ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

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憧れとは理解から最も遠い感情だよ
憧れるのをやめましょう

てことで続き


光の先へいこう

 退学を回避するための2000万プライベートポイントが無事に集まり、それを一之瀬さんや神崎に伝えるのは試験前日にしておこうと決めて、僕は帰宅した。

 と言っても戻ったのは寮の方で、実家には帰っていない。

 坂柳さんから契約打ち切りがされると思っておらず、昨日のように山内が来た時のために寮に残っておいた方がいいからと判断した。

 そのため今日の晩御飯は珍しく自炊、あるいは宅配でなにか取ろうと考えていたが母さんが作ってしまっていたので、僕の分だけこちらに運んできた。

 鍋とかだと出来なかったが肉じゃがなら皿によそってしまえば、こちらで食べられるので問題はない。

 そして今、僕は母さんが作ってくれた肉じゃがを食べている。

 テレパシーや千里眼で山内が坂柳さん周りをうろついていないか確認しているが、今のところはその気配は無さそうだ。

 だが、山内では無いが1人妙な動きをしている生徒がいた。

 

(あ〜、どうしよ……別に頼むほどの事でもないしなぁ……けど、この前の素を出した方が似合ってるってどういう意味かこういう時じゃないと聞けないし……)

 

 僕の部屋の前の廊下でウロウロと手土産に持ってきたのであろうプリンの入った袋を片手に櫛田さんが歩いていた。

 どういう意味も何もそのままの意味だが。

 彼女には他の人より褒められたい、頼られたいという承認欲求が根底にありつつも、根は善人ではあるからな。

 素を出しても多少は問題に……ならないとは言わないが、変に言葉を着飾られるよりは僕としては接しやすい。

 それを気にして最近は声をかけて来なかったのかと納得がいっているともう1人来客が来たようで(櫛田さん? 何をしているのかしら)と堀北さんがエレベーターから出て廊下を曲がったところで不審なクラスメイトの動きを見て眉を顰める。

 

「櫛田さん、何してるの?」

「ほ、堀北……さん、こそどうしたの? 男子のフロアに来るなんて珍しいね」

「私は斉木くん……いえ今は1000プライベートポイントマンなのかしら。彼に用があって来たのよ(事前に一之瀬さんにまだ特別棟にいるのか聞いたらもう帰ったと言っていたから、綾小路くんに部屋番号を聞いて来たけれど)櫛田さんも彼に用事?」

「ま、まぁそんなところかな……(堀北が来る前に用件済ませればよかった〜)堀北さん、先にどうぞ? 私は後でいいから」

「そう? (聞きたいのは櫛田さんのこともあるし、須藤くんから聞いた件もあるから、櫛田さんが席を外してくれると言うのなら助かるわね)けど、先に来たのはあなたなのだし、私は急ぎでもないから待ってるわよ」

 

 人の部屋の前で何をごちゃごちゃ言ってるんだと思いつつ、インターホンを鳴らされない限りは反応しない。

 それに明らかに手作りの肉じゃががあるのに鍋やらがないのは不自然に映るかもしれないし、話がまとまるまでに片付けをさせてもらおう。

 

「い、いいよ! 堀北さんが先に行って? (インターホン押して返事なかったら嫌だし。てか今回は事前に何にも言ってないから)私なんて、大した用事じゃないし!」

「私が言ってるのだから先に行って頂戴。それとも……後ろめたい事があるのかしら?」

「いや、別に無いけど……(めんどくさいなぁ……こいつこういう時テコでも動かないしな……)わかったよ、じゃあ先に行くね」

 

 櫛田さんは若干涙目になりながら、インターホンを押してきた。

 アポートで『ご馳走様でした。緊急につき食器のみ返却』と書いたメモを入れた食器を実家に送って、代わりに食器の価格と思われる現金が机の上にやって来た。

 くしゃくしゃの1000円札を見るに多分父さんのだろうな。

 ということは、父さんの財布の中に茶碗と皿がぶち込まれているわけか。

 まぁいいか。

 とりあえず、今は櫛田さんの方だと鍵は開けてあることを伝える。

 

