ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

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書きたかったから書いたそんだけだ

1巻を買った記念にめちゃくちゃ加筆修正しました


1巻 入学〜1学期中間テスト
超能力者の災難


 超能力。

 普通の人間が持つとされておらず、科学的に説明のつかない、常識を超えた能力のことを指す。

 

 例えば、話すことなく相手の考えを読むことができるテレパシー。

 相手の衣服どころか皮膚や骨すらも透かして視ることができる透視。

 意志の力だけで物体を操り動かすことができる念力。

 瞬時に自分のいるところからはるか遠くへと移動することが出来る瞬間移動。

 普通の人には出来ないことを可能にしてしまう力。

 

 まさに知れば誰もが望むであろう、超能力者になりたいと。

 しかし、超能力が便利だ、素晴らしいと思うのは超能力を持たざる者だけだ。

 隣の芝生は青く見えるということわざがあるだろう? 

 

 例えば、テレパシー。

 能力のオンオフが出来ず絶え間なく他人の思考が脳に直接入ってくる。

 好きなあの子の考えがわかる? 

 分かったらすぐにどうでも良くなる。

 控えめに言って地獄だ。

 今もそうだ。

 

(あー座りてぇ。早く誰か降りろよ)

(今日は学生さんが多いねぇ)

(誰かおばあさんに席譲りなさいよ)

(今日も私は美しいねぇ)

(バスって思ったより揺れるんだな)

(やー! 今日もパンが美味い!)

 

 ただバスに乗ってるだけでこれである。

 しかも今のはほんの一部。

 バスの中は満席で、通路に立っている人間もいるほどの混み具合だ。

 そのバスの中にいる人間の思考全てが絶え間なく浴びせられる。

 これは無量空処を喰らった特級呪霊と同じ感覚なのかもしれない。

 物心ついた頃からずっと他人の思念が流れ込んでくるため、僕はもう慣れたものだが、うるさいものはうるさい。

 

 透視も厄介極まりない。

 一般的な思春期男子なら、好きな女の子や道行く可愛い人、美人な人の裸が見れてめちゃくちゃいいじゃん! と喜ぶかもしれないが、服だけが透けると思ったら大間違いだ。

 服が透けて下着、下着が透けて生肌と来たら、次は血管や骨格、臓器といった体内が見えてくる。

 これもオンオフができず、僕は物心ついた時にはもた。

 だから、異性の裸はとうの昔に見飽きているし、人によって臓器や骨の形に微細な違いがあったり、病気の兆候がある人の臓器は明確に違って見えるため、そこはかとなくグロく感じる。

 一応、まばたきや目線をずらすことでリセットできるが3秒後には全裸、5秒後には血管が見えるようになるので服を着ている人間と話すためにはまばたきを絶やしてはならない。

 

 瞬間移動に関しては一度でも見た事のある場所へなら移動可能であり、写真などを見れば一度も出向いたことのない場所でも移動できる。

 知ってる気を持つ人間がいるところじゃないといけないという縛りはないが、僕に触れていれば他人も一緒に移動可能なので地球が爆発しそうになったら任せて欲しい。

 そう言いたいところだが、1〜3分のインターバルを経てからでないと再使用できないというデメリットがあるため、爆発物を置いてすぐに引き返すということができない。

 

 これで分かっただろう。

 超能力なんてろくでもない。

 超能力があれば人生薔薇色。

 そんな事は大間違いだ。

 

 常にネタバレとプライバシーのオンパレード。

 SNSをやっていないのに頭には周囲200メートルの人間のタイムラインが流れてくるんだからな。

 見た目が美しくても、かっこよくても、口では正しいことや世界平和などを唱えていても人間というものは基本的に心の中は醜く卑劣な生き物だ。

 しかし、そんな人間の中にも気まぐれや八つ当たりで善行をしようとするものである。

 

「席を譲ってあげようとは思わないの?」

 

 高校の入学式へと向かうバスに乗っていると2つ前の席、優先座席とされる席に座っているガタイのいい僕と同い年の金髪の男がOL風の女性から注意を受ける。

 男の真横には年老いた老婆が立っており、OLはこの老婆に優先座席を譲るように促しているようだった。

 

