ボスとジョルノの幻想訪問記   作:フリッカリッカ

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機械少女の論理的思考②

ボスとジョルノの幻想訪問記35

 

前回までのあらすじ

 

 ジョルノたち一行は鈴仙の破壊された精神や両腕を繋げられた慧音を治すために、ここ妖怪の山へとやって来たのである。

 

 そして玄武の沢で河童の妖怪、河城にとりに拘束されてしまうジョルノたち一行はそのまま天狗たちに不法侵入罪でしょっ引かれると思いきや……。

 

「我とこのゲーム、東方人形劇で勝ったら解放を約束しますぞwwwww」

 

 と、にとりから持ち掛けられる。しかし、負ければ魂を封印されて一生にとりの操り人形と化してしまう! 彼女のデスクトップパソコンの液晶内で助けを求める人形たちが、その凄惨な状況を物語っていた!

 

 ジョルノは明らかに罠だと分かった。それはてゐも同じだった。勝負を受ければまずこちらに勝ち目がないのは火を見るより明らかだった。だが、二人の保守的な考えとは全く異なる行動をもう一人が取ったのだ。

 

「あたいの魂を賭けよう」

 

 そいつの名はチルノ。

 

 それを人は勇気と呼ぶか、無謀と呼ぶか。

 

*   *   *

 

ボスとジョルノの幻想訪問記 35話

 

機械少女の論理的思考②

 

 チルノはにとりのゲームを受けて立った。にとりに席に着くように促されてチルノは向かい合う形でパソコンの前に座る。

 

「……操作方法、ゲームの説明など聞きたいことはありますかなwwwww? まぁ、このゲームはアクションでは無いので、『操作ミス』は滅多に起こらないんですがねwwwww」

 

 にとりは慣れた手つきで自分の方のパソコンにコントローラーを接続し、準備を終えた。チルノの方のセッティングもすぐさま代わりにしてあげようと、席を立ってチルノの隣に回った。

 

「セッティングまでは手伝いま……ぐッ! え、ハァッ!?」

 

 と、にとりがチルノの方のキーボードに触れようとした瞬間、その伸ばした腕が見えない何かで思いっきり握りしめられた。

 

「……お前がチルノ側のキーボードに触れることは僕が許しません」

 

 それは『ゴールドエクスペリエンス』の腕だった。ミシミシと音を上げてにとりの腕をこれでもかと締め上げようとしている。

 

「……!」

 

 チルノがその光景を見て驚いたように目を見開いた。

 

「な、何をッ! 離せ、貴様ッ!!」と、にとり。

 

「この手で『不正』や『イカサマ』でもしようって魂胆じゃあないんですか? ゲームを起動、コントローラーの接続程度、口頭の説明で十分理解できます」

 

 にとりが苦しそうにジョルノの方を睨み付けるが、ジョルノが動じることは一切無かった。腕の痛みに半泣きになりながらにとりは腕をすぐさま引っ込める。同時に痛みからも解放される。

 

「ぐぅぅっ、な、何て力で握りしめるんだ……! 折れたらどうするつもりだよ!」

 

 素の口調に戻ってにとりは反論する。

 

「どうもしません。アクション要素のないゲームなら腕の一本や二本、折れたところで勝負には関係ないでしょう」

 

「ありありだよッ!! あと、この私が『イカサマ』とかいうコスズルい手でお前らに勝とうとなんて微塵も思ってないッ!」

 

 にとりは身を引きながら腕を押さえて吠える。

 

「……『正々堂々』。真っ向から捻り潰さないと魂は負けを認めようとしないからな……」

 

 汗を額に浮かべつつ、にとりは自分の席に戻った。

 

「ジョルノ、さんきゅー」

 

 一部始終を見届けてからチルノがにかっと笑った。まさか、ジョルノが自分のためにここまで徹底してくれるとは思ってなかったからだ。

 

「……礼はありがたく受け取りますが、以降は無しですよ」

 

「ふぇ?」

 

