ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

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お前のためにチームがあるんじゃねぇ
チームのためにお前がいるんだ

楠雄視点と坂柳視点の二刀流です
南無、天満大自在天神


Ψ疑心と親愛の間

 唐突に発表された追加試験に、Aクラスの面々は面食らっていたが、他クラスに比べれば動揺は少なかった。

 その理由はクラスポイントやプライベートポイントの仕組みなどが学校から発表された5月から全員で貯蓄をしていたためである。

 初月は20000ポイント、以降は35000ポイントをクラスメイト39人が送ってくるため僕のプライベートポイントの表示は恐ろしいことになっていた。

 中には今月はそんなに使わないからとか、本当に僕のことを銀行のように扱って来るやつもいたが、銀行は銀行なりに誰がいつ、いくらポイントを送ってきたかなどを把握している。

 なお、自分のはあまり把握していない為、体育祭終わりに入ってきた10万ポイントがなんなのかがよく分かっていない。

 柴田が送ってきたのかと思ったが、そうでもないらしく、なんなんだこのポイントはと思っているとどうやら体育祭の最優秀生徒への報酬らしい。

 じゃあやはり柴田なのでは? 

 僕は個人競技では基本的に2位ばかりだったし、1位と2位の差は大きいはずだが。

 結局のところ柴田っぽかったが、本人は使い道がないというので貰えるものは貰っておこうと今回の試験に使うポイントに足しておく。

 

「斉木くん、どう? ポイント足りそう? (甘く見積もっても200万くらいは足りないと思うんだけど……?)」

 

 この試験の開催が決まり、一之瀬さんはクラスにあるお願いをした。

 試験前日の放課後まで仲良く、普通に過ごして欲しい、と。

 ただそれだけを伝え、詳しい戦略を話すことはしなかった。

 ギスギスしあっていても得られるものは何も無いという考えのもと、Aクラスの面々は忠実にそれを守ることにした。

 それがこのクラスのためになることを、彼ら彼女らは1年で学んでいたのである。

 それは担任である星之宮先生も同じ考えのようだ。

 試験内容を説明している時は(私の仲良しAクラスを崩壊させようとしやがってなーにが帳尻合わせよ! ふざけんじゃないわよ! ったく、誰が考えたのか知らないけど絶対文句言ってやる!)と憤慨したがそれを表に出さずに試験内容を淡々と口にしていたのは一応は教師ができる大人なんだなと感心させられたものだ。

 それに彼女なりにこのクラスを想っているということもわかった。

 

(ぶっちゃけ、この試験が始まるって言われた時はキレそう……っていうかちょっと? キレてたけど……斉木くんと一之瀬さんがああして顔つき合わせて話し合ってるのを見れるのは眼福ね……クラス貯金もしてたみたいだしうちは退学の心配は無さそうね)

 

 ホームルームが終わっているというのに休み時間の教室にいて、僕と一之瀬さんが話しているのを眺めているのはいただけないが。

 星之宮先生はこの試験の理不尽さを感じる教師の1人として、彼女のせいではないとはいえ苦難を強いているAクラスに申し訳なさをもっていた。

 退学者を出さず一致団結できるクラスだからこそ強く、このクラスは輝いているのに、ここで退学者が出ることになれば影を差すと考えていたのだろう。

 それが今は満面の笑みなので、メンタルリセットできて良かったですねとしか言いようがない。

 

「さ、斉木くん? 聞いてる……? (ち、近いかな? でもいつもこれくらいの距離だったよね?)」

 

 ん? ああ、聞いてる聞いてる。

 距離に関してはこんなもんじゃないのか? 

