ボスとジョルノの幻想訪問記   作:フリッカリッカ

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注意!

もしかすると今回の話で不快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。

それでも大丈夫であるならば、そのまま読み進めてください。

ダメならバックしましょう、そうしましょう。


機械少女の論理的思考①

ボスとジョルノの幻想訪問記 34

 

前回までのあらすじ

 

 神奈子の依頼を受けて早苗の秘密を暴こうとするジョルノ。

 案内人をしぶしぶ了承したてゐ。

 なんかついでに着いてくるチルノ。

 

 ・・・・・・おそらく、こんなちぐはぐなトリオの妖怪の山侵入は今世紀最大の珍事だろう。

 

*   *   *

 

機械少女の論理的思考①

 

 ジョルノ、チルノ、てゐルノの3人が妖怪の山の登山道入り口に着いた時。

 

「・・・・・・ちょっと待つウサ。今てゐルノとかいう変な呼び方しやがったんじゃあねぇーウサか?」

 

 てゐは耳の裏に何か寒気でも覚えたのだろう。ジョルノの方を振り返って不機嫌そうな表情を作る。

 

「何チルノみたいなこと言っているんですか? チルノも休み休みに言ってくださいよ」

 

「おう、高度な切り替えし。チルノ=バカと読み替えなきゃジョルノの言ってることが全く理解できないウサ。座布団一枚」

 

「何か知らんけどアタイんとこに座布団来たんだけど」

 

「お前じゃあねえウサ。あと、自分が馬鹿にされていることに気付け」

 

「ははん、お前ら馬鹿にとっちゃあアタイの天才さもゴミにしか映らないみたいね。なーんて可愛そうな美的センス。お気の毒に思っちゃうわ」

 

「・・・・・・こいつ」

 

 ちなみに、このトリオの雰囲気は悪くない。チルノのアレな言い草にてゐは怒っちゃいるがマジ切れという程ではないし、チルノがジョルノに反抗することは無かった。

 

 チルノ曰く、「アタイの次にサイキョーだとアタイが認めた男だもんな!」だかなんだか。一応、かくれんぼの時にボッコボコにされたことは覚えているようだ。それでもチルノの方が格付けでは上にいるところが彼女らしいっちゃ彼女らしい。

 

「さてと、てゐ。一応聞いておきますが、ちゃんと道案内できるんでしょうか?」

 

「心配性だね。チルノならともかく、このあたしが道という概念を踏み外すわけがないじゃあないか。幻想郷は元の世界よりも狭いから、まぁ全然だね。目を瞑っていても妖怪の山程度ならここから頂上まで往復できるウサ」

 

 と、てゐがやれやれウサと言いたげに腕を曲げながら妖怪の山に踏み入れる。ドヤ顔をしつつ目を瞑っているようだ。

 

「・・・・・・あっ」

 

 ジョルノが呟くも、てゐは気が付かなかった。

 

「くらえ! オータム・サンドイッチ!!」

 

「ふぇ?」

 

 なんと、てゐの両脇の茂みから突然、オレンジ色のワンピースを着た女性が飛び出してきた。そして、疑問符を浮かべるてゐをその二人がボディでサンドイッチにしたと思ったら・・・・・・。

 

 バーン!

 

 爆発した!

 

「ぐえええ!」

 

 てゐがギャグマンガのそれのような爆発にそれこそギャグマンガのような表情で唸りながらその場に倒れた。

 

「・・・・・・」

 

 一連の流れを見てジョルノは結局、その突然現れた女性二人の方を見た。

 

「えっと、どなたでしょうか?」

 

「・・・・・・誰だっけこいつら」

 

 チルノもぽかんと首をかしげるだけである。すると、二人の女性は「くくく、ふふふ、はっはっはぁー!」とギャグマンガのような3段笑いを二人でやってのけた後。

 

「片腹大激痛よお姉ちゃん」

 

「そうね、おつむが残念のようだわコイツ」

 

 そして、お互いに鏡写しのポーズをとってジョルノに向かってこう宣言した。

 

「お前が私たち二人にした冒涜の数々を忘れたのか!」

 

「絶対に許さないわ! さっきの兎妖怪のように私たち秋姉妹の豊穣の力が満ち溢れてしまったせいでなんやかんや爆発する必殺技、その名も秋サンド、通称オータム・サンドイッチで消し飛ぶのよ!」

