話の流れが雑な気もしますが眠すぎてそれどころじゃないのでまた見返して気になるところはなおしまふ
生徒会というと、みんなはどのようなイメージを持つだろうか。
学校行事の運営をし、生徒たちの見本となるような行動を取り、教師陣と対等に意見を交わして物事を円滑に進めていく。
というのが、フィクションでよくある生徒会像だろう。
そもそも生徒会は学校に所属する生徒全員を指すらしく、その生徒たちから立候補を募り、投票で選ばれた者たちが生徒会役員や生徒会執行部として学校行事の運営や準備、教師陣と協力して生徒のための環境作りに取り組んでいくものだ。
ではこの学校はどうなのか。
生徒会長が立候補制で、複数候補の場合は生徒からの投票で決定する。
ただ他の役員たちは生徒会長からの指名や推薦で決まるそうだ。一応、自ら立候補もできるが生徒会長が首を縦に振らなければ役員にはなれない。
だから、一之瀬さんは生徒会の役員になれなかったわけだ。
入学式に貰うだけ貰った生徒手帳に書いてあったことを熟読し、僕は生徒会室に来ている。
テスト前ということもあり、この辺りは閑散としている。
しかし、来たはいいが僕たち1年生がテスト前であるように、上級生の2年生、3年生もテストを控えている状況だ。
部活動は自主参加になっていると聞いていたが、生徒会の方はどうなのだろうか。
そういえば一之瀬さんは星之宮先生にアポイントメントを取ってもらったと聞いたな。
それをしても良かったが星之宮先生に僕が生徒会役員に会ったと知られると面倒な勘ぐりを受けそうだから、アポを取らずにこうして生徒会室の前で立ち往生しているわけだが。
(ん……? 生徒会室の前に誰かいるな。今日も誰か来るとは聞いていないが)
生徒会室を使えるのは生徒会役員だけ。
だからテスト前にここでテスト勉強をしようと考える役員がいるのでは無いかと考えたが当たりだったようだ。
「どうした、生徒会室に何か用か?」
(知らない顔だな。1年生だろうが)
初めて会うんだから知らなくて当然だと思うがな。
しかしこの人が高育の歴代最高と言われている生徒会長、堀北学か。
入学してからAクラスのリーダーとして最初からトップを走り続け、知力や武術に長けているという噂だ。
僕が初めて会う生徒会長を知っているのはもちろん超能力だ。
神崎と一之瀬さんから聞いた情報を元にして、千里眼で3年A組を見て、明らかに他の生徒と違う覇気のようなものを放っていたからすぐに分かった。
パッと見、制御装置を抜いて髪を黒く染めた僕に見えなくもないが、実際あってみると目つき悪いなこの人。
(昨日は一之瀬、この前は葛城が来ていたが、今年の1年は生徒会に意欲的なやつが多いんだな)
「何の用だ? 生徒会に入りたいという話なら、今はテスト期間中で、用があるなら事前に教師から連絡をしてもらうのが筋だが」
残念ながら生徒会には興味が無い。
アポを取らなかったのは悪いのかもしれないが、こうして生徒会長に会っていることを知られると面倒事に繋がるからな。
「生徒会じゃなく俺に用……? (俺に個人的な用、わからんな)お前、名前とクラスは?」
立ち話もなんだ。とりあえず部屋に入らないかと鍵のかかった生徒会室を指さす。
「(ほう……)それを言うのは俺のセリフであるべきなんだが、まぁいいだろう。お前の言う通りだ」
生徒会長は話が分かるらしく、生徒会室の鍵を開けてくれると中へ通してくれた。
「ここには監視カメラはない。さっきの質問に答えてもらおうか」
僕の名前は斉木楠雄。1年Bクラスだ。
「(Bクラス? 一之瀬と同じか)斉木、生徒会ではなく俺に用とはなんだ」
回りくどいことは嫌いな主義だからな。
さっさと本題に入らせてくれるのは助かる。
1年生の最初の中間テストに過去問があると聞いたこと。
そして生徒会長なら持っている可能性が高いんじゃないかと思い、ここへ来たことを話す。
「誰から聞いた?」
担任から、というと最悪あの人の首が飛びかねないな。
この学校は教師から生徒に伝えられる情報にはかなり規制と統制が入っている。
例えばクラスポイント1000の減点となった項目や具体的な減点点数などは、教師から教えてはいけないことになっている。