 ジョルノはふっと笑う。チルノはその意図が理解できなかったが、それを尋ねる前ににとりの言葉が差し込まれた。

 

「それでは、気を取り直しますぞ……wwww そちらがあくまで我のイカサマを疑うと言うのなら口頭で説明しますなwwwwww」

 

 しばらく、にとりがゲームの起動、接続方法、操作方法、対戦方法、ゲームの流れ、基本的な戦術などをレクチャーし、チルノがそれを実践するという構図が続く。チルノは理解が遅かったが、それでも何とか内容を飲み込み始めているようだった。

 

 話の内容にジョルノは特に違和を感じなかった。矛盾点も無いし、基本的な戦術にも合点が行った。あくまでにとりは『正々堂々』を貫くらしい。

 

「ふぅーん、姫様も結構楽しそうなゲームをやってるんだねぇ」

 

 ジョルノの隣で話を聞いていたてゐは何かをメモしている。どうやら話の内容を記録しているようだ。

 

「……メモを取ってたんですか」

 

「当然ウサ。ルールは裏を掻くために存在してるからねぇ」

 

「……さも当然のようにそんな認識を口に出せるのは地球上であなただけですよ」

 

 と、ジョルノはひょいとてゐのメモを取った。内容は以下の通りである。

 

『東方人形劇はカケラと呼ばれるキャラクターを戦わせるゲームである』

 

『カケラ同士は1対1で戦う。途中で別のカケラと交代も出来る』

 

『カケラのレベルは50固定である』

 

『手持ちを6体選び、お互いに公開した後、更にそこから3体を選出する』

 

『それぞれのカケラには特徴が存在し、ステータスもバラバラである』

 

『ステータスはHP、攻撃力、防御力、特殊攻撃力、特殊防御力、素早さの6つがある』

 

『カケラにはタイプが2つまで存在する。タイプには優劣があり、技の威力などに関係する。タイプ相性は次ページに記入』

 

『それぞれのカケラは技を4つだけ有する。技にもタイプがあり、カケラと技のタイプが一致していると様々な恩恵が得られる』

 

『技には攻撃技、特殊技、変化技の3つがあり、攻撃技と特殊技は更に接触技、非接触技に分類される』

 

『技には追加効果が存在するものがあり、相手のカケラに状態異常を引き起こさせたりする』

 

『技にはPPが存在し、技によって最大値が異なる。PPが0になるとその技は使えなくなる』

 

『カケラには好きな道具を持たせることが出来る』

 

『HPが0になるとそのカケラは『瀕死』になり、以降戦いに出すことは出来ない』

 

『先に最終選出した3体全てが瀕死になったプレイヤーの敗北である』

 

 そこまでジョルノが目を通し、ルールに特に不備が無いことを確認する。

 

「では、『対戦モード』を選択していただけますかなwwwwww?」

 

「した」

 

 チルノが短く答えると、ゲーム画面に大量のキャラクターが羅列された。

 

「へぇ……説明通り、幻想郷のみんながいるんだね。あっ、大ちゃんとアタイのカケラもいる!」

 

 チルノはルーミアの下に大妖精と自分のカケラを発見した。自分が登場していることに少なからず喜んでいるようだった。

 

「おや、てゐのカケラもありますよ。ホラ、この憎たらしい顔」

 

 ジョルノが指さした先には何やら悪巧みでもしてそうな表情のてゐのカケラがあった。

 

「うわぁ、これは酷いウサ……なんか今まさに罠に鈴仙を引っかけたっていう顔してるウサねぇ……」

 

「……そうですね。こんな表情のてゐがもう一度見たいですね……」

 

 鈴仙の名前を出してジョルノが少し沈んだ。てゐは「あっ、ちょっとこの話題は不味かったか」と思い話題を切り替える。

 

「……は、はは~ん。ジョルノのカケラは流石に無いウサね」

 

「あってもこんな少女ばっかりのゲームには不釣り合いですよ」

 

 と、ジョルノがそう言った直後にチルノは『りんのすけ』のカケラを示した。

 

「……」

 

