ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

35 / 54
精神と時の部屋に入ってあちらでは1週間経ったので初投稿です
説明会なのでめちゃくちゃ長いですので、よう実知ってる人はササッと読んで、知らない人はこんな感じなんだーと理解してみてください
サエちゃんとチエちゃんへの斉木の当たりが強くなるがお許しあれ


夏季特別試験説明編

 説明会用に用意された部屋があるのは生徒が普段立ち寄ることのない場所だが、説明を受け終わった生徒、これから説明を受ける生徒に溢れていた。

 食事を終え、歯磨きなども終えて、この説明が終われば寝るだけだと思っていたが、制服に着替えさせられるとは思わなかった。

 メールにはそんなこと一言も書いていなかったが、神崎から一応試験だし着ていた方がいいんじゃないかと言われたため制服を着ている。

 忠告してくれた神崎と共に指定された部屋の前に向かっていると先に着いていた安藤さんがこちらに手を振ってくる。

 

「あ(15分前到着、流石神崎くん)神崎くん、斉木くん、おつかれ? こんばんわ?」

「どちらでもいいんじゃないか?」

 

 安藤さんの挨拶に神崎が無難に返す。

 僕は一応、安藤さんに挨拶代わりに軽く会釈だけしておく。

 

「いやー参ったね。これから試験って。でも、みんなからのメッセージを見てる限りだと今回は説明だけみたいだね」

「ああ。しかし厄介な試験になりそうだな」

 

 緊張しているのか、やや早口かつ興奮気味の安藤さんに対し、神崎は冷静に答える。

 既に試験の内容の一部はクラスチャットや先に説明を受けたクラスメイトと話したりして情報を得ている2人は浮かない顔をしている。

 

「周りにいるのは俺たちと同じグループの奴らか?」

「(私もさっき来たばっかりだから)わかんない」

 

 周囲を見渡してそう尋ねた神崎に、安藤さんは首を横に振りながら答えた。

 説明のある部屋が隣接していることもあって、他のグループの生徒が混じっており、同じグループかの判断が難しくなっている。

 僕にはあまり関係の無いことだったが、しかし神崎の言う通り些か面倒だな。

 

「あーっ! 斉木くん! (やっと見つけた! 昨日は人の事綺麗に撒いてくれちゃって)」

 

 櫛田さんが同じグループのようで、彼女は僕の姿を見るや普段の仮面をつけたまま僕の名前を呼んでくる。

 それに神崎と安藤さんは「何かあったのか?」と言いたげな目で僕を見てきた。

 しかし、こうなった時の僕の対応は決まっている。

 おとぼけ顔である。

 

「ははは、斉木くん面白いね〜。とぼけないでよ〜、昨日3階の廊下で会ったよね? ね?」

 

 珍しく本音と出ている声が一致している櫛田さんにそう問われるも、僕は知らないと首を振るしかない。

 勘違い人違い段違いなんじゃないかと言えば櫛田さんの心のヤバいやつが加速していく。

 

(なにしらばっくれてるの? 少なくても私の幻影かなんかは見たと思ってるんでしょ? じゃなきゃ私の優しい優しいボディタッチを避けるはずないでしょ!)

 

 きーっ! と昔の少女漫画に出てきそうな擬音が聞こえそうなほど怒っているが、それを表に出さないのは流石と言うべきだろう。

 

「……本当に覚えてない?」

 

 とうとう上目遣いまではじめて、僕の表情から嘘かどうかを確かめようとしている。

 更には安藤さんや神崎から質問を引き出すきっかけも作りたかったのだろう。

 

「斉木くん、櫛田さんがこう言ってるけど会ってないの?」

 

 ないな。

 僕は日替わりスイーツを食べに行っていたがその途中誰にも会わなかった。

 

「す、スイーツ? (カフェテリアでやってるやつ? え? もしかしてそれに行くために私を無視したってこと?)」

 