僕はほぼ全て知ってしまっているが。
一応、DとCクラスには赤点を取ったら退学と伝える際に、君たちならこのテストを乗り越える方法を見つけられると信じているといったようなテスト勉強という正攻法以外の方法もあることを示唆するらしい。
今回はそれでいくか。
「なるほどな。答えを述べるなら過去問は存在する。そして、それを俺は持っている」
(来るならCかDクラスの人間と思っていたが、まさかBクラスとはな。だが、こいつの場合は過去問の中身よりも、過去問の有無を確認したかっただけのようだが)
会長は納得してくれたらしく、しかも過去問を丁寧に携帯端末にPDF化してあった。
あとはアレと僕が念写したものが、本当に過去問だったかを確かめるだけだが。
「それで? お前はこれをどうしたい?」
(過去問の有無の確認だけならここで終わりだろうな。ただ買うと言うのなら3万程で売ってやってもいいが)
念写過去問と照合もしたいから、買い取らせてもらうとするか。
しかし、過去問で3万というのは高いな。確認するだけだし、1教科だけにしておくか。それなら6000ポイントで済むだろう。
「何? 数学だけ?」
(苦手科目だけに絞るのか? もしくは4月にポイントを使いすぎたから出し惜しんでいるのか? だが、Bクラスなら大体7万ポイントくらいは支給されていると思うが)
1教科確認できたらそれでいいからな。
それで、ポイントはそちらに送ったらいいか?
「本当にいいのか? 1教科で」
(俺の代では5教科、それにプラスで4月末の小テストの問題と解答もつけさせたと聞いていたが)
ああ過去問が正しいか判別するために小テストも確認用でということか。
それも僕には必要ないな。
使い道も他クラスに割高で売りつけるくらいしか思いつかないが、現状ポイントに困っていない。
それにDは今月0ポイントらしいからな。そんなやつらからポイントを取り上げると僕への心象や評判が悪くなるし、転売ヤーより愚かなことはしない。
最低限あればいいんだと会長に詰め寄り、支払うポイントの額を確認してもらう。
(6000? 俺が3万ポイントで売ろうとしているのを見越していたのか?)
「1万だ。苦手科目なんだろう?」
こちらから値段設定をするのはよくなかったか。だがこれさえあれば必要経費だと思って出すとしよう。
「……一応聞くが、斉木。お前本当に数学が苦手なのか?」
苦手じゃないが1科目だけ買う理由としては適切だろうと思ったんだが。
苦手科目のテストを乗り切るために1万ポイントを出すのは普通じゃないのか?
(過去問の存在に気づいた洞察力、そしてそれを確かめるために俺のところまで来る行動力。しかもBクラスなら苦手科目とはいえ、これからテスト範囲の変更があることを含めても赤点を回避できるはずだ。なのに、1教科だけ欲しがるというのがどうにも解せない。まさか、他のルートから過去問を入手しているが、それが本当に過去問なのかが分からないから確かめるために俺のところに……?)
きっしょなんで分かるんだよ。
思わず制御装置がパカって外れるところだったぞ。外れないが。
見事すぎる予想に驚いているが、生徒会長もそれは無いと思ったのか(いや)と首を横に振る。
(解せないが……面白い。こいつなら南雲を……もしかしたら)
南雲? 確か副会長だったか。
他だと柴田と同じサッカー部にいるというのは耳にしているが。
「いいだろう斉木。自力で過去問の存在に気付いた褒美だ。今回は5教科全てと4月の小テストの問題と解答、タダで譲ってやろう」
何がいいんだ?
彼の中で何が腑に落ちたのか分からないがただで貰えるというのなら貰っておこう。
「ただし、条件がある」
タダだけにか。タダより怖いモノは無いともいうが、どんな条件を付けられるんだ僕は。
生徒会に入れとかだと何も貰わずに生徒会室から出るしかなくなるが。
「生徒会に入れ」
お疲れ様でした。失礼します。
「おい待て失礼するな」
生徒会に入りに来たわけじゃないとさっき言っただろう。
僕は過去問が欲しいだけで、生徒会役員の椅子に興味があるわけじゃないんだ。
「お前のクラスメイトは生徒会に入りたがっていたが、その話は知っているか?」
一応な。
それがどうかしたのか?