「不用心ね」

「あはは……(ここオートロックだから開けるだけ開けて部屋の中に戻ったんだろうな)」

 

 いや開けに行くのが面倒だったから念力で開けたが。

 しかし、堀北さんは廊下で待つ気なのだろうか。

 だとしたら、他の生徒に見られると少し面倒くさいな。

 特にCクラスの生徒に見られて須藤に伝わると厄介な誤解を受けそうだ。

 仕方ないので堀北さんも入るように伝える。

 試験前に風邪を引いては困るだろうと言えば、無人島試験のこともあってか彼女は素直に部屋に入ってきた。

 

「お邪魔するわね」

「はい、斉木くん、これ手土産のプリンね」

 

 入ってきた堀北さんは部屋の中を見渡し、来るのが2回目である櫛田さんは慣れたように手土産をテーブルに置いてクッションに座った。

 手土産として貰ったプリンは冷蔵庫にしまっておこうと立ち上がろうとすると、堀北さんが口を開く。

 

「こんな時間にごめんなさい。けれど、学校や一之瀬さんがいる時では話しづらかったから」

 

 そんなに重い相談なのだろうかと首を傾げつつ、プリンを仕舞いに行くついでに飲み物を取りに行く。

 その前にメガネを付け替えてオレンジジュースを入れてやり、2人の前に出すと、2人とも礼を言ってくる。

 

「ありがとう……って、やっぱりそのメガネになるのね」

 

 呆れつつも相談はしたいのか、堀北さんはため息をつく。

 

「じゃあ櫛田さん、あなたから用事を済ませてちょうだい」

「えぇっ!? えっと……(堀北には私の素はバレてるし別に言ってもいいんだけど…………ま、こいつに人の感情の機微とか分からないし別にいいか)うん、わかった。斉木くん、お願いっていうか質問なんだけどいいかな?」

 

 僕は頷いて、櫛田さんと向かい合って座る。

 

「……ねぇ、斉木くん。この前のあれは、どういう意味かな? 素の方が似合うっていうの」

(櫛田さん、斉木くんの前で素を出したの? 意外ね……それとも、綾小路くんの時と同じく何かのきっかけで気づかれたのかしら)

 

 そのままの意味だが。

 わざわざ取り繕って話をされるよりは、テレパシーで聞こえている声をそのまま言ってくれた方が僕も話がしやすいというのもあるが、僕はあまり腹黒い人間は好きじゃないからな。

 かと言って櫛田さんは承認欲求だけの化け物というわけでもなく、根は善人だ。

 その部分を他者から褒められ、求められているうちに今の人格が形成されていったのだろう。

 承認欲求を満たしたいという前提はあれど、クラスのためにありたい、誰かの力になりたいという気持ちは間違いではない。

 

『人によっては忌避するのかもしれないが、僕は気にしないというだけだ』

「そ、そう……じゃあ、まあ……斉木が良いんなら、その、あんたの前では素でいてあげる……」

 

 顔を逸らしつつもごもごとそう言う櫛田さんに、堀北さんは首を傾げている。

 

(私の前でも割と素でいる気がするけれど)

 

 それは君が櫛田さんと同じ中学で過去を知っていると思っているからだろう。

 実際はそこまで知らなかったみたいだが。

 櫛田さんから1000プライベートポイントが送られてきたことを確認して、堀北さんの方を見る。

 

「連絡先の交換料と依頼料だったわね。先に払うから連絡先を教えて」

「あ、それなら私が代わりに払っといてあげるから。あとで2000ポイント送っといて」

「別にそんな回りくどいことしなくても斉木くんと私が退学しない限りはあと2年ほど一緒なのだし、別に交換しても損は無いと思うけれど」

「いいから。てか、連絡先交換しなかったら1000ポイント浮くんだし、いいでしょ」

「それはそうだけれど……まぁいいわ。話が終わったあとに振り込むわね」

 