 君が僕で暇つぶしなんて考えてなければ少しくらいは話したが、どれくらいの時間拘束されるか分からなかったので無視させてもらった。

 とは言えないのでスイーツに夢中で気付かなかったのかもしれないな、すまないと謝っておく。

 すると、僕が櫛田さんに気付かなかった理由として納得できた2名がそれぞれ呟いた。

 

「(確かカフェテリアの日替わりスイーツは数量限定だったか)……まぁ、それなら仕方ないか」

「(あそこのデザート数量限定らしいし)仕方ないかもねー」

「そうなの!?」

 

 どうやら僕の勝ちらしい。

 だが、僕がこうもスイーツやデザートに目がないと思われているのは少し解せないが。

 

(斉木くんってそんなにスイーツ好きなんだ……一応覚えておくか……)

 

 別に覚えなくていい。

 そんなことより君のクラスメイトが来たんじゃないかと言ってやると、全員僕が見ている方へと視線を向ける。

 

「平田と綾小路か。それに少し離れているが堀北もいるな。彼らは櫛田と同じグループか?」

「うん、そう聞いてるよ。綾小路くんは違うけど(綾小路くんはどうでもいいとして、堀北と同じなのはすっごく嫌だなーマジで)」

 

 櫛田さんが堀北さんのことを嫌っているのは以前から知っているが、その理由までは把握できていない。

 それに綾小路にもどこかのタイミングで本性を見られたらしく、一応警戒対象に設定しているようだ。

 集合時間までまだ少し時間に余裕はあるがそろそろ入ろうかと神崎が声をかけたところで、低く落ち着いた声がかかる。

 

「もし俺の勘違いじゃなければ君たちも20時40分組なんじゃないか?」

「ああ、そうだ。その質問をするということは、お前もか葛城」

 

 1年Aクラスの葛城。

 体格がよく、おそらく何かしらの疾患が原因だろうが頭髪がなく、険しい顔つきからはとても同級生とは思えない。

 学園モノで1人はいる強面キャラと言いたいところだが、Aクラスにはあともう1人顔面のパワーが高い生徒がいるし、Cクラスには山田アルベルトがいる。

 その2人と比べれば葛城の顔はまだ普通の範疇だと言える。

 

「ああ。Bクラス、特に君か一之瀬とは1度話をしてみたいと思っていた(無人島試験でどうしてAクラスのリーダーを当てることができたのか)」

「(十中八九、無人島試験でのことだろうな)そうか、なら今回の試験は葛城にとっては渡りに船といったところか」

「そうかもしれないな。俺も20時40分組だ。明日からは同じグループとして協力し合うことになる」

 

 会話を神崎に任せつつ、僕は葛城と一緒に来た他のAクラスの生徒の方へと目をやる。

 無人島試験の際、透明化をしてAクラスの拠点に近づいた時に見た顔はいない。

 全員初対面だ。

 おそらくは試験が始まってから挨拶をすることになるだろうからこの場では静観しておけばいいか。

 壁のシミの数でも数えようと壁を見たが、シミ一つない綺麗な壁でやることを失っていると牽制し合う神崎と葛城を見て1人の男が近づいてくる。

 

「クク、随分と楽しそうじゃねぇか。葛城、神崎」

「……龍園か」

 

 神崎との会話では穏やかだった葛城の声がやや強ばる。

 それに神崎や安藤さん、他の生徒たちも龍園の姿を確認すると不安そうな表情を浮かべる。

 

「まさかとは思うがお前もこの時間か?」

「残念ながらそのまさかだ(神崎か。一之瀬じゃないのは意外だな。リーダー格が集められていると思ったが、一之瀬は学校側からはそうとは思われてないということか? あの女子は知らねぇが……)」

 

 葛城の言葉に対応しつつ、龍園は周囲の観察を怠らない。

 神崎を見て、安藤さんを見て、そして僕を見る。

 