 というか、一之瀬さん、何か香水でも使ってるのだろうか。

 いつもとは違う匂いがするが、まあ女子は匂いとか気になるのだろうし、別に言う必要はないか。

 

『問題ない。最悪足りなさそうならみんなから追加で25000ほど貰えばいけるんじゃないか?』

「え? 不足って100万ポイントなの? (思ったより少な……いや多いっちゃ多いんだけど。でも、それくらいならなんとかなりそうかな)」

 

 実際には足りないのは300万ほどだが、さすがに75000ポイントも出せるほどの余裕が……ありそうだな、このクラスなら。

 しかし、人によっては困る者もいるだろう。

 まだ3月の頭だしな。

 

『ああ、僕の携帯には116億飛んで320万ほどある』

「あー伊勢志摩ホテルの絵画107点とか不動産売った額だっけ? あれ見終わったんだけど、続きとかあるの?」

『あるよ』

 

 あるよのおじさんのように言い、また今度貸してやるかと考えていると、トイレから戻ってきた柴田がこちらにやってくる。

 

「なぁ聞いたか2人とも。Bクラスは坂柳を退学にするらしいぜ」

「えっ? そうなの? 坂柳さんが?」

「あぁ、さっき廊下で戸塚が言ってたぜ。うちは坂柳が立候補してくれたから心配ないってさ」

 

 大体のことはテレパシーなどで聞いていたから驚きはないが、一之瀬さんに負けたからあそこまで萎むとは思わなかったな。

 僕や綾小路、高円寺とあとは龍園くらいだろうか、彼女が見下していなかったのは。

 それ以外の生徒のことは自分より頭の悪い相手としか思っていないだろう。

 一之瀬さんに負けたことは相当こたえたらしい。

 

「私はそんなに気にしてないのにな……一応事実だったし」

「けどあれはやりすぎだったしな。てか、坂柳が責任取って退学するってことはやっぱりあれは坂柳の仕業だったってことじゃんか」

 

 そこまでは言ってなかった気がするが、そう見られても仕方の無い行為だな。

 現状、坂柳さんの学年全体の好感度は下がっており、他クラスの生徒を過去の犯罪歴をネタにいじめていたということもあって、かつての橋本よりもやや下だ。

 本人はまだ一之瀬さんに謝ってないし、認めていないのだが、自分自ら退学を申し出たのはそういう意図もあるのかもしれないと周りは受け取るだろう。

 僕としては別に去ってもらっても構わないため、特に気にすることでは無い。

 彼女も言っていたが自業自得だしな。

 

「そういえば、斉木くん、坂柳さんに1つ言うことを聞いてもらうってやつ、何か頼んだりしなかったの? (坂柳さんとは冬休み以降会ったみたいな話聞かなかったし、最近も噂のこともあって話してなかったみたいだし)」

(え、なにそれ。初耳なんだが?)

「……あ、ごめん、言っちゃまずかった?」

 

 言ってしまったものは仕方ないだろう。

 他のクラスメイトも何人か驚いているが、僕が数学のテストで100点を取った経緯なども話せば直ぐに終わる話だ。

 その辺の説明だけ任せて、そういえばそんな話もあったなと僕は考える。

 

「でも他クラスとはいえちょっと寂しいかもね。坂柳さんとはあんなこともあったけど、冬休み前に一緒にビュッフェも行ったしさ。他のクラスの子も1人は退学しちゃうんだね」

 

 この子の優しさは時々眩しいがここまで来ると一種の病気な気がする。

 櫛田さんあたりなら、他クラスのことまで気にかける私優しいという打算も含んでそうだが、一之瀬さんにはそれが一切無い。

 坂柳さんのことも恨んでいないし、むしろ過去を乗り越えるきっかけをくれてありがとうと思っている。

 母さんと同レベルの善人っているんだな。

 

「とりあえず試験の前日にまたポイントの事は確認しよっか。2、3年生も特別試験前だって言ってたけど、もしかしたら貸してくれる先輩がいるかもしれないから当たってみるね」

「俺もサッカー部の先輩とかに聞いてみるぜ」

 

 それは他のクラスの奴らもやるんじゃないかと思うが、何事もやってみてからだ。

 ということで、僕もやることをやるとしよう。

 今や学年の嫌われ者ということであれば、そんな人間と関わるモノ好きとして僕の好感度を下げるのにはちょうどいいし、何より僕にはまだ命令権が残っている。

 だが、さすがに退学までに使わないポイント全てをよこせと言うと世間体が良くない。

 となると、方法は僕が実家でやってる手になるな。

 そうして、放課後になると僕は彼女が帰る前に彼女の教室へと向かう。

 クラスのアルファベットが変わろうとも教室の位置などは変わらないため、教室を出て左に歩いていくと元Aクラスの教室がある。

 歩いていくと僕らよりも少し早めにホームルームが終わっていたため、何人かの生徒が廊下に出ていた。

 