 やはり、浮いていた。正直いなくて良かったとジョルノは胸をなで下ろした。

 

*   *   *

 

補足:俗にいうポケ○ンとほぼ同じです。育成ははしょりますが、努力値も振ってあると思ってください。個体値も理想個体です。技もそのカケラが覚える技であれば何でも4つまで選択可能です。つまり、初めから理想的なカケラが扱える、という認識です。けれども、流石に色違いは選べません。

 

*   *   *

 

 しばらくして、チルノのカケラの6体の選出が終わった。ジョルノとてゐと相談して理想的なパーティを作った。

 

「準備かんりょーう! 道具も持たせたし、あたいったら完璧ね!」

 

 パーティ構築はほとんどジョルノとてゐで考えたのだが、一応チルノがメインで戦うのだ。

 

「おっと、一つ忠告しますぞwwwwww以降のアドバイスは厳禁ですなwwwwwww『正々堂々』『一対一』の果し合いですからなwwwww」

 

「……だそうです。これはある程度予想できていたので構いません。むしろ6体の方のパーティ構築まで相談を許してくれたのが予想外でしたからね」

 

 と、ジョルノとてゐはにとりの言うことに従い一歩引きさがった。

 

「……では、始めますぞwwwww」

 

 にとりの合図で対戦が始まった。大仰なBGMと共にマッチング画面が映し出される。

 

 この時点でチルノはまずにとりに断りを入れた。

 

「……しばらく、調べる時間が欲しい」

 

「……んんwwwww」

 

(思ったより冷静ですなwwwwww何も考えず上の3体を選出してくると思いましたが、タイプ相性を考えて選出してきますかなwwwwwお相手の手持ちは上からチルノ(氷/フェアリー)、レティ(氷/岩)、だいようせい(草/フェアリー)、あや(飛行)、すわこ(鋼/地面)、いく(水/電気)……wwww氷とフェアリーの2タイプが被ってますなwwwwww対して我の手持ちはスターサファイア(水/フェアリー)、もこう(炎/飛行)、しんき(悪/幻想)、にとり(水/電気)、シャンハイ(鋼/エスパー)、ゆうぎ(地面/格闘)wwwwww)

 

 にとりはちらりとチルノの表情を窺った。目を左右に動かし、画面を凝視している。おそらくは相性表とにとりのカケラを照らし合わせ、有利な対戦が出来るようにしているのだろう。

 

(……常識で考えるなら氷、フェアリー、幻想から弱点を突かれるしんきは外すべきでしょうが……)

 

 幻想タイプは軒並みステータスが高いがフェアリータイプにはめっぽう弱い。特に、悪タイプとの複合であるしんきはフェアリーには一致技の威力を0にされフェアリーの技は4倍で受けてしまう。

 

 本来ならしんきは出すべきではないが、にとりの脅威は別にあった。

 

 いくの存在である。衣玖は水/電気タイプと優秀な複合タイプであり、しかも特性が浮遊(地面タイプの技が当たらない)である。したがって、衣玖に弱点が突ける技は草タイプのみになるわけだが、にとりのパーティに草タイプはおろか、草技を持つカケラすら存在しない。

 

(……んんwwwwww衣玖さんは予想外でしたなwwwwwwこちらが真面目に相手できるのはシャンハイとしんきのみ……ですがシャンハイは他の面子に対して重大な役割があるので、シャンハイ一人に任せるのは骨が折れますぞwwwwww)

 

 まず、上3体からはどれか1体しか出て来ない。タイプ被りが多すぎるからだ。よってそこに割くのはシャンハイだけで十分である。残りの文(飛行)、諏訪子(鋼/地面)、衣玖(水/電気)への対策のためにパーティを選出しなくてはならない。だとしたら、衣玖に弱点を突かれ、諏訪子に有効打の無い妹紅は除外される。勇儀は諏訪子に対しては有利だが文と衣玖には太刀打ちできない。と、なると残りの2枠はにとりか神姫かスターサファイアになる。

 

(にとりとスタサファは水で被ってますからなwwwwww神姫確定のにとりかスタサファになるんですが……)

