ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

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手加減はなしだよ、アクセル

アクセル! 変……身!

てことで11巻スタートです


11巻 選抜種目試験
教師たちの戦い


 3月に入ったばかりのある日だった。

 一之瀬さんにまつわる噂が沈静化して、クラスに穏やかな青春の風が再び吹いていた時。

 この時期の私たち教師はとても忙しい。

 一般的な高校でもそうかもしれないけど、進級、退学、卒業に向けた準備だとか、この学校ならではの特別試験の準備とか。

 そういった様々な要因が重なるタイミングで、今年の1年生を受け持つ担任教師4人は職員室に集められた。

 

「以上が、1年生の最終特別試験の内容、及び最新システム導入に向けたお話となります」

 

 不正が見つかり停職となった坂柳理事長に代わってやってきた理事代行、月城という男は私と真嶋くん、サエちゃん、そして坂上先生の4人に本年度最後の特別試験に関する説明を終えた。

 2、3年生は恒例のものと変わらない説明だったけど、1年生はだいぶ違った。

 

「なにか質問のある先生がいらっしゃいましたら、どうぞ」

 

 ピリついた空気の中、そう聞いてきた月城理事代行に真嶋くんが手を挙げた。

 

「少しよろしいでしょうか、月城理事代行」

「なんでしょう? 1年Bクラス担任、真嶋先生」

「2年生や3年生の特別試験は例年通りの基準である中、1年生が行う試験の基準は毎年の平均を大きく超えています。クラス内投票……この試験は退学のリスクを強く含んでいますよね」

 

 問いかけるような口調で真嶋くんは、私たちを代表して月城理事代行に物申す。

 

「失礼を承知で申し上げますが、月城理事代行はこの学校に着任されて間もない。これまでの経緯を見られた上で判断したことだとは思われますが、1年生から未だに退学者が出ていないからと、強制的に退学者を出すような真似をするのはどうかと思います」

 

 真嶋くんからの質問という名の抗議を受けた理事代行はどこか嬉しそうに白い歯を見せた。

 

「退学のリスクを強く含んでいる、ですか。生徒たちが退学になる恐れがあるのは、これまでの特別試験でも同様だったのでは? この学校は赤点を一度取るだけでも退学が決まるルールですよね? 普通の高校でここまで厳しい制度はそうありませんよ」

「理不尽さを指摘しているんです。確かに一定の成績を収められない生徒は退学になる。その仕組みが厳しいものだというつもりはありません。現に例年、多数の退学者を出しているのも事実です」

 

 この学校では毎年、創立以来定められた基準となる範囲内で様々な特別試験を行っている。

 その中で、今年の1年生は前代未聞となる退学者を出さずに1年間を乗り切ろうとしていた。

 それが単に他学年との実力の違いであるかはわからないけど、退学者を出さずに来られた事実は変わらない。

 そしてそれを活かして翌年以降に繋げていくことが大切だと私たちは考えていた。

 だが新しくやってきた理事代行の考えは私たちとは異なる。

 

「退学者を多数出しているのであれば、同じではありませんか」

「いいえ。明らかにこれまでの方針とは異なるものです。強制的に退学者が出る仕組みを作ることに、私は賛同しかねます」

 

 私たちが黙っている中、真嶋くんだけは執拗に食い下がる。

 けれど、真嶋くんの抵抗が虚しいものであることは、私たちには最初から分かっていることだ。

 この決定を覆すことは不可能であり、変えることの出来ないもの。

 真嶋くんの劣勢は火を見るよりも明らかで、月城理事代行という男には抵抗を見せるので精一杯って感じだった。

 サエちゃんが止めるまで真嶋くんは続けただろうけど、でも再考する余地すら残されていないのであればこの時間は無駄でしかない。

 

「こちら側は既に譲歩してプロテクトポイントの導入を認めたわけですし、それで納得していただくしかありませんね」

 

 謹慎中の坂柳理事長の不正がもし事実であれば、そのような人間の築き上げた教育方針をそのまま受け継ぐことなんて出来ないと言う月城理事代行は、パンっと一度手を叩いて全教師を見回した。

 

「そろそろ時間もありませんし、この辺りにしておきましょう。おっと、そうでした。来年度はこの学校でも文化祭を行えないか模索しています。また先生方にご意見を伺うこともあるかと思いますので、その時はよろしくお願いいたします」

