もっとも"むずかしい事"は! いいかい! もっとも"むずかしい事"は!
"自分を乗り越える事"さ!
てことで主人公不在(ちょっとだけ喋る)で進行
本日2話目の投稿だが、ちゃんと読んでくれるかなぁ〜アセアセ
一之瀬の噂が流れ始めてから少し経った木曜日の夕方、オレは帰宅中の一之瀬の背中を見つけた。
いつも男女問わず沢山の生徒に囲まれていることの多い一之瀬だが、今日は1人での下校らしく、どことなくいつもの覇気がないようにも感じた。
今、学年の中でも1番注目を浴びている人物で、少し声をかけてみるかと思った矢先だった。
オレは背中に気配を感じて、行動を中止した。
自然な動作で携帯を取り出してカメラモードを起動し、背面のレンズからの映像を、画面側についたカメラのものへと切り替えて、さりげなく背後の様子を窺う。
オレと同じように1年の寮に帰る生徒が2人、1人は同じクラスの王美雨で、もう1人は斉木だった。
2人共普通に歩いているだけではあるが、一之瀬の後ろというのは偶然だろうか。
(偶然だ。神崎や柴田に捕まった結果、一之瀬さんより教室が出るのが遅れただけだ)
だが、それを確認する間もなく、みーちゃん……みんなからそう呼ばれているから頭の中でだけそう呼ぶが、少し照れくさい。
そのみーちゃんがオレへと近づいてくる。
即座にカメラを閉じて、携帯をポケットに仕舞う。
「あ、あの綾小路くん、ちょっと時間いいかな……?」
少し相談したいことがあるというみーちゃんに、オレは首を傾げる。
これまで彼女とはほとんど接点がなかったからだ。
一之瀬はオレに気づくことなく遠ざかっていき、斉木も立ち止まったオレとみーちゃんに目もくれずに寮を目指して歩いていく。
どちらかに声をかけ、噂のことについて話すか悩んだが、今から追いかけて話しかけるというのも変な話か。
「ごめん、忙しかったかな……」
「いや、帰るだけだったから。大丈夫だ」
そう言うと、みーちゃんは少し嬉しそうにホッと息を吐く。
オレへの相談はこの場ではしにくいらしく、カフェへと場所を移すことにした。
いつ来ても繁盛している人気のカフェは多くの生徒で賑わっていたが、席が取れないほどではなかった。
オレがシュガースティックを1本貰い座ってから1分ほど経ってみーちゃんが沈黙を破った。
「あのね……その、平田くんのことに関してなの」
平田?
「色々教えて欲しくて……」
「特別親しいってわけじゃないんだがな」
平田は割とオレに話しかけてくれるが、それは堀北と繋がりがある生徒としての側面が強い。
みんな仲良くという思想で動いている平田からすれば、オレもクラスメイトの一員である以上声をかけない訳にはいかないといったところだろう。
「でも、平田くんが綾小路くんは頼りになるってアドバイスしてくれたよ?」
「……そうなのか?」
「うん。クラスの中でいちばんしっかりしてるって、すごく褒めてた」
平田に褒められたことは素直に喜ばしいのだが、こうやって話が広がっていくと面倒なことになるかもしれない。
ただ、平田がオレを名指しするのはなんとなくではあるがわかる気もする。
今のCクラスは入学当初よりはかなりマシになったが、男子に限れば平田としては信頼できるのがオレになってしまうのも仕方がない。
須藤は改善の傾向にあるがまだ直情的で、池は楽観的、啓誠は頭が固く、山内は虚言癖があり、高円寺は論外。
あとのメンバーは表立って動かない連中が多いため、消去法でオレになったのだろう。
山内といえば、少し前に坂柳に呼び出されていたが何かあったのだろうか。
「最近、平田くんと軽井沢さんが、その……別れたって話、知ってるよね」
「さすがにな」
うちのクラスでは一之瀬の噂以外にももう1つある噂……というかこちらは本人たちが公表した事実なのだが、平田と恵が別れたという話が広まっていた。
