ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

110 / 129
君達まとめてこれ1話で十分かな♣︎

シリアス「ボルトチェンジ」
トンチキ「地獄から舞い戻ってきたぞ」

って感じ


万能Ψ能

 目が覚めて、洗面所に行って顔を洗い、歯を磨き、母さんの用意してくれた朝ごはんを食べる。

 

「楠雄、今日は早いんだな」

『まぁちょっとな』

 

 いつもは父さんより少しあとにリビングに来ていたため、父さんは少し意外そうな様子で僕を見た。

 

「パパも早く食べちゃってね〜」

「もちろんだよ。ママの作った手料理なら……って今日はランチパックなんだね」

「ごめんなさい、昨日でマーガリン切らしちゃってて(くーちゃんに頼もうと思ってたけど帰ってくるの遅かったから)」

「ううん、構わないよ。たまにはこういう朝ごはんも悪くないよ。ありがとうね、ママ(菓子パンなんて久しぶりだなぁ)」

 

 相変わらず仲のいい両親の会話を聞きながら、僕は朝食を済ませると再び洗面所に行き、歯を磨く。

 ちなみにこの洗面所は寮の方である。

 水道代や電気代は支払わなくていいため、少しでもこちらで使っておけば実家の生活費がマシになるだろうという建前と学校側から怪しまれないためである。

 あとは来客があった際に使用痕などがないと訝しまれる可能性も考えてである。

 あと、ここなら顔を洗う時にメガネを外しても誰かと目を合わせるリスクもないしな。

 着替えなどもこちらで済ませていくと、携帯にメッセージが届く。

 見れば坂柳さんが登校も手伝って欲しいと言う。

 昨日のこともあったため、登校するか微妙なところではあったが言われてもいいように、念の為少し早く用意しておいてよかったな。

 早起きは三文の徳のうちの1つ目と考えておく。

 テレパシーで母さんと父さんに行ってくると伝えて、部屋を出る。

 坂柳さんからはロビーで待っていて欲しいと言われているため、1000プライベートポイントマンのメガネをかけてロビーで待つ。

 すると当然、そう多くはないが少し早めに登校する同級生からは奇異の視線を受けることになる。

 

(あれって斉木だよな? 昨日の掲示板の書き込みの1000プライベートポイントマンってあいつのことか?)

(Aクラスきっての変人じゃん。近づかないでおこう……)

 

 僕とあまり関わりのない生徒は視線を少し向けてはササッと去っていく中、僕と面識のある生徒の1人である堀北さんは僕の姿を見ると綺麗な2度見を決める。

 

(斉木くんね、この時間には見たことがないわ……ってまだあのメガネをしてるの?)

 

 素通りしようとしていたが、何か言いたいことができたのか僕に近づいてくる。

 

「おはよう、斉木くん。それともあの長ったらしい名前を呼んだらいいかしら?」

『いや、どちらでも構わない。それはそうとして、おはよう、堀北さん』

 

 堀北さんは長い黒髪をなびかせながら、鋭い目つきで僕を見てくる。

 

「今度の試験、Aクラスは2000万ポイントを使って退学者を出さない。その方針のために貴方がポイントを集めている。ということでいいのかしら?」

 

 堀北さんは僕のメガネを見ながら少し眉根を寄せる。

 

「でもそんなチマチマ1000ポイントずつ集めていて当日間に合うものなのかしら」

 

 堀北さんの言うことはもっともだ。

 坂柳さん1人では取れるポイントの量はたかが知れている。

 しかし、何も坂柳さん1人からポイントを貰う必要はない。

 僕のやっていることを聞きつければ昨日の龍園のようにからかい混じりになにか頼んでくる生徒が出てくるだろう。

 その生徒も巻き込んでポイントを貰えれば2000万ポイントには十分届く計算だ。

 まあ坂柳さんが思ったより貢いでくれているのでそう焦る必要もないのが現状でもある。

 

「貴方が人助けをしてポイントを得るよりも現実的なプランはたくさんあるように思うわ」

 

 にしてもこの子、僕が返事しなくてもずっと喋ってるな。

 電柱と喋っているのとそんなに変わらないぞ今は。

 

