俺達、ちんまい幼児達は、屈強な大人に囲まれていた。泣きそう。
なお一番屈強なのは大統領である。ちびりそう。
ニャサは大きな建物で、危険な遺跡と見做されていたらしい。
俺達が入り口に近づくと、パスが光った。
『担当者を呼び出しています。しばらくお待ちください』
それから、バタバタと音がして、ドアが開いて1人のメカリアが顔を出した。
「やあ! 僕はキャプテン! キャップと呼んでくれ! ず、ずいぶん多いね? 中に入ってくれ、案内しよう」
それから、俺達は建物の中にあっさりと中へ入ることを許された。
「じゃあ、説明するよ。まず、虫歯のある子は宇宙へは行けません。どうしても行きたい場合は、ポーションによる完全治療を行って確認をしてからになる。それから……」
メカリアは僕達全員に資料を配りながら、説明していく。手際がとても悪い。初めてだから仕方ないね。
「行き先はどうする?」
「地球という惑星に行きたい」
「隔離・訓練期間が一週間、行き3日、滞在1日、帰り3日、隔離期間が一週間の三週間位なるね。最短で一週間後に隔離スタートになる。隔離期間中に病気になった場合は、治ってから一週間経たないと出発できない」
「それでお願いしよう。滞在はもう少し伸ばせないか?」
「これは子供用だからね。本格的に宇宙旅行をしたいなら、大人用の試練を超えてもらわないと」
「大人用の試練?」
「受ける気があるなら、担当者を紹介するけど、その前に訓練と勉強をお薦めする」
「それはどこで受けられる? 手続きは?」
キャップは戸惑いながらも答える。
大人コースの訓練は別チームに任せるとして、それはそれとして子供用コースで先に行くらしい。子供用の担当者はキャプテン1人なので、とても戸惑っている。
四千年で初めての仕事らしい。頑張れ。
尚、キャップの想定は、子供1人に親2人の引率である。たまにくる子供の相手という位置付けであり、基本的に大勢の引率は想定されてない。そりゃそうだ。そもそも現実化が想定されていないのだ。
現在、俺達やチケット集めに動員された子供達50人くらいと、200人くらいの外交団がいる。しかも宇宙服とかの用意はこれからである。ざっと想定の100倍規模。受付のメカリアが、羨ましそうにキャップを見ている。だったら手伝ってやれ。あと、心配しなくてもこれからみんな忙しくなるぞ。
とにかく俺達は、否応なしに栄えある外交団の一員となったのだった。
ママとパパは心配で死にそうな顔をしていた。いっぱいお土産買ってくるから許して。
お船の中で。運営の声を聞いた。
『このような事態になり、あまりに多くのメンバーが受取資格を失い、大変に残念です。バイト代の2回目の支払いを行います。実験協力の際に得たアイテム等を報酬としてお支払いします。不測の事態もありましたので、守秘義務を違反された方につきましても、協議の結果、ポーションを配布する事となりました。また、配布された駒に人として生きる機会を与える為に、守秘義務違反された方の分の報酬は他の方に配布する処置を取らせていただきました。部屋の内装などにつきましては、人の物をもらっても仕方ないだろうということで、特別に全員にお返しします』
このような事態って何? 一年秘密にするのができなかったやつ多いの? 嘘でしょ?
で、貰えなかった人の分は山分けって事か。ポーションといい部屋の内装といい、かなり温情のある措置だ。
俺はアイテムボックスとショップの稼働を確認した。
お、マイルームが二つになってる。まだ手付かずの、がらんとした新しい部屋と、十年住んで生活臭たっぷりな部屋。これは太っ腹。
「惑星が増えてる!」
窓を見ていた冬夜が叫ぶ。
「増えた!?」
「見たい!」
俺は窓にべたっと顔をつけた。そして見えたのは。
見覚えのある俺の惑星と、緑と海の青で美しく輝く惑星だった。
そういえば、レオンは下準備はしていたけど、駒の配置はファンタジーアースに集中していた。あれはレオンの惑星だな。
つまり、自然いっぱい、手付かずの無人惑星か。フロンティアじゃん。
開発され尽くした三つの惑星の真ん中に投げ出されるフロンティアか……。
ああ、俺の星は、1人の時に暇つぶしにたくさん駒……つまり人族を配置していた。1人だったとはいえ3年ぐらいかけたし、時間経過も二千年に設定した気がする。
……。
やっべレオンの星を巡って地球VSファンタジーアースどころか三つ巴になるかも。
増えた惑星を見た大統領はふらりと倒れ、軍医が慌てる事態となった。
一方その頃、地球はようやく喋れるようになって尚且つチートが配布されたサウザンドで大変な事になっていて、もうお腹いっぱいの状況だった。
何せあちこちで暴露大会とたまりに溜まった反論が行われているのである。
当然、守秘義務遵守や守秘義務違反での報酬が貰えた貰えないの悲喜交々もある。
さらにあちこちでサウザンドがチートを使い始めたり、チートを使う相談をされたり。
正直言って、この大変な時に来ないで欲しいというのが地球の本音だった。
そこへ来て惑星が増えた事件。
カオスである。