理由はオレも良くは知らないが、オレという寄生先を見つけた恵が平田を切ったということなのだろう。
それでそれがどうかしたのかと、あくまで朴念仁を装い問いかける。
「そ、その、えっと……」
何度か話すのを躊躇った後に、みーちゃんは本題を口にするを
「……ひ、平田くんって今、好きな人いるのかなっ?」
このオレが恋愛相談とはな……。
まるで高校生みたいだと思っていたらオレは高校生だったな。
どうやらみーちゃんは平田が好きらしく、平田には想い人がいないであろうことを伝えてから、いつから平田が好きになったのかを聞いてみる。
「そそそ、そんなこと聞いちゃう?」
「答えたくないなら無理に言わなくても」
「入学式の後にね……」
話すのか。
平田との出会い、そして恋に落ちるキッカケをみーちゃんは赤裸々に語った。
その時のみーちゃんの顔は教室で見たことがないイキイキとした、恋する乙女らしい顔であった。
「でも……」
しかし、その表情も現実に引き戻されたように表情が曇っていく。
「私は……私なんかが、平田くんの彼女になれるわけがないんだよね……」
「どうして」
「だって、ライバルが多すぎるよ……それに、恋愛とか、したことないし……」
恋愛経験の有無がハンデに繋がるとはあまり考えたくはないが、全く影響がないかと言われるとなんとも言えない。
みーちゃんを鼓舞するようにしつつ、平田との関係の進展を願って話をし、自分にとって有益か無益か、利用できるかできないかを分析していると1年Dクラスの椎名ひよりが現れた。
「あら? みーちゃんと……綾小路くんじゃないですか」
これからもう少し色々と聞けそうだと言うところでやってきたひよりに目線を向けると、みーちゃんがパッと明るい表情を浮かべる。
「ひよりちゃん、こんにちはっ」
そういえばこの2人は林間学校で同じ小グループにだったな。
「もしかしてお2人は、デートというヤツでしょうか?」
「ちち、違う、違うよひよりちゃんっ」
慌てて立ち上がって、全身全霊、身振り手振りで否定するみーちゃんに、オレはなんとなく傷つく。
「では私もお邪魔してよろしいですか?」
「もちろんだよっ、……いいかな?」
断る理由もないので了承するとひよりは嬉しそうに微笑んでみーちゃんの傍の椅子へと腰を下ろした。
「珍しい組み合わせのように思えますが、どんなお話をされていたんですか?」
「え、えぇっとぉ……」
ひよりとは恋愛相談をしにくいのか、あるいは恥ずかしいのか答えづらそうにしているみーちゃんに代わって中国のことについて聞いていたと話題をすり替えておく。
すると、ひよりは思いのほか食いついてきて話を弾ませるが、そこでみーちゃんが目を丸くして尋ねてくる。
「ところで2人は……友達なの?」
オレとひよりが自然と話していたのを見て、みーちゃんが聞いてきた。
「はいっ、読書友達です」
「まぁ、間違っては無いな」
「読書友達……あぁ、林間学校で言ってたね」
綾小路くんの事だったんだと納得がいったような顔をするみーちゃんにひよりはふふと笑った。
「はい、綾小路くんもその1人です」
「1人……あ、そっか、友達なら複数人か……クラスを越えて友達ができるのっていいねっ」
前向きな発言をするみーちゃんに、ひよりは微笑みを崩さない。
「私もそう思います。敵対し合うだけが学校生活ではありませんし」
基本的に他者と争うことが課されているこの実力至上主義の高校では、他クラスの生徒をライバル視する傾向が強い。
最近だと須藤が斉木のことをライバル視しており、堀北もどこか乗り越えるべき敵として認識している節がある。
しかし、先日の混合合宿を境にクラスを越えて打ち解け出す生徒も増え始めた。
ただ、後でこれがマイナスになる可能性もある。
強制的にいがみ合う関係に持っていかれた時、中途半端な友情がかえって逆効果を生んでしまうこともあるだろう。
