昨日2回更新したので短め
ゆるちてね
対戦相手がCクラスと決まった翌日から対Cクラスを想定した種目決めが行われることになった。
Cクラスとは船上試験、体育祭で協力したこともあり主要なメンバーの情報は把握できている。
総合力の高い高円寺、平田、堀北さん、櫛田さん、運動能力に秀でた須藤やペーパーシャッフルで勉強会をした時に学力の高い生徒も一之瀬さんは確認したらしい。
ただ肝心の綾小路の名前は挙がってこなかったことから上手く身を隠せているようで羨ましいなという思いが過ぎる。
しかし、そのCクラスは山内の退学によるダメージの癒えていない平田が議論に参加していないというアクシデントに見舞われているらしく、その事で櫛田さんから相談が来たが、僕には関係の無いことだから話を聞くだけに留めておいた。
はずだったんだがな。
「斉木くん、昨日はありがとう。君のおかげで僕はまた立って歩くことができそうだよ。本当に、ありがとう……」
ギュッと僕の手を握ってそうお礼を言ってくる平田と、その隣で幸せそうな笑顔を浮かべている王さん。
昨日、僕が帰ったあとも抱き合っていたようだが、仲が深まったようでなによりだ。
雨降って地固まるというやつだろうか。
平田が復帰したことでCクラスの力は遺憾無く発揮されることだろう。
それでも2人、いや女子の方でも本気を出していないのがいるから3人か。
まだCクラスには余力があったりするが、それは僕の関与するところではない。
試験の準備自体はつつがなく進んでおり、一之瀬さんと神崎が中心になって意見交換や議論が行われている。
僕は2人に任せては敵に塩を送っていた裏切り者……戦国時代なら背中から切られて磔の刑にされているだろう。
しかし、司令塔としての役割は当日以外ほとんどないため、あっという間に週末、3月14日を迎えることとなる。
日曜日であることに感謝しつつ、用意したお返しを机の上に並べる。
網倉さんと小橋さんから金曜日に週明けでいいと言われていたため、明日返せばいいとして、残るは4つ。
休みの日であるため直接渡すか、ポストに入れておくかなのだが、僕としては後者を取りたい。
休みの日に女子のフロアに行くのは注目を集めるし、日が日だからな。
変な勘ぐりを受けることは避けたいと、千里眼でポスト周りに誰もいないことを確認してから部屋を出る。
部屋の番号は確認済みであるため、あとはそれをシュートしていけばいいのだが、不足の事態というのはいつだってあるものだ。
『は、入らん……』
ポストの口よりも大きなお返しにしてしまった為入らなかった。
これは想定外だと焦っていると(あっ……)とこんな朝早くに人がやって来た。
「……何してるんだ斉木」
なんだ綾小路か驚かせないでくれと思っていたが、そういえばこいつも朝にポストに入れようと考えていたんだったな。
『おはよう、綾小路』
「お、おう。おはよう……(触れない方が良さそうだな)」
周囲の視線を気にせずにお返しをしたいという思いは僕と同じであるためか、綾小路もシンプルにポストへの投函を選んだ。
それぞれ、綾小路にバレンタインチョコをくれた生徒たちのポストへとお返しを投函していく。
中身は市販のチョコの詰め合わせらしく、ストンとポストに入って行く。
「お前もお返し、だよな? 何買ったんだそのサイズ群は」
僕が紙袋に入れている包みに入れられたものたちが気になるのか綾小路がそう聞いてくる。
『別に大したものじゃない。ヘアアイロンとか櫛とか匂いのする乾燥パスタみたいなやつだ』
「匂いのする乾燥パスタ……?」
一応、ケヤキモールに行って僕なりに選んでみたんだが、ポストに入る大きさではなかったのは予想外だ。
縮小化は物には使えないしな。
どうしたものかと悩んでいると綾小路が言う。
「それは手渡ししかないんじゃないのか?」
『そうなんだがな、流石に直接出向くのは目立って困る』
「1000PPマンのメガネをしていけばそういうサービスと思って貰えるんじゃないか?」
『結局目立つだろそれは』
からかうように言ってくる綾小路にすかさず言うと、その後も話は続いていき、ポストの前で立ち話をしている間にも時間は進んでいく。
このまま誰かに見られる方が面倒だな。
『仕方ない、別の方法を考える』
置き配の如く部屋の前に置いていくか。
廊下には監視カメラがあるし盗むようなやつは……いや贈られる側がプレゼントが届いていると知らなければ意味がないな。
なら、テレポートで直接部屋の中に置いていく方が確実かと考えていると今度は違う声、それも女性のものが聞こえた。
「あっ」
「一之瀬か」
何か見ちゃいけないものを見たかのような反応をする一之瀬さんに綾小路が挨拶をする。
「おはよう、一之瀬」
「お、おはよう、綾小路くん……斉木くん」
朝の7時前にこうしてポスト前に3人が揃うとは珍しい。