「そこの金髪の君、お婆さんが困っているのが見えないの?」

「実にクレイジーな質問だねぇ、レディー」

 

 男はニヤリと笑って足を組み直すと女性に問いかける。

 

「何故この私が、老婆に席を譲らなければならないんだい? 理由はどこにも見当たらないようだが」

「(はぁ? 何言ってるのこの子。頭パープリンなのかしら)貴方が座っている席は優先座席よ。お年寄りに譲るのは当然でしょう?」

「理解できないねぇ。優先座席は優先座席であって、法的な義務はどこにも存在しない。この場を動くかどうか、それは今現在この席を有している私が判断することなのだよ。若者だから席を譲る? ははは、実にナンセンスな考え方だ」

 

 髪型を横分けにした方が雰囲気が出るのではないかと言わんばかりに言葉を並べる男は、さらに畳み掛ける。

 

「私は健全な若者だ。立つことに然程の不自由は感じない。しかし、座っている時よりも体力を消耗することは明らかだ。意味もなく無益なことをするつもりにはなれなくねぇ。それとも、チップを弾んでくれるとでも言うのかな?」

「(はぁ!?)そ、それが目上の人に対する態度!?」

「目上? 私よりも君や老婆が長い人生を送っていることは一目瞭然ではあるが、言葉の意味はしっかりと理解した方がいい。目上とは立場が上の人間を指して言うのだよ。それに君の言い方にも問題がある。歳の差があるとしても、生意気極まりない実にふてぶてしい態度ではないか。これが下手に出て懇願する態度であれば、私にも一考の余地はあったかもしれないねぇ」

 

 生意気でふてぶてしいのはお前だ。

 男とOLの言い合いのおかげでバス内のテレパシーは静かになったが、バス内は騒がしいままである。

 目上であることを自称するOLは男に言われるがままで反論できずにいたが、歳上であることを主張し始める。

 

「なっ……! あなたは高校生でしょう!? 大人の言うことを素直に聞きなさい!」

「も、もういいですから……」  

 

 高校生がみんな大人の言うことを素直に聞いていたら少年犯罪はなくっているのかというテーマでディベートをして欲しいものだ。

 ヒートアップするOLに対して、騒ぎをこれ以上大きくしたくない老婆は手ぶりでOLを宥める。

 しかし、OLは高校生に侮辱され彼女は怒り心頭であり、法が許さないから手を出さないが法が許せばお前なんてなという憤りを見せていた。

 そんなOLに男は鼻で笑う。

 

「どうやら君よりも老婆の方が物わかりが良いようだねぇ。いやはや……まだまだ日本社会も捨てたものじゃないね。残りの余生を存分に謳歌したまえ」

 

 健康的な白い歯の見える爽やかなスマイルを浮かべた男はイヤホンを耳につけて、周囲に音がダダ漏れの状態で音楽を聞き始める。

 流石にうるさいので音を消してやると男は(おや?)とイヤホンを外して不思議そうに眺めていた。

 席を譲る譲らないは好きにしていいが、その音のデカさで音楽を聴いたら将来難聴になるぞ。

 社会貢献をしたいという偽善はあれど勇気を出し、進言したOLだったが相手が悪く悔しそうに歯を噛みしめていた。  

 歳下、それも高校生に半ば強引に言いくるめられた上、あの偉そうな態度は癪に障るだろう。

 それでも言い返せないのは男の言い分にも納得できる部分があると認めてしまったからだろう。

 優先座席を譲らなければならないという法律もないため、あの男を罰する権利はOLにはない。

 OLは悔しさと恥ずかしさから涙を堪えながら、老婆へと小さく謝罪する。

 バスの中で起きたちょっとしたハプニングに巻き込まれなかったものの、乗客の思考は絶えず雪崩のように流れてくる。

 

(席譲ろうかな……でもまだあと10分あるし……いやでも……)

(早くしろよおばあちゃん可哀想だろ! 俺は終点までいるから無理だけど!)