「……ねぇ、まさかとは思うけど1000ポイント払わないと何も返事が貰えないのかしら?」

 

 ようやく気づいたのか堀北さんは頭痛をおさえるかのように額に手を当てる。

 

「はぁ、理解したわ。ならまた後で話しましょう。私も貴方に聞いてみたいことが幾つかあるもの」

『えっ』

 

 そう言って堀北さんはスタスタと寮を出て行った。

 そのタイミングでちょうど坂柳さんが来る。

 

「おはようございます、楠雄くん。相変わらずお早い到着ですね」

 

 人を待たせるのも待たすのも好きじゃないからな。

 坂柳さんも来たことだし、手荷物を持ってやり学校へと向かう。

 すると、坂柳さんは不思議そうに僕の方を見てくる。

 

(今日は手を繋いでくれないのでしょうか? もしかするとあれは昨日限り?)

 

 そういうことだ。

 壊れ物を扱うようでこっちも怖いんだから僕が聞いてくれるお願いごとのボーダーラインを知るためだけだったらもう必要ないだろう。

 坂柳さんのペースに合わせて登校していると、どうしても知り合いには会ってしまう。

 生徒会長ともなると重役出勤は叶わないのか、南雲が僕と坂柳さんを視界に入れるなり声をかけてきた。

 

「こりゃあ珍しい組み合わせだな」

「どうも、生徒会長」

 

 声をかけられた坂柳さんは会釈を返すが、今の僕はただの付き人であるため、特に口を開くこともせずに2人の様子を伺う。

 

「1年の試験のことは聞いたぜ。誰か1人クラスから退学者を出すらしいじゃないか」

「ええ。流石生徒会長、お耳が早いですね」

「まぁな(とはいえ、生徒会が完全に関与していない試験だ。いくら退学者が0だからって学校側がこんな試験をやるとは俺も思わなかったが)」

 

 既に2年生の間でも話題にはなっているようだ。

 

「お前らのクラスはこの試験にどう立ち向かうんだ? (聞くまでもないが、一応聞いてやるか)」

「そうですね、私のクラスはクラスに不要な生徒を生贄にする方針でまとまっていますよ」

「へぇ、流石坂柳だな。一之瀬に撃退されても、心は折れてないようだな」

 

 一之瀬さんの噂のことは校内に広がっていたから知っているとして、坂柳さんが一之瀬さんに弁舌で負けたことも把握しているようだった。

 1年生にはまだ生徒会役員がいないというのに、どうやって情報を仕入れているのだろうか。

 

「そんなにお褒めいただくほどの人間ではありませんよ、私は」

「(こいつも一之瀬と同じで謙虚だな。この前話した時と少し雰囲気が違うように感じるのはそのせいか?)で、お前のところはどうなんだよ斉木」

 

 南雲の眼が僕に向けられるが、僕は反応をすることなく黙っている。

 

「なんだ、黙りかよ」

「今の彼は1000プライベートポイントマンなので、話を聞きたいのなら1000ポイント払わないとダメですよ」

「はぁ!? (そういえば昨日なんか変な書き込みがあったって言ってたな……あれスパムとかイタズラじゃなくてガチのヤツなのかよ……)」

 

 坂柳さんかそう説明すると南雲は信じられないと言いたげな様子を見せていた。

 しかし、僕がポイントを集めているということから、僕のクラスの方針は掴めたらしい。

 

「なるほどな、お前のクラスらしい方針だ。そのためにお前が動くのは意外だな(そんなクソ目立つメガネして……)って、おい、なんで0が増えてるんだ……しかも、1000万だぁ?」

(生徒会長は龍園くんと同じ括りなんですね)

 

 龍園と同じくこいつからのお願いごとなんてろくな事がないからな。

 ただ南雲の場合は2年生全体からポイントを集めているようだし、少し期待できる。

 

「その価値がお前に……(ないとは言い切れないな。2度、いや体育祭も含めれば3度も俺を負かした男だ。ちっ、朝から気分悪いな)。必死だな、そんなにポイントが欲しいかよ」

 

