1年生編の最終巻となりますそれと便座カバー
4月の中頃から投稿再開してここまで来れたのは我ながら賞賛に値するそれと便座カバー
サクラ咲ケ
学年最後の特別試験が終わり、その2日後に3年生の卒業式を迎えた。
3年生たちも全ての課程を終了し、この学校に別れを告げる一大イベント。
僕を含め他の在校生からすれば、単なる1つの学校行事に過ぎない。
僕たちの終業式は明日で、今日は卒業式に参加するためだけに登校することになっている。
卒業式が終われば、午後以降は個別に3年生に別れを告げる者以外は解散となる。
登校の時間になったので、部屋の鍵を閉めて学校に向かう。
今日は坂柳さんはおらず、その事に安堵してからエレベーターのボタンを押す。
そして、やってきたエレベーターの扉が開くと中には柴田の姿が見えた。
「おはよう、楠雄」
他クラスの生徒もいたため、特に雑談することもなく、エレベーターから出るまでは静かなひと時が流れる。
ロビーから寮の外へと出ると柴田が口を開く。
「何気に楠雄と登校するのは初めてだよな」
柴田はサッカー部に入っているため、朝練があることが多く、この時間に登校すること自体が希だ。
僕の登校する時間にばらつきがあるのも起因しているだろう。
テスト期間中などは共に下校し、ケヤキモール内にあるラーメン屋に行ったりすることはあったが、こうして並んで学校へと向かうのは初めてだな。
「しっかし、あっという間の1年だったよな。俺たちがAクラスだなんて、いや、なろうとはしてたけどさ。まさか1年生の間になれるとは思わなかったぜ」
3学期以降、元Bクラスだった僕たちはAクラスを走り続けている。
3月の段階でクラスポイントは1250。
先の特別試験で龍園のDクラスに負けたことで元々Aクラスだった坂柳さんと葛城のクラスとは300ポイントにまで開いていた。
そして、僕たちに負けたCクラスは380ポイントとなり、龍園クラスが516ポイントになっている現状、4月からクラス変動が起きるだろう。
これはあくまで3月現時点でのものだが、龍園が学校中の窓ガラスを割るといった凶行にでも走らないと難しいな。
「そういやさ、洋介に恋人……かわかんねぇけど、仲良い女子ができてるんだけどさ、何か知ってたりするか? (あいつ確かバレンタイン前くらいに軽井沢と別れたばかりなのに早えよなぁ)」
僕が平田を立ち直らせることに関与したことは僕はもちろん、当事者の平田や事情を知る綾小路に櫛田さん、みーちゃんの誰も喋っていない。
そのため、僕が平田とみーちゃんの間にできたクラスメイトや友達を超えた関係とやらになりつつあることを知っているのは不自然だ。
『柴田に分からないなら僕に分かるわけないだろ』
「だよなー。洋介に聞いてもなんでもないってはぐらかされるんだけど、あれは絶対何かあるぜ。軽井沢の時はなかったぜ? あんな嬉しそうで恥ずかしそうな平田の顔」
いいことじゃないか。
平田には平田で過去があるが、それを振り切れるような相手が見つかったのであれば祝福してやるべきだ。
逃げ出すよりも進むことを選んだ友人に。
「そうだな。あーあ、俺にもいい相手見つからねぇかなぁ」
そう言ってるうちは見つからないと聞くが、どうなんだろうな。
正直、柴田の言ういい相手を見つけたいという感覚は僕には分からない。
女の子と仲良くなって、恋に発展したとして、何があるのか。
好きだから付き合いたいというのも僕には謎だ。
「楠雄はいいよな。一之瀬とか他クラスだと櫛田とも仲良いだろ?」
仲がいいだけだと言いたいが、流石に僕も鈍感ではないし、心を読めるのだから2人が僕に対して友人に向けるそれではない感情を持っていることは理解している。
幸いにして、2人とも高校生の間は恋人を作らないと言っているし、2人から何かアクションがあることはないだろう。
万が一、告白されそうになったらあらゆる手を持って告白出来ない雰囲気を作り出すまでだ。
超能力者を舐めるなよ。