「ちょっと目が覚めちゃって、散歩が戻ってきたところだったんだ(しまったー油断したー! まさかこの時間に会うなんて……)」
僕とは視線を合わさずに、綾小路の方を見ながら言う一之瀬さん。
すっぴんとやらを見られるのが恥ずかしい、というのなら綾小路からも視線を外すはずだが。
ポストをチェックしてから部屋に戻るところだったのだろうと思い、綾小路と2人でポストがみれるようにと道を譲る。
会釈され、一之瀬さんがポストの中を確認する。
(もしかして斉木くんからのお返しが……ない? にゃはは、そりゃそうか。お返しはいいって言ったしね……)
すまん。
まだ入れてないんだ……というか入らなかったんだ。
「あー(斉木って一之瀬からバレンタイン貰ってたりしそうだし、オレがいると渡しづらい、か?)えっと、オレ、帰る」
ぎこちないカタコトでこの場を離れていく綾小路に、僕と一之瀬さんは一応は別れの言葉を口にする。
さて、これからどうしようかと考えていると、一之瀬さんが僕の持っている紙袋をチラチラと見てきた。
「えっと……これ、私が聞いてもいいのかわからないんだけど……それってバレンタインのお返し?」
遠慮がちに聞いてくる一之瀬さんに頷いて答える。
『まぁそうなるな』
「そっか……(姫野さんとかかな……)」
僕からそう言われたことがあまり嬉しくないように、元気がなくなる一之瀬さん。
やはり先に言っておかないと不安になってしまうか。
『一之瀬さんの分もあるぞ』
「えっ?!」
俯いていた一之瀬さんが勢いよく顔を上げる。
「お返しは要らないって、言ったのに?」
『言われたが、だからといって何もしないわけにもいかないだろう』
「それは、そうかも、だけど……」
そう言って少し俯きながらみーちゃ……じゃなかった王さんのように視線を彷徨わせる一之瀬さんにお返しの入った箱を渡す。
「お、大きいね!? (ちょっと重いし……なんだろこれ)」
『ヘアアイロンだからな』
「ヘアアイロン!?」
そんなに驚かれるようなものか?
一之瀬さんは髪が長いし、手入れが大変そうだと思ったから電気屋に行って良さげなものを見繕ったんだが。
「い、いいの? 高かったんじゃないの?」
『ヘアアイロンなんて買ったことないから相場はわからないが、ゼリーメーカー1台分なら安いもんだ』
「そういう計算方法なんだ……」
唖然とする一之瀬さんは僕から受け取ったヘアアイロンの入った箱を大切そうに持ち替える。
「……あ、ありがとう……その、ごめんね。こういうの慣れてないから……なんか緊張するや……」
意外だなと思ったが、チョコレートをあげたのも初めてと言っていたし、この反応になるのが普通か。
『僕もあまり慣れていなくてな。使いにくかったり気に入らなかったらリサイクルショップに売り飛ばしてくれ』
「そんな事しないよ……大事に使うよ……」
いや、たかが2年くらいしか使わないんだし別に多少雑でもいいと思うが。
電化製品も結局は消耗品のようなところがあるしな。
「そういえばさ、他のも大きいけど……何が入ってるか聞いていいかな? (誰に返すかまでは聞いちゃダメだけど、これくらいならいいよね)」
『櫛と匂いのする乾燥パスタ、首に巻くマッサージ器だな』
「(匂いのする乾燥パスタ……? あぁルームフレグランスのことかな)へぇ、どれも良さそうだね」
一応平等に値段は近くなるようにした。
探すのには苦労したが、念写持ちで良かったな。
「えっと、それポストに入らなかったんだよね? どうするの?」
『直接渡すのは避けたいから連絡だけして置き配するつもりだ』
「そっか(じゃあ、私だけ直接手渡し……だったんだ)」
まあこうしてたまたま会うことは想定していなかったからな。
それから少し特別試験についての話をしてから、2人でエレベーターを待つ。
(にしても油断したなぁ……香水つけてないし、化粧水もつけてないし……こんな時間に会うとは思ってなかったよ……)
女性は身だしなみに気を遣うらしいが、一之瀬さんも例外ではないらしいな。
にしても香水か。
前まではつけていなかったが、どういう心境の変化だったんだろうか。
今度母さんに聞いてみるかと考えていると一之瀬はくるくると髪の毛に人差し指を絡めている。
それをじっと見ていると一之瀬さんが視線に気づいてギョッとする。
「な、なにかな……?」
『いやなんでもない。気にするな』
少しすると髪の毛は透過してしまうから骨がくるくるしてるだけに見えてくるな。
「えっと、斉木くんって、髪の毛が短い方が好みだったりする……?」
いや、そういうわけじゃないんだが、変に意識させてしまったか。
別に一之瀬さんは武道家じゃないし、目に髪がかかったり、敵に掴まれたりすることもないだろうし、僕は髪の長い時のビーデルさんの方が好みだしな。
『いや特にないが、長い方が一之瀬さんには似合ってるんじゃないのか?』
