仕事やら学マスやらFGOで遠ざかっていました
短めですが初投稿です
「はじめまして斉木くん! わたし、Dクラスの櫛田桔梗! よろしくね!
(ふーん、顔のパーツ自体はいいけど綾小路くんみたいに表情筋死んでるのってくらいに真顔。というかキョドったりする分綾小路くんの方がマシかも。なんでこいつ顔色1つ変えないの? まあ池くんとか山内くんが露骨すぎるんだけどさ)」
やれやれと、僕は待ち合わせていた綾小路と堀北さん、佐倉さんが連れてきた櫛田さんを前にして額を押さえたくなった。
家電量販店に佐倉さんのカメラの修理を頼んでから1日が経ち、綾小路の携帯に修理が終わったという連絡が来たと、綾小路から僕に連絡が来た。
その連絡はストーカーと思われる店員からではなく、最初に僕たちの接客を担当した男だったらしい。
それ以外の連絡はなく、ストーカーがこちらの罠に気づいたのか、個人情報の抜き取りは流石にマズいと思ったのかは分からない。
まあ行けばわかることだと、綾小路と下駄箱の前で待ち合わせていると彼らはやってきた。
「オレたちが話しているのを聞いて櫛田も来たいって言ったんだ」
目線で綾小路にどうして櫛田さんがいるのかと尋ねれば、そんな答えが返ってきた。
ただ直ったカメラを取りに行くだけなのにこんな大所帯で行く必要はないと思うが。
「それはオレも言ったんだがな(当事者の佐倉は当然として、オレと斉木はストーカーの動向が見たい。堀北はカメラに映った写真が見たい。櫛田は斉木と会ってみたい、オレたちの役に立ちたいと言っていたが、本心はどうなんだろうな)」
「わ、私はカメラ、取りに行きたい、ので……(でも、私と綾小路と斉木くんだけで良かった気は、する……)」
「私はカメラの中身に興味があるの。別に貴方たちとよろしくしたいわけじゃないわ」
「えー、堀北さん冷たーい。他クラスの生徒とも仲良くしないとダメだよ(陰キャ達がコソコソなんかやってると思ってたら、須藤くんがCクラスと揉めたのが原因とか聞いたら首突っ込みたくなるじゃない。もしその件でクラスに役立てれば私が堀北よりも上だってクラスのみんなが理解してくれるし? 既に理解してるだろうけど、ダメ押しって感じね)」
三者三様というのはこういうことを言うのか。
しかし、堀北さんは表裏がなさすぎるが、逆に櫛田さんは表と裏のギャップが激しいな。
顔はにこやかなのに心の声はまっくろくろすけだ。まっくろくろすけは腹黒かったり、打算などを考えたりしないが。
来てしまったものは仕方ない、と割り切るのが今はいいだろう。
カメラを受け取ってストーカーをなんとかすればこの話はおしまいだ。
そう思っていた矢先に金髪に毛先が桃色と、白桃と普通の桃の食べすぎでもしたかと思う最近見なれた髪の女性がこちらにやってきた。
「あっ、斉木くんに櫛田さんに、堀北さん(後ろの男の子は前図書室で見たけど、メガネの子は知らない子だ)」
「一之瀬さん!」
今日これからクラスメイトの白波さんに告白される予定の一之瀬さんが僕たちの方へとやってくる。
それに櫛田さんが応えると、一之瀬さんは僕たちの輪に入ってくる。
「どうしたの? みんな集まって(目立ちたくないがり屋の斉木くんが囲まれてるの珍しい)」
なんだそのローがつけそうなラインのあだ名は。
弱い奴はあだ名も選べないというやつか?