 

 その直後にてゐがぶふぅっ、と吹き出したような気がした。どうやら笑いを抑えきれないらしい。

 

「・・・・・・えっと、冒涜? 僕はそんなことをした覚えは全くありません。そもそもあなたたちは一体誰なんですか?」

 

 やはり身に覚えがないジョルノは無表情に質問する。そのジョルノの態度に「ぐっ」と嫌な顔をした後、おそらく妹の方が「お姉ちゃん」と言った。姉らしき方はこくんと頷いて。

 

「私は紅葉を司る秋の神様、秋静葉!」

 

「私は豊穣を司る秋の神様、秋穣子!」

 

「二人合わせて秋姉妹! 此度はちょっと前に私たちの信仰を卑劣な手で奪った成敗に来たわ!」

 

 静葉と名乗った秋神がそう言うと、穣子と名乗った秋神はびしぃっとジョルノを指さす。

 

「お前は折角豊作祈願中の私を差し置いて勝手に人里に大量の稲を作った!! 村人は気が付いてないが、私にはお前の仕業だということがはっきり分かったわ! 人のアイデンティティーを奪う奴は絶対に許さない! 特に私たちみたいな存在意義も薄っぺらい低ランキングキャラならなおさらよ! 死して償え!!」

 

 あぁ、そういえばそういうこともしたなぁ。あの時(霊夢との戦いのとき)はかなり一生懸命でそんなこと気にも留めてなかった。と、ジョルノは顎に手を置いて思案する。

 

「・・・・・・とりあえず、ウルサイ。アタイたちの邪魔すんなよ!!」

 

 ちょっと話し方に対してイライラしていたのだろうか。珍しくチルノが顔をしかめて二人にしっしっと手を振った。

 

 そのたかが妖精の態度に二人はカチーン。標的をジョルノからチルノに変更した。

 

「お、おおおお、お、おいおいおいおい。お前は妖精だろ、妖精風情だろ??」

 

 静葉がぷるぷると震えながらチルノに近付いた。それに穣子も倣って、二人はチルノの前に立ちふさがる。ジョルノは無言のまま、その様子を見ていた。てゐはまだ笑っている。あの必殺技(笑)はよほど威力が無かったのだろうか。

 

「おい、お姉ちゃん切れさせたら怖いよ。ガキだからって容赦しないからね。謝るのは今のうちだよ??」

 

 穣子が少し馬鹿にした感じでチルノをのぞき込んだ。チルノは明らかな大きな音で舌打ちをする。

 

「あ? 今お前、お前、まさか『舌打ち』しやがったなぁぁ~~~~~~?? 妖精のくせに、神様に逆らおうっつーんだな??」

 

「どうするお姉ちゃん、処す? 処す?」

 

「処す。秋サンドの始まりよ! 圧迫祭りよ!! 圧迫祭りよぉぉぉ~~~~~!!!」

 

 狂ったようにチルノに突っかかる二人に対して流石にジョルノが割って入ろうとしたが・・・・・・。

 

「『エアロスミス』」

 

 チルノは首をほんの少し傾ける。ジョルノの目にだけ肩と首の間の髪の毛からエンジン音を轟かせて彼女のスタンド『エアロスミス』が出現するのが見えた。そして、飛び立つことは無く、そのまま『エアロスミス』から機銃だけを出して・・・・・・。

 

 ズガガガガガガガガガガ!!

 

「「はぎゃああああああああああああああ!!??」」

 

 『エアロスミス』の機銃が火を噴いた! 彼女の銃は秋姉妹を吹き飛ばし、硝煙を銃口から上げる。

 

「やっぱり、アタイッたらサイキョーね!」

 

 吹っ飛んだ二人を見て満足げにチルノは頷いた。ゴミ掃除が出来て嬉しそうである。と、終始黙っていたジョルノがてゐの方に駆け寄った。

 

「・・・・・・てゐ、正直大丈夫ですよね?」

 

 ジョルノが言うまでもなく、てゐはすくりと立ち上がって、くくっと笑った。

 

「いや、凄いよ。あの二人の必殺技(笑)。なんか心が『高揚』してきたし、感情が『豊か』になった(気がする)」

 