「どうしたんだよ珍しいなお前の方からこっちに来るな……って無視ぃ!?」

 

 悪いがお前に関わっている時間はないんでなと橋本の横を通り抜けて教室の中に入る。

 

「どうした斉木(珍しいな、こいつが教室に来るなんて)」

 

 入口前で戸塚や他の生徒と話していた葛城は僕に気づくと声をかけてくれるが、気にしないでくれと軽く会釈だけしておく。

 一之瀬さんも善人だが、こいつも中々にお人好しすぎる。

 自分は関係ないのにクラスメイトが迷惑をかけたとAクラスの前で頭を下げていたからな。

 坂柳さんやその派閥が動いていることを知っていながらも止められなくてすまなかったと言っていたが、葛城はクラスが同じであっても無関係であったし、Aクラスの生徒は誰1人葛城を糾弾することはなかった。

 それに今回坂柳さんを退学させることに納得もしていないようだしな。

 生きにくい生き方をしているが、僕としては嫌いではない。

 

 だが、今は僕の用事だ。

 目当ての人物は帰り支度をしている途中だったので、席まで歩いていく。

 近づいてくる足音を不審に思ったのか、坂柳さんは顔を上げ、僕の顔を見ると驚いたように目を見開く。

 

「ごきげんよう、何かご用ですか? 楠雄くん(用もなければ私のところになんて来ないでしょうが)」

 

 随分と卑屈になった坂柳さんは、手を止めて僕を見たままに微笑む。

 一応林間学校でも会ったわけだが、あの時のやり取りは僕からすれば既にどうでもいいことだ。

 

『僕を買わないか? 坂柳さん』

 

 そう端的に伝えると、坂柳さんは表情を歪ませた。

 

「……はいぃ?」

 

 

 

 ###

 

 

 追加試験の内容が説明され、退学するのが私と決まってからのBクラスの空気は穏やかなものでした。

 残りの批判票を誰に入れるか、他クラスへの賛成票をどうするかなどを話すクラスメイトもいましたが、試験発表当日なのですからこれくらいはするでしょう。

 かく言う私も誰に票を入れようかくらいは考えていました。

 無記名投票ができない以上は誰かにいれるしかありません。

 批判票はあみだくじなどで決めることにして、賛成票をどうするかを考える。

 賛成票が多く集まった人にはプロテクトポイントが与えられる点から、今後に期待できる人が有利でしょう。

 綾小路くんか楠雄くんなのですが、綾小路くんのお父様の暗躍も考慮すれば、綾小路くんに1票投じて置いた方が今後のためになるでしょう。

 

 今までの私なら昼休みにでも他クラスの動向を神室さんと橋本くんに調べさせていましたが、退学することが決まっている私がそんなことをする必要はない。

 そもそも、調べてくれる神室さんと橋本くんが私の隣にはもういないのですが。久しぶりに1人で食事を摂り、1人でお手洗いに行く。

 そして、今日も1人で帰る。

 退学までの僅かな期間ではありますが、周囲の私を見る目はざまあみろといった目から、少し同情するような目と様々ですが触らぬ神に祟りなし。

 私を救うということは他の生徒が代わりに退学するということになります。

 放課後になり、帰り支度を進めていると廊下の方が少し騒がしくなっていました。

 騒がしいといっても橋本くんの声が聞こえただけですが。

 

「どうしたんだよ珍しいなお前の方からこっちに来るな……って無視ぃ!?」

 

 橋本くんの知り合いでしょうか。

 彼はペーパーシャッフル試験の際に学年全体で評価を落とすことにはなりましたが、それでも彼と仲良くする方は多い。

 バレンタインでもチョコレートを貰っていましたしね。

 そんな彼の知り合いで彼を無視する……龍園くんでしょうか。

 私のことを笑いに来た……いえ、彼もそこまで暇では無いでしょうし、考えすぎでしょうと帰り支度を再開すると、教室内が一瞬にして静まり返ります。

 何事でしょうかと静まった原因が気になり入口を見る。

 

「どうした斉木」

 