問題は坂柳さんの方だ。
友達と恋人をすっ飛ばして入籍のことや式、新婚旅行のことまで考えている。
僕の何が彼女の琴線に触れたのか全くわからないが、彼女も僕が嫌がるのであればおずおずと未練たらしくはあるが身を引くとは言っている。
言っているだけで本当にそうしてくれるとは限らないが、僕に嫌われるようなことはしないだろうし、放っておけば吊り橋効果のようなもので芽生えた恋心も冷めると期待するしかない。
あとは父親である坂柳理事長には悪いが僕がこの学校を離れるまでは復帰しないで欲しいな。
そういう意味では月城理事長代行に頑張って貰わねば。
僕が恋愛話というやつに興味もなければ話す気もないことを知っている柴田は僕からの返答がないとわかると「やれやれ」と肩を竦める。
「ま、一之瀬を悲しませるようなことはしないでくれよ? リーダーと切り札に亀裂が入るのは誰も望まないからな」
そう言って背中を軽く叩いてくる柴田に僕は善処はしようと頷きを返した。
登校後、ホームルームを終えるとすぐに体育館に全校生徒が集められる。
相変わらずこの環境は慣れないなと頭に響くテレパシーに苛まれながらも、進行していく卒業式に礼をしたり、拍手をしたりする。
在校生代表である南雲の送辞を雑に聞き流していると、当然、次は卒業生の答辞となる。
「ではこれより、3年間を戦い抜き、晴れてAクラスで卒業したクラスの代表者より、答辞を述べていただきたいと思います」
進行役の教師がマイクを通してそう話すと、体育館は静寂に包まれる。
3年生も僕たち1年生より少し前まえで最後の特別試験を行い、最終的なクラスを確定させたという。
ここで名前を呼ばれる生徒が堀北元会長以外であれば、Bクラスや他のクラスが下克上を果たしたということになる。
しかし、そうはならなかったのか、進行役は彼の名前を呼ぶ。
「代表、Aクラス……堀北学くん、前に」
呼ばれた堀北元会長は静かに席から立ち上がると、堂々と壇上へと歩みを進める。
そして壇上に立つと、在校生や関係者各位へと視線を移し、答辞の原稿が書かれている紙を広げることなく、彼は答辞を始めた。
「答辞。梅の香りに春の息吹を感じるこの日、我々は卒業式を迎えました」
盛大な卒業式への感謝や、3年前に入学してきた時のことが語られていく。
「高度育成高等学校に入学し、他校とは違う雰囲気を感じ、未来を担う大きな責任を持つとともに、やりがいのある3年間にしようと誓ったことを鮮明に覚えています」
ゆっくりと、それでいて聞き取りやすい穏やかな声音で話す堀北元会長には、かつて生徒会会長として立っていた時とは違う雰囲気がある。
「私事ではありますが、生徒会の代表として昨年、ここで1年生たちに言葉を述べたことがあります。昨年にこの場所から見た時と比べて一目瞭然、皆さんの成長を感じ取ることができます」
なんの時だったか。
部活動説明会とやらで出てきたらしいが。
周りのテレパシーで黙れや注目しろといった言葉を使わずに1年生たちの私語を静寂にしたようだ。
「そしてこれから3年生となり、在校生を牽引していく立場の2年生には、この学校の規律を守った上で、存分にその力を発揮していただきたいと思います」
温かい眼差しを向けながら答辞を続けていく、堀北元会長は1年生、2年生へとメッセージを送っていく。
それは答辞の終わりを訪れを示唆していた。
「この学校で学んでいることはこの先の人生において、何よりも宝となり、役立つものになるであろうとことをここに約束します」
そして改めて、堀北元会長は在校生たちを見つめ……って、おい、なんで僕を見る。
見るなら妹とかお前を慕っている後輩とかにしてやれよ
「(唯一心残りがあるとすれば、あいつとは1年、いや話した回数などを考えれば1ヶ月にも満たなかったな。来年は答辞を南雲がするだろうが、2年後は……どうだろうな。あいつは固辞しそうだが、周りが壇上にあげそうな気もするな。なんにせよ俺に聞くことは叶わんか……)来年、そして2年後。答辞を述べる人にも、きっと理解できる瞬間が訪れるでしょう」