 流石、コウヨウとホウジョウを司る姉妹である。

 

「つまらないジョークみたいな連中でしたね。今のあなたも含めて。さて、チルノ、さっさと行きますよ。まだ山は始まったばかりだ」

 

「分かってるよ! 他の奴らもけちょんけちょんに蹴散らしてやんよ!」

 

 ジョルノが酷評を言いながらチルノを呼びかけた。チルノは俄然やる気出てきた、と言いたげにしたり顔で腕をぐるぐる回してジョルノとてゐに着いて行く。

 

 

 さて、吹っ飛ばされた秋姉妹の方であるが・・・・・・。

 

「・・・・・・お姉ちゃん?」

 

「・・・・・・どうしたの静葉」

 

「えっと、もうおうち帰ろう?」

 

「・・・・・・うん。出来ればもう二度と家から出て行きたくない」

 

 泣きながら地面に這い蹲っていた。

 

*   *   *

 

 てゐは妖怪の山の地形について詳しいわけではない。しかし、長年迷いの竹林で過ごしてきた彼女にとって、ただの標高1000mに満たない山などただの坂道である。けもの道にまばらに存在するカラスの羽、消えかけている足跡、虫の死骸、おそらくは哨戒天狗が食べ散らかしたであろうお菓子の包装(山は綺麗に保つべし)などを手掛かりに、誰にバレることもなく山を登っていく。

 

「退屈だぁー。誰も来ないじゃあないか!」

 

 何故か不満を漏らしているチルノは恐らく妖怪たちとの全面戦争を期待していたのだろうか。流石に数の暴力という言葉通り、3対100以上ではスタンド使いと言えど勝ち目は微塵もない。

 

「この時間はおやつの時間で、見張りは全員お茶の間にいるウサよ。たぶん。知らんけど」

 

 てゐは「こんな敵地のど真ん中で騒がれたら困る」と言いたげに小声でチルノを窘めた。窘め方が子供でもばれるような嘘だが、バカは信じる。

 

「そっかぁー・・・・・・アタイもお菓子食べたいなぁ」

 

 しょんぼりして指をくわえる始末である。扱いが楽過ぎててゐは笑い転げそうになるが我慢。

 

「・・・・・・っ、うん。そ、そうウサね・・・・・・。ぷっ、お菓子食べたい・・・・・・ぶふっ」

 

 詐欺師としてはこうもあっさり言うことを信用する奴は玩具みたいなものだろう。ジョルノが眉をひそめる隣でチルノに適当なあることないことを次々に吹き込んでいく。

 

「・・・・・・へぇー、森永乳業ってグリコのことなんだね。アタイ知らなかった! ・・・・・・ところで、グリコってなぁに?」

 

「グリコは超高圧エネルギー丸薬を製造している秘密結社ウサ。グリコが提供するチーズボールを食べたら鼻の穴から魔貫光殺砲が撃てるよ。撃ったら反動で岩盤に叩き付けられるけど」

 

「へぇー、アタイにも出来る?」

 

 チルノは目を輝かせててゐの話にのめり込んでいた。

 

「そうウサねー。まぁ、この技は超クールな奴にしかできないから、チルノにはちょい難易度が高いか」

 

「えっ! アタイ超クールだよ? ほら、氷作れるし」

 

 てゐの適当な言葉をすべて鵜呑みにしていくチルノは目を見開いて心の底から驚く。

 

「いや、精神的な話ウサ。例えば・・・・・・妖怪の山を無口クールに登りきるとか、そんくらい超超クールな奴とかね」

 

「! アタイ、出来るよそれ! やってみる!」

 

 そう言ってチルノは喋らなくなった。ドヤ顔で。

 

 と、こんな感じでうるさいチルノの口をてゐはごく自然に封印した。おそらく、チルノを騙すことに飽きたのだろう。性格悪い。

 

「ん?」

 

 先頭を歩いていたてゐは何かを発見し、声を上げた。その声に反応してジョルノとチルノもてゐの目線の先を見ると、どうやら林の中を抜けたらしい。そして・・・・・・。

 

 さらさらと流れる綺麗な川が眼前に広がった。

 

