ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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前話にCクラスに絡まれたことを斉木に謝罪するひよりの回
伊吹がいつ斉木がトイレから出てきたか問いただす回
を書くつもりでしたが、先に無人島試験に入ります。
皆さんが危惧していたように、船乗り未経験の超能力が船の上……何も起きないはずもなく……って感じの話です


3巻くらい
Ψ厄!?未知のウイルス!


 夏休み。それは学生に与えられたエンペラータイム。

 期末テストも終わり、高校初めての夏休みとなれば大抵の者は浮かれるだろう。

 かく言う僕もその1人だ。

 約1ヶ月と少しの間は学校に行かなくてもよく、プライベートな時間が保証されている。

 つまりは寮におらずとも、実家に帰り、録り溜めしたドラマを見たり、こちらでは買えないスイーツなどを楽しむことが出来る。

 

 しかし、実に有意義な夏休みを過ごせる、という僕のパーフェクトプランは期末テスト開始前に打ち砕かれたわけだが。

 ここは日本政府が運営する、未来ある若者を育てるために卒業時に希望する進路、就職先を確約するという謳い文句で開かれた学び舎。

 その名を高度育成高等学校。

 普通の高校とは異なるこの学校は夏休みも僕たち生徒に休む暇を与えることは無い。

 星之宮先生からのネタバレ(テレパシー)で先んじて夏休みの開始と共に無人島での試験があることを知ってしまった僕の気分はかなりナーバスなものだった。

 

 夏休み特別試験の件、母に話しました。

 途端に泣き崩れる母。

 すまない、祖父の家には行けない。

 来月からしばらく家に帰れなくなるので晩御飯はいらないこと、伝えます。

 僕は高度育成高等学校を絶対に許さない。

 

 おまけに僕をこんな目に遭わせるとは……! 

 

「斉木、本当に大丈夫か? (顔色も悪いし、すごい汗だ)」

 

 今、僕たちは夏休み開始早々朝早くから集められたかと思えばバスで東京湾にまで連れて行かれ、一般的な学生が乗ることはないであろう豪華客船に乗せられている。

 乗る前に「ウチの船とあの船を交換しろ今すぐにだ!」と髪型が岸辺露伴に似た僕と同じくらいの学生が吠えていたが、交換しろと言うのも納得の設備がこの船には揃っていた。

 一流の有名レストランから演劇が楽しめるシアター、高級スパ、ビリヤードやダーツのできる遊技場もあるらしい。

 そんな贅の限りを尽くしたかのような旅行が始まって早々に僕は未知の病に襲われていた。

 

「どうしたの神崎くん……って、斉木くん大丈夫!?」

「ああ一之瀬か、斉木が船に乗ってから顔色が悪くて、汗をかいてるんだ」

 

 くっ、みんな来ないでくれ。

 これはきっと未知の病だ。

 風邪やインフルエンザ、熱中症やノロウイルスにもなったことがないこの僕が感染するほどの病だ。

 常人の君たちがかかれば数秒ももたないだろう……! 

 しかしそう言ったところで彼らには説得力がないだろう。

 くそ、船に乗る前は何ともなかったのに……! 

 

「大丈夫……じゃなさそうだけど、斉木くん? 顔色悪いし、気分悪そうだけど……(斉木くんがこんな苦しそうな顔してるの見たことない……本当に未知のウイルス、なのかな……?)」

 

 ああ。とても気分が悪い。

 頭痛と吐き気がすごい。

 まるで脳を下からゆっくりと揺すられたような気分だ。

 熱はないんだが、不快感がすごいんだ。

 お腹の調子も悪くないし、起きた時やバスに乗っている時は何も無かったんだ。

 

「船酔いじゃない?」

「船酔いだな」

 

 船酔い? 要するに乗り物酔いか? 

 馬鹿な。この僕が? 

