若干3年生編のネタバレかもしんねぇ(あとがきのキャラ紹介のとこ)
1年Aクラスは例年、学力、運動能力などが高めな生徒が集められるクラスで、それは堀北学の頃も、そして今の坂柳有栖、葛城康平の世代も変わらなかった。
しかし優秀なものを集めすぎた弊害か、クラス内で派閥が生まれてしまう。
入学して間もなくしてクラスは、坂柳有栖をリーダーとする好戦的な「坂柳派」と葛城康平をリーダーとする保守的な「葛城派」の2つの派閥に二分された。
俺、橋本正義は坂柳有栖こと姫さんのいる坂柳派にに属していた。
理由は単純に坂柳の方が実力が上と判断したからだ。
ただこれはあくまでその時の話だ。
これから3年もある。
自身の願いが叶えられるのは卒業時にAクラスに所属している生徒のみ。
どこが勝ち上がっても、最終的にAクラスにいればいい。
難しいようで簡単な話だ。
4月はクラス内での人脈作りに勤しんだ。
坂柳はもちろん、鞍替えの可能性も考慮して葛城にも挨拶はしておく。
俺と同じく早めに坂柳についた鬼頭とはあまり話はしないが、姫さんの方が葛城より上と判断する目は確かだろう。
大抵のやつとはある程度仲良くなれたが、引っ込み思案で影の薄い山村、意味不明、支離滅裂、理解不能な森下とは馴染めなかった。
そして、男子では斉木楠雄、こいつだけ妙に距離があるというか、素っ気ないってわけじゃないんだが、とにかく話が弾まない。
まあ学力はAクラスらしく平均より少し上、運動能力は並。
話しかけられたら話すが、自己主張はせずに山村と同じく空気に徹しているような、言い方は悪いがつまらない男だ。
ただそんな男が森下に異常に絡まれていたのは印象的だった。
「斉木楠雄、貴方のヘアピンは何処で売っているんですか? 私も欲しいです」
『思ってないだろ。それにこれは売り物じゃない。身内にもらったんだ』
「じゃあ紹介してください。私ももらいます。それを3つつけて私は貴方より上に立ちます」
『さようならAクラスの諸君とでも言うつもりか?』
「……? 何を言っているのですか? 頭がおかしくなりましたか?」
斉木のことが妙に可哀想に見えたが、あいつも大概おかしい気がしたので、俺は関わらなくていいだろうと近づくことはあまりしなかった。
4月が終わり、クラスポイントやクラスの定義、そして卒業時にAクラスでしか希望の進路、就職先が用意されないという話が公表されてすぐに始まった中間試験。
そのタイミングで葛城は勉強会を開催した。
無難な手だ。
まだクラスは始まったばかり、学力という面でしか推し量れないにしろ、派閥を決めるのにはいいイベントだろう。
この時、葛城の勉強会に参加したヤツらを見るため何度か勉強会をしている教室を覗いたが、斉木がいたのは意外だった。
そして、それを聞いてどういうわけか姫さんが機嫌を損ねたのだ。
「葛城くんの勉強会に斉木くんが?」
「えぇ。それがどうかしました?」
聞き返すように尋ねると姫さんは不機嫌そうにしながら話し始めた。
「別に。彼が誰の下につこうと自由ですが、葛城くんのような頭の固い人の下については彼の能力は発揮されないだろうと思うだけです」
「前から気になっていたが坂柳は斉木のことを知っているのか?」
鬼頭の疑問は当然だった。
姫さんは何故か知らないが俺たちが下に着いてから、斉木の監視を命じた。
俺としては特に脅威を感じる生徒には思えないが命令は命令だと、鬼頭と交代でしばらく監視をした。
しかし、特に怪しい動きはなかった。
学校が終わると図書室に行くか、スーパーに寄ってコーヒーゼリーの前で10分ほど右往左往してから3個ほどカゴに入れて帰ってからは外出することはない。
休日は買い出し以外は出てくることはなく、友人関係は少なく、クラスメイト以外だとCクラスの椎名くらいしか関わりがない。
こんな普通よりやや下の高校生、学力は真ん中より少し上とはいえ、総合的なステータスにおいては鬼頭や葛城よりも遥かに劣っている。
そのため姫さんの言う『能力は発揮されない』とはよくわからない。