 頑なに僕と堀北さんが連絡先を交換することを拒む櫛田さんに、僕と堀北さんは首を傾げつつも話が進まないため、堀北さんとの連絡先交換を諦める。

 

「それで、本題だけれど、まず1つ目は櫛田さんのことよ」

「私?」

「ええ。夏休み以降、櫛田さんの運動能力と成績の伸びに斉木くんが関わっていると、私と綾小路くんは睨んでいるけれど、違うかしら?」

 

 それに関しては櫛田さんがちょくちょく漏らしていた気がするが。

 そんなのに答えるだけでいいのならお易い御用だと答えてやる。

 

『ああ僕が育てた』

 

 これは嘘でも否定でもないと堂々と言うと、櫛田が机を叩く。

 

「ッ! 言い方! (育てたって何!? 確かに育てては貰ったけど!)」

 

 何か変だったか? 

 堀北さんは特に気にしていないのか「そう、やっぱりね」と納得しているようだった。

 

「けど、どうしてそんな事になったのかしら。それだけは分からなかったわ」

『教えることになったのは半ば脅されてではあるが、櫛田さんが成長しようとしたキッカケは君が毛ほども櫛田さんのことを意識していないのが悔しかったのと、君よりも目立つことで名実ともにクラスのリーダーになろうとしたそうだ』

 

 実際の相談は堀北さんを退学させたいから手伝ってくれだったのだが、それは僕には荷が重いため、櫛田さんにも言ってある嘘の方を伝える。

 

「そう、それならあなたの育成は大成功よ。良かったわね(てっきり、私を退学させるだとか追い落とすとかそういうのかと思ったけれど……斉木くんが上手いこと持っていったのかしら)」

(脅したって……ちょっと写真撮ろうとしただけじゃん。てか、あの時ちゃんと写真撮っとけばよかったな……)

 

あの堀北元会長の妹なだけあって、察しはいいらしいな。

 ただ君の兄貴は僕でも引くレベルで察しが良すぎるが。

 

「おかげでCクラスはより強くなったけれど……いいの? あなたのクラスを追い落とすことになるかもしれないわよ?」

『僕はAクラスに興味がないからな。僕自身はどうでもいい』

 

 それに一之瀬さんは僕が櫛田さんに協力したことは知っているし、知った時も(斉木くんらしいなー)で終わっていたから、クラスメイトの反応も似たようなものだろう。

 クラスメイトの方も勉強は面倒を見てやったし、後から文句を言われるということはないはずだ。

 

『今までの質問で3000ポイントだ。続けるか?』

「そんなに? もしかして疑問形は全て質問扱いになるのかしら」

『櫛田さんの勉強やトレーニングの面倒を見たのは斉木楠雄か。どうして斉木楠雄が櫛田さんの面倒を見たか。櫛田さんを育てたことでAクラスを君たちが取ってしまっても問題ないのか。ここまでで3つだろう』

「なるほどね(残りの質問が終わったら全部櫛田さんに送ればいいわね)」

 

 まだあるのか。

 

「さっき須藤くんが私のところに来たわ。過去の罪について謝りたいとね……あなたの仕業かしら?」

(過去の罪? 1学期荒れてたことかな?)