 

「でも船に乗ってから気持ち悪くなったってことは(船酔いなんじゃないかな)」

「星之宮先生のところにいって酔い止めを貰ってこよう。多分あるはずだ」

 

 いやこれは未知のウイルスだ。

 保健室の先生に治せるはずがない。

 

「いいから行くぞ! 仮に未知のウイルスだとしたらこんな往来にいたらまずいだろ!」

 

 う、それは神崎の言う通りだ。

 このままだと超能力が暴走して取り返しがつかなくなるかもしれない。

 ここは一旦船から離れる方が得策だろう。

 保健室に行く前にトイレに行っていいかと神崎たちに言うと2人は目を合わせた。

 

(吐くのか……)

(吐くんだね)

 

 違う。

 ここでテレポートしたらバレるからだ。

 トイレならスマホを置いてテレポートすれば問題ない。

 一刻も早く家に帰ってこのウイルスの対処法を考えないと。

 最悪の場合は僕の肉体を1度破壊してウイルスの根本を断ち切らなければ。

 

 

「じゃあ斉木、トイレの外で待っているが……何かあったら連絡してくれ(一之瀬には水でも買ってきてもらうか。その後に星之宮先生のところに連れていこう)」

 

 神崎に見送られ、個室のトイレに入った僕はスマホを便座の蓋に置き、すぐさまテレポートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとパパ、くっつきすぎよ〜♡」

「いいじゃんかママ〜♡(楠雄が旅行に行くおかげでお義父さんたちのところに行くのが延びたし、その間にママとたくさんイチャイチャするぞ〜)」

 

 ただいま。

 

「ぎゃあああああ!? (く、くすおぉ!?)」

「あらくーちゃんおかえりなさい……ってどうしたのその顔!? (真っ青だしちょっと白目剥いてるわ!?)」

 

 夫婦水入らずのところ大変恐縮だが、まずいことになった。

 実は学校の旅行で無人島に着く前に未知のウイルスにかかってしまったんだ。

 

「ええ!? 1回も風邪を引いたことの無いくーちゃんが!?」

「一家全員インフルエンザになってもピンピンしてた楠雄が!?」

 

 ああ。大抵のウイルスはパイロキネシスで体温を上げれば死滅するんだが今回のこれはダメだった。

 危うくクラスメイトを火傷させるところまで上げても症状は改善されないままだ。

 

「どうしてそんな状態で帰ってくるんだよぉ!?」

 

 

 仕方ないだろう。他の同級生に移すわけにもいかないし、2人ならかかっても身体を1日前に戻せるから問題ない。

 

(いやその親になら迷惑をかけてもいいみたいな……)

「えっと、くーちゃん、その、ウイルス? の症状? が始まったのはいつなの?」

 

 ついさっきだ。

 船に乗る前は何ともなかったのに乗ったら急に具合が悪くなって……今ではもう立つこともままならない。

 

「……それ船酔いじゃないの?」

 

 船酔い? ……バカを言わないでくれ。

 神崎や一之瀬さんにも言われたが、船に乗ると具合が悪くなるなら、電車や車でも同じだろう。

 

「いや楠雄、地上を走ってる電車や車と海の上で動く船は乗り物として全く別だから酔いの程度も結構違うんだぞ?」

「そうよくーちゃん。あ、でも船の上じゃなくなったからちょっと楽になってきたんじゃないの?」

 

 ん? 言われてみれば確かに。

 船を降りてからは少し気分が落ち着いてきたかもしれない。

 母さんの顔を見た安心感からだと思っていたが。

 

「いや僕は!?」

「確か酔い止めのお薬あったと思うから持ってくるわね」

 

 助かる。

 やはり持つべきものは帰れる実家だな。

 しかし、船酔いか。

 そういえば海の上を走ったり飛んだりしたことはあれど、船の上に乗ったのは初めてだったな。

 盲点だった。これだと飛行機も怪しいかもしれないな。

 

「はいくーちゃん。くーちゃんは15歳以上だから2錠飲むのよ」

 

 ありがとう母さん。

 

「それ飲んで少し寝てれば落ち着くんじゃないか? (急に帰ってきたと思ったら全く……手のかかる子供だな)」

 

 なに僕のおかげみたいな雰囲気を出してるんだ。

 というか今日は平日だろ。なんでこの時間に家にいるんだ? 