「いえ、彼を知ったのはこの学校に来てからです。彼のお兄さんと少し縁がありまして」
愉しそうに、昔のことを思い出して笑う姫さんに俺と鬼頭は顔を合わせて首を傾げる。
姫さんは話す気がないのかそれ以上は続けなかったため、話は終いになった。
中間・期末テストは何事もなく、Aクラスがトップの成績を収めて終了し、夏休みの特別試験を迎えた。
無人島試験ではとりあえず葛城の足を引っ張って、あいつの派閥の人間を削れという命令だったため、無人島試験のリーダーが葛城の忠臣である戸塚だと他クラスにリークして回ろうとした。
『橋本、どこかへ行くのか? 僕もついて行っていいか?』
「え? さ、斉木?」
まずはDクラスに行くかと拠点である洞窟を出たところで斉木が同行を申し出てきた。
「いや、俺の用事は大したことないぜ? だからついてきても楽しくは……」
『楽しさは求めていない。ずっと洞窟の中、というのは暇なんだ』
葛城の策は洞窟内に身を隠し、1週間を乗り切るというもの。
斉木の言う通り、暇というのはもっともだが、今俺についてこれられるのは困るなと頬を搔く。
ここで断れば変に意識されてしまうかもしれないと俺は斉木の同行を許可した。
しかし斉木は俺が他のクラスの所に行こうとする度に『やはり外出か? 僕も同行しよう』と声をかけてくる。
それならばと食料を集めるフリをして、こっそりと他クラスに行こうとしても必ず現れた。
しかも森下も一緒に。
『橋本も食料調達か? ちょうど良かった。森下さんがいいマグロを見つけたんだ』
「釣り上げるのを手伝ったのは事実ですが、見つけたのは貴方ですよね斉木楠雄。自分の手柄を人に譲り渡すとは許せませんね」
『逆だろ普通。許せよ』
「わかりました。許す。ゆめ、そのあり方を忘れないでください」
2人の良くわからない会話を聞きながら俺は斉木か森下かどちらが釣ったのかよく分からないマグロを手に一度洞窟に戻り、鬼頭に伝える。
「どうした。まさか斉木に勘付かれたとでも言いたいのか?」
「可能性はあるだろう。アイツ、不自然すぎる」
「……わかった。俺が足止めをしてやる。その間にお前は他クラスに赴け」
鬼頭の手助けも得て、俺はようやくDクラスにリーダー情報を届けることができた。
ただ、戻ってくると鬼頭は何やら斉木と話したのか少し考え込むような顔をしていた。
「どうかしたのか?」
「……いや、何もない。ただ、坂柳がヤツを買う理由はわかった気がしただけだ」
何を話したのかは気になったが、鬼頭の様子からして答えてはくれないと思ったので踏み込むことはしなかった。
そして、迎えた無人島試験終了日だが、6日目の夜に戸塚が高熱を出したためリタイアし、リーダーは斉木に代わっていた。
BとCが戸塚を指名しており、彼らはマイナス50ポイントというペナルティを食らった。
これにより俺がリーダーをリークしたCクラスの龍園、Bクラスの神崎が俺のところへやってくる。
「おい、橋本これはどういうことだ」
「そうだ。お前がリーダーが戸塚だと言うからBクラスは指名したんだぞ」
「いや、俺にもこの結果は予想外だったんだ」
まさかこの土壇場で戸塚がリタイアするなんて誰が予測できるだろうか。
しかもあいつは6日目の昼間と夕方はピンピンしていたんだ。
「ちっ、お前からもう情報のやり取りはしない。わざとじゃないという証明もねぇだろ。俺は一度裏切った奴の言葉は信用できない」
それに、と龍園は言葉を付け足した。
「どうやら葛城の裏に坂柳よりも厄介な参謀がついてやがる」
「なに?」
「……へぇ、惚けてるつもりはなさそうだからな。特別に教えてやるよ」
龍園は俺に言った。
無人島試験が始まって直ぐにAクラスの拠点に来て、葛城とある契約の交渉を行ったことを。
しかし、それは葛城が却下し、契約は結ばれなかったと。
それは俺も知っている。
その場にはいなかったが、何かしらの目的があって龍園が来たことと、契約は不成立に終わったのは葛城派の人間が漏らしていた。
「だが、これは知らねぇだろ。あの契約に口を出してきたのは戸塚だ」
