無人島に上陸するや否やAクラスの担任、真嶋先生から今回の特別試験の説明があった。
期間は今から1週間。
8月7日の正午に終了となる。
人為的に開拓された無人島で集団生活をすることが試験となるが、この試験は実在する企業研修を参考に作られたらしい。
それを高校生にさせることが実践的、現実的かはさておき、生徒からは不満の声が多く出ていた。
Aクラスは静かなものだが、意外にもBクラスからも「無人島で生活って……船じゃなくて、この島で寝泊まりするってことですか?」と疑問が出ていた。
試験中はリタイアするまで船に戻ることは出来ず、この島にいる間は食事の用意から眠る場所まで、その全てを生徒たち自身で考えなければいけない。
クラス毎にテントが2つと懐中電灯が2つ、マッチが1箱。
日焼け止めは制限なく、歯ブラシは1人1つずつ配布される。
女子には生理用品も支給されるが、まだポイント制のことを言ってないため、生徒たちはこれだけしかないのかとブーイングの嵐だ。
僕も虫除けスプレー、蚊取り線香、アースジェットといった対虫用のアイテムが無料で欲しいところだが、学校側は用意してくれなかったらしい。
あとの欲しいものはクラスに与えられる300ポイントから取捨選択するしかないのだ。
予め知っていたことを改めて説明されるのはややこしく感じてしまう。
説明は続き、この特別試験終了時には、各クラスに残っているポイントをそのままクラスポイントに加算していいと明言されたり、各クラスでリーダーを決定して、最終日の点呼で他クラスのリーダーを当てることが出来れば50ポイント、外せば50ポイントとハイリスクハイリターンな仕様だ。
この辺りは僕が前回に説明した気がするな。
「はいはーい、みんなー今から腕時計を渡すから集まってねー」
真嶋先生の説明が終わり、各クラス担任から補足説明を受けるように指示が出る。
そして、僕はこの試験中、僕の超能力のほとんどを制限する腕時計を星之宮先生から受け取った。
「許可なく腕時計を外した時にはペナルティがあるから、1週間後の試験終了まで外さずに身につけておいてね。そうそう無いけど、壊れた時は新しいのと交換するから」
業者の人間が積み上げた支給品から取り出された腕時計をつけると、時刻以外にも色々と表示されている。
「これ結構すごいんだよ? 時間以外にも体温と脈拍、探知センサーにGPSもついてるし、緊急時が学校に伝わるボタンもついてるから」
「(緊急時って……)この島、危ない生き物とかいるんですか?」
「ごめんね、柴田くん。試験結果を左右する可能性がある質問は答えちゃいけないのよ(まあ害のある動物とか虫はいないんだけど)」
Dクラスでも似たような話題になっているな。
まあ命や身体に関わるような生物がいる島に生徒たちを1週間も閉じ込めるのは問題でしかない。
「じゃこれマニュアル。あとのことは大体これに書いてあるから(簡易トイレとかスポットのこともこれにあるしね〜) 分からないことがあったら聞いてね。答えられる範囲でなら答えるから」
適当すぎないかこの教師。
先生は一之瀬さんにマニュアルを渡す。
「うわぁ結構びっしり……(確かにこれはなくしたらポイント取られちゃうね……)」
マニュアルは1クラス1冊の配布であり、なくしたり、読めないほどに破損した場合は交換できるもののポイントが減ることとなる。
ルールの他にポイントで購入できるアイテムのリストや試験での禁止事項など事細かに書かれているためしっかり読むのには時間がかかりそうだ。
「先生、ポイントを全て使い切ったあとにペナルティが発生した場合は、ポイントの変動はどうなるのでしょうか?」
「ポイントは0になったら変わらないよ。(しないと思うけど環境汚染とか島にいるのに点呼に来ないとかはやめて欲しいかな)」
神崎の質問に先生は淡々と答えた。
「盗られたとか壊されたなら対応はするけど、支給品の破損とか紛失に関しては学校側は手助けしないからね(これも他クラスがやったらプライベートまで没収になるからいないと思うけど)」
補足する形で星之宮先生は言う。
ただ試験の説明に関してはあちらのDクラスの方が念入りにしているようだ。
生徒からの質問に茶柱先生は澱みなく淡々と答えている。テントや簡易トイレの説明も終わったらしい。
「(先生は点呼の為にベースキャンプ近くで待機か……だったら質問はあとでもよさそうだね……)よし、じゃあとりあえず拠点を決めよっか。誰か島の周りを船で回ってる時どこか良さそうな場所とか、あとはキャンプしたことある人でこの辺がいいんじゃないかなってのがあったら教えて欲しいな」
一之瀬さんがパンっと手を叩いて話を進めた。
「この暑さだ。水辺が近い方がいいかもな」
「だったら海は?」
「海だと塩水ですし、川とか湖の方がいいんじゃないですか?」
「湖はないかもだが川はありそうだな」
「水も大事だけど食料も大事だよね」
「木の実や野菜とかがあると助かるけど」
まとめ役の一之瀬さんがいるおかげか、仲のいいBクラスは各々がアイデアを出し合いすぐにまとまりを見せた。
ちなみに僕はすでに島全体を千里眼で見たので水源がある場所は何となく分かる。
森の中に予め安全性が担保された井戸があるようだが、それを教えてしまうと「どうしてわかったのか」「どうして知っているのか」と質問責めに遭うのは目に見えていた。