「玄武の川ウサ。てことは上流に向かっていけばいずれ大きな滝が見えるはずウサよ。その上に守矢神社はある。まぁ、ほとんど迷うことなくここまで来れたし、褒めていいウサよ??」

 

 てゐはにやっと口角を上げた。

 

「十分な働きですてゐ。ちなみにここまで来る間、実はてゐは僕らを騙してるんじゃあないかと冷や冷やしていましたが・・・・・・」

 

「げっ、お前そんなこと考えてたのかよ・・・・・・てゐ不満」

 

 てゐは頬を膨らませてジョルノに信用されていなかったことに対する不満をあらわにする。

 

「すみません、疑ってたことは謝ります。てゐ、ありがとう」

 

 不意打ちの優しい言葉。てゐはばっとジョルノの方を見て、気まずそうに視線をずらした。

 

「・・・・・・お、おう。恥ずかしいウサ」

 

 恥ずかしがるてゐがずらした視線の先にチルノがいた。また馬鹿みたいに眩しい笑顔を作って首をかしげるのかと思いきや・・・・・・。

 

「・・・・・・」

 

 川のへりから川に飛び込んだ。

 

「はっ?」

 

 てゐが目を丸くする。その反応にジョルノも気が付いたようだ。後ろを振り返るとチルノがぎりぎりで川べりに掴まって川に流されまいとしている。

 

「・・・・・・こんなときにふざけないで下さいよ。はやく這い上がってきてください」

 

「そうウサ。もう出発するウサよ」

 

 チルノの顔は彼女が下を見ているため見えないが、まぁ悪ふざけにしか見えなかった。

 

「・・・・・・全く、しょうがないですね・・・・・・悪のりしたは良いけど這い上がれないんですか? 手を貸しますよ」

 

「気を付けるウサよ。その辺滑るから」

 

 と、ジョルノは溜息をついてチルノの手を取って引っ張り上げようとしたが・・・・・・。

 

「・・・・・・ッ!?」

 

 てゐの目には川べりに近付いたジョルノがチルノと同じく、川の中に飛び込んだように見えた。いや、『落ちた』ようだった。少なくともそう感じた。

 

「ジョルノっ!?」

 

 慌てててゐも川べりに近付くと、辛うじてジョルノは川べりに掴まっていた。だが、顔は下を向いていて確認できない。とりあえず、早く助けなくてはと思いてゐは手を伸ばすが、嫌な予感が脳内を掠める。

 

 チルノの姿が無い。

 

「――――はッ!?」

 

 急いで川から離れようとしたが、てゐの伸ばした腕を何かが掴んでいる。何だ、これは。ジョルノ・・・・・・いや、こいつは・・・・・・ジョルノじゃあない。

 

「3人目・・・・・・」

 

 てゐの耳に若い女の声が聞こえたと思ったら、一瞬で川の中に引きずり込まれた。

 

 チルノとジョルノとてゐは玄武の川で忽然と姿を消したのである。

 

 

*   *   *

 

 

 どれくらいの時間が経ったのだろうか。ジョルノはゆっくりと目を開いた。そこは暗く無機質な一室だった。

 

「・・・・・・っく、ここは・・・・・・?」

 

 ジョルノは堅い地面から上半身を起こして頭を振って状況を整理しようと努める。すると、起き上がったジョルノに対して声がかけられた。

 

「ジョルノ! ようやく目が覚めたウサね」

 

 声の主はてゐだった。彼女は起き上がったジョルノを見てホッと胸をなで下ろした。

 

 と、次に「ちっくしょー! 出せこらー! くっそー!」と、壁をガンガンと蹴り続けるチルノの姿が目に入った。どうやら四方を見回しても窓どころか扉さえも見当たらないあたり、どこかに閉じ込められたのだろう。

 

「・・・・・・一体何があったんですか?」

 

 ジョルノはまずそう尋ねた。すると、その質問に答えたのはてゐではなく。

 

『ぴんぽんぱんぽん、おはよう諸君。本日はよくも妖怪の山に不法侵入してくれやがりました。とりあえず、私の仕事が無駄に増えた罪を償え』

 

 と、イントネーションのおかしいアナウンスが部屋に響いた。やる気がなくなる音声だった。

 

「・・・・・・機械音ウサね。人工音声というか、たぶん人間の声じゃあないウサ」

 