 

 にとりの副タイプは電気、スターサファイアの副タイプはフェアリーだ。にとりの弱点は地面と草、スターサファイアの弱点は毒と電気と草。どっちもどっちだが、にとりは迷った末に等倍ダメージが取りやすいフェアリー複合タイプのスターサファイアを選択した。

 

(先頭は……衣玖読みで神姫ですぞwwwwww呼び込むフェアリータイプ2体に弱点であるだいもんじで負担をかけますぞwwwwww)

 

 にとりがスターサファイアを選択すると、早速勝負が始まった。

 

「対戦、よろしくお願いしますぞwwwww」

 

「ん、こちらこそ」

 

 チルノは適当に答えて、最初のカケラを繰り出した。

 

*   *   *

補足2

 

幻想タイプ=ドラゴンタイプです。

 

表の見方

 

名前 タイプ:1タイプ/2タイプ

H:HP A:攻撃 B:防御 C:特攻 D:特防 S:素早さ

特性 そのカケラの固有能力

性格 ステータスの微変動に関係

持ち物 持ち物は使うことで効果が出るものと常に効果を発動する物の2種類ある

技 4つまで。PPは基本的に無くならないので省略

補足 補足事項。元となったポケ○ンの説明など

 

にとり選出カケラの紹介

 

神姫 タイプ:悪/幻想

H199 A125 B110 C177 D111 S106

特性 浮遊

性格 れいせい

持ち物 命の珠

技 りゅうせいぐん あくのはどう だいもんじ ハイパーボイス

補足 第5世代で猛威を振るったアイツが元ネタ。幻想人形演舞で最強の人形である神姫様を初心者相手に使っていくにとりは手加減を知らない。でも、フェアリーにはめっぽう弱い。

 

*   *   *

 

 にとりが初めに繰り出したのは神姫。(ちなみにゲーム内表記はやんき。論者は名前の先頭に必ず『や』を付ける)そして、チルノが繰り出したのは……。

 

「……んんwwwwww」

 

 レティだった。

 

(早速不利対面ですなwwwwwこちらが神姫を先発で繰り出すことを予想していたんですかなwwwww?)

 

 と、画面内に雪が降るエフェクトが発生した。

 

「レティの隠れ特性『雪降らし』。氷タイプ以外のカケラは毎ターン少しずつダメージを受ける……。(ただし雪降らしの効果は繰り出しターンから数えて5ターンですぞwwwww)」

 

 にとりはそう呟いてレティの情報を思いだす。

 

 レティの素早さ種族値はたったの58。対して神姫は98である。レベル50に換算すると実数値は78と106という実に30近い差が存在する。

 

 あきらかに神姫の方が早い……が、大文字では等倍ダメージしか取れない(氷には2倍だが岩には半減するため、実際には等倍である)ためレティを倒すことは出来ない。

 

 対してレティが吹雪(氷技威力110)を撃ってきた場合、雪降らしも相まって神姫は確定死にである。

 

(ここは交換が安定行動ですぞwwwwww交換先はスターサファイアかシャンハイですなwwwwww)

 

 にとりは迷わずシャンハイに交換した。表記はヤャンハイである。対してチルノが選択したのは「でんじは」だった。

 

「ぼwwwwんwwwwじwwwwはwwww無償降臨おいしいですぞwwwwww」

 

 ボーナス技(交換でダメージを食らわない技のこと)の電磁波を受けたシャンハイは麻痺状態に陥る。麻痺は素早さが半減し、行動できる確率が75%になる状態異常である。

 

 この技の主な恩恵は素早さ半減にあり、行動制限の効果はあくまでおまけ程度だ。

 

(お相手は流石にヤーティの特徴までは理解できていないようですなwwwww)

 

 にとりは役割論理に則った戦術を取っている。徹底して相手の一致タイプを半減するカケラを繰り出し、有利対面を作る。すると、当然相手が不利のために交代するが、その交代先を読み越して有効打で負荷をかけていく、という戦術だ。必要なのは耐久力と火力のみであり、実にシンプルかつこれ以上ない正攻法な戦い方である。そして全ての言葉の頭に「ヤ」が付く。ヤーティとは役割論理の原則に従って構成されたパーティのことだ。