「文化祭? 当校では一般開放に関連したものは、原則として見送られるはずですが」

 

 ここで初めて、2年や3年の担任からも疑問の声が上がった。

 いいぞいいぞ、もっと言え。

 

「そういった古めかしい部分も問題なんです。この学校がより国から認められる学校になるためには、必要に応じ何度でも変わる必要があると私は考えます」

 

 招く人間は厳選してあくまでも政界などのこの学校に関して周知している人間にして、外部へ余計な情報が洩れないようにすると言う。

 前向きに検討していきたいと言って、月城理事長代行が話を締めくくる。

 理事代行がいなくなったのを見計らってサエちゃんが声をかけてくる。

 

「真嶋先生、それから星之宮先生。少しお時間よろしいでしょうか」

 

 何の用事かは分からないけど、私と真嶋くんは特に理由を聞くことなく、必要なファイルとかだけ持ってサエちゃんについて行く。

 ここじゃなくて、生徒たちの待つ教室へと続く廊下を歩きながら話し始める。

 

「憂鬱よねー、もうすぐ絶対に退学者が出ちゃう試験の告知をしなきゃならないなんてさ」

 

 重いため息をつきながら、私は出席簿に視線を落とした。

 ここまで誰1人欠けることのなかった生徒たちで、Bクラスから念願のAクラスになった生徒たち。

 誰かがこの中から消えることになってしまうという事実と向き合うためにも私は努めて元気な声を出す。

 

「退学になるとは決まったわけじゃないだろう。僅かながらも方法は残されている」

「退学を取り消すのは2000万ポイントだけだよ?」

 

 サエちゃんに言われなくてもわかっている。

 けれど、現状ではどのクラスもそれだけの大金を保持していない。

 一之瀬さんの呼びかけで5月から貯金をしているうちのクラスも例外じゃない。

 慰めるように真嶋くんが言う。

 

「救いがあるとすれば、今回のケースではクラスポイントの300ポイントは支払わなくていい点だろうな。強制退学は過去前例がない話だからな。当然と言えば当然だが」

 

 普段なら退学になった生徒の救済には2000万プライベートポイントに加えて、300クラスポイントが必要になるけど、今回はそれが免除されている。

 だからと言って、教師も生徒も強制退学を納得できる訳じゃない。

 真嶋くんもサエちゃんも月城理事代行のやり方には不満を覚えずにはいられない。

 私もそうだ。

 いきなりやってきては好き勝手滅茶苦茶やってくれる。

 けれど反抗すれば代わりのいくらでもいる私たちなんてすぐに飛ばされる。

 それも自分に都合のいい教師を採用することもあるかもしれない。

 今日の職員室でのミーティングは反抗的な教師のあぶり出しだったのかもしれない。

 正式な着任は4月からって言ってたけど、それなら大人しくしてろっての。

 

「はあーあ、サエちゃんも念願のCクラスになれたんだし、無茶しないようにね」

「そういうお前もAクラスになっただろう」

「まぁねー? けど、私は何にもしてないからさ。サエちゃんみたいに」

「……なんの事だ?」

 

 気づいてないとでも思っているのかな? 

 職員室の応接室に綾小路くんや堀北さんを呼び出したり、夏休みの船の上でも綾小路くんとこっそり話してたり……まあ私には関係ないけど。

 

「もしかして、Aクラスに上がれるかも、なんて幻想抱いてる?」

「……いいや、私もそこまで愚かじゃない」

「だよねー。もしAクラスを目指すなんて言い出したなら、私ひっくり返っちゃう」

 

 同期の女の子同士の他愛もない話なのに、真嶋くんには妙に引っかかったみたいで口を挟んできた。

 

「お前たち、まだあのことで揉めているのか? 何年経ったと……」

「真嶋くん、時間なんて関係ないんだから」

「そうだ、全く関係がない」

 

 仲裁に入ろうとしたんだろうけど、そんなことはさせない。

 これはサエちゃんと私の問題なんだから。

 どれだけ時間が経とうと、私は一生許すつもりはない。

 

「……そうか。なんにせよ俺が口を挟むことではないが、私情を持ち込むなよ?」

「そんなことはしない。そうだろう? チエ」

「もちろんじゃなーい。ね、サエちゃん?」

 

 お互いに腹の中で探り合いをしながらも、表面上は何事もないように取り繕う。

 すると、教室の近づいてきたサエちゃんが話を切り上げる。

 