 てゐはちっ、と舌打ちをする。

 

「関係ないです。この部屋に出口が無かろうと罪なんて償う気はサラサラありません」

 

 ジョルノはスタンドを出して、壁に向かって拳を叩き込む。

 

「無駄ァ!!」

 

 ・・・・・・だが、壁はビクともしなかった。

 

「・・・・・・堅い、というか・・・・・・生命が誕生しない?」

 

「この壁はただの鉄とかじゃあないウサ。多分、何かの生物。何かは分かんないけど、耳を澄ませると部屋全体に小さく拍動音が聞こえるはずウサよ」

 

「・・・・・・何?」

 

 と、ジョルノが動きを止めて耳を澄ませると・・・・・・。

 

 ・・・・・・ドクン、・・・・・・ドクンと確かに心臓が脈打つ音が耳に届いた。

 

「・・・・・・っ」

 

 もしかすると、自分たちは食われたのでは? と、そんな疑問を思っていると、突然3人のいる部屋に一人の少女がデスクトップパソコン2台と共に姿を現した。

 

 まるで最初からそこにいたかのような登場だった。

 

「・・・・・・っ!? さっきから訳分かんないことばかりでリアクションに困っちゃうウサ!」

 

 3人は身構えて突然現れた少女の方に身構える。青色の作業着に身を包み、緑色の帽子とリュックサックをしているてゐよりも少し身長の高い少女だった。水色の髪をショートツインテールに束ねた彼女はジロリと3人を舐めるように見回した後、デスクトップパソコンが置かれているデスクに着いた。

 

「・・・・・・いろいろ聞きたいことがあるが、ここはどこだ? お前は敵か?」

 

 ジョルノは警戒しながら、無言でパソコンを立ち上げる少女に問いかける。起動音を鳴らしてパソコンがファンを高速で回転させ始めたところで少女は立ち上がり、ジョルノの前まで歩いていく。そして・・・・・・。

 

 深くお辞儀をして両手を差し出した。

 

「・・・・・・」

 

 ジョルノはどうしていいか分からず、とりあえずそのまま放っておいた。するとしばらくの沈黙の内、少女は顔を上げる。

 

「んんwwwwwwまだ警戒されていますなwwwwww」

 

 人間を馬鹿にしたような口調で少女はジョルノに向かって笑顔を見せた。

 

「我の名前は『河城にとり』ですぞwwwwww先ほどはアナウンスの調子がちょいと悪くて不快な思いを貴殿らにさせてしまい大変に申し訳無いんですなwwwwwwでも、侵入者用の歓迎アナウンスがあれしか用意してなかったので大目に見ていただきたいですぞwwwwww」

 

 少女は可愛い声でありながら他人をいらっとさせるような口調で話し続ける。

 

「・・・・・・いくつか質問がある」

 

 てゐとチルノが様子のおかしな少女にドン引きをしているので、彼女との対話はジョルノが行った。

 

「ここはどこだ?」

 

「ここは我の秘密の部屋ですぞwwwwww貴殿らを拘束、もといもてなすために準備したんですなwwwwww」

 

「もてなす、とは? お前は敵ではないのか?」

 

「んんwwwwww一つの見方をすれば敵となるんでしょうなwwwwwwですが、我々河童と人間は古くから友好関係を築いているゆえ、我は貴殿らを本来敵視したくはないんですなwwwwww」

 

「河童か・・・・・・つまり、君は悪い妖怪ではない、ということか?」

 

「そうですなwwwwww妖怪に良いも悪いもないと思いますが、少なくとも我は貴殿らを嫌いになるつもりは微塵もありませんぞwwwwww」

 

「分かった。じゃあ、ここから出してくれ、と言ったら?」

 

 その質問ににとりはピタっと質問に答えるのを止めた。

 

 そして、クルッとパソコンの方に戻り、2台の様子を確認してから椅子に座った。

 

「・・・・・・タダで出すわけには行きませんなwwwwwwちょっとしたゲームをして、貴殿が勝ったら・・・・・・まぁ考えましょうぞwwwwww」

 

 にとりはジョルノにもう一台のパソコンの前の椅子に座るように促した。ジョルノは促されるまま椅子に座った。

 

「・・・・・・ゲーム、とは?」

 