 

 櫛田さんがいる手前なのか、言葉を濁している堀北さんに僕は肯定する。

 

『ああ。須藤に退学にならないためにはどうすればいいかと聞かれたからな。アドバイスをした』

(それが夏休みの盗撮のことの謝罪? あんなのバレれば須藤くんは確実に退学になるわ。少なくても女子からの批判票は免れない。でも須藤くんだけじゃなく、あの時一緒にいた山内くんや池くん、それに綾小路も共犯である以上、公にするのは難しいわね。一気に4人も退学となれば今後のクラス運営に支障がでるわ。綾小路くんに確認を取ったら、撮影しても無駄なように工作はしたと言っていたし、須藤くんの話では撮影はできていなかったというから私や櫛田さんの着替えが撮られているということはないようだけど)

 

 黙々と考えている堀北さんを横目に、イマイチ話の掴めない櫛田さんが聞いてくる。

 

「何の話?」

『男のロマンという名の犯罪行為の話だ』

 

 一応掻い摘んで説明してやると櫛田さんは「うわ、最悪……」と顔を顰めた。

 

「男ってほんとそういうとこ気持ち悪いよね……(でもこれで須藤くんと池くん、それに山内くんと綾小路くんに関しての弱みが握れたしいいかな。公にしちゃうとまずいだろうけど)」

 

 一緒にされては困るな。

 櫛田さんは心底気持ち悪そうな顔をしたかと思えばチラリと僕の方を見てくる。

 

「その、斉木も見てみたいとか思ったりするもんなの?」

『いや微塵も興味無い』

「ふーん(まぁここで正直に見たいとか言わないか。でも斉木がそういうのに興味無さそうな感じはするから、嘘でも無さそうだなぁ)」

 

 生まれた頃から透視で見飽きているしな。

 普段見慣れているものを危険を犯してまで見るわけがない。

 

「覗きの件に関しては終わったことだし、今更責めても仕方がないから不問にするわ。あなたも知っていながら見逃したのであれば、それでいいわよね」

 

 堀北さんからの目配せに僕は頷いておく。

 僕としても終わったことを蒸し返す気はない。

 

「念の為お互いにこのことは口外しないという誓約書でも作る?」

『僕に後ろめたいことはないからな。君が不安だと言うのなら任せるが』

「……いえ、あなたにその気がないのなら構わないわ。というか意外ね、ポイント欲しさに脅してくるかと思ったけど」

 

 龍園や南雲じゃないんだからそんなことするわけないだろう。

 そう思いつつも、相手がその気ならそれも考えなくはない。

 この学校の嫌なところだが、ポイントはいくらあっても足りないのだ。

 それは堀北元会長と南雲を見ていればよくわかる。

 仮に龍園がマネーゲームを仕掛けてきたら退学を取り消したうちには大したポイントもなく、やられるがままになる。

 この試験のあとに行われる特別試験の内容的にそれは無さそうではあるが。

 

「最後にひとつ……(どうして斉木くんが兄さんに認められているかを教えて欲しい……これは聞くべきなのかしら。私自身が気づくべきことだとは思う。それに兄さんが彼を認めるのは、だんだん分かってきたわ。こうして話してみてより理解させられた。1000ポイントで誰かのお願いを聞くだなんてこと、よっぽど能力に自信がある人じゃないとできない。そして彼はその能力を人助けのために使っている。兄さんが認めるはずだわ)これはもういいわ。時間を取らせたわね」

 

 堀北さんはそう言って、今回の僕の利用料の精算に移る。

 途中、櫛田さんも質問したから7000ポイント受け取る。

 

「Aクラスは退学者を出さずに終えられそうで良かったわね。うちは……誰か1人退学者を出さないといけない」

 

 苦虫を噛み潰したようにそう言う堀北さんに、僕はいい機会だからと昨日の山内のことを話しておくことにした。

 僕がいちいち止めるよりもクラスメイトに認知されていると分かれば山内も坂柳さんに対して粘着行為をするのはリスキーなものになるしな。

 

『堀北さん』

「何かしら」

『君のクラスの山内のことだが、少し釘を刺して置いてくれないか?』

「山内くん? 彼がなにかしたの?」

 

 尋ねられて、昨日坂柳さんの部屋に訪れて、彼女が拒否する中でしつこく言い寄っていたことを説明する。

 

「そう、そんなことが……」

「そういえば坂柳さん、帆波ちゃんの噂が流れる前に山内くんに声掛けに来てたね。それで自分に気があると思っちゃったわけ?」

 