 あって困ることはないからな。

 一之瀬さんは貸してもらうプランを考えていたが、プライベートポイントを簡単に貸してくれる相手など限られている。

 数千、数万ならまだしも、今回の額は何十何百万という規模だ。

 3年生も2年生も特別試験を控えているというし、そこで使えるかもしれないプライベートポイントを返す当てがあったとしてもいつ返ってくるか分からない1年生に貸せるような生徒は早々いない。

 貸す条件によっては、貸すにしても足元をみてきそうな気がするしな。

 

「まあせいぜい頑張れよ」

『1回100万ポイントで勝負してやってもいいぞ』

「(な、なに? 100万? ふっかけすぎだろ。いや、100万払ったら斉木が真っ向から俺と戦うってことだよな? 体育際、クリスマス、林間学校でこいつに負けたまま、堀北先輩と対峙するよりも、こいつに勝ってから先輩を倒す方が……)……少し、考えておいてやるよ」

 

 南雲はそう言うと足早に教室に向かった。

 冗談のつもりで言ったんだが、どうやら僕と勝負したいという欲求はあるらしい。

 坂柳さんとは教室まで一緒に行き、彼女が席に着いたところで今回のお願いは終了となる。

 

「楠雄くん、昼休みと放課後、少し時間をいただいてもいいですか?」

 

 その前に坂柳さんが僕にそう言ってきたため、断ることなく了承する。

 どうせ放課後も引っ付いてポイントを貰う気だったからな、昼休みも稼げるのであれば文句はない。

 

「少し早く着いてしまいましたし、私はゆっくりしています。楠雄くんもここからは自由にしてもらっていいですよ」

 

 朝のホームルームが始まるまでは確かにまだ余裕がある。

 まあ1000プライベートポイントマンの格好でいることだし、もう少し稼……善行でもしてみるか。

 そう思い、振り返ると待ってましたと言わんばかりに2人の女生徒に捕まった。

 

「お久しぶりです斉木くん。林間学校以来ですね」

「おひさ〜昨日はびっくりしたよ。あれ? 東横女子ならぬ高育男子みたいな?」

 

 お淑やかな挨拶をしてくる白石さんと朝からテンション高めな西川さんが声をかけてくる。

 

「1000ポイントで可能な範囲でお願いを聞いてくれるんですよね?」

 

 問題のない範囲でな。

 

「じ、じゃあ、その……(斉木くんの声だとリヴァイ兵長や阿良々木くんに夏目さん、赤司さんや折原さん、うらみちお兄さん……と)ああどうしましょう、西川さん。言って欲しいセリフが多すぎて決まりません」

「全部言ってもらったらいいんじゃないの?」

「それだと私のポイントが無くなってしまいそうです……」

 

 どれだけ僕に喋らせる気なんだこの子は。

 こういう時はだいたいあるキャラになりきって、セリフを言ってもらうというのが定番みたいなのを聞いたが。

 

「飛鳥が時間かかるなら先に私ね。ズバリ、好きな人とかいるの? 斉木くんって」

『1000プライベートポイントマンは平等主義なので特定の人物に好意を向けたりはしない』

 

 僕がそう言うと「あー今は斉木くんじゃないからこういうのは無理かー」と次のお願いを考え始めていた。

 坂柳さんは会話に入らずとも話の内容は聞いているらしく、心の中で呟きをしていた。

 

(その割には南雲会長や龍園くんへのポイント設定が露骨でしたが……)

 

 あれは好き嫌いじゃなくて、正当なる防衛だ。

 ポイントいっぱい欲しいんだったらさ、生徒会長や不良をあてにしちゃだめ。

 あてにするから文句が出るわけだから、当てにしない為にも自己防衛は大切だ。

 

(ぐぬぬ、斉木のやつ白石と仲良くしやがって……俺も白石好みの声をしていれば……!)