話を終え、購入したコーヒーも飲み終わったところで3人で寮へと戻る。
オレはポストを見てから上がると伝えると、みーちゃんとひよりはエレベーターに乗り込んでいく。
ポストを確認しているのは父親からの接触がないかだ。
しかし、今日も何も無くエレベーター前にもどるとひよりがオレを待っていた。
「少しよろしいですか?」
「ああ」
エレベーター前から離れてロビーのソファーの傍へと行く。
「先程はみーちゃんの手前、お聞きしなかったことがあるのですが……」
少し周囲を確認してから、ひよりが口を開く。
「帆波さんのこと、何か聞いていますか?」
「と言うと? 妙な噂のことなら把握しているが」
「それです。あれはどなたが言いふらしたことなのか、ご存知ないですか?」
「いや……分からない」
坂柳、あるいは鬼頭や森重、あとは神室の名前を出すのは容易いが、それは避けておく。
「正直、私は帆波さんが苦しめられている姿を見るのは嫌なんです。彼女は私のように友達の少ない生徒にも、他の方と変わらずに接してくれます」
ひよりもみーちゃんと同じく一之瀬のグループだったな。
同じ食事を食べ、同じ場所で眠り、他の生徒たちよりも強い絆を感じたのだろう。
下の名前呼びなのもその影響か。
「本来、私は誰かを傷つけたりすることは好きではありません。ですが、友達を守るためであれば時には戦う必要があると思っています」
「そうだな、誰も彼も平等に救うことなんてことは、できるはずもない」
そうは言いながらも、オレはどことなくそれができそうな男のことを考えたが、今は忘れておく。
「他クラスである以上、帆波さんは敵ではありますが、きっと助ける方法はあるはずなんです。その方法は、今はまだ思いつきませんが……協力してもらえないでしょうか」
「協力、か」
言われて、オレは堀北か平田を紹介しようとして、ふと尋ねた。
「……斉木には協力を求めなかったのか?」
この場合、真っ先に名前が挙がるはずだ。
あいつは一之瀬と同じクラスだし、近しい距離にいると認識している。
頭もキレるし、こういうトラブルには向いている。
それは読書友達として、親交のあるひよりも思い至りそうなものだが。
既に協力を打診しているのならば、ひよりの口から斉木くんと一緒にや、読書友達みんなでと言ったりしそうなものだと思い、訊いてみる。
「斉木くん、ですか」
しかしひよりの表情は浮かない。
「もしかして断られたのか?」
「……はい」
今回の件、オレの思う斉木なら早々に動きそうなものだが、あいつは特に目立った動きを見せていない。
いや、これまでも目につくような動きはしていないが、目に見えた効果を発揮する解決策を用意していたりするので今回もそのパターンかと思ったが、未だに一之瀬にまつわる噂はあとを耐えない。
考えられることは一之瀬の成長のため、あるいは坂柳の策に乗るのが癪だからといった理由ではあるが、周囲の人間に止めるように請われたら動きそうではある。
「その、今回の件は帆波さん自身で解決するか、ほとぼりが冷めるまで待ったら終わるだろうと……」
どこか悲しそうな表情を浮かべて肩を落とすひよりは、見るからにショックを受けていた。
斉木にしては安直な手ではあるが、あいつの言うことも一理ある。
それにオレも同じ立場なら同じことを返すだろう。
「それと、帆波さんから直々に斉木くんは今回の件に手を出さないで欲しいと言われたそうです」
「そうか」
それならあいつが何もしない理由としては納得がいく。
今のAクラスは一之瀬のカリスマ性と求心力、そして一之瀬に足りない部分を斉木が補うことで成り立っている状態だ。
一之瀬が斉木に事態の収拾を頼むことになると、Aクラスは斉木頼りのクラスになってしまう。
一之瀬はそれが分かっており、そうならない為にも斉木を敢えて遠ざけたのだろう。