 見れば、ピンクの髪の毛に可愛らしいアンテナのようなヘアピンと奇抜ながらもよくお似合いのメガネをした楠雄くんが葛城くんに声をかけられていました。

 なるほど、確かに彼がこのクラスに来ることは珍しい。

 いえ、そもそも彼が他クラスを訪ねるというのが初めてかもしれません。

 橋本くんや神室さん、山村さんに尾行させていた時は図書室かスーパーくらいにしか寄らず、あとは真っ直ぐ寮に戻っていたからです。

 彼のことは気にせず帰ろうとするも、こちらに向かってくる足音が聞こえると共にそれは私の真横で止まりました。

 教室と廊下から向けられている視線が一斉に私の方へと向きます。

 いつものように無機質で何を考えているのか全く読めない瞳で座る私をじっと見る彼に私は一言だけ告げます。

 

「ごきげんよう、何かご用ですか? 楠雄くん」

 

 用もなければ私のところになんて来ないでしょうが。

 Aクラスの生徒の誰かが一之瀬さんへの謝罪を要求しに来るとは思っていたのでその件でしょうかと思いつつ用件を尋ねてみると返ってきた言葉は全く想定も予測もしていないものでした。

 

『僕を買わないか? 坂柳さん』

 

 はいぃ? 

 

「……はいぃ?」

 

 いきなり何を言い出すんでしょうかこの人は。

 私の聞き間違い? 

 いえ、クラスメイトの反応からして彼が言ったことは間違いなさそうです。

 様子が気になって戻ってきた橋本くんや、聞き耳を立てていた葛城くん、そして帰ろうとしていた神室さんも奇想天外にして突拍子もない斉木くんの言葉に足を止めていました。

 

「ええと、すみません楠雄くん。話が見えないので説明をいただけますか?」

 

 普通の理解力があれば説明は不要などと言われるとかなり困りますが、今回は私の方が正しいでしょう。

 

『ポイントが欲しい。君、退学。ポイント使わない。OK?』

 

 ……大方、Aクラスは退学者を出さない方針で固めたはいいものの、集めていたポイントでは2000万ポイントには届かなかった。

 私は元々Aクラスにいたため、龍園くんに毎月ポイントを流しているにしても、それなりの蓄えはあるはず。

 そして、私は退学するのなら持っているポイントも意味がない。

 ならば、その前に回収させてもらおうということなのでしょう。

 

「そういえば、楠雄くんには私に対する命令権がありますね。わざわざ私が楠雄くんを買わずとも、それを使えばいいのでは?」

『君はなんだかんだ理由をつけて言うことを聞いてくれないじゃないか』

 

 いや、それはその……。

 あの時はどうかしていたというか。

 ちょっと才能のある若者に興味を覚えてちょっかいかけたら思ったよりすごかったので、関わるなと言われると困ってしまうと思って……。

 というのは言い訳でしかありませんね。

 

「いいですよ。残りの数日、生活できるだけのポイントがあれば構わないので」

『いやそれだと僕が弱いものいじめをして君から取り上げたみたいになる』

 

 私が弱い……? 

 ああ、まあ今の私の立場だとそうなりますか。

 

「強者が弱者から取り上げるのは当然のことですよ」

『僕はそう思わないし、そういうやつになりたくない。だから、ギブアンドテイクを提案しているんだ』

 

 そう言って淡々に説明する楠雄くん。

 私が退学するまでの間、楠雄くんにそれ相応のポイントを支払えば、楠雄くんがなにか手伝ってくれたり、行動を実行してくれる。

 悪意のあるものや、他者を傷つけるものはNG。

 性的なものや、道徳や倫理違反に触れるものもNG。

 彼の要求は大体このようなものでした。

 

「つまりポイントを払えば、私はある程度のことならお願いごとを聞いてもらえるということですか?」

『そうだ。話し相手からチェスの相手、買い物もするし、退学までの思い出作りがしたいというのならポイント次第でやる』

 

 ……それは悪くありませんね。

 一之瀬さんを使って勝負の場に引きずり出そうとしていたのが、こんなあっさりと。

 いえ、これは私が退学すると判ったからしてきた提案。

 それに命令権があるため、私は断ることができませんし、お受けする他ありませんね。

 

「……分かりました。買わせていただきましょう。残りわずかな時間ではありますがよろしくお願いします」

『こちらこそよろしく頼む』

 

 私が右手を差し出すと楠雄くんもそれを握り、握手します。

 理由はどうあれ、穏やかに終わるはずだった私の学校生活は楠雄くんのおかげで少しは楽しいものになりそうです。

 

「では、早速ですがお願い事をしてもいいですか?」

『少し待ってくれ。準備する』

 

 契約書などでしょうか? 