「2日目以来だな、斉木楠雄(意味のわからねぇことだけ言い残しやがって消えやがったが、Bクラスで俺たちのところに来たのはこいつだけだ。石崎と伊吹の尾行を撒いた件といい、Bクラスのあの結果。警戒しておくに越したことはない。もしかしたらこいつが一之瀬や神崎の隠し球……って可能性もある)」

 

 なんだやっとフルネームを覚えてくれたのか。

 僕はまだ覚えていないが。

 明日以降、自己紹介されれば覚えておくか。

 一応、神崎たちには綾小路と堀北さんを拠点に連れてきた際に、散策していたらCクラスの拠点に出たことは通している。

 そのため彼らから追求などはなく、挑発口調の龍園へと視線が注がれている。

 

「なんだかすごいグループに入れられちゃったみたいだね」

 

 コソッと安藤さんが僕に耳打ちしてきた。

 確かに各クラスの中でも目立つメンバーばかりが選出されていて面倒極まりないな。

 目立たないように試験を終わらせるつもりだったが、少し難しそうだ。

 そう思いながら、そろそろ時間じゃないかと睨み合うリーダーたちに告げる。

 

「(確かに斉木の言う通りか)……そうだな。俺たちは行くとしよう」

「(もうそんな時間だったか)ああ。俺たちもそうさせてもらおう」

「(この空気で喋れるのはKYなのか、真面目なのか、それとも……まあいい)いくぞ、お前ら」

 

 それぞれが自分のグループメンバーを引き連れて指定された部屋に入っていく。

 僕たちもノックしてCクラス担任の坂上先生の返事を待ってから部屋に入る。

 

「お待ちしていましたよ。おおよそのことは先に説明を受けたクラスメイト達から聞いているかもしれませんが、席についてください」

 

 部屋に入るなり、僕たちのことを視認した坂上先生が椅子に座るように促してくる。

 椅子に腰を下ろすと坂上先生は予定時刻ピッタリになってから手に持った顔写真付きの名簿に目を落とす。

 

「Bクラスの神崎、斉木、安藤ですね。ではこれより特別試験の説明を行います。円滑な説明のため、質問は全ての説明を終えてからでお願いしますね」

 

 そう言ってから坂上先生は別の資料を1番上に持ってくる。

 

「(この説明をするのは何度目かな)今回の特別試験では、1年生全員が干支になぞらえた12のグループに分かれ、そのグループ内での試験を行います。試験の目的はシンキング能力、考える力というやつですね。それを問うものになっています」

 

 坂上先生の説明はクラスチャットで得た情報と齟齬はなく、神崎と安藤さんも今のところは特に疑問なく話を聞いている。

 

「ここにいる3人は同じグループになります。そして今この時間、別の部屋でも同じように『君たちと同じグループになる』メンバーに対しても同じ説明が行われています。君たちのグループは『辰』と呼ばれます。メンバーリストがありますが、こちらは退室時に回収するため必要ならこの場で覚えておいてください」

 

 渡されたのはハガキサイズの紙で、そこにはグループ名と先程部屋の前で出会った葛城や龍園、堀北さん、櫛田さんらの名前が記されている。

 辰とは聞かされたが、グループ名には括弧で同じ意味のある『竜』と書かれているのはどういった配慮なのか。

 グループメンバーの確認を終えて顔をあげると、目が合ったのを合図に坂上先生が説明を再開する。

 

「今回の試験ではAクラスからDクラスまでの関係性を無視して臨んでください。そうすることが試験をクリアするための近道となります」

 

 そう言ってから先生は3枚のプリントを取り出す。

 

「この特別試験での各グループにおける結果は4通りしかありません。例外はなく、必ず4つのどれかになるようになっています。分かりやすく理解してもらうために結果を記したプリントがありますが、こちらも持ち出しや撮影は出来ませんのでこの場でしっかり確認してください」