事と次第によっては、Bクラスの坂柳と葛城のように、クラス内で一之瀬派と斉木派などに別れてしまう可能性もある。
それこそ、今の一之瀬が最も望まない未来のひとつだ。
斉木には周りを引っ張るカリスマ性やリーダーシップは無いかもしれないが、人を惹きつける実力は十分にある。
それに斉木がいればなんとかなるという空気を生み出してしまえば、あいつは今以上に目立つことになるだろう。
「あいつも苦労しているんじゃないか。クラスメイトが悪く言われているのを黙って見ているだけというのは」
「そう、ですね……図書室にも顔を見せなくなりましたし、真っ直ぐ帰ってばかりのようです」
顔はいつも通りの無表情だが、内心では何を考えているか、それは斉木にも、いや斉木自身にも分かっていないのかもしれない。
「すみません、先程の話は忘れてください」
「わかった」
ひよりはそう言うとエレベーター前へと歩いていく。
オレはあいつが上に上がるまで時間を潰そうと携帯を開く。
すると、堀北からメッセージが来ており、今夜一之瀬と話すから来ないかという誘いだった。
そこに行けば話の詳しい道筋が分かるかもしれないが、それは同時にオレもまた今回の騒動の関係者になってしまうということ。
どうするべきかしばしの逡巡の後、オレは堀北に了承のメッセージを返した。
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神崎と現Bクラスの接触から今日で4日が経った。
昨日は堀北と一之瀬の話し合いに同席したが、一之瀬は堀北の助力を拒んだ。
更には斉木や他の人間の介入も拒否する姿勢も見せており、オレと堀北は一旦様子を見守るということで決着をつけた。
不審な電話もあったりしたが、それは一旦置いておく。
一之瀬に対する噂は日増しに広がり、今や全校生徒が知っていると言っても過言では無い状態にまで広がりを見せていた。
だが、被害者である一之瀬自身から学校側へは何の訴えも起こされていないらしく、本人も日々を当たり前のように過ごしている。
嫌がらせのような悪評を流されても毅然と対応する一之瀬には、1部からは流石一之瀬ッ! との声も上がり始めていた。
やはりは噂は噂でしかなく、全て真っ赤なでっち上げ、嘘だったのだ、と。
一之瀬が沈黙を貫き通したことで、一之瀬を陥れようという策略は不発に終わった。
誰もがそう思った時に第2の爆弾が起動していた。
その日の放課後に寮に戻ってきたオレは、ロビーに出来た人だかりを目撃することになった。
帰宅部が寮に戻ってくるタイミングではあるが、それにしては人が多い。
オレは近くにいた葛城と弥彦に声をかけた。
「何か騒動でも起きたのか?」
「ああ、ポストに手紙が投函されていたらしい」
「お前のところにも入ってるんじゃないか? 綾小路」
不服そうに腕を組んだ葛城が嘆くように呟き、弥彦にポストを見るように促されてオレはポストを見た。
《一之瀬帆波は犯罪者である》
そう書かれていた紙が入れられていた。
差出人の名前が入っているわけではなく、1行だけそう書かれていた。
沈静化しかけていた噂を思い出させるような一文は今までと異なり犯罪者と言い切っている。
何を犯したか、という点には一切触れられていないが。
「一之瀬も呆れていることだろうな、このイタズラには」
「けど、ここまであからさまな表現で書くと、色々な不都合が起こりそうなものですよね。何度も悪意のある行動をして、支障は出ないんでしょうか」
「一之瀬を陥れるためだけの内容だけに、学校に報告し、対処を求めれば、投函者を特定させられる可能性はある」
「馬鹿ですよねー」
「いや、そうとも言いきれん」
「そうなん、ですか?」
「そんな単純なことが分からない人間でもないだろう、あいつは」
「え……もしかして噂を流した人間が誰か、葛城さんはわかっているんですか?」