ヘアピンメガネとかいう不名誉なあだ名よりはマシだが。
「なんでもないわ。Bクラスのあなたには関係ないことよ」
「うーん、そうなの? (Dクラスの子だけなら、そうなんだで受け入れられるけど、Bクラスの斉木くんがいるから気になっちゃうよね)」
僕に聞くなと言いたいが、堀北さんは対話拒否の姿勢だし、綾小路と佐倉さんは僕に任せる気なのか視線を向けたまま動かさない。
「あ、えーっとね」
話せば長くなるから簡潔に言うと、佐倉さんの壊れたカメラを受け取りに行くだけだ。
大所帯になったのは、みんなが佐倉さんのことを気にかけてこうなったからで、僕はあまり関係ない。
「にゃるほど?」
(それは説明を省きすぎじゃないか? 櫛田の言葉を遮ってるし)
「(ふーん、一之瀬さんはCクラスとDクラスの件知らないんだ。斉木くんが私の言葉遮った理由はさっさと終わらせたいって感じ? Bクラスの斉木くんからしたら他クラスの揉め事なんて関係ないしそりゃそうか。でも、私の言葉遮ったのは不愉快)」
悪かったな。
でもこの後一之瀬さんも予定があるんだ。
「あぁ、うん」
詳しい説明が必要なら明日あたりに櫛田さんに聞いてくれ。
そっちの方は上手くいくことを願って
「ごめん、櫛田さん、斉木くんのこと少し借りていいかな?」
「私は別にいいけど(いてもいなくても同じだと思うし)綾小路くんと佐倉さんはどう?」
おい、僕に先に聞けよ。
「あ、えっと、私は……(いてくれた方が嬉しい、けど、迷惑、かもしれないし……カメラの修理は頼んでくれたからこれ以上付き合わせるのは……ダメ、だよね……)」
一之瀬さんの頼み事は予想できている。
修理されたカメラを受け取るだけなら確かに僕はもはや必要がない。
そもそも僕は取りに行く気はなかったが、綾小路にストーカーの件含めて全て託すのは不義理と感じたから来ただけだ。
「少しで終わるならオレは構わない。先に行っている(斉木がいないと櫛田のクッションがいなくなるからな。それに堀北にズバズバ言えるのも斉木だけだ。佐倉とも話せているし、オレとも話してくれる。やっぱりダメだ行かないでくれ斉木)」
綾小路も綾小路で中と外のギャップが著しいな。
「分かった。ごめんね、櫛田さん」
「ううん、気にしないで」
そしていつから櫛田さんがこのメンバーのリーダーのような存在になったのだろうか。
知らない2人と対話拒否1人がいる以上は、そうなっても仕方ないか。
「ごめんね斉木くん、時間取らせちゃって」
4人が離れると、一之瀬さんは申し訳なさそうに謝罪をしてくる。
「千尋ちゃんの件、私なりに考えたんだけど、ちゃんと断ろうかなって……それでさ、斉木くんに見守ってて欲しいの」
一之瀬さんは朝から帰りのホームルームが終わるまで白波さんを傷つけないように断る方法を考えていた。
それはテレパシーで僕に筒抜けだった。
僕の言ったような断り方や、他に好きな人がいるといった嘘で断ろうとしたり、あろうことか僕と付き合っていることにして断ろうとした。
最終的にありのままを話して断ることを選択したようだ。
彼女が納得できる形にしてくれるならば僕はそれでいい。
もし僕とのことを出してくるようだったら止めるつもりではあるが。
「ありがとう」
一之瀬さんは緊張した面持ちで頷くと、深呼吸をしてから歩き出した。
朝話した校舎裏で、既に白波さんは待っていた。
彼女もまたさっきまで一之瀬さんにどう言って告白するかを考えていた。
女の子が女の子を好きになるなんておかしいよねと自嘲しながらも、それでも好きだと覚悟を決めてきていた。
「帆波ちゃん……」
不安げな声音で白波さんは一之瀬さんの名前を呼ぶ。
その様子に一瞬躊躇しかけるも、一之瀬さんはしっかりと白波さんに向き合った。
「手紙読んで、くれたんだね」
その言葉を聞いた瞬間、一之瀬さんは唇をキュッと結び、胸元に手を当てて拳を作る。
「ごめんね、私、今は誰とも付き合う気はないんだ。千尋ちゃんの気持ちには答えられない」
頭を下げながら放った声は震えていた。
「……でも、千尋ちゃんのこと、友達としてもっと知りたい、もっと仲良くなりたいって思うの、だから、私ともっと仲のいい友達になって欲しいの」
「……ぁ」
その光景は遠目から見ていれば一之瀬さんが白波さんに告白しているかのようだった。
「うん、うん……ありがとう、帆波ちゃん……っ」
手を差し出された白波さんは涙ぐみ、クシャクシャになった顔でその手を握った。
2人の間に心の声はなかった。
ただ紡がれる声が全て本心だった。
白波さんがどれだけ真剣な想いで一之瀬さんに告白していたのか。
どれだけ一之瀬さんが彼女と向き合おうと言葉を噛み締めていたのか。
テレパシーを使わなくても、心で理解できた。
初めは白波さんを傷つけないように断るという逃げの姿勢を取っていた一之瀬さんが、自分の言葉で白波さんと向き合えたのは良いことだろう。
一之瀬さんが、自分の言葉で白波さんと向き合えたのは良いことだろう。
さて、僕の役目は見守ることだけだが、これ以上は無粋だろう。
斉木楠雄はクールに去るというか、次の場所に行かなくてはならない。
いや別に行かなくてもいいんだが。
ただ綾小路は僕が巻き込んでしまったから、最後まで責任を持ってやり遂げるべきだろう。
彼らとは少し距離は離れてしまったが、今から向かえばカメラを受け取ったタイミングで合流できるだろう。
家電量販店に向かおう。
そう思い、静かにその場を後にした。
とりあえず一之瀬、白波告白イベ消化
次でストーカー編終わり
ちなみに投稿再開した理由は3年生編が思ってたより良かったから
続きすぐに書きたいけど仕事の都合でまた先になりそうで
ハンターハンターの連載再開されるのを待つくらいの気持ちで待っててください