 そういうことだ。

 坂柳さん自身はCクラスにスパイが作れればいいかと思っており、もしCクラスから切り離されても林間学校でぶつかった復讐代わりにするつもりだったようだ。

 それも彼女が退学することになった今、宙ぶらりんだったのだが、坂柳さんが退学すると聞いた山内が傷心に付け込み、彼女GETチャンスと勘違いして近づいた。

 一応、試験前に変なことはしない方がいいとは言ってあることと、今日のところは坂柳さんに近づいてきたということはないとも伝えておく。

 

「わかったわ。なにかおかしな動きがないか私も……(こう言ってはなんだけれど、覗きの件と合わせると都合がいいわね。気は進まないけれど、誰か1人を退学させなければならないのなら……)櫛田さん、少しいいかしら?」

「え? 今? 流石に迷惑じゃない?」

「……それもそうね。クラスのことだし、続きは電話でしましょうか」

 

 櫛田さんに言われて、確かに他人の部屋でするものじゃないと堀北さんも思い当たったのか頷きを返す。

 

「邪魔したわね斉木くん」

 

 ようやく部屋から出ようとする堀北さんはドアの前で足を止める。

 

(聞く、べきなのかしら……私が兄さんのようになれないわけを……)

 

 そんなことを気にしているのか。

 堀北元会長が堀北妹を遠ざけたり、強く当たる理由は理解しているが、それに気づけていない妹からすれば自分が認められないことが気になるのだろう。

 

(いえ、そんな情けないこと聞くなんて……私が1人で見つけるべきよ)

 

 首を振ってその考えを消すと、堀北さんは去って……行こうとして櫛田さんがついてきていないことに気づいて戻ってくる。

 

「櫛田さん、何してるの? あなたも帰るわよ」

「えぇ〜? 私はまだ聞きたいことあるから、先に帰っててよ(坂柳さんにどんなお願いされたのか……ちょっと気になるし)」

 

 君もかよ。

 もう坂柳有栖とかどーでもよくない? 

 本人は退学していなくなる気のようだし。

 ただ、葛城はそう思っていないみたいだが。

 

「これ以上残ると斉木くんに迷惑と言ったのはあなたでしょう? ほら、クラスのリーダー同士、積もる話もあるから早く行くわよ」

「えー? はぁ、わかったから引っ張らないでよっ、もうっ……」

 

 夏休みの時の櫛田さんの堀北さんへの好感度からは想像できないやり取りだな。

 坂柳さんは組織にリーダーは2人もいらないと言っていたが、葛城の言うように互いの欠点を補い合うことができるのであればこれもまた1つの正しい形なのかもしれない。

 あ、そういえばと、僕はもう1つ思い出したことがあったので2人に聞いてみる。

 

『そういえば2人は生徒会役員になる気は無いか?』

「……は? (急に何?)」

「何それ、堀北の兄貴に頼まれたの?」

『まぁそんなところだ。今の生徒会に1年生がいないことを気にしているらしい』

 

 無理にとは言わないがと添えて2人に一応伝えてみると、櫛田さんの反応は芳しくない。

 

「私はいいかな。うちの生徒会って結構忙しそうだし。斉木は入らないんでしょ?」

『そりゃもちろん』

「誘ってきた人間がいないのに入るのもね。それに堀北と一緒は……ちょっと無理かな(頑固だし、命令口調でイラつきそうだし)」

 

 ではその堀北さんはと見てみると彼女は深く考え込んでいた。

 

「そうね……生徒会……(確かに兄さんがやっていたし、私も興味はあったけれど、兄さんが私を認めてくれるとは思わないし)」

「堀北?」

 

 考え始めた堀北さんに櫛田さんが不審げに名前を呼ぶと、堀北さんはハッと顔を上げる。

 

「少し考え事をしていたわ。私も断るわね。今はそれどころじゃないもの(兄さんにそんなことを頼まれるだなんて……やっぱり斉木くんは優秀なのね)」

 