 

(ヤーティはその特性上、サイクルを回す側にならなくてはなりませんからなwwwwwこのようなダメージを食らわない技はおいしいですぞwwwwww)

 

 次のターンに移る前に雪降らしによるダメージチェックが発生する。シャンハイは16分の1のダメージを受けた。

 

 2ターン目。ジョルノとてゐは後ろで見ていてかなり焦りを感じていた。チルノの選出を見ていたから分かる。このままではチルノはシャンハイを突破できない。

 

 なぜならチルノが選出していた3体はにとりが絶対に無いと信じていた上から3体、つまりチルノ、レティ、大妖精だったからだ。

 

(駄目だ……ッ! シャンハイは普通の状態だとそこまでの脅威は無い……だが、とあるアイテムでシャンハイは『大幅に強化』されるんだ! チルノは果たしてそのことに気が付いているのか? いや、これは気付いてない!)

 

 レティの覚えている技はふぶき、アンコール、ステルスロック、でんじはの4つ。持ち物は一撃死を防ぐ気合の襷だ。シャンハイを倒すには圧倒的に火力が足りない。かと言って後続もシャンハイを受けることが出来るカケラではない。シャンハイ対策に諏訪子(地面/鋼)を入れるべきだったのだ。このままではターンを稼いだところでいずれやられる。

 

 ジョルノの考えは当たっていた。2ターン目に入るなり、シャンハイは道具を使ったのだ。

 

「シャンハイナイトを使いますぞwwwwwこれでシャンハイはゴリアテに進化しますぞwwwwwww」

 

「し、進化?」

 

 チルノは画面に釘付けになった。シャンハイのデータを見て「シャンハイナイトでゴリアテに一時的に進化する」という項目を見逃していたのだ。

 

「げげっ!!」

 

 あからさまにしまったという表情をした。ゴリアテになることによって攻撃力や防御力が格段にアップしているのだ!

 

「予想外、という表情ですかなwwwwww? ゴリアテの特性は「かたいつるぎ」。攻撃力が1.3倍にアップするという能力ですぞwwwww」

 

 チルノが汗を浮かべてもこのターンの行動を止めることは出来ない。まず最初に行動したのはレティだ。チルノはテンプレ通り、ステルスロックを選択する。ステルスロックは交代で出てきた相手のカケラに岩の相性を反映した8分の1ダメージを与えるという効果である。

 

「しかぁし!! そのウザったい効果も交代しなければ意味が無いということを思い知らせてやりますぞwwww!! 食らえ、威力4倍コメットパンツ!!」

 

 技名を高らかに叫びながら(確かにパンツと叫んだ)にとりは画面を指さす。

 

 画面に表示されたテロップは……。

 

『ゴリアテは からだが しびれて うごけない!』

 

 麻痺による効果が功を奏したッ!!

 

「なにぃィーーーーーーッ!!?」

 

「や、やったぞ……! 運は、運はある!」

 

 チルノはまだ勝機を見失っていなかった。

 

*   *   *

 

チルノの手持ち

 

レティ タイプ:岩/氷

H230 A87 B92 C166 D112 S79

特性 雪降らし

性格 ひかえめ

持ち物 気合の襷

技 でんじは ステルスロック ふぶき アンコール

補足 第6世代の人気が無い方の化石が元ネタ。サイクル戦(相手に合わせて有利対面を作る戦い方)ではステロの効果が光り輝く。しかしチルノの選出ミス(あきらかな趣味)であまり有意義な使い方が出来てない。

 

にとりの手持ち

 

シャンハイ タイプ:鋼/エスパー

H167 A139 B121 C67 D100 S70

特性 クリアボディ

性格 いじっぱり

持ち物 シャンハイナイト

技 コメットパンチ しねんのずつき じしん れいとうパンチ

補足 ダイゴさんから貰えるアレの1進化が元ネタ。本当はれいとうパンチ覚えないけど調教でどうにかなった。シャンハイのままだと実践では足手まといレベル。

 

