ボスとジョルノの幻想訪問記   作:フリッカリッカ

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恐怖!紅魔館の悪魔たち③

ボスとジョルノの幻想訪問記10

 

 あらすじ

 

 つかの間の平和に訪れた悪鬼、スカーレット姉妹。

 その時、『彼』は・・・・・・。

 

*   *   *

 

 ボスとジョルノの幻想訪問記 第10話

 

 恐怖!紅魔館の悪魔たち③

 

「――――レーヴァティンッ!!!」

 

 上白沢慧音が永遠亭の扉を開けると同時に、そのような声が聞こえた。直後、その場にいた全員――――慧音はもちろん、鈴仙、妹紅、ジョルノ、そして美鈴が突然の衝撃に巻き込まれた。

 何が起きたか? そして誰がいたのか? 等という疑問を解消する暇も余裕もなく、彼らは『破壊行為』に巻き込まれた。

 

 ズガガガガァアアン!!

 

 その『破壊』は凄まじく、永遠亭の玄関を吹き飛ばしそして燃え上がる。暗闇は爛々とした狂気の炎に照らされ、一気にそこら辺一帯は炎に包まれる。

 『レーヴァティン』。それは災厄を振りまく炎剣。彼女の――――フランドール・スカーレットのスペルカードの一種。

 

「あはははははっ、あはははははははッ!!!」

 

 その地獄のような情景に気の触れたような少女の笑い声が浮かび上がる。

 

 すぐに、永遠亭の奥にいたドッピオが駆けつける。彼はまだ台所にいたためフランドールの攻撃は免れていた。玄関までくると最初に目に入ったのは鈴仙とジョルノの倒れた姿があり、近くには美鈴もいた。

 美鈴は倒壊した玄関の柱に押しつぶされ、何とか息があるものの早く救出しなければ非常にマズイだろう。鈴仙とジョルノは建物の倒壊の被害は受けていないが動かない――――外傷があまり見られないため、おそらくは脳震盪を起こして気絶したものと思われた。

 ドッピオは自分が何をすればいいのか、そして何が起こったのかを把握できず、倒れている三人を前にしても呆然と立ち尽くすしかなかった。

 彼が立ってしばらくそこにいると、奥から永琳が飛んできた。彼女は衝撃の後、輝夜を最奥の母屋にてゐを護衛につけて匿い病室を確認後、被害がないことを知り玄関に来た。まず目に入ったのは立ち尽くすドッピオの姿。彼女は彼に話しかけようと近付いたところでドッピオが言葉を失い立ち尽くす原因を見る。美鈴とジョルノと鈴仙の姿だった。

 鈴仙とジョルノが動かない。彼女はすぐに二人の元へと駆け寄り脈を取る。幸い二人とも気を失っているだけだった。次に美鈴の方を見ると、美鈴は意識はあるが柱の下敷きになっており自力で動けそうにはなかった。すぐさま助けようとするが、美鈴は首を横に振った。そして視線を移す。

 その真意を理解した永琳は視線の誘導に従ってドッピオが眺める方向を見る。

 ここで、永琳とドッピオがほぼ同時に消し飛んだ玄関からもうもうと上がる炎の煙の中、こちらに近付いてくる影を発見する。

 影は、笑っていた――――。

 

 そして、その笑い声に呼応するように周囲の炎がドッピオと影の丁度中点に集まり始める。それは人の形を為していき――――人になった。

 

「――――あ?」

 

 それは不死鳥、藤原妹紅であった。彼女は復活すると今の出来事を瞬時に理解し『自分たちは攻撃されたのだ』と判断する。

 彼女の額に血管が浮かび上がる。血液が沸沸と沸き上がる。

 妹紅は戦闘を好んでいる節があるが、このような『命を軽んじる行為』には人一倍敏感だった。これは『生命』に対する侮辱だ。我々を侮辱しているのだ、許してはならない、と。

 妹紅の気配が怒りとは裏腹に酷く落ち着いたものになっていく。それを見た永琳は前方の敵は彼女に任せ、今は怪我人の救助を優先すべきだと判断しドッピオに声をかける。

 永琳は先ほどまでの楽観視を忌々しく思った。まさか、紫の差し金がいきなり、こんな危険人物だとは思わなかったから。

 ドッピオはまだ整理がついておらず、永琳の問いかけに生返事をするだけだった。永琳は焦りつつもドッピオを促し、まずは美鈴の救助を始めようとするが。

 私は後でいい、頼むから二人を。という美鈴の必死に永琳の心は揺れる。彼女の言葉に従いまず気を失っている鈴仙とジョルノをそれぞれが背中に担ぎ、二人はその場を離れた。

 