「斉木くん」
話し合いのグループから少し距離を取っていると僕と同じくあの場には混ざらなかった姫野さんが声をかけてきた。
「船酔いだったんだって? 大丈夫?」
どうやら柴田がBクラスの大半に言いふらしたらしく、クラスメイト達から僕は今かなり気を遣われていた。
既に気分の悪さ等は解消されており、ほぼいつも通りではあるが、話し合いに参加してボロが出てしまうのも面倒だからこうして距離を取らせてもらっている。
「そ。なら、よかった。(斉木くん頭いいし。聞いてみよっかな)斉木くんは今回の試験どう思うの?」
そうだな。
夏休みなんだから休ませてくれという思いはあるな。
40日もあるとはいえ、そのうち7日間、無人島試験終了後の船に戻ってからの特別試験も合わせれば2週間近くはろくに休むことができない。
それにこの島も整備されているとはいえ、僕の嫌いな虫という生物が生息している。
もしこれが僕1人の試験なら、腕時計をつけさせた分身をここにおいて、僕の方は実家で1週間過ごして何事もなく終えることができるが、そうもいかない。
総じて面倒極まりないという結論であるため、それを姫野さんに言う。
「面倒……(確かにポイントがあるとはいえこの1週間、生徒たちだけで衣食住を過ごして、それに夏休み後に備えてポイントも残すってのは面倒かも)」
僕の思った面倒とは少し違うが、概ねそうだ。
300ポイントを使い切って全員船に戻るというのも手ではあると思う。
もしくは他クラスに譲って、譲った分の数パーセントを9月にプライベートポイントで返してもらうといった方法もあるだろう。
この試験のテーマは"自由"
どんな過ごし方ややり方をしてもいいというのが根底にあるものの、ルールという不自由は存在している。
制限的自由の中で僕たちはどう過ごすのか。
学校が見たいのはそんなことなのかもしれない。
「じゃあ拠点を決めるために森に入ろっか。出来たら川や水源のあるところ。20分後に……うん、あの木を目印に集合しよっか」
ある程度話がまとまったらしく、Bクラスは3つの班に分かれてそれぞれ探索に向かった。
ちなみに僕は姫野さんと共に神崎のグループになった。
「斉木、無理はするなよ? テントは柴田たちのグループが運んでくれるそうだ」
見れば柴田を中心とした男子連中がテントを持っている姿が見える。
「ただいまー今から移動する感じ? (流石Bクラス、優秀優秀)」
Dクラスの茶柱先生に絡みに行っていた星之宮先生が戻ってきて、彼女は一之瀬さんのグループについていく。
「俺たちも行こう」
神崎がそう声をかけると彼に続いて僕たちは移動を始めた。
Cクラスは悪巧みの最中で、Aも島を回っている時に見つけた洞窟に向かうようだ。
Dクラスはまだ説明が続いてるらしく、しばらく動き出す気配はなかった。
あちらはトイレの問題でかなり揉めているようで、その様子を見ていると綾小路と目が合った。
(斉木か。目が合って……るよな。こういう時どうしたらいいんだ? 手を振ればいいのか? だが、俺たちはそこまで親しい間柄なのだろうか。わ、わからない)
どう反応すればいいか困っている綾小路に、僕もどう対応するか悩んでいると立ち止まっていた僕を見かねて姫野さんが戻ってくる。
「斉木くん、どうしたの? みんな行ってるよ」
悪いな綾小路、知り合いと目が合った時の対処方法は誰かに聞いてくれ。
僕は目が合ってないフリをするからな。
目の前まで来られたら会釈くらいはするだろうが。対応の仕方は人それぞれだろう。
とりあえず僕から普通の人間らしさを学ぶのはやめた方がいい。そう思いながら僕は神崎達を追った。
Bクラスの描写あんまりなかったので大抵想像で。
わかるのはベースキャンプ地とちえちゃんがさえちゃんにちょっかいかけに行ったくらいですかね。
白波さん頑張れ!
斉木の方見返してたら修学旅行で海藤と燃堂に挟まれて寝てたから必ず実家じゃないとダメって訳じゃなさそう
あとギャグ挟みたいけどよう実がシリアスなのもあってあんまり入れられないですね
斉木楠雄の面白さを全然発揮できてない
俺は弱い
龍園に窪谷須と燃堂のハイブリッドになってもらうしかない(流れ弾)
Bクラス内のヒロイン
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一之瀬
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姫野
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星之宮
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神崎
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安藤
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網倉
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白波
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柴田