ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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Ψ使わない時は斉木視点じゃなくすればいいという名案
ほな1話は?君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

斉木の催眠は自分以外にしか使えないのではというご指摘をいただきましたが、既に一之瀬さんとの登校で自分を用務員に見せるという芸当を披露しているのでよう実世界にぶち込まれた斉木くんは自分の姿の認識も変えられるのです。
一之瀬さんとの登校の話から少しして、そういえばと気づいてたけど誰も言わないしいいかとスルーしてました。ゆるちて♡

あと誤字脱字報告いつもありがとうございます!!
今回もまあまああると思うのでよろしくお願いします!チェケラ!!


もう1つの冴えたやり方

 高度育成高等学校に来て早くも2ヶ月。

 ここ1週間で4度目の訪れとなったケヤキモール内のカフェで俺は初めての友人とも言うべき男の奢りでコーヒーを飲んでいた。

 

「美味いな」

 

 こういった場所には縁のなかった俺だが、来てみると悪くはない。

 最初の1ヶ月で外から覗いたりはしたが、中に入るのには少々躊躇いがあった。

 1人だったというのもあるが、何を目的としているのかが不明瞭だったのもあるだろう。

 その点、櫛田の仲良し作戦で堀北を呼び出した時はこういう使い方もあるのかと感心した。

 しかし今となってはこういうのが自然なのだろうと再びコーヒーの入ったカップに口をつける。

 

「美味い」

 

 もう一度そうつぶやくと、目の前に座る男、今回俺をこの場に誘ってくれた斉木楠雄が「良かったな」と返してくれた。

 

「ああよかった。ありがとう斉木。しかし、本当にいいのか?」

 

 今日斉木と2人、男2人でカフェに来たのは佐倉のカメラ修理が終わったのと、彼女のストーカーの件が片付いた祝勝会のようなものだった。

 正確には今回の件に俺を巻き込んでしまったことへの礼と詫びらしいが。

 俺は大したことはしていない。

 佐倉に声をかけて、彼女と斉木の間を繋いだだけだ。

 コミュニケーション能力に難のある佐倉だが、男性不信や意思疎通が計れないということは無い。

 ただ会話のリズムが悪いことや、ネガティブな点は改善すべき部分ではあるが。

 そんな佐倉に他クラスの自分がいきなり声をかけるのははばかられたから助かったと斉木は言っていた。

 

「そうか、じゃあ遠慮なく」

 

 コーヒーだけでなく、紅茶、デザートやパスタでも好きに頼んでいいと言う斉木に俺はメニュー表に目を落とす。

 斉木はオレンジジュースとモンブランを頼んでいたが、俺はどれにしよう。

 そんなことを考えられるのは俺が自由を手に入れられた証拠だろうか。

 

「そういえば、Cクラスの件だが生徒会が介入して厳重注意で終わったぞ」

 

 佐倉のカメラには須藤に殴りかかろうとし、そして何も無いところで見事にこけた男子生徒の写真が残っていた。

 動揺しながら何枚も撮ったせいか、一連の動きは分かってもブレが生じており、また殴りかかった男子生徒達の背中側から撮ったため、彼らの顔は映っていなかった。

 喧嘩未遂のあった現場には監視カメラがなく、佐倉の写真と須藤の証言のみがCクラスと揉め事があったという堀北の主張だった。

 しかし、須藤が名指しした、須藤と同じバスケ部の小宮と近藤、あと用心棒として連れてこられこけた石崎の3人はそれを否定した。

 堀北がハッタリをかけて、貴方たちの顔が写っていると言えれば良かったのか。

 いや、言ったところで教師や生徒会に提出した写真に3人の顔がしっかりと写ったモノがなかったから却下されていただろう。

 それなのに、1日経つと3人が特別棟に須藤を呼び出し、罵倒し、殴りかかった証拠が見つかったため、Cクラスにはクラスポイントの減少と厳重注意が言い渡される結果になった。

 

『貴方なにかしたの?』

 

 堀北にそう尋ねられた俺だったが、俺は何も知らなかった。

 Cクラスと須藤の諍いについて知ったのは堀北と同じタイミングで、Dクラスの訴えを通すのに打てる手は限られていた。

 そんな中で行われた2回目の審議で生徒会長の下した結論に堀北達は困惑し、石崎達は驚いていた。

 誰かが手を貸さない限り、この結末は有り得なかっただろう。

 