「ともかく私が言いたかったのは不用意な行動は慎んでくれということだ」

 

 そうして明らかに機嫌の悪くなったサエちゃんの背中を2人で見送ると真嶋くんが聞いてくる。

 

「本当に私情を挟んでいないんだろうな?」

「一緒にしないでよ真嶋くん。私にとっては何も未練なんて残ってないんだから」

 

 でもあの子はずーっとあの時から変わっていない。

 いつまでも学生のまま。

 だから、あんなくだらない初恋を大切に胸の底にしまっている。

 

「……怖い顔をしているな」

「え? 嘘、やだ、私そんな顔してた?」

 

 言われてすぐに折りたたみの鏡を取り出して、その怖い顔とやらを隠す笑顔を浮かべる。

 

「よし、今日も私はバッチリ可愛い。そう思うでしょ?」

「知らん……が、最近のお前はいい顔をするようになったようには思う」

「え、なに、口説いてるの? やっだー、やめてくれる?」

「そんなつもりはない。間違えてもお前には手は出さん」

 

 どういうことだコノヤローと牙を剥くと、真嶋くんは苦笑いを浮かべた。

 

「足元を掬われないようにしろよ。今年のCクラスも、そしてお前のクラスに落とされたBクラスも例年とは違う。が、それはお前のところも同じか」

「そうかもね、でも大丈夫、こっちには一之瀬さんがいるし。それに……」

「それに?」

「もしサエちゃんのとこがBに上がってくるようなら、私が直接叩き潰しちゃうってだけ」

「教師が生徒の競い合いに口を出すなよ?」

「そんな事しないって。ただ、サエちゃんには容赦しないってだけ」

 

 教師同士で争うことはこの学校ではよくあることだと思う。

 だからこそ真嶋くんだろうと口を出して欲しくは無い。

 

「本気のようだな」

「サエちゃんにだけは、負けられないからねー」

 

 これが学生時代から続く私たちの関係。

 親友だけどライバル。

 でも、今年は私が勝っちゃうかな。

 もちろん、これは私の勝ちじゃないのは分かってる。

 けど、今年のクラス編成が例年とは異なったのは事実。

 どのクラスにもAクラスに入れたかもしれない逸材が1人か2人はいる。

 それがサエちゃんのクラスは顕著だった。

 でも、うちのクラスには誰も想定していなかったとびっきりのジョーカー。

 初めて面接官から貰った情報を見た時は、平均的で真面目そうなだけの子って感じだったけど、体育祭以降徐々に目立つようになってきた。

 

 

 そして、教師陣が不安を抱えてスタートしたクラス内投票は4人出るはずの退学者が、サエちゃんと坂上先生のクラスだけという結果になった。

 2000万プライベートポイントを使って救済して、退学を回避するクラスが2つも出た事実に私は心踊った。

 ……まぁその過程がちょーっと不服だけど。

 

「お前のところの生徒は面白いな」

「何? からかってるの? まだちょーっと機嫌悪いんだけど?」

 

 ムスッと頬を膨らませると真嶋くんは慌てて弁解する。

 

「いや、そういう訳では……ただお前のところの生徒のおかげで俺のクラスの生徒が退学せずに済んだ」

「お礼は言わないでよー。私は何にもしてないんだから。言うなら1000プライベートポイントマンとやらに言ってね」

 

 一応私たち教師は生徒の素行やら様子を見たりするのに監視カメラの映像を見る権利が与えられているけど、私のクラスの生徒である斉木楠雄くんが取った行動はそれはそれは愉快なものだった。

 クラスで貯めていたポイントが救済に必要な2000万に届いていないのを何とかするために1000プライベートポイントでほとんどなんでもする1000プライベートポイントマンというものになってしまったのだ。

 いや、なにこれ。

 目立つの嫌ってそうなのに……いや体育祭以降もう無理でしょってところまでいったのは事実だけど。

 まぁクラスのために頑張るってならOK! って思ってたんだけど、一之瀬さんへの誹謗中傷の責任を取ってクラス内投票試験を使って退学しようとしている坂柳さんとイチャイチャし始めてなんだァこいつ……ってなっちゃった。

 いや、退学する生徒からプライベートポイントを回収するのは理にかなってるけどさ、やってる事ホストだよね? 