「よくぞ聞いてくれましたなwwwwww文字通り、パソコンを使って行う対人型ビデオゲームのことですぞwwwwww」

 

 そう言ってにとりはパソコンのCD入れから何かのROMを取り出した。そしてジョルノに見せつける。

 

「使用するゲームはこの『東方人形劇』という外界の同人ゲームですぞwwwwww最近外界でニューモデルが出たとか何とかでこっちに幻想入りした現在幻想郷で最も多くの人々に遊ばれているメジャータイトルですなwwwwww」

 

 それを見たてゐは「あっ」と声を上げた。

 

「ジョルノ、確かそれ姫様がやってたゲームウサ」

 

「・・・・・・そうですね、僕も少しだけ覗いたことはありますが、実際にやったことは・・・・・・」

 

 もちろん、チルノは全く見たことが無い。ぼけーっとはなみずを垂らして3人のやり取りを眺めている。

 

「まぁ、ルールは追々確認するとして、本当に僕が勝ったら解放するんですよね?」

 

 ジョルノはにとりを見てもう一度尋ねた。

 

「んんwwwwww人間との友好に誓って、絶対に解放しますぞwwwwwwただし、条件がありますな」

 

「条件?」

 

 ジョルノが首を傾けると、にとりはディスプレイを3人に向けた。

 

 そこにはCGのような10人くらいの少女達が映し出されている。そして、ジョルノたち3人がその画面に顔を近付けると・・・・・・ディスプレイの中の少女たちが一斉にこちらを見た!

 

「・・・・・・っ!」

 

 3人がその光景に驚くと、少女たちは画面の手前側に鳴き声を上げて内側からディスプレイを叩いたではないか!

 

『た、助け、助けてぇええ!!』

 

『ここから出してっ、お願いっ!!』

 

『もう3週間以上も閉じ込められているの!!』

 

『うえええええええん、うええええええええええええええええん!!』

 

 ジョルノ、てゐ、チルノがその凄惨な光景に息を呑んでいると、にとりが「おやおやwwwwww」と笑いながら間に入ってディスプレイを覗きこんだ。

 

「まるで我が貴殿らを監禁しているような言い草ですなwwwwwwこうして毎日毎日愛情を注いでいるというのに・・・・・・」

 

 と、にとりは舌を出してディスプレイに顔を『埋めた』。

 

「ぶじゅっ、うじゅっ、じゅるるるるるるるるるっっ!!」

 

『きゃあああああああああああああっ、あっ、ひゃあああああああ!?』

 

『止めてぇえええええっ、汚い、いやああああああああああああああっ!!!』

 

 中で何が行われているかはにとりがディスプレイに顔を埋めているためジョルノ達からは確認できなかったが、にとりの首が異常なスピードで上下左右に動いていることを見るに・・・・・・想像したくない。

 

「うぅっ!」

 

 ジョルノは口を押えて一歩身を引いた。がしゃん、と椅子が倒れる音がして、その音を聞いたにとりが凌辱行為を終わらせて画面から顔を戻した。

 

「・・・・・・と、可愛いでしょうwwwwww? これはMMDと言って我の大事な大事な嫁達ですぞwwwwww」

 

「ど、どういうことウサ! なぜ、どうして彼女たちは画面内に閉じ込められているっ!?」

 

 ジョルノの代わりにてゐがにとりに怒鳴り散らした。チルノは気分の悪そうなジョルノのもとに行って心配そうに顔色を窺っている。

 

「なぜ・・・・・・? それが我の『スタンド』の能力だからですぞwwwwww」

 

 衝撃的な一言が3人の耳に届いた。

 

「『スタンド』・・・・・・!?」

 

「そう、我のスタンド『アトゥム神』の能力・・・・・・対象の魂に干渉してパソコン内に保存する程度の能力・・・・・・魂というのは敗北を感じた瞬間、ほんの数秒だけ肉体との関わりが実に薄っぺらく弱いものになる。その一瞬のスキを着いて、我の『アトゥム神』が肉体から魂を『引っ張り出す』」

 

 そう説明するにとりの背後にいくつものパイプが駆け巡った人型のスタンドが現れる。

 

「そうして引っ張り出した魂はッ!! 我のパソコンに保存されッ!! あらかじめ用意しておいたMMDという仮想上のキャラクターの器に移し替えられるッ!!」

 