 二人が奥へと戻っていった後、煙の中から姿を現したのはフランドール・スカーレットだった。妹紅はその姿を確認し臨戦態勢に移る。

 容赦はしない、こいつは殺さなくてはならない、と。

 だが、フランドールは目の前にいる怒りを露わにする猛獣より他のことを気にしていた。彼女はさっきまでここにはあと4人いたはずだと思っていたが何人かがもういない。今フランドールの視界に写るのは妹紅と美鈴だけであり、ジョルノ、鈴仙、ドッピオ、永琳の姿は無かった。

 と、何を思ったのかフランドールは足下を見る。そこには血だまりがあった。フランの視線移動につられて妹紅もそれを認識する。

 いや、妹紅は認識するべきではなかった――。

 血はフランの脇の瓦礫の下から流れ出しており、フランと妹紅は同時に理解する。

 そして無邪気な笑みをギィっと浮かべたのはフランだった。

「♪」

 フランが笑顔でそれを持ち上げるとそこには彼女がいた。妹紅の予想通り、そこには上白沢慧音が横たわっていたが――――。

 

 ――――両腕が無かった。

 

*   *   *

 

 早く血を止めなければ慧音は今すぐにでも死んでしまうだろう。

 そんなことは医学に疎い妹紅でもすぐに判断できた。

 フランドールの攻撃を正面から直撃した彼女はとっさに両腕でガードをしたようだった。でなければ両腕が肘先から消失するなんて考えられない。

 つまり、フランドールは本気で殺しに来たと言っていい。

「き、貴様ぁああああああああああッ!!!」

 妹紅の怒りは最高点に達し、全身に炎をたぎらせた。今の彼女に近付けば一瞬で消し炭だ。

「怒ってるの?」

 と、首を傾ける。その行為は妹紅の熱を更に上げる。

 妹紅はフランドールに飛びかかる。弾幕を展開しながら自分で突っ込んでいく。足に高温の炎を集中させ、フランドールの脳天を蹴り抜くために。

 だが、フランドールは慌てない。

「『クレイジーダイアモンド』」

 彼女のすぐ前にスタンドが現れる。それは先ほどレミリアに見せた『見るものを不快にさせる』ようなスタンドだった。

 もちろん、スタンド使いではない妹紅にその姿を視認することは出来ない。彼女はそのまま突っ込んでいくが――。

「ドシャアアアアーーーーーッッ!!!」

 フランドールのスタンド、『クレイジーダイアモンド』は耳をつんざくような奇声を発しつつ拳で弾幕を相殺する。妹紅の目には突然、何もない空間で弾幕が消えたように見えただろう。何か、ヤバいッと思うが勢いは止まらず――。

 ドズンッ!

「がっ・・・・・・!? か、はッ・・・・・・」

 『クレイジーダイアモンド』は逆に妹紅の鳩尾を蹴り貫いた。

 何も無いはずなのに、見ることも感じることも出来ない何かが自分を貫いている。妹紅は頭に疑問符を浮かべながら塊のような血液を吐き出した。

 対するフランドールはスタンドを片足立ちのままにして、妹紅を高く串刺しに固定したまま側でボロ雑巾のように転がる慧音を掴んだ。

 慧音は気絶しているのか、少しも動く気配はない。

「ね、ね、見てよ。傷口、これ火傷で酷いよ。きっともう治らない。もうずっと、この人はこのままなんだよ? 可哀想だね」

「・・・・・・ッ!!」

 妹紅は見えない何かに串刺しの状態で慧音の痛々しい姿を見る。自分は何をしているんだ。慧音が死にかけているのに、死ぬことも出来ない自分は何も出来ないなんて・・・・・・。

 悔しそうに顔を歪ませる妹紅を見てフランドールはにこりと優しい笑みを浮かべて――――。

 

「でも大丈夫! 私がちゃんと『直』してあげるよ」

 

 と、『クレイジーダイアモンド』は両手で慧音の肘から先のない両腕を包み込み、能力を使う。

 『クレイジーダイアモンド』は殴ったものや触れたもの、破壊したものを治す能力を持つ。本来はとても優しい力なのだが――――。

 彼女の狂気は止まるところを知らない。

 

「――――ッ!!?」

 

 妹紅の目は見開かれた。そして、もう声も出せずにいた。

 彼女の目に映ったのは、怪我一つ無い慧音のきれいな腕。先ほどまで大火傷で大量に出血していた腕の怪我が完全に治っていた。

 だが、それはもう『腕』じゃなかった。

「け、・・・・・・い・・・・・・・・・・・・ね」

 喉から絞り出せたのはそれだけだった。唇がワナワナと震える。自分の心音が高く早く鳴り響く。あまりの現実に自分を見失いそうだった、押しつぶされそうだった。

 

 慧音の両腕は肘先と肘先で綺麗に繋がってしまっていた。

 

「――――――ッッ!!!!」

 妹紅は視界がぐるん、と周る。そして何かがブチ切れる感覚に陥った。自制という糸が切れるような――――。

 そしてさっきまで妹紅だったその化け物は声にならない叫び声をあげてスタンドによって貫通して動けない体を動かす為に、炎の温度を更に上げる。

「うわっ、熱いッ!?」

 その炎はスタンドによって穴を開けられた場所のほんの少し上側に集中し――――妹紅の上半身と下半身を焼き切った!

