眠気と戦いながら書いたので誤字脱字多いかもです
無人島試験で表面上は大敗を喫したオレは認識を改めることにした。
あの試験の肝は、Aクラスからいかにプライベートポイントをむしり取るか。
そのために他クラスのリーダー情報もつけた。
しかし結果は、BもDもリーダーは代わっており、オレと葛城の指名は外れ、逆にオレの名とAクラスのリーダーとなっていた戸塚の名前を書かれていた。
Aはいい。
葛城派と坂柳派で割れている話は学年全体、周知の事実だ。
そんな状態なら、葛城の失脚を狙って他クラスにリーダー情報を流すなんてこともあるだろう。
だが、オレたちは違う。
バカンスを楽しみ、ポイントを使い切ったタイミングで全員リタイアし、リーダー当てのために少数精鋭の形を取った。
当てようにも島に残っているのはスパイのどちらかしか確認できない。
オレが残っている可能性を考慮できるのはオレと同じ思考回路を持っているやつに限られる。
つまり、BとDにオレの策を看破し、利用した奴がいるってことだ。
今回はそれを探るためまずはDクラス、鈴音から情報を聞き出そうと伊吹に張らせていたが。
「まさかBクラスも揃ってるとはな」
伊吹から報告を受けた時は半信半疑だったが、こうして店の外から見てみると本当だった。
一之瀬に神崎、あとは白波と斉木に女子が2人。
朝食がてら試験に向けての方針決めってとこか。
「で、どうすんの? 堀北かBクラスどっちにするわけ?」
「まずは鈴音だな。その後に残っていればBの方にも行く」
Bクラスは試験のグループに神崎がいる。
そんなこと言えば鈴音もいるが、朝のこの時間に聞くのがベストだ。
寝起きかつ朝食中という思考力が低下している時間帯かつ、優待者も発表されて、考えることも多いだろう。
まあ冷静に対処されれば、鈴音の実力をほんのちょっぴり認めてやるが、あのいい子ちゃんにオレの策を見破れるとは思えない。
確実に誰かいる。
今日はそれを確かめるための前座に過ぎない。
「……行かないの?」
「急かすなよ。今、金田に指示を送っている」
今回の試験、勝つためには優待者の確認は必須事項だ。
自クラスでたった3人が、重要なヒントになる。
カラオケルームに全員を集めて、ケータイの画面を見せさせる。
そのために集合時間と、来なかった場合の処遇を明記したメールを金田に拡散するように指示を飛ばす。
「待たせたな、じゃあ……」
鈴音をからかいに行くかと言おうとした時、カフェの扉が開かれる。
出てきたのはヘアピンとメガネの地味な男。
斉木楠雄だ。
「クク、なんだ? てめぇだけ出てきて、仲間はずれにでもされたか?」
(君が来たから先に出てきたんだろ)
こいつとは特に大きな因縁はないが、妙に引っかかる。
椎名や伊吹に聞いた印象から形成した、陰キャという感じは無くはないが、根暗な雰囲気があるだけで、そういった気持ちの悪い男のような気配は無い。
ただ不気味さはある。
(あるのかよ)
何を考えているのか分からない鉄仮面のような表情と隙だらけに見えて、全く掴ませてくれない感覚。
『いや、話すことは無くなったからな。先に失礼させてもらった』
落ち着いた声色で喋り出すのも不気味さの一つだ。
大抵のやつはオレに対して嫌悪や侮蔑、ビビりなどの分かりやすい感情を抱くものだが、こいつは微動だにしない。
(Gに比べたら全然可愛いもんだからな)
「へぇ、で? Bクラスは今回の試験どうするんだ?」
一之瀬のことだ。
どうせオレとは異なる手段で優待者を把握するのは間違いない。
(してないぞ)
そこから優待者の法則を見抜いたとして、Bクラスはどうする?
(本当に何も決まってないぞ)
プライベートポイントを集めているという噂もある。
(どこから漏れたんだそれ。僕と姫野さんで管理していることはバレてないか? 大丈夫か?)