 モキュモキュ

 

 それが目の前にいる斉木だと俺は踏んでいるのだが、斉木がDクラスをCクラスに勝たせるメリットがわからず、確証を得られていない。

 CとBの差が開くという目に見えるメリットの為にDに協力するとは思えない。

 

『斉木くん? ……そうね、至って普通じゃないかしら。あなたに似て無表情だけれど、話はしやすかったわね』

 

 堀北に斉木への印象を尋ねた時、そう言われて俺は傾げた。

 堀北と斉木がいつ話をしていたのかと。

 後にしてくれとか、その話は綾小路に聞いてくれとか、そのようなことを堀北が言われていた記憶はあるが。

 堀北の中では会話判定なのか? 

 

『あ、はい、優しくて……その、すごく助かりました……斉木くんがついてきてくれて』

 

 佐倉にとってはカメラの修理を頼むきっかけを作ってくれた斉木はヒーローのように映っているのかとても感謝していた。

 ただ彼女はまだ知らない。斉木と俺がひっそりと彼女のストーカーを撃退していることを。

 

 モキュ……モキュ……

 

 斉木の案で佐倉の名を騙って電気屋の男を呼び出し……何故か俺が佐倉の彼氏ということで雫、いや愛里に近づくなと警告をすることになった。

 

『嘘だ。嘘だそんなこと! 雫は! 雫はお前みたいなやつに!』

 

 当然、男は激昂し俺に唾を飛ばすほどに声を荒らげる。

 そんな男に、俺は聞いた。

 どうして佐倉の部屋を知っているのか。彼女のブログに張り付き、他のファンにマウントを取るのか。

 

『僕が一番雫……いや愛里を大切に思っているんだ! 雑誌で初めて見た時から好きだったんだ! ここで再会した時には運命だと感じたよ……僕が彼女を思う気持ちは止められない! この気持ちを知って欲しいから生徒の個人情報ファイルを見て彼女の部屋を突き止めたのさ!』

 

 一方的な愛を宣言する男に、俺は詰みだなとあとの役目を斉木に託した。

 録音機を手に持ち、先程の男の発言を記録した斉木は犯罪行為だと男を糾弾し、それを学校側や男の職場へ報告すると脅した。

 すぐに仕事を辞め、この学校の敷地内から消え去り、佐倉への粘着行為をやめるか、犯罪行為を受け入れるか。

 男が取った選択は言うまでもない。

 先程、電気屋に赴き、その男が辞めたことを上司と思われる男から確認した。

 ただ、本当にこの学校の敷地内から消えたかの確証の持てなかった俺は念の為、佐倉の方にも確認をと思ったが斉木は『その必要はない』と首を振った。

 

 斉木が見せてくれた画面は雫のブログであり、そこにあったはずの男のコメントは全て消え去っており、潔い引き際だった。

 これを含めても男が居なくなったと言えるかは分からなかったが、あれだけ斉木に脅されれば再び現れる可能性は低いかもしれない。

 今後は佐倉の様子に気を配って欲しいと頼まれ、これで斉木との交流はおしまいと思ったが彼がカフェに行かないかと誘ってきたことで今の状況がある。

 

「……そんなに美味しいのか? モンブラン」

 

 さっきからモキュモキュと舌鼓を打つ斉木に俺が問うと斉木はコクリと頷いた。

 斉木曰く、モンブランの味は、実に幽遠な趣を持つのだそうだ。

 トップに乗った栗は渋みがあり、栗の入った生クリームは深みがあり、スポンジがそれらを受け止めじっくりと舌で味わう必要があるのだそうだ。

 

「すみません、モンブラン1つ」

 

 そこまで言うなら俺もとウェイトレスに注文を告げる。

 

 モキュ……モキュ……ふぅ。

 

 じっくりとモンブランを堪能し、食べ終わった斉木は100パーセントオレンジジュースを飲む。

 

 堀北曰く、普通。佐倉曰く、優しい。

 そして、少ししか会っておらず、会話を交わしていない櫛田も表向きは普通と言っていたが、堀北と同じ感想だなと言うといつも笑顔の彼女があの夜のような目つきで口を開く。

 

