龍園視点での選抜種目試験の準備と元Cクラスから見た斉木くん評価回
選抜種目試験に向けた10種目を提出する前日、俺はカラオケルームの一室に石崎、伊吹、ひよりを集めていた。
10種目のうち、5種目は本命、5種目はブラフであるが、坂柳や葛城が用意してくるであろう学力や知力が問われる種目の対策のためにひよりと話していたところに石崎が控えめに手を挙げた。
「あの、龍園さん、今更なんですけどなんでCじゃなくてBクラスを選んだんですか?」
「ほんと今更ね」
伊吹が石崎に呆れる。
「なんでだと思う? 言っただろ。聞く前に自分で考えてみろってな」
「え、えーっと……」
俺が言うと石崎は腕を組んで考え始めた。
「Aクラスは実力値的にうちのクラスじゃ太刀打ちできないってのは分かるんすよ。でも、Cはなんとかなりそうじゃないすか? それにBはあの坂柳と葛城が手を組んだっていうし、元々Aクラスだったから俺らDクラスとは総合能力では雲泥の差で勝つ見込みなんてなくないですか?」
「まぁ普通に考えりゃな」
だがこの学校は実力主義だ。
考え方を変えりゃ見え方も変わってくる。
「今回は団体戦だ。やりようによっては俺らはどこのクラスにも勝てる可能性はある。だが、1番勝てる見込みがあるのはBクラスだ」
「それは……坂柳と葛城がまだ手を組んだばかりだから……とかですか?」
それもあるが、内輪揉めを起こす計画は期待できそうにない。
どうやらあの坂柳が慢心とプライドを捨てちまったらしいからな。
クラスのために葛城に手を貸すのも辞さない姿勢になっていると橋本は言っていた。
にしてもあの野郎、一丁前にポイント取りやがって。
斉木の真似事か?
とりあえず目の前にいるバカにどうして俺がBを狙うのかを教えてやる。
「元Dクラスはバカと無脳の集まりだが、リーダーの鈴音と櫛田が厄介だ」
この学校のシステムについて知る一環として、石崎や小宮たちを使って暴力事件を起こそうとしたが未遂に終わったにも関わらず、鈴音たちには訴えを起こされた。
こちらはポイントを失わなかったが厳重注意を受けた。
無人島試験では島に残った俺の姿を見ていないはずなのに俺がリーダーと当てて、体育祭での鈴音潰しも鈴音の精神力の高さと櫛田のフォローで失敗に終わっている。
体育祭はまだしも無人島試験であの甘ちゃん2人に俺の策が見破れたとは考えにくい。
それに奇妙なのは軽井沢をいじめていた真鍋たちの情報とその現場をおさえた動画を持っていながらも一切使ってこなかったことだ。
退学する前に真鍋がもたらしてくれた情報だが、体育祭で何も起こらなかったから使ってこなかったんだろうが……誰がそんな証拠を押さえたかわからない以上、不用意に手を出すべきではない。
「Aはあのクソメガネがいる。一之瀬の持つ結束力だけならいいが、俺が少しでも変なことをしようとしたらあのクソメガネは秒で飛んでくる」
「秒でですか……?」
元Bクラスには入学当初、須藤にちょっかいをかけた時期と同じくらいに揉め事を起こさせ、相手の仲間割れを誘発させようとしたことがあった。
各クラスのポテンシャルを確かめるために俺が火を起こそうとしたわけだが、それも須藤の件が露呈して厳重注意を受けたせいですぐに終わったが。
そもそも一之瀬クラスにその手の嫌がらせは効果がなかった。
この時は一之瀬のカリスマ性の高さから来る結束力、団結力のせいだと思っていたが、時が経てばそうじゃなかったと気付かされる。
「今、俺らがあいつらに付きまといや嫌がらせなんてしてみろ。瞬間移動であのクソメガネが飛んできてビックバンかめはめ波をぶっぱなされるようなことをされるぞ」
「えぇ……そんなにやばいんすか? 斉木って……確かに足は速いし、頭はいいみたいですけど……あとはちょくちょく変な事してるってイメージっすよ?」
石崎にはこの例えで伝わったみたいだが、伊吹はピンと来ていないらしく、首を傾げている。
「石崎の言う通り足が速いし、尾行を撒くのは上手いけど、そんなにすごいの? 2000万ポイント集めたのだって、元々はクラスで集めてたんでしょ? 不足額が坂柳の献金分で済む程度だったんじゃないの?」
「坂柳個人の持ってるポイントなんてたかが知れてるだろ。しかも毎月俺に2万だぞ? 毎月4万貯めてたとしても40万程度だ。足りるわけねぇだろ、バカが」
「あ? Bクラスに喧嘩売ってるバカには言われたくないんだけど」
一之瀬クラスが真面目に貯め込んで、特別試験の報酬を全部入れてたとしても200万は足りなかったはずだ。
それを坂柳1人で賄えるわけがない。
実際、足りなかったからか一之瀬と2人で特別棟に人を呼んで集める方式に変えてたしな。
「椎名、お前から見てAクラスはどう見える?」