「俺が彼女、一之瀬帆波の入会を見送った理由は何も彼女の人格や成績に問題があるわけじゃない」
じゃあなんだ、一之瀬さん以外の理由となると生徒会長の個人的な動機と他の役員と関係が……あぁ、それで南雲副会長が出てくるのか?
南雲副会長の話はテレパシーでしか聞いていないから口には出せないが、外的要因かと尋ねる。
「そうだ。お前の1つ上に南雲雅という男がいる。知っているかもしれないが副会長だ」
その南雲がなんなんだ。
大方ろくでもない性格か女たらしで一之瀬さんの身が危ないからとかそういう理由な気がするが。
「あいつのクラスは元々1年Bクラスだったが、成績を上げ今は2年Aクラスになっている。そして、その立役者が南雲だ」
いい事なんじゃないのか。
実力主義のこの学校でクラスを上げるというのは力のある証拠じゃないか。
「ああ、それはそうなんだがな。ただ、やつは俺が退いた後、より実力主義に特化した高校に変えようとしているらしい」
(特別試験のことは薄々気付いてそうだが、今は言うべきじゃないか)
なるほど。
つまり南雲副会長が会長になると、より実力主義……個人やクラスで争う行事が増えて退学者が増えるかもしれないことを堀北生徒会長は気にしているのか。
そして南雲副会長の手駒に一之瀬さんが置かれるのを防ぐため、彼女の生徒会入りを拒んだわけか。
まぁ、それなら生徒会に入らずともその南雲副会長の改革を止めればいいのか?
「……驚いたな。今のでそこまでわかるのか。ああ。俺はこの学校の校風は好きだが、みんなが無事卒業出来ればいいと思っている」
本心からそう思っているのが伝わってくる。
彼が歴代最高と呼ばれる理由が少しわかった気がする。
僕としても、無駄な争いや力を発揮する場が増えるのは避けたいしな。
退学になる可能性がある試験を開催されても困る。
できることなら彼が新生徒会長になるまでに心変わりして欲しいものだが。
「ふっ、そうだな。だが、何かあってからでは遅いからな。生徒会入りの件いつでもいい、一応考えておいてくれ」
そういいながらスマホを操作して過去問のデータを共有してくれる会長に僕は頭を下げる。
一之瀬さんは能力が足りないわけじゃなく、南雲副会長に利用される可能性があったから断った、でいいんだよな?
「ああ。彼女にはすまないことをしたかもしれないが南雲派なんてものがお前の代にできても困る」
BクラスをAクラスにしたリーダーとなれば、一之瀬さんが憧れ、信奉する可能性はなくもないか。
裏を返せば南雲副会長に付き従わないほどに、彼に失望したりするか、彼女の中に芯の通ったものができれば生徒会入りを認めてくれるかもしれない。
「南雲の件は折を見てまた連絡しよう」
過去問を受け取り、そのまま連絡先を登録し合う。
クラスメイトと椎名さんしかいなかった連絡先に生徒会長のものが追加される。
面倒ごとが増えたが、何かする前に止めればいいのならハードルは低い方だ。僕の中ではな。
あぁ、そうだ。
「ん? なんだ」
今日僕が来たことや僕とした話は互いに黙っていてもらおう。
一之瀬さんの見送り理由は、必要だと思ったら話すかもしれないが。
「いいだろう。他言しないと約束しよう。一之瀬に関してはお前に任せる」
生徒会長の真摯な態度に応じることができるように努力はしよう。
「じゃあ、また会おう。斉木楠雄」
次会うとしたら学年の関係の無い行事か南雲副会長のことに関してになるが、その時までにはできることを考えておこう。
別ルートの入手先はポイントに困っている2、3年Dクラスの人間から買ったんだろうなと勝手に思ってる生徒会長
念写なんすよそれ
眠いのであとがき短め