答辞を述べる人間はAクラスで卒業することになるクラスのリーダーという決まりがあるらしく、それを考えれば一之瀬さんになるだろう。
もちろん、2年後に僕たちがAクラスのままとは限らないため、坂柳さん、龍園、堀北さんか櫛田さんなどもあそこに立つ可能性は十分にある。
「3年間、本当にありがとうございました」
答辞が終わり、森閑とした体育館内が万雷の拍手に包まれる。
そして、卒業式が終了すると、在校生は1番初めに体育館を離れる。
この後は卒業生と全教師、そして参加する卒業生の保護者が集まり謝恩会が始まるらしい。
在校生は教室へと戻り、明日の終業式と2年次の始業式の日程の話をして解散となった。
帰りのホームルームが終わり、星之宮先生は謝恩会に駆り出されて、会場である体育館へと向かっており、部活動で関わりのある3年生がいるクラスメイトも何人かは謝恩会終わりに渡すための花束やプレゼントを持って教室を離れている。
他はこのまま帰るもよし、部活に所属している生徒や3年生と仲の良かった生徒たちは、謝恩会を終えるのを待って3年生と話したり、花束を渡したりといったイベントがあるようだ。
僕の知り合いの3年生というと、どちらも生徒会関係で多くの人物が挨拶に行くだろう。
それは最近生徒会に入った一之瀬さんも含まれる。
「斉木くんは堀北先輩のところに挨拶に行かないの?」
生徒会メンバーとは顔見知りも多いが、謝恩会の予定時間が90分となると、待ち時間はかなり長い。
悪いが90分という膨大な時間を潰してまで、堀北元会長や橘元書記と話す気にはなれない。
周りに人も多いだろうし、堀北元会長と僕という組み合わせは体育祭や混合合宿を思い出して注目する生徒もいるかもしれない。
『僕は遠慮しておく。話すことは話しているしな』
「そう、なんだ(堀北先輩とは仲良いし、電話とかメールで済ませたのかな?)わかった。じゃあ、また明日ね」
いや、あいつ暇があれば僕の部屋に来てクソゲーをやっていくんだよな。
3年生が1年生の寮に頻繁にくると噂になると思われるが、その辺は気遣いのプロなのか見られないようにしてやってきてはクソゲーを進めて去っていく。
昨日はメジャーなレースゲームや大乱闘でスマッシュなブラザーズをしたりもしたが。
南雲を止めることは諦めたというよりは僕と、一之瀬さん、葛城、堀北さんがいれば大丈夫と判断したのか、南雲の話をするということはなくなった。
堀北元会長の心残りは、僕がこの学校でどうしていくのかを見れないことと、妹の成長や動向を見てやれないことらしい。
これらはどうこう言ってもどうしようもないことは彼もわかっているのか、来年卒業する南雲や2年後に卒業する妹から聞けたらいいと思っているようだ。
『ああ、また明日』
それに今日は僕よりも妹の方が話したいだろうし、僕がいては邪魔になるだろう。
一応、31日の昼にここを離れることは聞いている。
見送りも妹がするだろうし、寮から出る時に顔を出すくらいに留めるか30日に何か気の利いたことでもしてやれればいいが、先輩らしい先輩と関わるのが初めてだから難しいな。
退去するまでは、堀北元会長は他に残った同級生と話したり、クラスでお別れ会などをしたり、僕の部屋に来てゲームをする気らしい。
高校3年生、それも来月からは大学生になる人間をゲームに嵌めて、僕は堀北家の人間に怒られはしないだろうか。
まぁ勝手にハマったのは堀北元会長の方だしな。
卒業後に彼がどんなゲームを手に取り、進めていくかには興味がないわけではないが、彼のことだから自分では経験できないことやリアリティのある世界観を楽しんだりするのかもしれない。
とりあえず如くシリーズを勧めてしまったらハマったことは堀北妹に謝っておこう。
何はともあれ、サクラ咲ケ。
卒業おめでとうというやつだ。
高育に如くシリーズ置いてる方も悪いってことで。
置いてそうじゃない?
