんで? ハクって神様遊戯の白白の話し方に似てるって言われない?」
ハクは頭の中でアッシュを殴った。仕方ないけどさぁ!
「15になるまでいう事はできないある。あと5年、口を閉じねばならぬしきたりある」
「変わったしきたり! じゃあ言っていいこと全部教えて!」
そこで聞が前に出た。
「あまり無礼な物言いはやめてもらおう」
「聞、心配しなくていいある。ちょうどいい頃合いある、そちらの大使館に行ってもいいあるか? 色々聞きたいある」
「なんでも聞いていいよ!」
そうして、大使館へと一行は向かった。
なお、ハクの一昔前っぽい話し方は、その方がウケが良かったから使っていてそのまま定着してしまったのが抜けないだけである。なので紅姫や聞は普通に流暢に話せる。