 

 配られたプリントは使い回されているもので、最初にこの部屋に呼ばれたグループからずっと使われていたんだろう。

 プリントの端が折れていたり、少しヨレたりいる。

 書かれている内容はあらかじめ千里眼とテレパシーで確認済みだが、一応確認しておくか。

 

『夏季グループ特別試験』

 この試験では各グループに割り当てられた『優待者』を基点とした課題となり、定められた方法で学校に解答し、4つの結果のうち1つを得られることになっている。

 

 ・明日から4日後の午後9時まで1日に2度、グループだけで所定の時間と部屋に集まって1時間の話し合いをしなければならない。

 1日の完全自由日を挟むようだが長いな。無人島での7日に比べれば可愛いものだが。

 

 ・話し合いの内容はグループの自主性に委ねられる。

 対話拒否しても試験に関係のない話をOKということだろうか。しかし1時間は完全拘束されるようだし、トランプかUNOあたりの持ち込みを考えて……って僕は丸わかりだから楽しめないな。やめておこう。

 

 ・試験終了後の午後9時30分〜午後10時までの間に限り、優待者が誰だったかの解答を受け付ける。

 解答は1人1回のみ。

 

 これは試験完全終了後なのか、それともディスカッションが終わったあとかつ1日1回なのかによってかなり変わってくるな。

 早めに終わらせようと思ったら1日目のディスカッション終わりに解答してしまえば済むわけだしな。

 

 ・解答は自身の携帯電話を使って、所定のアドレスに送信することでのみ受け付ける。

 ・優待者には答えを送る権利はなし。

 ・自身が配属された干支グループ以外への解答は全て無効となる。

 この辺りはルールとしては妥当か。

 いわば人狼ゲームのようなものだろう。僕はやったことはないが、ルール自体は把握している。

 流石にあのドMと2人じゃ出来なかったからな。

 ただ最近では少人数でもできるワンナイト人狼というものがあるらしいが。

 話が逸れたな。

 

 ・試験結果の詳細は最終日の午後11時に全生徒にメールにて伝える。

 遅いな。

 10時30分か翌朝でいいだろ。

 

 基本的なルールはこんなものか。

 他にも細かい説明や禁止事項も書かれていて、試験の長さや規模は無人島試験よりも小さいのにやたらと説明が多い。

 

 そして、試験の『結果』とやらだが、

 ①グループ内で優待者及び優待者の所属するクラスメイトを除く全員の解答が正解していた場合、グループ全員に50万プライベートポイントを支給する。(優待者の所属するクラスメイトもそれぞれ同様のポイントを得る)

 また優待者には結果①に導いた報酬として100万ポイントを支給する。

 

 ②優待者及び所属するクラスメイトを除く全員の答えで、1人でも未解答や不正解があった場合、優待者には50万プライベートポイントを得る。

 

 どちらも見る限りでは優待者有利な結果に違いない。

 ①と②だけなら、優待者は少なくとも50万、多くて100万ポイントを得られるわけだしな。

 

 ③優待者以外の者が、試験終了を待たず答えを学校に告げ正解していた場合、答えた生徒の所属クラスはクラスポイントを50ポイント得ると共に、正解者に50万プライベートポイントを支給する。また優待者を見抜かれたクラスは逆にマイナス50クラスポイントのペナルティを受ける。及びこの時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが正解した場合、答えを無効とし試験は続行となる。

 

 ④優待者以外の者が、試験終了を待たず答えを学校に告げ不正解だった場合。答えを間違えた生徒が所属するクラスはクラスポイントを50ポイント失うペナルティを受け、優待者はプライベートポイントを50万ポイント得ると同時に優待者の所属クラスはクラスポイントを50ポイント得る。答えを間違えた時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、答えを無効とし受け付けない。

 