「そうですね……今のAクラスは強いです。総合的な能力は言わずもがな、何よりもあれだけ仲睦まじいのはとても羨ましいことではあります。ただそれだけのクラスであれば付け入る隙は多いですが、その隙を全て斉木くんが埋めている。手を出せばこちらが大火傷どころか爆発四散も有り得ます」
「そんなにやばいの……?」
こいつらは斉木のことを知らなさすぎる。
1つのヒントで100パーセントの真実を引っ張ってくるバケモンだぞ。
それに身体能力もあの高円寺が認めるどころか目標にするレベルとなれば、技術はなくとも単純なフィジカルにおいては間違いなく斉木の方が誰よりも上だろう。
1対1では敵わないだろうが、複数人でかかるくらいはやってもいいが、今回の試験にあいつは出てこない。
しかし、それはそれで厄介だ。
一之瀬のサポートがありゃ、クラスメイトの長所短所を把握して、種目ごとに適性のあるやつを出してくるのは目に見えている。
仮に今、俺がBクラスに仕掛けている策をAクラスに使ったところで斉木に全部お釈迦にされた挙句に戦う前に負けるなんてことにもなりかねない。
それが俺が林間学校であいつと8日間過ごして出した俺の結論だが、あいつも1人の人間。
複数での勝負なら勝ちの目はあるが、今のうちのクラスじゃ到底無理だろう。
先ず、俺のスペック自体があいつに全く追いつけていないからな。
だからその為にも3年になるまで他のクラスを喰らい、最後のデザートに一之瀬クラスを喰らう。
これは決定事項だ、そのためにはまだ付け入る隙のある葛城、坂柳クラスを狙う。
「斉木、斉木っていうけどさ、リーダーは一之瀬でしょ? あんたこの前言ってたじゃない。頭を抑えれば何とかなるって」
「一之瀬も神崎も、本来リーダーには向いてない。リーダーを支える参謀タイプだ。だが一之瀬をある程度まともなリーダーとして機能させているのが斉木だ」
あの2人をリーダーに据えるくらいなら、まだ鈴音や葛城を頭にしておく方がクラスは上手く回る。
が、お人好しのリーダーの下にお似合いな自分たちに向かってくる敵という敵を蹂躙してくるお人好しがいやがるのが厄介だ。
「お前は人に砂をかけて、散弾銃で撃ち返されたことがあるか?」
「いやないでしょ、普通。それ倍返しどころのレベルじゃないでしょ」
その普通が通じねぇんだよあのクソメガネ。
体育祭で砂かけたら威力と量が桁違いで散弾銃で撃たれたかと思ったからな。
あと広背筋…………はぁ、広背筋のことを弄ると跡は残らないが一瞬のショックがデカイデコピンとかしてくる。
「頭を抑える前に斉木が飛び出してくるんだ。アイツらとは真正面からやり合うか、斉木の動きを封じてからやるかの2択しかない」
前者は今のうちのクラスじゃ無理なのは分かりきってるし、後者も試験中にスイーツの持ち込みでもできなきゃ無理だろう。
「でも体育祭後はモテてたよなアイツ。足速いのレベルもあれ世界陸上とか出れるって矢島と木下が言ってたぜ」
「あの2人、勧誘しに行って0.2秒で断られたらしいわよ」
「園田もサッカー部に誘おうと思ったらサッカーを捨てろとか言われたらしいぜ」
「怖」
人が親切心で教えてやったスイーツ一覧もタダで掻っ攫っていたやつのことを考えていると横で石崎と伊吹がうちのクラスのやつらが斉木に向かっていって玉砕した話をしていた。
「無駄話は置いておけ。本来の話に戻すぞ。とにかく、あのバケモンに挑むくらいなら今のBクラスの方がマシって話だ」
「そのための5種目ですね。確かにこれなら私たちにも勝機があるかもしれません」
種目の書かれた紙を見ながらひよりが呟くと、伊吹と石崎も中身が気になったのか左右から覗き込む。
「ちょっと、これ全部……」
そうだ。
俺が用意したのは全て力でねじ伏せるだけの種目。
空手、柔道、テコンドー、剣道、レスリング、MMA、合気道といった肉体を酷使する10種目。
「待ってください。確かに、その、俺たちのクラスには喧嘩自慢が何人かいます。俺やアルベルト、小宮に近藤、それに伊吹……だけど、その他はそうでもないっすよ?」
仮に1、2種目は拾えたとしてもそれ以外はどう転ぶか分からないと石崎が言う。
「そうよね。Bクラスにも運動神経のいいやつは少なくないし、全部1対1に出来るなら話も違うけど、必要人数は全部変えなきゃなんないのよ?」
「いえ、何人対何人の種目であっても、それはルール次第でどうとでもなります。勝ち抜きルールを採用すれば1人で済みます」
クク、分かってるじゃねぇかひより。
「そういうことだ。仮に10対10で柔道をやってもアルベルト1人でこと足りる」
柔道や空手のような競技に勝ち抜き戦形式はありふれたものだ。
逸脱したルールとは学校も思わないだろう。
危険性の観点から弾かれてもいいように10種目を埋めたが、万が一弾かれても5種目で埋まれば問題ない。