 僕を羨む視線を向けてくる堀北さんは、小さくため息を吐くと今度こそ櫛田さんを連れて部屋を出ていく。

 堀北元会長が卒業するまでもう幾ばくもないが、あの2人はあれでいいのだろうか。

 僕も兄のことは苦手ではあるが、この制御装置を作ってもらったりと手は貸してもらっている。

 堀北兄妹はどちらも自分の感情を伝えるのが不器用だからこそ、すれ違っている感が強い。

 そう考えていると、綾小路から僕の連絡先をもらった堀北さんからメールが来た。

 

【堀北鈴音:やっぱり最後の頼みをさせて貰いたいの。兄さんと会って話が出来るようにしてもらえないかしら。あなたが言えば兄さんは来てくれると思うから。もちろんポイントは払うわ。だから、お願い】

 

 やれやれ。

 櫛田さんの前では恥ずかしくて言いにくかったというわけか。

 僕は2つ返事で了承し、堀北さんから10000ポイントを受け取る。

 すぐさま堀北元会長にも連絡を取って、今から外で2人が会えるように調整しておいた。

 試験まで明日であと1日、残るは葛城の話と生徒会勧誘、坂柳さんとのチェスを残すのみになったな。

 




食器はパパの財布には入り切るはずもなかったのでお札のところから飛び出していた。

山内はまだ斉木が張り付いてるかもしれないからと今日は大人しくしてた
この日の夜に契約解除のことを知ることになる

櫛田さんは斉木と2人きりor綾小路、堀北がいる時は素を出すことにした模様
まあそれでも心の声は多いんだけどね

堀北兄妹の会話は大体原作通りなので割愛するが、「綾小路のことをどう思う?」が「斉木のことをどう思う?」になってたり、
「俺も含めて斉木に追いつくことはない」
「兄さんでも……?」
「だが追いつく必要もない。俺とお前は斉木とは違う人間だ。俺たちは俺たちらしくあればいい」
「私、らしく……」
とか
「私、斉木くんに生徒会に入らないかと言われましたが、あれは兄さんが斉木くんに頼んだんですよね?」
「そうだがお前に声をかけたのは斉木の意思だ。あいつが誰彼構わず、声をかけるような人間じゃないことは分かっているんじゃないか?」
「それは……」
「誇れ、お前は強い。いや、強くなったと言うべきか」
「え……?」
「俺とお前の喧嘩を止めに入った綾小路に、お前のクラスメイトや他の同級生、そして斉木といった生徒たちに影響されてお前は変わりつつある。孤高の道を進んでいた俺とは違う道をな」
「なんですか、急に……そんなこと……」
「生徒会に入るかはお前の判断に任せるが、入ると決めたなら斉木に言えば俺から南雲に口利きをする」
「……入ります。兄さんとは違うやり方で、南雲先輩とは異なる方法で、この学校を、変えたいと思えるように、なりましたから」
「良い返事だ」

でもその前に、試験のためにクラスの事をどうにかしないといけませんと言おうとして、今の私なら出来るわね……と自分の成長の核心をついた鈴音さんは言葉を引っ込めた。
っていう会話があった。


櫛田さんが堀北と斉木が連絡先を交換するのを阻止した理由?
さぁな、俺はそれを知らん

山内は原作とは違って坂柳に動かされていないので批判票を綾小路に集めようぜって動きはしてない
けど自分が退学にならないようにクラスメイトたちに根回しはしてる

真鍋は龍園に船上試験中の話をしたおかげで龍園からいい情報だと言われたため、クラスに残れると思っているが、龍園は今回の試験での退学者はシンプルな人気投票にしつつ、自分は退学にならないようにBクラスの一部の賞賛票を入れるようにと葛城に持ちかけている
葛城も、交換条件として坂柳に賞賛票をいれてやってくれと龍園に依頼することで交渉を成立させている

てことでまた次回

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