 再びにとりが3人にディスプレイを見せつけた。中にはぐったりとしたCGの少女たちが息を切らしている。

 

「いかがでしょうかなwwwwwwどれもこれも可愛いでしょう? 特に我のお気に入りはこのフリフリの衣装が可愛い可愛い雛たんですぞぉwwwwww」

 

 にとりは邪悪な笑みを浮かべてディスプレイの中に手を突っ込んで、端っこで怯えていた少女を摘み上げた。

 

『や、やめて、もうやめてよぉ! お願いにとり・・・・・・正気に戻って・・・・・・』

 

 雛と呼ばれた少女は泣きながら懇願する。だが、にとりは聞く耳を持たず、人差し指で嫌がる雛の頭をナデナデと撫でた。

 

「おー、よしよし雛たん雛たん、怯えなくてもいいですぞwwwwwww後で可愛がってあげましょうなぁwwwwwww」

 

 と、にとりが欲情した顔で雛の服をはだけさせようとしたとき。

 

「やめろッ!!」

 

「ぎぇっ!?」

 

 ついに痺れを切らしたのか、にとりの顔をぶん殴ったのは何と、チルノだった。

 

「チルノ!?」

 

 てゐはチルノの行動に驚き、にとりは殴られた衝撃で雛から手を離した。

 

「てめぇーがやってることはよく分かんないけど、とりあえずゲスだッ!! 腹立ったぞ!! 今ここで冷凍してやる!!」

 

 部屋に充満する冷気、驚いたにとりは目を見開いて口走る。

 

「ま、ま、まてっ! このっクソっ!! わ、我を殺したら貴殿らは部屋の脱出方法が分からなくなるだけですぞッ!」

 

 にとりはヨタヨタと後ずさりをしながらチルノを制止させた。

 

「チルノ、落ち着くウサ! 腸が煮えくり返って溶けそうなくらいの心中は分かる! でも今こいつを殺したら私たちも脱出できずにここで一生を終える羽目になるウサッ!」

 

「ぐっ」

 

 構わず、巨大な氷の塊を作ろうとしていたチルノはてゐのその言葉に踏みとどまった。

 

「・・・・・・くそっ!」

 

 チルノは氷を仕舞い込んで悪態をついた。

 

「くっ、くく、最後まで説明は聞くものですぞwwwwww我にゲームで勝てばいいだけですからなぁwwwwww」

 

 チルノの様子にせせら笑いながらにとりは椅子に着いた。そしてディスプレイを自分の方に戻した。

 

「さて、条件について説明いたしますぞwwwwww」

 

 にとりは頬をさすりながら3人を見た。ジョルノは「すまない、僕の代わりに」とチルノに対して謝っていた。

 

「何が?」

 

 チルノはなぜジョルノが謝ったか分かっていないようだった。正直ジョルノ自身も何故チルノに謝ったのか分からなかった。

 

「・・・・・・いいですかなwwwwww?」

 

 二人の会話が気になったのか説明を途中で中断していたにとりは再度確認を取った。

 

「続けろ」

 

 そう短く答えたのは、今度はジョルノだった。

 

「んんwwwwwwでは、このゲーム『東方人形劇』で勝ったら貴殿らはここから脱出できるんですなwwwwwwしかし、それだけでは我が勝ったところで何のメリットもありませんぞwwwwwwそこで提案ですなwwwwwww」

 

 にとりはニコニコと笑顔を浮かべながら話している。対してジョルノ達の表情には不快感が漂っていた。

 

「このゲームに参加するのに、貴殿らの魂を賭けてもらいたいんですなwwwwww」

 

「ジョルノッ! 明らかに罠ウサ! こいつのゲームで勝負して初心者の私たちが勝てるはずが・・・・・・」

 

 てゐがその条件を聞いてジョルノに言った直後。

 

「分かった」

 

 にとりの条件をのんだ人物がいた。

 

 

「・・・・・・アタイの魂を賭けよう」

 

 

「・・・・・・っ!!」

 

 てゐは絶句していた。まさか、遊び半分で付いて来ているはずのチルノがこんな提案を飲み込むなんて、考えられなかったからだ。ジョルノも同じ気持ちだ。だから、考え直すように説得を始める。