 

 何やらBクラスの男子生徒に目をつけられているが、君は今後つくことになるであろうCVに期待するしかないな。

 櫻井孝宏とか中村悠一なら確実に白石さんの気を引けるだろう。

 まあ、当分先になると思うが。

 

「とりあえずデュラララという作品の折原臨也のセリフを言ってもらってもいいですか? あ、ポイントですね、連絡先も教えてもらわないとですね」

『そう、でも、本当に僕なんかでいいのかな? 連絡先を交換するんだったらもっといい男とか沢山いるんじゃないの?』

「……まぁ」

 

 こんな感じだろうか。

 白石さんの脳内を覗いて形成した折原臨也なので、本人が本当にこういうセリフを吐くのか分からないが。

 

「ちょっと飛鳥、大丈夫?」

「……あぁ、すみません。西川さん、代わりに連絡先の交換とポイントの振込を頼んでいいですか……?思いのほか、良かったもので……」

 

 そう言って誰のかは知らないが空いた椅子に座り込んだ白石さんに代わって西川さんが携帯を操作する。

 白石さんから連絡先の交換料とセリフ代として2000ポイントが振り込まれてきた。

 

「飛鳥をこんなふうにしちゃうなんて……斉木くん刺されても知らないよ?」

 

 この学校ではそんなことは無いと思いたいが、雑貨屋では敷地内じゃ使うことの無いであろうサバイバルナイフとかも売ってるしな。

 気をつけるに越したことはないだろうし、忠告は受け取っておく。

 そうしている間にもBクラスの生徒は続々と登校してくる。

 

(斉木のやつ、坂柳以外からもポイント貰ってるのか……俺もなにか頼み事、って言っても特にないな)

(バカみたい。あれに1000ポイントも払って何が楽しいんだか)

(ポイントを払えば俺の用意した服なども着てくれるのか? あいつは)

 

 元々坂柳さんの取り巻き連中だった橋本、神室さん、鬼頭は、僕が坂柳さんの近くにいるということもあり、近づいては来ないが意識はこちらに向いていた。

 橋本と神室さんは特に頼みたいことはなさそうだったが、鬼頭の方は僕を着せ替え人形にしたいらしい。

 ファッションコーディネーターなどに興味があるのだろうか。

 

「あ、好きな異性のタイプとかは? これくらいならあるでしょ」

 

 男でもいいぞとはならないのか。

 まぁ男も女も特に好き嫌いはないな。

 強いて言うなら自分のスタイルを曲げない芯のある人になるが、まるで伏黒だな。

 あちらも揺るがない人間性がどうとかだった気がする。

 

『面白くなかったら殴ったりしないか?』

「しないよー! 私の事なんだと思ってるわけ?」

 

 しまったパターン赤、非ヲタか。

 白石さんとよくいるもんだから、てっきり理解がある方かと。

 その質問にも答える気はないなとしておくと、西川さんは次の質問を考え始める。

 ちょうどその時だった葛城が僕に声をかけてきたのは。

 

「そろそろホームルームだ。自分の教室に戻った方がいいんじゃないか?」

 

 言われて時計を見てみるが、まだ少し余裕はある。

 遠回しに早く帰れと言っているのかと思いきや、葛城もなにか話したいことがあるようだった。

 

『そういうことなら仕方ないな』

 

 朝の部はお開きだと言って教室から出ると、やはり葛城もついてくる。

 

「連絡先を教えてくれ。お前に聞きたいことと頼みたいことがあるが、また時間が取れる時でいい。試験が始まるまでに頼みたい」

『ここで言ってくれてもいいんだぞ』

「(そうしてもいいが、俺にはまだ敵も多い)誰が聞いているかわからんからな、すまないがまた時間を取ってくれると嬉しい」

 

 葛城と連絡先を交換すると1000ポイントが振り込まれてくる。

 意識してなかったがポイントを受け取るためとはいえ、連絡先交換だけで1000ポイントも貰っていいのかと思ってしまう。

 葛城は他の生徒に怪しまれないようにそう言ってすぐに戻っていく。

 用件は分からないが彼のことだから、あまり変なものではないだろう。

 とりあえず質問攻めに遭うと面倒だからギリギリで自分の教室に行こうと、僕は適当に時間を潰してからホームルーム直前に教室へ入った。

 




斉木って一之瀬クラスの生徒だよな……?

今の時点で堀北、坂柳、葛城さんからお願いor聞きたいことがあるため3000ポイントは確実に入ってくるけど目標額には程遠いね

連絡先交換するだけで1000ポイントもらえるって凄いね

日曜日は更新できそう
月曜日は遅れるけどいけるかな〜って感じ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。