 要するに裏切り者というわけだ。

 他のクラスの生徒に優待者だとバレてしまう、あるいは誤認させることで③か④に導ける可能性があるといったところか。

 それにしてもこの24時間いつでも解答できるというのは実にいいな。

 結果は4日後まで公表されないのなら、僕が試験を勝手に終わらせることもできる。

 しかし、そうすることで他のグループで先走る者や考えなしに動く者が現れる可能性を考えると早々に終わらせるのにはリスクもあるがな。

 学校側は匿名性についても考慮しているらしく、結果発表時に優待者や解答者の名前を公表しないとしている。

 ポイントの分割受け取りや、今回の試験報酬の受け取り専用の仮IDなるものも作ってくれるそうだ。

 

「基本的な説明は以上です。その他禁止事項などはしっかり目を通しておいてください」

 

 携帯の奪取や脅迫による優待者情報の確認、他人の携帯を使用してのメールは退学になるようだ。

 また学校から送られてくるメールのコピー、削除、転送、改変などの行為は禁止。

 更にはこれら以外にも怪しい行為が発覚、報告された場合は学校側からの調査が入ることも書かれていた。

 

「明日の午後1時と午後8時にメールで指示された部屋に向かってください。当日はその部屋にそれぞれのグループ名が書かれたプレートがかけられています。初顔合わせの時には自己紹介をしてください。室内に入ってから1時間経つまでは基本的に退室は出来ませんのでトイレは済ませておいてください。万が一の場合や体調不良があった際は直ぐに担任に連絡してください。そして、グループ内の優待者は学校側が公平性を期して、厳正に調整しています。優待者に選ばれた、選ばれなかったに関わらず変更の要望などはできません(ふう、こんなものかな。Bクラスの生徒は静かな子が多くて助かる)」

 

 説明を終えて、一息ついた坂上先生は僕たちの顔を窺う。

 そこで僕はしまったと思うことになる。

 

(……驚いたな。神崎くんと安藤さんは何度もルールを確認しているのに、斉木くんはもう試験の内容を理解しているのか、紙を置いている)

 

 事前に情報を収集していたのが裏目となったかと焦るが、教師は公平な立場だ。

 それに僕はたまたま坂上先生の後ろにある壁のシミを見ていただけにすぎない。

 ボーッとした間抜け面を晒せば……! 

 

(……いやあれは思考放棄か。まあBクラスでもそういう子はいる。あとで頭のいいやつに聞こうみたいなね)

 

 ……よし! 上手くいったぞ。

 まあ他クラスの先生にどう見られても構わないのだが、僕は普通の男子高校生だと思われている方が助かる。

 そう、僕は普通の男子高校生……! 誰がなんと言おうと普通の男子高校生なんだ……! 

 

「では、最後に質問があれば答えられる範囲で受け付けますが……」

(え? くそ、まだ全部飲み込めたわけじゃないのに……!)

(あーもう! わかんないよー! 結局優待者有利なゲームには変わりないってわかったけど、全員が得するには①だけどクラス間の差を開かせるなら③か④ってことだよね?)

 

 神崎と安藤さんはまだ完全には飲み込めていないらしく、何から聞けばいいのかと迷っている。

 そんな2人とボケーっとした僕の様子を見て何もないと判断したのか坂上先生は微笑んだ。

 

「なければこのまま退室してください。夜も遅いですし、話し合いをするなら速やかにお願いしますね」

(何か! 何か聞いておいた方がいいことはないか!? 何か!)