ゴリアテ タイプ:鋼/エスパー

H187 A216 B171 C112 D130 S130

特性 かたい剣

性格 同上

持ち物 同上

技 同上

補足 常に環境に居座る第3世代最強のアイツの強化後が元ネタ。特性を爪から剣に変更。こいつのせいでORASのダイゴさんで大誤算をするプレイヤーが続出した。対策なしにこいつと対面した時の絶望感は異常。剣を持っているのに技は殴るかずつくかという脳筋ぶり。

 

*   *   *

 

 3ターン目に移る前にゴリアテにレティの雪降らしによるダメージチェックが発生する。現状ではチルノはにとりの手持ちの内2体が分かっている状況であり、更に内一体の神姫はこのパーティの敵ではない。しかし、ゴリアテが天敵ともいえる相手であり今はギリギリの状態だということだ。対してにとりはまだチルノの手持ちの内レティしか知らない状況であり、しかも残りの2体は全く予想の範囲外。当然、ゴリアテでこのレティを葬ってしまえば勝てると踏んでおり、その予想は正しい。

 

 最後までゴリアテが生きていれば、だが。

 

「……うぐぐ……」

 

 チルノはコントローラーを握りしめ依然として不利な状況だった。攻撃すべきか、それとも交換すべきか。果たしてどれが正解か分からないからだ。

 

 と、チルノの手が止まっているのを見たにとりはチルノに話しかけた。

 

「さて、お次はどうするんですかな? ……交代ですかな……?? まぁ、交代しか無いでしょうなwwwww 貴殿のレティでは我のヤリアテ(ゴリアテのこと)を倒せませんからなぁwwwww」

 

 確かに。と、チルノは思った。このまま戦ってもジリ貧なのは見え見えだった。神姫を確実に倒せるレティは温存して、チルノか大妖精に交代しようとする。

 

(でも、どっちに?)

 

 どちらにせよ、鋼タイプのコメットパンチは両者に効果抜群だ。正直言って、このパーティは鋼タイプに弱すぎる。チルノに4倍、レティに4倍、大妖精に2倍のダメージだ。

 

(……だいちゃんだ。もしかすると、耐えるかも!)

 

 チルノは交換することにした。しかし、それはにとりも同じだった。

 

(ククク、貴殿が交換することはお見通しですぞwwwwww我のアトゥム神の能力は相手に質問した内容をYES!かNO!かを読み取るということ!! 交換すると今ッ! はっきりとYES!!と読み取れたッ!!)

 

 にとりのスタンド『アトゥム神』は対象の心の内を読み取るというもの。しかし、どこぞの覚り妖怪とは違い複雑な心中までは読み取れず、あくまでもYESかNOの2択である。

 

(ここで交換先候補としては受けとして優秀な衣玖さんか諏訪子のみッ! どちらにも対応可能な神姫を繰り出しですぞッwwwww!!)

 

 レティに対しては全く意味のない神姫を繰り出した。祈るように画面を見ていたチルノは「えっ」と声を上げる。

 

「……!! やった! 奇跡が起きたッ!!」

 

 その言葉に神姫を繰り出したばかりのにとりも「えっ」と声を上げる。まさか、吹雪来る? と思ったが画面では交換が行われている。

 

「……なっ!?」

 

 繰り出されたカケラに予想を思いっきり裏切られたにとりは言葉を失った。

 

「だ、大妖精ィィ~~~~~ッッ!!?」

 

 さらに、神姫はステルスロックによってダメージを受け、大妖精と共に雪降らしによってもダメージを受けた。

 

 神姫の体力が16分の13になった。

 

「押し切れるッ!! 精神でにとりを圧倒しているッ!!」

 

 思わずジョルノはそう声を荒げた。

 

 

 4ターン目に入った。依然としてチルノ側のカケラはダメージを誰も負っていない。

 

 にとりは苦虫を齧り潰したような表情で画面を見る。何で大妖精なんだ? どうしてここで大妖精が出るんだ? コメットパンチで確定一発死にが怖くなかったのか?