(座ってたら譲ってあげられるけどなぁ)

(早く学校につかないものかねぇ……少し退屈になってきたねぇ)

(譲った方がいいのか……? だがあまり目立ちたくは……)

(はぁ、うるさいなぁ……。せっかく座れたのに譲る人がそういるわけないじゃん)

(おばあちゃん辛そう……)

 

 OLと老婆に同情したりすることはあれど、席を譲ろうとする人間はいない。

 老婆を心配するのは同じく椅子に座れていない人間のみ。

 席に座っている乗客はみんな目を逸らす。

 僕も席についてはいるが、このバスは10分もしないうちに目的地に着く。

 そして老婆の目的地である駅は僕の目的地の次だ。

 譲ったとして僕が立つのは数分だが、お婆さんもまた座れるのは数分しかない。

 そのためだけに立ち座りの動きを強要する方が辛い思いをさせるかもしれない。

 そう考えているとOLの隣に立っていた僕や優先座席に座る男と同じ制服を着た女生徒が口を開いた。

 

「(はぁ、さっさと譲れよクソ野郎が。お高くとまりやがって……)あの……私も、お姉さんの言う通りだと思うな」  

 

 びっくりした。

 恐ろしくトゲのある声が聞こえたと思ったら、甘く柔らかい声が聞こえたのかと思った。

 OLに対して思いがけない救いの手が差し伸べられる。

 思い切って勇気を出した様子で男へと話しかけると男はイヤホンを外して笑う。

 

「お次はプリティーガールか。どうやら今日の私は思いのほか女性運があるらしいねぇ」

「お婆さん、足を震わせてさっきからずっと辛そうにしているみたいなの。席を譲ってあげてもらえないかな? その、君には何の得もないかもしれないけど、社会貢献にはなると思うの」

(へぇ)

 

 ショートボブくらいの髪型にカチューシャをつけた女生徒の言葉に男は少しだけ感心した様子を見せる。

 

「社会貢献ねぇ。なるほど、さっきのレディーよりは面白い考えだ。確かにお年寄りに席を譲ることは、社会貢献の一環と言える。しかし残念ながら私は社会貢献に興味がないんだ。私はただ自分が満足できればそれでいいと思っている」

 

 女生徒の意見を肯定しつつも、自分にはそれをする理由がないことを示した男はバスの車内へと目線を移す。

 

「ついでにひとつ言わせてもらえば、このように混雑した車内で、優先席に座っている私をやり玉にあげているが……他にも我関せずと居座り黙り込んでいる者たちは放っておいていいのかい?」

 

 まぁ、そうなるわな。

 お年寄りを大切に思う心が本当にあるのであれば、そこには優先座席、優先座席でないなど、些細な問題でしかない。

 僕の考えと男の意見は概ね一致しており、女生徒へと少年は堂々とした態度で言い放っていた。

 OLも老婆も、続ける言葉はなく悔しさを噛み殺すが、男に真っ向から立ち向かった女生徒は挫けることはなかった。

 

「(はぁ、めんどくさ……)バスの中にいる皆さん、少しだけ私の話を聞いて下さい。どなたかお婆さんに席を譲ってあげて貰えないでしょうか? 誰でもいいんです、お願いします」

 

 みんなからよく思われたい、いい格好をしたいという姿勢の垣間見える女生徒であったが、まさかここまでやるとは。

 誰にでもできることではなく、勇気と決断はもちろんだが、他者を思いやり気遣う心がなければできるものではない。

 やらない善よりはやる偽善という言葉もある。

 1つ間違えれば周囲から痛く、鬱陶しい存在だと見られてしまうリスクを抱えつつも女生徒は真剣に乗客に訴えかけた。

 結局、席を譲ったのはOLとは別の社会人女性で、この一幕を最後にバスは無事に東京都高度育成高等学校へたどり着いた。

 高度育成高等学校……僕が第1志望にしていた高校とは異なる全寮制の国立校だ。

 全寮制、つまりはここに通う生徒たち全員と同じ屋根の下で暮らし、授業を受けることになるため、彼らの誰か一人でも起きていたら僕の脳内TLは眠らない夜を知らない状態となるわけだ。

 どうしてこんなところに来たのかとなれば、話せば長くなるので割愛しよう。

 

『くーちゃん行かないで〜』

『くすえもーん!』

 