『……そうだね、冴えない感じがするけど、話してて不快じゃ……いや、あの「私に一切の興味ありません」って目はムカつくかな。何考えてるか分からないし。でも悪い人ではないんじゃない? 他クラスの生徒のカメラ壊すところ見たってだけで来るんだし。用が済んだらさっさと帰ってたし、あわよくば佐倉さんとワンチャン的なの狙ってる感じでもなかったから』

 

 3人の斉木評と、俺から見た斉木評に大きな違いは無い。

 ただ、普通が分からない俺にとって指標となる生徒が出来たのは嬉しいことかもしれない。

 平田や須藤、池や山内を堀北は普通とは言っていなかった。

 櫛田も上辺ではあるが普通くらいの男子高校生と感じるくらいには普通なのだろう。

 あそことは違う環境に身を置いて学ぶべきことは多いと思っているのだが、Dクラスではいまひとつ俺の求める普通が掴めていなかった。

 だが、斉木なら……と少し期待をしてしまう。

 

「お待たせしました、モンブランです」

「どうも」

 

 幽遠な趣きがどんなものか俺は斉木を真似るようにフォークで一口サイズに切り分け、口に入れる。

 

 甘い。

 

 これが栗だろうか。栗を使ったケーキなんて食べたことがなかったので正直比べようがないのだが。

 栗っぽいものを食べてると感じると同時に、モンブランというのは複雑な味がするのか。

 

 何? 次はフルーツタルトを? 

 なるほどそういうのもあるのか。

 

 Cクラスの1件やストーカーの件で聞きたいことはあるにはある。

 だが……

 

 モキュモキュ! 

 

 幸せそうな顔でスイーツを食す斉木の姿を見ているとその気は失せ、俺の興味はスイーツたちに注がれていた。

 今日は奢りということだから、俺も満腹になるまで食べられるだけ食べさせてもらうとしよう。




斉木がひっそりとしたこと
・ストーカーの脳内に愛理のストーカーに対する負の感情をテレパシーで垂れ流し。ただそれだけだと「なんでわかってくれないんだ!」と佐倉の部屋に押しかける可能性があるので、夢で『私、一途な人も好きだけど遠くから見守ってくれる人の方が好きだな……』と見せる
トドメに、他のファン達から50歩ほど引いた距離で見ていれば振り向いてくれるのでは?と虫の知らせをして、斉木の言う通り学校内から姿を消す。ファンを辞める訳では無いが、次何かしたら刑務所覚悟いいですね!?になる。

・佐倉の写真が思ったより使えなかったので自分の撮った動画を提供。
堀北会長に送り付けて、『ある生徒が生徒同士のトラブルに学校がどう介入するか見たがってるから、どうするか教えてあげてください』とお頼みした
結果堀北兄「面白い」ということで、全て知った上でいつも通りの手順を踏んでCとDのトラブルを収束させた(堀北兄は最初の審議時点で全部知ってた)

生徒同士のトラブルは生徒会が介入すると知った龍園は厳重注意もあったため、BとDから手を引くも、今回の結果に誰かが裏で手を引いてやがると確信する。

石崎は待ちぼうけをくらい、龍園に何ヘマしてんだとアルベルトに殴られ、審議終了後日、勝手に椎名の名前を勝手に使ったことをそれとなく斉木にチクられ、「どういうことですか?石崎くん」と詰められた。

伊吹はずっと出てこない斉木に痺れを切らし、トイレに向かって「斉木!いるんだろ!」と声をかけるも返事はなく、周囲からは奇異な目で見られる。そして『もしかして私、知らない人に斉木の幻覚を……?』と龍園と石崎、椎名に植え付けられた斉木の容姿を幻視したのかと不安になる。後日椎名に「あそこにいるのが斉木くんですよ」と教えてもらった斉木の姿を見て『やっぱりアレ最近じゃんか!?』と驚愕する。運良く、ケヤキモールの男子トイレで斉木の名を呼ぶところを連呼したのは見られたり聞かれてなかった。

ようやく次は無人島試験編です
まあまたしばらく空くんですけど。
ポイント計算できないからフィーリングでやると思います
だいたいこのくらい〜的な

それでも良かったらテナガエビくらい首を長くして待っててくださいませ。
ではでは
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