 

「チルノ、君は何を言っているか自分で理解できているんですか・・・・・・? 負けたら、あなたも画面の中に閉じ込められてしまうんですよ・・・・・・?」

 

 だが、チルノの決意は変わらない。

 

「正直よく分かってない。でもアタイったらサイキョーだからこんな奴に負けるはずがないわ。それにね・・・・・・」

 

 またサイキョー説か、そんなのはただの精神論でこんな風に相手の土俵にいては全く意味がないというのに・・・・・・とジョルノとてゐが思っていると、チルノの口から思わぬ言葉がこぼれた。

 

「・・・・・・あの画面の中に大ちゃんの形をした人がいた。多分大ちゃん自身じゃあないけど、外見はそっくりだったの」

 

 チルノはにとりを睨み付ける。

 

「大ちゃんはアタイの一番の友達。だけど、例え見た目だけ同じだとしても、あんなのにいーよーにされるのはムカッ腹が立った。アタイはやる。そして、勝つ。だから、魂を賭ける」

 

 ジョルノはチルノの気迫に息を呑んだ。ただの子供かと思っていたが、友達を思う心は誰にだって負けないのだと感じた。彼女の中に黄金の煌めきが見えた気がした。

 

「チ、チルノ・・・・・・」

 

 てゐは心配そうにしているが、こうなった『馬鹿』は止まらない。

 

 だって、『馬鹿』は他人の話を聞かないから。

 

「にとり、アタイの最強の魂を賭けよう。そして、お前をコテンパンにして涙に歪むその顔に鼻くそなすりつけてやるッ!!」

 

 チルノがまず一番初めににとりと反対側のパソコンの前に座った。それに対してにとりは一言。

 

「GOOD(良し)」

 

 それだけ言うとゲームを起動させた。

 

35話へ続く・・・・・・!

 

*   *   *

 

河城にとり:スタンド『アトゥム神』

 

 玄武の川付近に潜む河童。よく人を神隠しのように連れ去ってはゲームに興じている。スタンドは『魂を引きはがす程度の能力』。ゲームで負かした相手は魂と肉体の関係性が0に近くなるため、その一瞬をねらって一気に引きはがすというもの。引きはがした魂はメモリ化してパソコン内に保存される。MMDというソフトを用いて保存した魂をCGの少女たちの中に入れて楽しんでいる。なお、スタンドの力によって一方的ににとりはディスプレイの中に干渉できるが、少女たちをディスプレイから持って来たりすることは出来ない。(スタンドって便利ね)

 ちなみに、3人を連れてくるときは完成したオプティカルCを使って完全に姿を消して拉致している。やはり河童の科学は・・・・・・?

 

*   *   *

 

 後書き

 

 にとりの能力超欲しい、と思う今日この頃です。

 

 二次元に介入できるなんて夢のようではありませんか! まぁ、性格は保存した魂によるんですけどね。データとか改竄したら自分好みに出来るんじゃあないでしょうか。

 

 にとりは初期の頃から「このキャラで行こう」と決めてました。そりゃあもう2話くらいから考えてました。

 

 口調が変なのは申し訳ないです。彼女の話し方は『ロジカル語法』と呼ばれるもので、気になる方は『役割論理』で検索してみてください。ちなみに作者も論者です。んんwwwwww

 

 あ、草を生やすまでがデフォルトですが、「うっおとしいぞ、このアマ!」と感じるなら書き換えるので遠慮なくお願いします。(でも論者的にはこのままのスタイルを突き通したいですぞwwwwww)

 

 作中に登場したゲーム『東方人形劇』ですが、確かレッドと戦うところで諦めた気がします。フランドールのキガインパクト連打でいつか勝てそうな気がしないでもないんですが、命中しませんしね。我の信仰力不足ですなwwwwww必然力が足りてないですぞwwwwwww

 

 すいません、本当ににとりの話は作者の趣味爆発するんで、気を付けてください。元ネタ分からない人にとってはにとりがウザいだけですが、耐え忍んでください。ちなみにこのにとりは個人的には滅茶苦茶お気に入りです。

 

 あと、秋姉妹・・・・・・うん。

 

 感想・批評・質問などお待ちしております。ではまた35話で。

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