17歳以上だからできるし
てか空助と学って同い年か……
楠雄と学がゲーム▶︎冬休み以降ちょくちょく来てる
試験などで部屋に行けない日は学が楠雄におすすめのゲーム聞いて買ってやってたりした
今は弁護士やめて探偵やってる人が主人公のゲームをしてる
クソゲーよりもリアリティのあるゲーム派らしく、逆転する裁判とか、少しファンタジーが入るけど人生と謳われる恋愛アドベンチャーゲームにも興味があるらしい
綾小路▶︎月城からの妨害がないため坂柳理事長とか真嶋を味方につける件が無くなってる。まあ味方に2人よりも恐ろしいユニットがいるから問題ないかも。
堀北妹を謝恩会後に会いに行くように促したり、31日の見送りも行けよと言ったりとやることはしてる。
恵を嫉妬させるのにひより使うのもやる。
理事長代行と話してるところを松下に見られるかは分からない(原作ほど本気出してないし目立つこともそんなにしてないから)
堀北兄を卒業させたんで、8月までのわすがな日数休んで2年生編かなと思います。
ではこの辺りで。
あ、11.5巻はこれで終わりではないです。
多分きっとメイビー。
おまけ
女性陣から見たくーちゃん
一之瀬▶︎好きっちゃ好き。でも恋愛感情かまだ分からないと言いつつ周り(クラス内)からは「絶対好きだろ……」と思われてる。気づいてないのは神崎くらい。
仮にくーちゃんから告られたら自己肯定感低いから嘘告?と疑うし、罰ゲームか何か?って言ったりして確認してくるが本気と分かったら嬉しくて泣いて抱きつく。可愛いね。
姫野▶︎友達くらい……と言いつつやっぱり異性なので意識はしてる。休みに服選ぶのに誘ったり、バレンタインに手作り渡すからそれなりに好感度は高い。クラスメイトの目があるから公には関わってないけど、一部のクラスメイトからは「姫斉いいよね……」とされている。知らないのは一斉派閥と神崎くらい。
仮にくーちゃんに告られたら、こっちも自己肯定感低いので疑いにかかるけどあまりに突然過ぎて「ちょっと、考えさせて……」と逃げる。
その日の夜に「こちらこそ……その、そっちから告ったんだから、振るのはやめてよ」とメールか電話して了承する。可愛いね。
櫛田▶︎嫌いじゃないけど?という楠雄言葉では好きという意味の発言をする。でも天使櫛田が顕現してる限りは付き合えない縛りがある。今後2年生で行われることになる試験の経過と結果次第では縛りが解ける可能性もある。闇というか素の櫛田なら「付き合ってくれないとお前の秘密(今まで櫛田に協力してきたこと)暴露した上で公開告白にして逃げられなくするけどいいのかな?」って脅してくる。最初の告白で付き合ってくれたら周りにはバレないように付き合ってくれる。優しいね。
楠雄から告られたら「は?」と機能停止してめちゃくちゃ照れて「ちょっと待って……それは、反則でしょ……」って口尖らせながらも了承してくれる。可愛いね。
坂柳▶︎今更書くことはないが書かねば無作法というもの……。
自分より頭良い!運動もできるし、気遣いもできる!こんないい人他にいるでしょうか、いえいませんね!楠雄くんには責任を取ってもらいます!籍もいれてもらいます!ご家族にも問答無用で挨拶させてもらいます!新婚旅行先も考えておいてください!いいですね!って感じ。
クラス内投票の時にしてもらったことがクセになってんだ。
今の目標はポイント無しで手を繋いでもらうこと。
告白されたら心拍数上がって病院に運ばれて、医師免許のない天才外科医に「楠雄のお嫁さんになるなら長生きしてもらわないとね」と先天性疾患を治してくれるかもしれない。かもしれないだけ。なんかちょっとできそうなのチート義兄ちゃんついてくるのズルくない?全員に言えるわこれ。
椎名▶︎読書仲間。恋愛感情はなし。ただ綾小路よりはいて楽しいみたいな感覚はある。異性としての意識はあるかと聞かれるとない。本読んでるだけだからね。なお周り(石崎、伊吹、龍園)の今後の言葉や態度次第で変わる。
告白されたら驚いて悩んで「今までと変わりなくいてくれるならよろしくお願いします」と了承してくれる。いい女。
くーちゃんから告白することはないが、付き合ってくれとかは言わずに『君といるのは悪くない』とは言うかもしれん。
というかパパとママがアレだし、楠雄は好きな物に対しては異常な執着を見せるから、万が一にでも惚れられたら逃げられない気がする
付き合うというか一緒にいる条件が、
他人を貶めたり傷つけたりしない。
一緒に四六時中いても苦に思わない。
あの両親のラブラブを受け入れられる。
ドS義兄の存在を容認できる。
ツンデレおじいちゃんの相手ができる。
イケイケおばあちゃんと話が合う。
楠雄が超能力者であることを受け入れられる。
と、他にもありそうだけど結構多いかもしんない。
まぁあくまで作者の所感ではある