 別に書かずともちゃんとポイントはお支払いしますが……と、楠雄くんは私どころか他のクラスメイトたちと視線が合わないように下を見ながらメガネを取り替えます。

 そのメガネは普段しているものではなく、1000の百の位と十の位の間にメガネのブリッジがあり、千の位と一の位にテンプルがついたメガネでした。

 

「……? えっと、すみません楠雄くん、それは……?」

『違う。僕は楠雄じゃない。僕は君を助けるもの、1000プライベートポイントマンだ』

「……はいぃ??」

 

 ブリッジを押し上げて不敵に笑う彼に、私は今日二度目の当惑の声を出しました。

 まさかとは思いますが、私といる間はそのメガネなんでしょうか……。

 

『で、お願いとはなんだ?』

「……そうですね、とりあえずは……」

 

 そう言って私たちを見ながらもどう接していいのか分からず当惑しているクラスメイトの方々を見ます。

 

「彼らにちゃんと説明をしてください。じゃないと面倒事の種になると思うので」

『1000ポイントになります』

「……送るので連絡先教えてください」

『1000ポイントになります』

「これもなんですか!?」

 

 もう使い道のないポイントですが、こんなことで…………というか、楠雄く『1000プライベートポイントマン』……1000プライベートポイントマンの連絡先って1000ポイントで買えちゃうんですね……いや、今回の場合の特別価格の気もしますが。

 連絡先を貰って、そこからポイントを2000ポイント移します。

 すると、1000プライベートポイントマンは……ってやっぱり楠雄くんで良くないですか? 

 というか、さっき私の心を読まれたような……気のせいでしょうか……。

 楠雄くんは葛城くんや橋本くんといったBクラスの皆さんに1000プライベートポイントマンになったことを伝えます。

 すると、森下さんが質問します。

 

「1000プライベートポイントマンは、私達も1000プライベートポイントマンに1000プライベートポイントを支払えば何かお願いできるのですか?」

『坂柳さんが特にお願いごとがない時間帯なら可能だ』

「なるほど、ありがとうございます。1000プライベートポイントマン」

 

 なんだかプライベートポイントという言葉が飛び交いすぎて変な気持ちになりました。

 1000プライベートポイントマンの提案を飲んだのは失敗だったかも……なんてことを考えつつ、私は席を立ちます。

 

「では、帰りのお供をお願いしてもいいですか? えーっと、1000プライベートポイントマンさん?」

『別に名前で呼んでくれていいぞ。さっきのは携帯に入れる連絡先の名前を伝えただけだからな』

「……はい、では楠雄くん。お願いしますね」

 

 この数分でどっと疲れた気がしますが、まあいいでしょう。

 チェスの相手などもしていただけるようですし、帰り道も荷物持ちをしていただけるのであれば私の負担も減ります。

 

『ほらほらどいたどいた、坂柳さんが通るぞ』

 

 ……いえ、少し負担かもしれませんね。

 あと僅かな日数ではありますが。

 




橋本(な、なんなんだありゃ……)
神室(ええ……)
葛城(ど、どういうことだ……?)
白石(あらあらまあまあ)
西川(やっば、斉木くんマジで面白いんだけど)
森下(そのメガネくださいとか1000ポイントあげるから1000ポイント返してというお願いなども受けてくれるのでしょうか?私、気になります)

戸塚の坂柳のポイントはBクラスのポイントだろという暇も与えない1000プライベートポイントマン

1000プライベートポイントマン
スペック
1000ポイント以上払うと1000プライベートポイントマンがOKと思ったお願いなら叶えてくれる
お願いの内容によってポイントは変化する
斉木楠雄ではないらしいが、斉木楠雄と同じことができるらしい
が、斉木や楠雄と呼ばれても反応するので斉木楠雄なのかもしれない

坂柳との帰宅編は次回
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