柴田とか池とかも言っていたし。
僕は数秒しか見れないが、確かに艶があってサラサラしているから長い方が見栄えはいいんじゃないかと思うが。
「そ、そ、そ……そうでしゅか……」
それから少し気まずい時間が流れるが、すぐにエレベーターが到着し僕達は乗り込む。
階のボタンを押すと一之瀬さんは顔を逸らしたままだった。
彼女の部屋のフロアは知っているためボタンを押してやり、エレベーターの閉ボタンも押す。
そのまま階を移動し、僕の階である3階へと止まり、扉が開く。
「それじゃ、また、明日」
『ああ、また明日』
エレベーターを降りて振り返ると、再び一之瀬さんと目が合う。
「わたたたた!! ま、またね!」
急に慌てて、閉じるのボタンを北斗神拳の使い手のごとく連打しながら一之瀬さんは顔を真っ赤にして叫んだ。
そうしてピシャリと音を立てて閉じる扉を眺めたあと、肩を竦める。
気を遣ってこの階で降りて正解だったか。
あのまま櫛田さんや椎名さんの部屋前まで行こうと思ったが、少し時間を置いてから行くとしよう。
ヘアアイロン▶︎一之瀬に。髪が長いから。シャンプーとかもつけようとしたが「斉木くんって私の髪の匂い嫌いだったんだ……」とか思われても嫌なのでやめた。あげてたら斉木の想像とは逆にやばかった
櫛(ヘアブラシ)▶︎櫛田に。櫛だけにという意味はなく、ヘアバンドやカチューシャは持ってそうだったのと、おすすめ品にあったから。櫛と言っているが普通に大きめのヘアブラシである。こいつにもシャンプーをつけようとしてやめた。あげてたら気に入って使われてた。
匂いのする乾燥パスタ(ルームフレグランス)▶︎姫野に。無難に女の子向けのやつを探してていいなとなって買った。姫野も髪長いからヘアアイロンやブラシも考えた。これだけだと他の3人よりも安いためコスメセット(化粧水、ハンドクリームとかが入ったやつ)も入れてる。
首に巻くマッサージ器▶︎椎名に。本を読む時に首がこらないかと思って。ただよくよく考えたら姿勢よく読んでるしいらないかもなと思いつつ買った。第2候補はケヤキモールの映画で使えるフリーチケットと図書カードだったが他3人に比べると味気ないなと思いつつ、小額だがそれも入れてる。
網倉と小橋にはクッキーのアソートを返す。
皆さんとても気に入ったようで「斉木(くん)センス良〜」ってなってる
坂柳ちゃんは来年頑張ってね。
次でBとCの様子ちょっとやって試験経過ざっくりやって2話くらいで終わる……はず。
A(元B)の成長したところを書きたいが、露骨に成長したの一之瀬(総合)、姫野(学力)、柴田(楠雄に追いつくため運動能力少しアップ)、神崎(思考力、学力)くらいで他は学力ちょっと上がったくらい。
一之瀬クラスの弱点
リーダーである一之瀬が基本的に試験の勝敗よりもクラスメイトを優先する戦略が多いのでハイリスクハイリターンの手段を取ることがない。
かと言って葛城みたいに防御に徹する戦略を立てるわけでもない。
▶︎これらを全て斉木楠雄の力で解決します。
試験に勝ちつつクラスメイトを傷つけません。
葛城のように護る訳でもなく、龍園のように攻めることはしませんが、搦手やらクラスメイトが傷つくようなことがあればその素振りを見せた瞬間潰します。
一之瀬リーダーの精神的な脆さ▶︎それすらも受け入れる仲間がいるのでオールオッケー。
斉木楠雄他クラスに塩送りすぎ問題▶︎こいつが無意味に傷ついてる善人を見捨てるわけがないから……仕方ないね
好感度だと一之瀬、葛城、平田は高い方だから尚更。
綾小路は成長するのか?▶︎感情が若干戻ってたり、斉木が自分の利にならないのに他人を助けてる理由を考えるようにはなってるので、まだ芽が出るか出ないかくらいなのでわからない
平田が完全に孤立するまで待ったりしてたからまだまだだね。
斉木からの感想(元Aクラス編)
坂柳▶︎やれやれ。面倒なのに好かれたな。
葛城▶︎葛城さん今日もお疲れ様です。坂柳さんの相手よろしくお願いします。え?難しい……そんな……!
戸塚▶︎あまり葛城を困らせるなよ
橋本▶︎2000万貯めようとして何してるんだ?クラス移動の準備?そうか。1人では限界があると思うがまぁ頑張れ。
白石▶︎よく喋るな豚野郎は頼まれても言わないぞ。
西川▶︎からかい上手の西川さんってところか。
森下▶︎たまに喋るが悪くない。いいセンスだ。だが僕の背後を取るには1億年と2000年は早いんじゃないか?
神室▶︎坂柳さんとまた関わりたいなら普通に話しかければいいんじゃないか?とりあえず万引きはもうするなよ。
山村▶︎テツヤ……じゃなかった、黒子の才能はあるな。無心で背後をつけられたら僕でも気づかないかもしれない。
鬼頭▶︎正直話したことがないんだよな。顔がコンプレックスらしいが……髪型や手袋がそれを助長してる気もするな。
終わり!
明日はまた投稿遅れるかもです