 

 仕方ないな。

 どうせ後でか明日にでも一之瀬さんたちと合流して話を詰めるだろうし、神崎と安藤さんにはそこで理解を深めて貰うとしよう。

 

「おや、斉木くん、なんですか?」

 

 僕が聞きたいのは3つ。

 1つは試験時間中の飲食は可能か。

 2つ目は試験部屋に試験内容とは関係のない物の持ち込みは可能か。

 3つ目は優待者の権利はプライベートポイントやクラスポイントで購入、譲渡、付与といったことができるのかだ。

 

 1つ目2つ目はなんだこのバカはみたいな目をしていた坂上先生だが、3つ目の優待者の権利のところで僕を見る目が変わる。

 

「試験時間中はその部屋にいれば法に触れない限りは何をしていても構いませんが、退室は厳禁ですので飲食はあまりオススメしません。空調もついていますし、必要であれば水分補給用の飲料水を持ってくる程度に留めることを推奨します。2つ目も同様です。船内の売店で買えるトランプやUNOといったカードゲームや、賭け事をしないのであれば麻雀などもしてもらって結構です」

 

 いいのかよ。

 まあ1つ目2つ目は説明に記載がなかったから聞いたんだが、本当に生徒の自主性に任せるらしいな。

 

「そして3つ目ですが、いかなる場合においても優待者の義務を学校側が厳正なる調整で選んだ生徒以外が得ることはできません(この質問をしてきたのは3年の堀北くん、2年の南雲くんと学年に1人、2人でしたが、まさか斉木くんも聞いてくるとは)」

 

 厳正なる調整か。

 そういえば僕がテレパシーで覗いたAクラスの担任の真嶋先生も、今回の坂上先生も優待者の生徒が誰かについては一切考えなかったな。

 おかげで今回の試験はしっかりと僕自身の力で臨めそうだ。

 こう見えてもなぞなぞやトリックといったのは好きなんだ。

 久しぶりに見せられるな僕の名推理が───────! 

 そう意気込んでいるとこの部屋の隣で説明をしている星之宮先生と、この部屋の廊下を挟んで目の前の部屋で説明をしている茶柱先生の思考が流れてくる。

 

(まあ優待者はグループメンバーを名前順にした時のグループの干支に応じた番手の子になるんだけどねー、みんな分かるのかなー? ふふっ)

(今回の試験の優待者は十二支の順番と名字の順番がイコールになっている。辰なら5番目の干支になるから、安藤、小田、葛城、神崎に続いて5番目の櫛田が優待者になる。これを見抜けるやつが今年は何人いるかな)

 

 誰かクビにしてくれよ、あの2人。

 もう僕の楽しみが失われてしまったじゃないか。

 どうせ一之瀬さんのところに各グループのメンバー表が届くだろうから、それとグループ名の干支を見たらもう全部分かっちゃうじゃないか……! 

 

 終わったことに文句を言っても仕方ない。

 むしろこれは早く試験を終わらせることができるチャンスだ。

 問題は僕の得られる情報だけでその法則に気づいたかを一之瀬さんたちに説明出来るかだが。

 

 とりあえず僕は本当に公平で公正な立場でいてくれてありがとうと坂上先生に感謝の礼をしておいた。

 

「え、ええ? そんなに頭を下げなくても、これくらいのことは答えますよ」

(斉木くん試験中もお菓子とか食べられると知って喜んでるのかな……?)

(なんだこいつ……試験中に遊ぶ気なのか……? 葛城と龍園がいる辰グループで……?)

 

 何を言っているんだ2人は。

 いかに真嶋先生と坂上先生がいい先生かを知るべきだろ。

 一気に人数を集めなかったのは、今回の試験内容の説明が難解で誰にでも直ぐに理解できるものではないと判断したのだろう。

 説明の長期化と、個人個人の質問に対応しやすいように少人数、各グループの1クラスずつに説明を絞ったとったところか。

 僕は聞きたいことは聞いたが、2人はどうするかと尋ねる。

 

「俺は……いや大丈夫だ。安藤はどうだ?」

「えっ? うーん……あとで気になったら神崎くんか帆波ちゃんに聞かせてもらおうかな」

 

 2人の同意が得られたことで坂上先生は今度こそ解散を命じる。

 部屋を出る前に渡された説明用紙を返却し、廊下に出た。

 

「他はまだのようだな」

 

 みたいだな。

 全員他クラスだし待つ必要もないだろう。

 僕は先に部屋に戻るぞ。

 

「おい、勝手に失礼するな。まだ話し合うことが」

「神崎くん、ごめん。私も戻っていい? 多分あとで帆波ちゃんと話し合うんだし、そのときで良くない?」

「……それは、そう、だな。斉木も同じ意見か?」

 

 いや、グループでの話し合いは優待者の発表を待ってからでいいんじゃないか? 