 

「ああ今日は会社の創立記念日だから特別休暇なんだ(ホントは記念パーティーがあるんだけど、ママとの時間の方が大切だからな!)」

 

 父らしいといえばらしいが、行かなくて後々面倒なことになっても僕は助けられないぞ。

 

「大丈夫だって、今日はお偉いさんたちはゴルフに行くからほとんど来ないし、僕の担当している作家さんたちもそういうのは来ないから」

 

 お偉いさんがいないのに誰が来るんだよそのパーティー。

 いやいないからこそ集まりはいいのか? 

 

「くーちゃん、酔い止め持っていく? ……あ、でももうあんまりないかも……」

 

 どうせ数時間もしないうちに船から降りて無人島で過ごすことになるから大丈夫だ。

 足りない分は癪だが星之宮先生に貰うことにしよう。

 そういえば神崎たちを待たせてるんだったな……薬も飲んだし、船に戻って再発することはないだろう。

 

「くーちゃん夏休み楽しんでね」

 

 開始早々船酔いして楽しいも何も無いが、善処するとしよう。

 

「無理するなよ? また気分が悪くなったらいつでも帰ってこいよ?」

 

 ……やれやれ。さっきは急に帰ってきて迷惑そうな顔をしていたくせに。

 じゃあ、また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まりください。間もなく島が見えて参ります。しばらくの間、非常に意義のある景色をご覧いただけるでしょう』

 

 テレポートで船に戻るとそんなアナウンスが流れていた。

 どうやらもうすぐで島に着くらしいな。

 

「斉木……大丈夫か? (顔色はかなりよくなっているが……吐いたからか?)」

 

 吐いてない(薬を)飲み込んだ。

 

「星之宮先生から薬もらってきたよー」

 

 一之瀬さんか。この通りもう大丈夫だ。

 吐いてはいないぞ。少し座っていたら楽になった。

 

「そっか。良かった(船酔い? 未知のウイルス? まあどっちにしろ良かったー!)」

 

 そう言って安堵の表情を浮かべる一之瀬さんからありがたく酔い止めを頂戴する。

 

「そういえばもう島に着くみたいだね」

「確か島のペンションで1週間過ごすんだったな」

「楽しみだね」

「……そうだな(1週間も無人島生活、というのは少し不安もあるが、またとない機会になるだろうから楽しまないとな)」

 

 残念ながらこれから僕たちは無人島で7日間の試験をさせられるんだがな。

 ルールも既に把握しているが、どうしたものか。

 

「私、甲板の方行ってるね(島がどんな感じなのか見たいし)」

「ああ、わかった」

 

 神崎も行ってきたらどうだ? 

 僕は部屋に戻って無人島に降りるまで休むつもりだから。

 

「そうか? なら遠慮なく」

 

 言うと、神崎も一之瀬さんの行った甲板の方へ歩いていった。

 さて僕も自分の部屋に戻ろう。

 今回の特別試験、内容自体はそう難しくはないが、僕にとっては苦でしかないからな。

 ふかふかのベッドで休めるうちに休んでおこう。





特に何も無かった!
なんとなく斉木家を書きたくなったので実家に返してみました
まぁ当初に考えていた話通りなんですが
ママだけの予定がパパも出てきちゃった……!

てな感じで無人島試験開始です
Bクラスの動きなんて仲良くしてたら金田くんやってきて白波さんリーダーバレして負けるのが大筋なんで、僕以外が仲良くしてるとこにスパイが来たから付きっきりで見てやるかと気まぐれロマンティックした斉木に絡まれる金田くん書いて終わりかなーって思います。
冗談ですよ?

次回はナメック星が爆発するまでにかかった時間くらい経ったら書きます(原作じゃなくアニメの方です)
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