①を目指すか、あるいは無人島試験でAに大きく迫ったのを利用して③を狙うかの二択でしかないのは確かか。
(バレてないみたいだな)
まあ、それをこいつが素直に教えてくれるかと見ていると斉木は肩をすくめる。
『特に何も決まらなかったぞ』
「あ?」
「何もって……何? 普通に朝ごはん食べてただけってこと?」
『まあほぼそうなるな』
伊吹の問いかけに斉木は首肯するが、本当にそうか?
一之瀬と神崎が集まって何の方針も打ち出せてないっていうのは無理があるだろ。
(まあ僕もかなり拍子抜けだったが、リーダーたちがそういうなら下々は従うだけだ)
「すっとぼけるにしてももっと上手くやれよクソメガネ」
分かりやすすぎるとぼけ顔を見せられて(これはデフォルトだぞ。被害妄想みたいなことはやめてほしいものだ)、苛立ちを覚えていると、斉木は困ったように眉を寄せる。
『本当のことを言っただけなんだがな……ああ、あそこのチーズケーキはなかなか悪くなかったぞ。朝がまだなら君たちも食べたらいい』
思い出したように付け加えられた言葉にオレは思わず鼻で笑ってしまう。
「生憎だがオレは甘いもんがそこまで好きじゃないんでな、遠慮しておく」
嫌いじゃないが、好き好んで食べるものでもない。
女子とかはスイーツは別腹とよく言うが、オレにはよく分からない感覚だ。
飯とおかずさえ食っていればそれでいい。
だがそれを斉木はどこか憐れむような目で見てきた。
『そうか……まあ君がそれでいいならそれでいいんじゃないか?』
「……は? 何が言いてぇ」
鈴音に声をかけてDクラスの中にいる
策士を探すつもりが、余計な時間を取られている。
そう分かっていながらもオレは斉木の言葉の真意を待った。
無人島試験でのあの日、こいつがオレに言った『スイーツの類はないのか』という言葉の意味を、オレは未だに探していた。
『そんなに深い意味はないぞ。ただ、人生腹八分目で満足なのか、米とおかずだけで満腹になれるのかみたいな話だ』
「どういうこと? 意味わかんないだけど」
斉木の返答に伊吹が首を傾げる。
オレも意味は分からなかったが、もう少しでなにか分かりそうな気がする。
(……よし、一之瀬さん達は出ていったようだな。甲板に大量の白鳥やカモメを呼んでおいてよかったな。案の定、網倉さんと安藤さんが物珍しさに見に行こうと連れて行ってくれた)
しかし斉木はこれ以上話す気がないのか店の中に少し目を向け、何かを確認し終えて、オレと伊吹の間を通り過ぎる。
「は? ちょっと待て、斉木」
「いい、伊吹。放っておけ」
それを呼び止めた伊吹を止めると、斉木は振り返ることもなく、そのまま廊下を進んでいく。
「何あいつ」
確かに意味不明ではあるが、今回の目的はあいつじゃない。
店内に目を向けると、甲板に通じる扉から出ていったのだろう。
Bクラスの連中が姿を消していた。
オレとあいつらが鉢合わせないように時間稼ぎをしていたのか?
まあいい。
あいつも同じグループだ。
聞くタイミングはいくらでもある。
「余計な時間食っちまったな……」
「ほんと、なにあいつ」
頭を搔きながらボヤくと、伊吹が同意しながらため息を吐く。
「とりあえず、店に入るぞ」
「あんた一人でいいんじゃない?」
「いいから来い」
気を取り直してオレは店の中に入ると既に朝食を終えた鈴音と、同席していた金魚のフンに声をかけるのだった。
龍園は「俺の人生にはデザートが足りなかった」的な結論に辿り着いて
メインディッシュ 坂柳 副菜 一之瀬くらいだったのをデザートに鈴音(綾小路)を追加する感じになります
斉木?まだ有象無象判定 まだね。