それは伊吹にも理解できたらしいがまだ不安があるようだ。
「それなら、確かにうちの選んだ種目は全部勝てるかも……でも、運が向こうに偏ったら? Bクラスの種目が多く選ばれたらどうすんのよ」
「そのための対策をひよりと進めつつ、お前らに悪逆をさせてるんだろ?」
俺が笑いながら言うと、伊吹はようやく理解したのか前のめりになっていた体をソファーに預ける。
遅れて石崎が理解してきたのか、声を出した。
「実害のない嫌がらせをしつつ、本命種目を盗み出す……でしたね。一応は2種目は取れましたけど」
「チェスと英語テスト、どちらももし選ばれたら私たちには勝ち目のない種目ですね」
頭を使う種目はこのクラスには向いていない。
特にチェスなんてルール知ってるやつの方が珍しいんじゃねぇかと思うが、これは世間的にも知られるボードゲームだから恐らくは採用される。
だが、チェスが通るのならば俺の出す格闘技も通りやすいはずだ。
チェスは選ばれたらサレンダーするか、ねちっこくやらせて坂柳の気を削げばいい。
「けど、結局かなり運任せよね。本当に勝てるの?」
「その確率をあげるためにひよりにも悪逆をやってもらうんだよ」
「は? 椎名に? 何させる気?」
本当は下剤でも使って当日1人か2人くらい体調を崩させるつもりではあったが、流石にBクラスには無理だな。
試験後に不正があったと告発されれば一発アウトだ。
「なに、上品になったらしいお姫様を元に戻してやるんだよ。魔法は解けたってな」
「だから何させる気って聞いてんのよ」
「大丈夫ですよ、伊吹さん。私は坂柳さんと少しお話するだけですから」
「話? なんの?」
クク、そいつは司令塔同士仲良くやるだろ。
当日は俺が司令塔をやっても良かったが、頭のいいひよりがやるならプレイヤーとして暴れる方が勝ちも拾いやすい。
ふふふ、と微笑むひよりに伊吹と石崎はよくわかっていない。
「お前らにもちゃんと役割は振る。明日から試験本番までの数日、精々頑張ってもらうぜ? 勝ちたいんなら勝つための努力は惜しむなよ?」
「そりゃもちろん!」
「……これで負けたら次はあんたが退学しなさいよ」
坂柳たちの種目が半数以上選ばれたとしてもどうにかなるようにはしておくが、それも限界がある。
最終的には運を天に任せることになるだろうが、何もしないよりは勝利の女神とやらは微笑んでくれるかもしれない。
ひよりに何させるんすか?▶︎試験中にひたすら坂柳煽らせるだけ
ひより「斉木くんとプライベートポイントを払わないと手を繋げないなんて可哀想、ですね……」「私は約束もしていないのに映画館でばったり出くわして、同じポップコーンを食べました」「その後、カフェで感想を語り合ったんですが……って、聞いてます?」「斉木くんとは小説を貸し合う仲で、図書室で週に1度会うことにしてるんです」「坂柳さんはポイントを払ったり自分から出向かないと会えないんですよね……大変、ですね……」「バレンタインのお返しは何を貰ったんですか?えっ?そもそもあげてない……あぁ、そういえば帆波さんにちょっかい……かけてましたもんね……」「いえ、その、斉木くんに固執しているように見えてそうでもなかったんだなと思っただけで、不快にしたつもりはありませんよ?(こんな感じで言えと龍園くんに言われましたが、効果あるんでしょうか?)」
意訳で"天才で可愛いんじゃなかったのか?使えないな"と言われたように感じた有栖「殺す!!(よく喋りますね、その程度で私が心乱されるとでも?)」
↑を見せられるチエちゃん
チエ「斉木くんやるぅ〜。」
龍園のやってることはほぼ原作通りで下剤使わないくらい
鬼頭がちょいちょいキレそうになってて「おお効いてる効いてるw」と龍園に煽られてた
葛城は無視しろ、坂柳はこちらから手を出させたり仲違いさせる作戦でしょうから直ぐにその場から逃げるか無視してくださいと指示
Bクラスも選抜種目は原作通り
ただ相手に綾小路と斉木がいないのでチェスの司令塔ルールは控えめ
次回でA対Cのダイジェストしたらほぼ終わりなはず
B(元A)から見た斉木?
変だけど良い人だよ
ではまた次回
楠雄から見た元Cクラス
龍園▶︎ククって言い過ぎな。あと広背筋のことは忘れろ。
金田▶︎別に椎名さんとは本を貸し合うだけで何も無いぞ。
園田▶︎デススピアー覚えてたら入部しても良かったんだがな。デスブレイクしか出来ないんだ。すまん。
山田▶︎話してみると穏やかな性格なんだな。
石崎▶︎体育祭の時は須藤のせいでめちゃくちゃだったんだ。だから僕を見てビビらなくていい。何もしないから。何もされなければ。
伊吹▶︎尾行が下手!
木下▶︎陸上界を背負って立つとか無理なんで
矢島▶︎陸上界を背負う男じゃないんで
椎名▶︎いちご大福美味し……悪くなかった。