 恐らくというか、優待者は公平を期して各クラス3人ずつだろう。

 干支が12でクラスは4つだからな。

 なら、その3人がわかってから話し合うほうが建設的だろう。

 

「確かに……(この試験に関して斉木の考え方は随分と合理的だな。持ち込みの話も何かしら別の意図があるのか?)」

「私も賛成! てか、斉木くん頭良いね! 私まだちんぷんかんぷんなのに」

 

 推理ドラマや小説が好きだからな。

 なんとなくこういうのに慣れているだけだと返しておくと、安藤さんは「へーっ」と意外そうな声を出す。

 

「じゃあさ、法廷ものとか好き? 私、松木潤の出てたドラマ好きだったんだよね」

 

 ああ、それは僕も見た。

 2期と映画公開記念特別篇と映画もな。

 原作がないドラマだったから毎話毎話新鮮な気持ちで楽しめたいいドラマだった。

 

 

「だよねだよね! (斉木くんってインテリって感じだけど、ドラマとかも見てるんだ。知らなかったな)」

「(わ、わからん)……わかった。グループの方針はクラスの方針が決まってからまた話そう」

 

 ドラマの話で盛り上がる僕と安藤さんに置いていかれた神崎は渋々といった形で話し合いを明日に回すと告げる。

 途中まで3人で廊下を歩き、安藤さんが女子のフロアへ降りると僕たちはそのまま階段を上がっていく。

 

「斉木、今回の試験だが……(お前ならどうする。いや、聞いて俺はどうするんだ。中間試験でも、無人島試験でも斉木は結果を示した。それにまた俺は頼ろうとしているんじゃないか?)」

 

 途中で言葉を切った神崎はそのまま立ち止まってしまい、僕はどうしたものかと自分の顎に手をやる。

 もはや僕のやることなんて誰かに優待者の法則に気づかせるか、僕が櫛田さんのことを学校に回答してリタイアしてしまうかくらいなんだがな。

 クラスのサブリーダーという立ち位置で何も出来ていないということにあせりや不甲斐なさのようなものを感じているのだろうか。

 そんな必要は無いと思うが。

 人間誰しも大なり小なり悩みを抱えているものだが、当人の悩みは結局当人が解決するしかない。

 

「……すまない、変なことを言った。忘れてくれ。また明日な」

 

 そう告げて自分の部屋へと神崎は戻っていく。

 ──────僕も同じ部屋なんだが……。

 




松木潤は一切誤字ではないので気にしないでください
今回の結末次第でBがAクラスになる可能性出てて困ってる
ただでさえ無人島で大勝してるのに……

まあ結末はもう決めてしまっているので、ここからがハイライトだ!って感じなんですけど

斉木に対する周囲の評価ですが、一之瀬、姫野、白波、柴田などが上昇。神崎は維持となっております。
他クラスからだとCクラスがほんのり警戒、観察といったところで他は変化なしです。
ただCと櫛田には斉木のスイーツ好きが露見したりしてます。
そんくらいかな?

土日はハサウェイのトラウマを買えたら作る予定なので月曜日更新になると思います
逆に日曜日に更新があったら買えなかったということです。

アンケートで同じ質問重複してて草
俺、頭悪いんすよ、先生
てことで作り直しました

よう実を

  • 原作で見ている
  • アニメで見ている
  • 漫画で見ている
  • 二次創作でのみ見ている
  • 上記2つ以上で見ている
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。