ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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お久しぶりです。


1日目の終わり

「斉木くんのおかげで食料に使う予定だったポイントが浮いたよありがとう!」

「ほら、斉木のおかげでフルーツもあるぞ!」

 

 無人島生活1日目は僕が原因確定の船酔いに追われ、一部のクラスメイトたちから気を遣われるというアレな始まりであったが、拠点設営も終わりBクラスは火を囲んで夕食を摂っていた。

 彼らの手元には僕が見つけ、神崎や柴田たちを中心とした男子たちに取ってきてもらった食料が。

 食べられるキノコに果物、野菜と育ち盛りの高校生には少し物足りないかもしれないラインナップではある。

 しかし、いかにポイントを多く残すかに重きを置いているBクラスにとってはこれらの無償の食べ物は貴重であり、無人島という環境もあってか、ちょっとしたご馳走にさえ思っているようだ。

 

「もう斉木は俺らのクラスになくてはならない存在だ!」

「斉木くんありがと〜!」

 

 柴田が騒いだおかげでクラスメイトのほとんどが僕に対して称賛の言葉を浴びせてくる。

 僕は偶然見つけただけでそんなに褒められることでは無いと言えば、柴田が肩を組んでくる。

 

「謙遜するなって! もう斉木はこのクラスの……いや、Bクラスの柱だ!」

「おっ! (テニスの王子様か?)高育楽しんでる?」

「(テニミュだ!)ザ・ベスト・オブ・ワンセットマッチ!」

「(鬼滅か?)食卓が完成した!」

「あー! (ジョジョだな!)食べれればよかろうなのだー!」

 

 こいつら酒でも飲んでるのか? 

 あとテニプリだけでふたつも出てきてるのがよく分からないが。

 

「本当にありがとうね斉木くん」

 

 テンションの高い柴田やほかのクラスメイトたちをそれとなく引き剥がし、火の中心から少し遠ざかると一之瀬さんがトウモロコシを片手に声をかけてくる。

 

「これとっても美味しいよ!」

 

 高育か政府かは分からないが管理された農産物だし、とうもろこしは採った途端に鮮度が落ちるからな。

 逆に言えば採れたてだからこそこの美味さなのだ。

 

「明日は柴田くんたちが魚も取ってくるって張り切ってたから、食料に関してのは心配はなさそうだね」

 

 釣り場と釣竿は後回しにしようと思っていたが、スイカやとうもろこしを持って帰ってくる際に浜口や別府が釣り場の存在に気付いたらしく、明日は腕に自信のあるものは釣りに行くそうだ。

 釣竿は購入するという話が出ていたが、釣竿が置かれていることを伏せてハシゴと小屋の存在を教えてやると安藤さんと網倉さんが嬉々として取りに行っていた。

 ああいう危ないのは男子にやらせておけばいいと思うんだがな。

 

「本当に斉木くん大活躍だね」

 

 そういったこともBクラス全体には伝わっており、一之瀬さんをはじめ、神崎や柴田といった普段話しかけてくるやつはもちろん、網倉さんや安藤さん、あの白波さんですら声をかけてきた。

 かなり目立ちすぎたため、明日からは行動を自重しようと決めて僕のハンモックのある場所に行くと、輪の中心から外れた女生徒がいた。

 

「あ、斉木くん。すみません、私まで野菜いただいちゃって」

 

 姫野さんかと思った? 

 Cクラスの椎名さんである。

 どうしてここにいるのかって? 

 早い話がスパイで、ドラゴンガーデンにBクラスのリーダーを探るように指示されて、Cクラスから追い出されたふりをしてここに来ていた。

 とは言え本人にスパイをする気はないらしい。

 

「龍園くんにBクラスに行ってこいと言われた時は行くだけ行ってダメでしたと帰る気でしたが、来て良かったです(Bクラスの方々は優しいですし、こんな美味しい野菜や果物も食べれましたし)」

 

 ポイントを使い切って豪遊しているCクラスならば肉や野菜、デザートにプリンなどもあるだろうに。

 椎名さんがこの場にいれるのは、一之瀬さんと面識があり、Cクラスのいやがらせに一切加担していないというのが大きかった。

 Cクラスの横暴さや今回の無人島試験での過ごし方に納得がいかないと嘘と本音を織り交ぜた椎名さんの説明にお人好しのBクラスはいとも簡単に受け入れてしまったというわけである。

 

「あ、斉木くんが持ってるのはとうもろこしですか? (それも美味しそうですね)」

 

 龍園が椎名さんをBクラスに送り込んで来た理由はまだ分からないが、明日にでもCクラスの所には行こうと思っているのでその時に脳内を覗かせてもらう。

 とりあえず、意外と食い意地のある椎名さんにとうもろこしを折って半分ほど渡してあげると「ありがとうございます!」と小動物のようにかじりつきはじめた。

 

「あ、斉木……くん、こっちにいたんだ(って、Cクラスの子と一緒か)」

 

 その横で残りのとうもろこしを食べていると姫野さんがこちらにやってきた。

 どうやら追加の食べ物を持ってきてくれたらしく、手にはみずみずしいきゅうりと茄子があった。

 

「どう? ドレッシングとかないから味っけないかと思ったけど結構いけるけど」

 

 僕はいいから椎名さんに分けてやってくれ。

 

「え? いいんでふか? (あ、かじりながら喋ってしまいました)」

 

 僕は時々つまみ食いしていたからな。

 それにサイコキネシスで魚を何匹か引っ張ってきて魚も食べている。

 だから、昼頃にCクラスを追い出されて腹を空かせてるであろう椎名さんの方が食べるべきだ。

 

「(ふーん)ま、斉木くんが見つけてきたやつだからいいけど」

 

 やはり他クラスから来た人間ということで警戒心があるのか姫野さんは僕と椎名さんの顔色を窺いながら、自身の持ってきた野菜を渡してきた。

 椎名さんは気にした素振りもなく、受け取ったきゅうりをそのまま食べると先程と同様に美味しそうにかじっていた。

 

「そういえばその子はどこで寝させるの? (流石に女子のテントとかに入れるわけじゃないと思うけど)」

 

 Bクラスの拠点は開けた場所にあるが、木々が多く、テントを置くのに適した場所とはいえず、テントは女子に譲り、男子のほとんどはハンモックで寝ることになっている。

 だが、他クラスの椎名さんを入れるのには抵抗があるのか、姫野さんは遠慮がちながらもしっかりと聞いてきた。

 

「一応、私もハンモックを使ってもいいということなので斉木くんの隣で寝ようと思っています」

「はい?」

 

 はい? 