 

「くっ、くぅ~~~……!!」

 

 にとりの選択肢は一つしかなかった。ゴリアテに戻さなくては神姫は大妖精にじゃれつかれるだけでお陀仏だ。スターサファイアも水/フェアリーで不利対面を少しだけ緩和するに過ぎない。

 

「ノータイムでゴリアテにチェンジですぞwwwwwww」

 

「……」

 

 対するチルノはやどりぎのタネを選択した。ゴリアテから効果的にダメージを与えるには割合ダメージしか無いからだ。

 

 出てきたゴリアテはまずステルスロックで16分の1ダメージを受ける。そして足元に種を巻かれた。やどりぎのタネの効果は相手が交換するまで最大HPの8分の1ダメージを毎ターン与え、同じ分だけHPが回復するというもの。これは味方が交換しても効果は継続する。

 

 まず雪降らしダメージが両者に与えられ、そしてやどりぎのタネでもダメージを食らう。大妖精は前のターン分のダメージも食らっていたがゴリアテの最大HPの8分の1で全回復した。

 

「……まぁ、この次のターンで当然確定死にですなwwwww」

 

「……どうかな?」

 

 5ターン目に入った。

 

*   *   *

 

現在HP ゴリアテ 137/187

     神姫   163/199

     レティ  230/230

     大妖精  161/161

 

*   *   *

 

 5ターン目。チルノは大妖精にリフレクターを使わせる。物理技に味方が5ターンの間強くなる。

 

「大妖精は優秀な補助技が揃ってますからなwwwwww 我のヤリアテのコメットパンツで確定2発になってしまいましたぞwwww」

 

 と、後攻のゴリアテがコメットパンチを大妖精に放った。

 

「……命中した!」

 

 てゐとジョルノ、そしてチルノも心配そうに大妖精の体力を見る。すると、体力ゲージの3分の2程度まで減った後、減少が止まった。

 

「……次のターンは……」

 

「耐えられない……」

 

 てゐとジョルノがそう呟いた。やはり、ゴリアテが強すぎる。

 

 更に、雪降らしの効果も止まった。やどりぎのタネでゴリアテに8分の1ダメージを与え、大妖精は回復こそしたものの、体力は半分ちょっとしかない。

 

 静かに5ターン目は終わった。

 

 体力の面から見れば五分五分と言ったところか。しかし、チルノが圧倒的に不利なのは火を見るより明らかだった。

 

「……さて、交代しますかなwwwww」

 

「……ッ!」

 

 チルノは決めあぐねている。答えが出せていない。にとりはアトゥム神の読心でチルノの迷いを感じ取った。

 

 だが、数瞬の視線移動の後、チルノの心ははっきりと「NO!」を告げたのだ。

 

(んんwwww居座るつもりですかな? 自己再生とか持ってたらかなり厄介ですが、そもそも大妖精は耐久型ではありませんからなwwwwwあるとしたら……)

 

 迷わずにとりはコメットパンチを選択する。まず、例外なく先に動くのは大妖精だ。

 

「やはり天使のキッスでしたなwwwwwですが……」

 

 天使のキッスは相手を混乱状態へと誘う技である。混乱は数ターンに渡って相手の行動確立を半分にし、行動させなかったときは相手自身がダメージを食らうというものである。

 

「!!」

 

 しかし、大妖精の攻撃は外れた。天使のキッスの命中率は75%だ。

 

「運命力が我に味方してくれてますぞwwwwそして食らえッ!! コメットパンツをォォーーーーッ!!」

 

 再び、ゴリアテの凄まじい重圧パンチが大妖精の鳩尾に突き刺さる。リフレクターを貫通し、大妖精は凄まじい勢いで壁にたたきつけられ、そのまま動くことは無かった。

 

「ううううううおおおおおおおおおお!!! 大ちゃァァーーーーん!!!!」

 

 チルノは絶叫し、立ち上がった。

 

 許せない、一度ならず二度までもアタイの親友をコケにしやがって!!