「あくまで目星に過ぎない。確証は無い」
そう、みんな実行犯も、この絵を描いている首謀者も見当はついている。
しかし、何の証拠もなければ被害者からSOSを受けたり、開示請求のようなものが出たという話もない。
誰も何も分からないという状況なのだ。
本当に坂柳がやらせているのか、鬼頭たちの言う通り橋本の放った噂を広めているだけなのか、あるいは2年の南雲や全く知らない3年生がうごいている可能性だってある。
しかし、葛城は出処に対して心当たりがあると言った。
そうなると、本命の坂柳が浮上することにはなるが。
「学校側が動くかどうかは、この件の中心になっている一之瀬の対応次第ではあるが……」
プリントを投函した人間は誰であれ、一之瀬が学校側に訴えを起こさないことを確信している。
何をしても沈黙を続けるであろうことを。
一之瀬が噂や手紙に対してアクションを起こさなければ、学校が動くはずもない。
そんな中、一之瀬が帰宅してきた。
というよりもクラスの仲間から連絡を受けて、急いで寮に戻って来させられた。
そんな様子であった。
そしてすぐ、友人からプリントを渡され目を通す。
オレや葛城、この場にいる10人ほどの生徒が一之瀬を見つめる。
「……」
一之瀬は言葉を発したり、表情を変えることなく、ただただ、ジッとプリントを見下ろしている。
読み上げるのに1秒もかからない1行だけのプリント。
それを何十秒もかけて、繰り返して読んでいるのが視線から伝わってきた。
「……これがポストに?」
「うん……酷いことするよね。多分1年全員に……」
一之瀬に問われて網倉麻子が一之瀬を抱きしめた。
「ねぇ、我慢する必要ないよ。先生に相談しようよ? こんなの許せない」
「そうだよ、先生たちなら、きっと犯人を見つけてくれるよ!」
そう口々に言うクラスメイトに一之瀬は首を振った。
「大丈夫、私、これくらいのこと気にしないから」
「だ、ダメだよ。これじゃ帆波ちゃん、どんどん悪い噂広まっちゃう」
クラスメイトが必死に一之瀬を説得する。
沈黙を貫くことに迷いのない一之瀬だが、周囲は違う。
何とかして一之瀬を助けようとする。
潔癖だと証明させれば相手への制裁にも繋がるだろうが……。
「みんなごめんね、私のことで変に気を使わせちゃって、でも本当に気にしないで」
そう言って、Aクラスの女子たちに笑顔を向ける。
この紙が仕掛けられたのはほぼ間違いなく深夜。
朝にポストをチェックする生徒はかなり限られているし、発覚するとすれば放課後のこの時間になる。
あとは誰かが見つけて、一之瀬の耳に入るのを待つだけ。
動揺するAクラスを安心させるように言い放った一之瀬の言葉は当然オレたちにも聞こえている。
それに反応したのは網倉たちではなく、別の人間だった。
「それならさっさと事を片付けたまえ、キュートガール」
ゾロゾロと一之瀬を見つめていた人だかりが自然と開いていき、姿を現したのは高円寺だった。
「……ごめんね、高円寺くん。君にも心配かけてるのかな?」
「いいや。私は欠片も君のことは心配していないさ。こんなくだらない幼稚な噂にも一切興味がない」
申し訳なさそうに言う一之瀬に高円寺はいつになく冷たい声色で言った。
「私の友にわざわざ手出し無用と釘を刺したのならさっさと解決したまえ。友の暗い顔を見せられるのは私も好きではない」
高円寺の口から出た友という人間に女子生徒は「誰のこと?」と困惑を浮かべているが、林間学校での高円寺の様子や大浴場での一幕を見ている男子生徒たちは高円寺の言う友人が斉木であると理解していた。
「君のせいで素敵なデザートタイムを断られて私も傷心なのだよ。だからこのような不愉快な茶番はさっさと終わらせてくれると嬉しいねぇ」
「茶番って……、あなた」
斉木がデザートを断った? オレはその事に衝撃を受ける。
