サウザンド   作:かりん2022

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ゲスト:紅天女2

紅天女は、孤児だった。

天涯孤独の身の上で、誰にも顧みられない子供だった。

そして頭は良く、クラスメイトをバカだと思っていた。

若い全能感と、劣等感。相反する感情を抱える女の子だった。

テレビ局になんとか話を売り込んで、全てが変わった。

誰もが紅天女を讃え、その話を聞きたがった。

 

その日も、治癒の生中継をするということで、話を受けた。

それが紅天女の破滅の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足を怪我した金髪の中年男性。最近の怪我のようだ。

 

「なんて可哀想に。私が治してあげるわ」

「是非とも頼むよ。だってこれは君のせいだからね」

「え?」

「私は半年間昏睡していてね。サウザンドだろうと襲われて、逃げられないように足を刺された。妻と孫は殺されたよ。武田 紅子さん」

 

 私は逃げようとしたが、腕を掴まれた。

 

「そんなの、犯罪者が悪いんだわ! それに本名を言うなんて!」

「みんな知ってることだ。それに君に聞きたい事がある。私は奴ら……運営に逆らってね。すぐに追放された。そんな私にも、彼らは報酬をくれたんだよ。回復薬の詰め合わせ。100アイテムポイント。5スキルポイント。1ジョブポイント。そして、ファンタジーアースへの転移チケットが2枚と転生チケットが一枚。とっても太っ腹だろう? 1ジョブポイントあれば、治癒術師にだってなれる!」

「それがどうしたって言うのよ」

「報酬は階級ごとに渡すと言っていた。階級だ。早期に退場した私には、何階級あるかわからない。だから、リーダーであるという君に聞きたい。君は報酬に何を貰った? 回復薬! 治癒能力! それ以外に何を見せた? 逆になんで転移チケットや転生チケットについて言わなかった!?」

 

 男は激昂する。

 

「転生チケットも回復薬も間に合わず、妻は死んだ! 転生など妻がいなくては何の意味もない。天涯孤独の孤児だそうだな! 周囲に大切なものなどないからいいと思ったか? いざとなれば死ねばいいのだからいいと思ったか? 何故、一年。たった一年の沈黙を守らなかったばかりか、皆のことまで暴露した!? 知っていたか! 殺されたサウザンドがいる。親しい者を人質に取られたサウザンドがいる。薬を盛られて秘密を喋らされ、権利を失ったサウザンドがいる。拷問されて散ったサウザンドがいる」

 

 知らない。そんなの知らない、私のせいじゃない!

 

「犯罪者が悪いのよ!」

「そう、犯罪者が悪い。詐欺師が、自分を偽り他者を売ったな。地球人類を恨んだ転生を繰り返す怪物が生まれるぞ。お前のせいでだ! 平和の為? 笑わせる。お前が戦争を起こすんだ!」

「階級神や階級精霊の持つ力を知らないくせに! 彼らは洗いざらい話して、力を放棄すべきだわ!」

「ならば最初からそう言えばいい! 何がリーダーだ!? 反論出来ないのを良いことに、自分に都合のいい情報だけを流す卑怯者!」

 

 そして、男は手にチケットを出した。

 

「転生チケットは奪わせてもらったぞ! この為に盗賊の職を得たのだからな!」

「嘘!」

 

 私は慌ててアイテムボックスから転生チケットを出した。

 なんだあるじゃない。安心しかけた私は、チケットがスパッと切れて呆然とした。

 

 男は死んだ。風魔法を使って死んだのだ。

 転生チケットはアイテムボックスにそれを持つものが死んだ時か、それが破られた時、破った相手を転生させる。

 

 つまり、私の転生チケットを使われてしまったのだ。

 

「いやあああああああああああ!? 嘘嘘嘘!!」

 

 私は混乱する。

 

 そして、それは生放送だった。

 その日以来、全てが反転した。私を讃える声はその10倍以上の大きさを持って批判の声となった。

 転生チケットがないから、私はやり直すこともできない。

 

 違う。転生する事のない、唯一安心して殴れるサンドバックと化したのだ。

 

 人類からの、そして何よりサウザンドからの怨嗟。

 私は気づいていなかった。

 

 一年後、全て詳らかになる一年後の批判の嵐はこの日ではないと。

 

 二つの惑星を破滅に導く、傾星の屑として語り継がれることになるなどと。

 

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