 

「あたいはもう知らんぞッ!! 完膚なきまでに、にとり! あんたをぶちのめすッ!!」

 

 ブチ切れたチルノが繰り出したのはレティではなく、チルノの方だった。

 

「……パーティ読みは全くの見当違いでしたかなwwwwまぁ、ヤリアテさえいれば我の勝利は揺るぎないですがなwwwwww」

 

 6ターン目が終了した。大妖精のやどりぎのタネによってゴリアテの体力が再び8分の1削られるが、もはや関係ない状況だった。

 

 ジョルノとてゐは息を殺して画面を見た。だが、どうあってもゴリアテを突破する方法が見当たらない。もはやチルノの敗北は遅かれ早かれ確実だった。

 

 7ターン目、チルノは無言で技を選択する。にとりも無言で選択した。にとりの方は無論、コメットパンチ一択である。チルノにもレティにも4倍でダメージが通るのだ。

 

「もはや貴殿に勝ち目はありませんぞwwwwwどんな技で来ようとも、このヤリアテの残存体力を削り切る技はチルノにはありませんからなぁァwwwww!!」

 

「……『削り切る』?」

 

 にとりの勝ち誇ったそのセリフにチルノは待ったをかける。

 

「……削り切る必要はないわ。そんなちまっこいことは、ハナからあたいには向いてなかったのさ」

 

「……ハッ!!?」

 

 画面内のチルノのカケラの周囲に冷気が充満している。見たことがある。あまりの命中率の低さに滅多に使わないが、チルノには最強最悪の技が備えられている。

 

 命中率30%。効果は一撃必殺。

 

「圧倒的冷気に凍れッ!! 『絶対零度』だッ!!」

 

「か、『回避』をォォーーーーーーーッ!!」

 

 チルノの放った冷気の塊がゴリアテに向けられる。にとりの叫びと共に回避モーションを取るゴリアテだが、一瞬全身が強張った。レティが巻いた麻痺がその表情を覗かせたのだ。その一瞬の停止がゴリアテの生死を分けた。

 

 命中率30%という当たる確率の方が低い技をゴリアテは回避することが出来なかったのだ。技のヒットエフェクトと同時にゴリアテの体力ゲージが一瞬で空っぽになった。

 

「……あ、当てた」

 

 ジョルノの呟きと共に画面内に映されたテロップにはこう書かれていた。

 

『一撃必殺』。

 

 

 

「……ふっ」

 

 にとりは小さく微笑んだ。

 

*   *   *

 

後書き

 

 もはや別作品ですね。ほとんどポケ○ンバトルです。

 

 チルノがなんか頭良く見える戦い方してますが、ジョルノとてゐに教わった通りにしているだけです。おそらく少し不満げですが、レティと大妖精のモデルが補助に寄ってるので……。

 

 ちなみに大妖精のステータスはドレデ○アを参考にしています。技は東方人形劇に準拠してますが。

 

 エンジョイ勢とガチ勢が戦うとどうしても運の要素に頼りがちになってしまいます。命中率、追加効果発動率、読み合い、エトセトラ……。その中でも『交代』か『居座り』かを確実に見抜けるアトゥム神は結構有意義な能力です。一体どんな技を放って来るかまでは選択肢が広すぎて確定できないのです。相手の手持ちが分かれば交代先までは分かりますがね。

 

 この辺の能力とゲームとの兼ね合いは原作の野球よりもチート具合はかなり抑えられてますね。にとりが全てのカケラがどのような技を覚えるのかなんて把握してるわけがありませんから。

 

 こんな感じで運に助けられながらチルノがにとりとゲームで渡り合ってます。この勝負の展開がどうなるのか、果たしてにとりはチルノにボラボラされるのか。

 

 次回をご期待ください。

 

 最近投稿ペースがゆっくりになって申し訳ないです。でも、このゲームの戦闘考えるのがかなり難しいんですよ……。

 

 それでは、また。

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