 初耳だが? 

 てっきり僕は女子テントに近いハンモックを使うと思っていたのだが。

 

「すみません、恥ずかしながら知り合いが斉木くんと一之瀬さんくらいしかいないもので……いきなり外で1人というのは大変心寂しくて……」

(まぁ、それはそっか。スパイかもしれないけど、結局はクラスの人とは離れてるんだし)

 

 嘘偽りのない椎名さんの言葉に姫野さんは納得したのか、少し考えるような仕草をしてから頷いた。

 

「(でも知り合いだからって男子と隣で寝れるもんなの?)そ、なら追加のハンモックと……あ、そうだ、神崎くんが虫除けスプレーとか取っといたから取りに来てくれって」

 

 思い出したかのように姫野さんがそう言って僕にここを離れるように促してくるのでそれに従って立ち上がる。

 

「あ、私のハンモックなら私が」

「いいからいいから。ついでがあるし斉木くんが取ってきてくれるから」

 

 言ってないが、それくらいはいいだろう。

 僕からも椎名さんはゆっくり食べててくれと伝えて、予備のハンモックと虫除けスプレーが置いてある場所へと歩き出す。

 

「大丈夫なの? Cクラスのスパイなんじゃないの?」

 

 スパイなら自分の荷物以外にも無線機やらCクラスとの連絡手段は持ってくるだろう。

 僕が彼女にスパイをする気がないと判断しているのはそこなのだ。

 無線機をどこかに隠してる訳でもなく、リーダーをどうやって見つけようとかも考えていない。

 考えていることといえば僕と本の感想が言いたいとか、船に戻って本を読みたいくらいである。

 特に気にすることはないんじゃないかと言うと、姫野さんは「ふーん、そ」とだけ言って、それ以上は追及してこなかった。

 

「ま、何かあったら言ってね。Cクラスなら痴漢とか襲われたとかホラ吹くかもだから」

 

 他のCクラス女子は分からないが、椎名さんに限ってそういうことはないと思うが、忠告通り気をつけておこう。

 

「何から何までありがとうございます」

 

 ハンモックと虫除けスプレーを回収し、寝床に戻ると野菜を完食した椎名さんが待っていた。

 僕のハンモックの紐を結んである木とは隣に椎名さん用のハンモックをつけると彼女は頭を下げてくる。

 

「斉木さん、虫苦手なんですか?」

 

 逆に得意な人間っているのか? と思いつつも、夏は鬱陶しいことこの上ないからなとスプレーを噴きながら答える。

 

「確かに。でも最近の夏は暑いからか蚊はめっきり見なくなりましたね」

 

 川でザリガニとかが茹で上がるような気温らしいからな。

 とはいえ小さな虫がいるのは事実で、こんな無人島だと目の行き届いていない箇所にどんな危険虫がいるか分からないからな。

 食費に比べれば安いものだからと一之瀬さんと神崎が了承してくれたスプレーを噴いて、僕はハンモックへと上がる。

 

「今日は色々とありがとうございました。明日からも、その、ご迷惑おかけするかもですがよろしくお願いします」

 

 ぺこりと椎名さんも隣のハンモックに上がって一礼すると身体を支える布に身を預ける。

 

「そういえば、斉木くん、そのヘアピン寝る時は取らないんですか? (もし取るならハンモックだと置く場所がなさそうですけど)」

 

 ああ取らない。

 メガネもヘアピンも付けたまま寝ないと落ち着かないんだ。

 これは嘘じゃない。

 ヘアピンは取れれば僕が寝返りをうつだけでこの島の3分の1は消し飛ぶし、メガネを外せば最初に目が合った人間は石化する。

 政府から監視されてるこの状況ではやってはいけないことのオンパレードである。

 そんなわけでどちらも外せない僕は気をつかってくれた椎名さんに大丈夫と親指を立てる。

 

「ふふっ、そうですか。では、おやすみなさい、斉木くん」

 

 ああ、おやすみ。

 

「あ……」

 

 できれば家のベッドで寝たかったと考えていると、仰向けで空を見た椎名さんが口を開く。

 ふむ、なるほど。

 

「斉木くん、星が綺麗ですよ」

 

 こういうのは実家にいては見れない景色だな。

 ハンモックで夜空を眺めながら寝るというのも悪くないかもしれない。

 僕はそう思いながら、椎名さんに頷きを返して眠りにつくことにした。

 




30分くらいでサクッと書こうとしたらゲーム仲間とLINEしながら4000字も書いてましたね
睡眠を代償とした最新話の執筆!
斉木楠雄タグの検索上位に立つんわ俺や!

2日目以降あんまり覚えてなければパラドックス起きてるからなんとかなるさ!そよ風ステップの精神でいます。
ではまた次回

Bクラス内のヒロイン

  • 一之瀬
  • 姫野
  • 星之宮
  • 神崎
  • 安藤
  • 網倉
  • 白波
  • 柴田
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