しかし、Aクラスの女子は高円寺の友人が斉木とは知らないため、高円寺の不遜な物言いに食いかかろうとするが、それを一之瀬が手で制する。
「大丈夫だよ、夢ちゃん」
そう高円寺に詰め寄ろうとするクラスメイトを一之瀬が止める。
「うん、高円寺くんの言う通りこんな茶番は私の手で終わらせるから……もう少し待ってて貰えないかな?」
「私は我慢弱くてねぇ。かと言ってこの問題に手を出すのは私の主義ではないし、友から怒りを買うかもしれないのでねぇ。君が君の力で何とかできるというのならできるだけ早急に頼むよ」
一之瀬にそれだけ言うと高円寺はスタスタと歩いて行く。
それを見て葛城が「なんだったんだあいつは……」とボヤいていた。
葛城としても一之瀬の沈黙は気になるところだが、直接聞くこともせず、結局、部屋に戻って行く。
オレも葛城に続いて立ち去ることにした。
斉木が今回の件に介入しない理由、それは一之瀬自身に乗り越えさせること、斉木の介入を一之瀬が望んでいないこと、そして一之瀬自身が自らの力で乗り越えることを選んだから、斉木は敢えて何もしていないのかもしれない。
ただ本当のところは一之瀬にしか分からない。
オレにはあいつの心が読めるわけでもないしな。
後方で一之瀬の言葉を聞いた一部の生徒が解散していくのを感じながらオレもまた寮の自室へと戻った。
一之瀬帆波(くすえもんの世界のすがた)「私が1人で坂柳さんに勝たないと……くすえもんが安心して実家に帰れないんだ……!」って感じの話
堀北と一之瀬の話はほぼ原作通りなので割愛
書くことがあるとすれば神崎が独自に動いている話から堀北が「斉木くんは?」って聞くくらいだったからね
一応この時に堀北は楠雄が動けない、動く気がないことを綾小路からやんわりと聞く
楠雄の怒りメーター 55% とぼけ顔とか呆れ顔せずにほぼ無表情な感じ 話しかけられた時のレスポンスはハッキリしてるけど、ネタとかは挟んで来ずに要件だけ聞いて淡々としてる感じ……かな?後述の通りスイーツへの興味も薄れてきてる
この回までに楠雄になんとか出来ないかな?って聞いた人
柴田 浜口 姫野 網倉 白波……などAクラス多数
クラス外だと今のところ椎名くらい
なお、みんな一貫して『人の噂も七十五日と言うし、放っておけばいいんじゃないか?本人が何とかすると言ってるんだし』て言われてる
柴田と浜口、姫野などは一之瀬さんの釘刺し知らない
仲のいい女子は知ってるけど知った上で楠雄に聞いたからそれで楠雄はちょっとイラッとしちゃったらしい
椎名はグループ一緒だったし近しくなって本当に心配してたから、一之瀬さんに釘刺されてることも言って何も出来ないことは伝えた感じ
そろぼち神室から接触もあるからさらにストレス溜める(なんでお前らのリーダーの企てたマッチポンプの為に僕が出ないといけないんだ?あ?)みたいな感じ
高円寺はバレンタイン前に美味そうなビュッフェやってんじゃーん!楠雄誘ったろ〜!って思ったら気分じゃないと断られて興味なかった一之瀬帆波犯罪者疑惑に興味を持った
けど、楠雄が何もしてないってことは何かするとワンチャンこれから勝負してくれない可能性あるし、見かけたら発破だけかけて終わりにするか〜で後半のような発言になった
高円寺もそこそこ機嫌悪い
楠雄を引きずり出すために回りくどいことしすぎと思ってる
ただそれを被害者の一之瀬にぶつけるのは違うのでちゃんと弁えた発言にしてる
ちなみに楠雄には『行きたいのは山々だが生憎と気分じゃないんだ。仲のいい先輩女子などを誘って行ってくれ。その方が君も楽しいだろう』と言われてる
あのスイーツ好きで有名な楠雄が誘いを断るレベルなので高円寺もそりゃ察する
楠雄のポストにもプリント入ってたけどパイロキネシスで燃やしてる
誰が一番かわいそうかこれもうわかんねぇなってことでまた次回