 勝手に願書出しておいて勝手に泣き喚いていたが、おかげで学費の心配をしなくなったのは好都合だ。

 ちなみにくーちゃん、くすえもんというのは僕の名前「楠雄」からとられたあだ名である。

 母は一貫しているが、父は僕に超能力絡みの頼み事をする時はくすえもんと呼ぶが基本的には「楠雄」呼びだ。

 全寮制となっているが、寝るのに苦労しそうならテレポートで実家に戻ればいい。

 僕の部屋は残しておくように伝えてから出たし問題ないだろう。

 さて、僕はこれからここでどんな学園生活を送るのだろうか。

 

(来たな今年の新入生たちが)

(あいつらも何も知らないんだろうな。可哀想に)

(1年前の私と同じだね)

 

 ん? 可哀想? 

 確かここは卒業後、希望の進路が確約されているのがウリの国が運営する高校だと聞いてるが、それに入れたことが可哀想というのはどういうことだろうか。

 僕は特に希望する進路はなく、両親の善意に従って来たからとりわけ固執しているわけではないが。

 気にはなるな。

 

(今年のDクラスは何ポイント残るかな)

(10万ポイントかー。4月に散財してなければって今でも思うわぁ)

(監視カメラの意味とかも特に考えないんだろうなDクラスのやつらは)

(なんで毎月10万ポイント貰えねぇんだよクソが! 先に言っとけよなほんとに!)

(Aクラスじゃないと卒業後の進路の保証してもらえないって詐欺だよなぁほんと。1年の最初のテストで退学になってればなぁ)

 

 おそらくは本来1ヶ月後に知るべきであろう情報が次々と親切な先輩方たちから流れてくる。

 どうやらこの学校はAからDクラスに分かれていて、Aから下にいくほど成績や評価点のようなものが低い生徒が集まるらしい。

 だが、入学時に学校や周辺施設でつかえる10万が入学時は必ずもらえる。

 しかし、翌月以降はクラスの成績や素行に応じて減少する。素行調査には監視カメラが使われる。

 さらに、卒業後の進路の確約は卒業時にAクラスに在籍している生徒のみ。

 といったところか。

 今のところ、3年生はクラス変動はなく、2年生は最初BクラスだったクラスがAクラスになっているようだ。

 他にも夏休みはどこに行くんだろう、無人島かなとか、テストの過去問貰いに来るやついるかなとなどといったネタバレも多数飛んでくる。

 どうやら僕はかなり面倒な高校に入学してしまったらしい。

 やれやれ。ようこそネタバレまみれの学校へ……といったところか。

 

(オレはDクラスか。……ところで、あいつ、いつまであそこにいるんだ?)

(Dクラス……、そういえばバスから降りてずっと棒立ちじゃないのかしら、彼。気のせいかしら)

(うげ、堀北と同じ……? 最悪。はぁあ、いきなり憂鬱なんだけど。ほんとありえないっ! 堀北どこ見て……あれ? あの子、まだ校門のとこにいるんだ。そんなに変わった校舎じゃないと思うけど)

 

 とりあえず、一緒のバスから降りたやつらがクラスの確認を終えたのに、僕がずっとここにいるせいで注目を集めていたので、さっさと自分のクラスを確認して教室に行くとしよう。




どのクラスにぶち込むか悩んでる(書いた当時)

D▶︎1番描きやすいけど斉木と綾小路で戦力過剰だが、Dクラスのままいたい斉木が綾小路の足を引っ張る展開あるかもと思ったが、勝手にクラスポイント上がっていく分にはスイーツへの投資ができるから見逃しそうではある
C▶︎ドラゴンボーイに能力、超能力でなくとも使える人間と判断されたらめちゃくちゃこき使われそう。本人は嫌々やるが、龍園は使える(仕える)やつにはそれ相応の報酬渡すからスイーツで釣られそう
B▶︎突出した能力持ちがいないクラスだから入れてあげたいが、入ったところで斉木が上を目指すタイプでは無いのでBから落ちないけどAにはならない感じになりそう。
A▶︎何もしなくてもポイントはあるし、司令塔2人がいて、中立でいれば問題ない。と思ってたら葛城が龍園と面倒な契約しそうになるのでそういうのは止めてきそう。そして坂柳派と判断されそう。可哀想。

続き書くかは未定でしたが続きました

斉木のクラス

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