 手を繋いだり、送り迎えしたり、試験前日にはお姫様抱っこで登校してきたり。

 まあこれも試験が始まるまでの短い期間だし、慌てるような時間じゃないと思って見てたんだけど……なんで坂柳さん退学してないのかな?? 

 Bクラスの批判票1位葛城くんだったし。

 というか、その葛城くんも退学してないし。

 斉木くんが集めたポイントだから文句言う気はないし、やってることは立派なんだけどさ、一之瀬さんの気持ちとか考えた方がいいと思うなー? 

 

「……また怖い顔になってるぞ」

「えー? そう? そんなことないってー」

 

 Aクラスになったし、一之瀬さんはトラウマを乗り越えて成長したし、クラスのみんな仲良しで最高じゃんって言うのに……ちょっと不機嫌なのも致し方ないことだ。

 過ぎたことをいつまでも考えてたら身体に毒だ。

 

「お前のクラスには感謝しているが、今回の試験で戦うことになっても俺は手心を加えろとは言わんぞ」

「それは葛城くんと坂柳さん次第なところあるもんね」

 

 ま、誰が来てもうちのクラスは負けないと思うけど……1人結構ムラっけで動くからなぁ……そこだけ注意かな。

 

「じゃあ」

「うん、じゃあ」

 

 3月8日月曜日。

 1年生最後の特別試験がはじまる。

 




原作ではクラス内投票の告知は2月の末くらいだったけど、それだと10巻でサエちゃんが3月入ってから最後の特別試験(選抜種目試験)のこと説明した時のテンションが意味不明すぎるので、今作ではいきなり言われたことにしてます
まぁそうするとプロテクトポイント云々の話に齟齬出るけどまあ、きにしないでくれたまえ

なお選抜種目試験ですが、司令塔の人が負けたら退学なだけだからプロテクトポイント持ちが司令塔になるだけの試験になるのでは……?(原作ではプロテクト持ってない龍園が背水の陣で戦ってたけど)
これでどうやって綾小路を退学させる気なんだ……?
月城が手を加えたのは司令塔の部分なんだろうけど、元々は退学ありきの試験だったのか?
俺バカだからよぉ……わかんねぇけどよ……バカだからわっかんねぇ!
ってことでテキトーに流すと思われます(こんなこともあったね方式)
10種目詳細に全部書いてたら日が暮れるわ
司令塔の出来ること考えるのも疲れるし、原作とは状況違うし

どことどこが戦うとかも変わってくるし……
坂柳▶︎原作ほど綾小路に執着してない。というか執着先が変わってる。だからどこでも良さそうではある。葛城さんはA狙うかも(坂柳と協力できるなら勝てない相手ではない判断)
一之瀬▶︎既にAクラスなので追われる側。引き離すならB、安定択ならCかD
龍園▶︎安定択ならC。けど下克上狙いでAかBもやりそう。
堀北▶︎AもBも強敵だが、成長櫛田やAとならワンチャン高円寺が協力してくれるのでAの方がいいかも。

まぁどこにするかは決めてないが。
言い訳おわり!ってことで結構サクッと終わる試験かつ巻になると思われるので試験説明もそんなにしないかも
問題は選抜種目試験は3/22で、試験説明日が3/8なので……3/14があるんですよね
だからそこメインにするかも……しないかも……デス!
あとはクラス内投票終わったあとのクラスの変化とかも書くか……?


Q.2年生編やるんですか?
A.タイトル変えたんでそれ参考にしていただければ。普通の理解力があればこれ以上の説明は以下略


星之宮せんせー▶︎現Aクラスの担任。保健教諭。他クラスの話とか他学年の話も保健室に来る生徒が勝手に話したりするので聞いてるがそれを口外することはない、いい人……のはずだが現Cクラスの担任の茶柱先生との敵対時はそうでもない。
最近のハマリは自クラスのリーダーが自クラスのクールボーイにお熱っぽくていつくっつくかな!?かな!?って見ること。背中を押すことはしない。
クールボーイにはたまに絡むけど、絡んでも適当にいなされたり『あ、茶柱先生』と嘘つかれて逃げられる。
1000プライベートポイントマン出現時に、1000PPマンと坂柳との仲を割くために大人のマネーパワーを見せようとしてサエちゃんに怒られて阻止された過去を持つ。

タイトルはない(察して)

  • 一斉
  • 櫛斉
  • 坂斉
  • 姫斉
  • 椎斉
  • 結城リトになれ斉木楠雄
  • 特になし
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