「う、うそッ!? 自分を真っ二つにするなんて・・・・・・!?」

 全く予期していなかった行動にフランは動揺する。

 貫通していた体はそこから上下に分かれ、下半身はそのまま炎に、上半身は周囲の炎を集めながら集積していき、フランドールに襲いかかった。

「く、『クレイジーダイアモンド』ッ!」

 フランはとっさにスタンドを構えカードの形を取らせるも、妹紅の攻撃の方が少し、早かった。

 彼女の攻撃はフランドールを捉え、その身を焼き尽くさんとする。

 

 ――そのとき。

 

「神槍・グングニル」

 

 炎を纏う妹紅の脳天を巨大な深紅の槍が貫く。

「全く、勝手に先走ったらダメじゃない。私の獲物が減るわ」

「お、お姉さま!?」

 見たことのある槍に反応してフランは後ろを見ると、そこにはやはりレミリア・スカーレットの姿が。

「甘いわねフランドール。あなたの能力ならスタンドに頼らずとも今の攻撃は防げたでしょうに」

 彼女は倒壊した玄関から律儀に永遠亭へと入り、そう言った。

「・・・・・・そうだったね、忘れてた」

 フランドールは新しい能力に浮かれ、自分の『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を使うのを忘れていた。

「力は使い分けてこそよ。例えば、私の能力では不老不死の連中は倒せないけど、あなたの『クレイジーダイアモンド』なら無力化は出来るわ」

「? どうやって?」

 フランドールは首を傾げる。

「簡単よ。試しにそこの不老不死にでも試してみましょう。あなたがすべきことは『地面と区別を付けるな』ということ。わかったかしら?」

 地面と区別を付けるな。つまり、『土に還す』ということ。

「・・・・・・なるほどね、さすがお姉さま。素敵だわ」

「ふふふ、誉めすぎよ。さ、まずはやってみせて?」

「うん、分かった」

 と、フランドールは槍の貫通している妹紅の元までいき。

「『クレイジーダイアモンド』っ!」

「ドシャシャシャシャアアアアアーーーーーーーーッッ!!!」

 倒れている妹紅を何度も何度も殴りつける。永遠亭の床諸とも、何発も容赦なく破壊を刻印し――――。

「そして『元通り』。これで『地面と区別が付かなくなった』ね!」

 ぐちゃぐちゃになったところで妹紅と地面を『クレイジーダイアモンド』で同時に『直』した。もちろん、そうすれば妹紅の体は・・・・・・。

「あら、本当に出来ちゃうのね――――でも、これで不死への対抗手段は出来たわ・・・・・・。こうすれば、不死といえど二度と戻ることはない」

 レミリアは妹紅を見下すように言う。そこには妹紅はいないはずだが、不自然な人間の顔のような模様と、リボンのような物体が床の木目として刻まれていただけだった。

 

「・・・・・・あぁ、それと門番」

 レミリアは思い出したかのように美鈴の方に目を向けた。

「え、美鈴いるの?」

 フランドールは気付いていなかったらしく、レミリアに続いて美鈴の方を見る。

「・・・・・・」

 美鈴はすでに息絶え絶えで、返事をする余裕もなかった。

「咲夜はここにいるのね??」

 美鈴は目を閉じる。彼女の無言は肯定を意味を示していた。

「無言、か・・・・・・。何か考えあってのことでしょうけど、まぁそこから助けない代わりに今回のあなたの無能っぷりはチャラにしてあげるわ。頑張って帰ってきなさいよ」

「じゃあねー美鈴。おうち帰ったら遊ぼうねー」

 二人はそう言い残し、奥へと入っていった。

 

(・・・・・・また私は放置されるんですか??)

 

第11話へ続く・・・・・・

 

*   *   *

 

 上白沢慧音 再起不能

 藤原妹紅  行方不明

 紅美鈴   再起不能(放置)

 

 ※永遠亭玄関廊下の床に不自然な木目あり。

 

*   *   *

 

後書き

 

 今回は短めです。あと、結構酷い描写が多かったですがみんなまだ生きてるのでマシな方じゃないでしょうか?

 フランドールさんが生き生きしてるので私は満足です。

 あと、スカーレット姉妹強すぎんよぉ・・・・・・と思っている方、これくらいが丁度いいと思います。弾幕勝負だと種族間による力量差は発生しませんが、こんな感じの殺し合いとなれば吸血鬼は最強でしょう。人間のもこたんが勝てる道理もありません。

 

 とりあえず、次回でスカーレット姉妹編は完結しそうです。

 

 11話をお楽しみください。

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