「戸塚?」
「ああ。あの見るからに木偶の坊、葛城の金魚のフンのあいつがだ」
戸塚はAクラスに所属しているとはいえお世辞にも頭の出来が良いとは言えない。
腕っ節はある方かもしれないが鬼頭には圧倒的に劣る。
「どんな契約だったんだ? それ次第で話は変わってくるだろ」
「クク、そりゃそうだな。ほらよ」
その時の契約書だと龍園は俺に見せてくる。
無人島試験において使用する全ての器具をCクラスが支払う代わりに、AクラスからCクラスに毎月一日に一定額のプライベートポイントを譲渡するというものだった。
「これを葛城と戸塚が?」
「ああ。最初は乗り気だったぜ? 他クラスのリーダー情報もつけろとゴネられたが……戸塚が割り込んできたせいでご破算だ」
その時のことを思い出したのか龍園はイラつきながらもどこか愉しそうに呟いた。
「まあ、おかげで坂柳がいないAクラスでも楽しめそうだ」
好戦的な笑みを浮かべて去っていった龍園だが、この後の船内試験でも自クラスの優待者だけで法則を看破した葛城によって大敗を喫している。
保守的で堅実な手を取るはずの葛城にしては違和感のある決着の付け方は他クラスにも混乱を招いているのが見て取れた。
ただし、Aクラスは2つの試験で最も多くのクラスポイントを得ることが出来、1位の座を維持していることだけは喜ぶべきことだろう。
葛城の裏にいる人間が誰かはまだ分かっていないが、これだけの結果をもたらしているのなら坂柳を離れて葛城に着くのも悪くないかもしれない。
体育祭では姫さんの出る幕はないだろうし、2学期が終わる頃には派閥の決着は着いている頃合だ。
それまで俺はのらりくらりとやらせてもらおうと、内心でほくそ笑みながら、夏休みが終わるのを待つことにするのだった。
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1年Aクラスは例年、学力、運動能力などが高めな生徒が集められるクラスらしく、何の変哲もない凡人なみのスペックであるこの僕、斉木楠雄が入れられたのは何かの間違いだと思われる。
しかし、AクラスからDクラスの割り振り方にはやや無理があるため、ある程度の公平性を保つために入れられてしまったものとして割り切ることにした。
能力に優れるものは世間的には大人しく知的、というイメージがあるのかもしれないが、Aクラスに集まった人間たちは多種多様だった。
まず、入学して間もなくして教室内で指揮をとろうとした葛城康平という男子生徒を紹介しておこう。
彼は真面目で誠実、実直といった言葉の似合う好青年だった。
僕としては彼がリーダーになることには何の疑念もなければ、反対もしない。
ただ、好戦的でやや向こう見ずなところがあるものの頭脳は優れている坂柳有栖さんの存在は彼にとって目の上のたんこぶだった。
先天的疾患で足が不自由であるものの、それを補ってあまりある頭脳があるらしい。
実際に中間テスト前の小テストや中間、期末テストの結果は学年1位だった。
「斉木くんはこの学校のことをどう思いますか?」
ストレス発散と称して万引き行為を行っているクラスメイトの神室真澄さんの万引きを今日も防いでいると、ココ最近僕のことを山村さんを使って尾行していた坂柳さんに捕まってしまった。
僕は坂柳さんとはできるだけ関わり合いたくなかったのだ。
理由は僕の兄、空助が原因である。
経緯はよくわからないが、彼女をチェスでボコボコにした後に自慢げに僕のことを話したらしい。
一応、名前は出さなかったらしいが、彼女には【斉木】という苗字と雰囲気、そして僕が神室さんの万引き行為をなかったことにしている点を見て僕が兄弟だと見抜いたようだ。
『よく出来た監獄じゃないのか?』
何一つ不自由なく過ごせる素晴らしい学校と思っている同級生が多いようだが、外部との連絡は取れないし、監視カメラの多さは監獄のように感じる。
監獄は接見禁止でも手紙を貰えたりするらしいので、外部とのシャットアウトという点のみ監獄の方が少しだけだがマシかもしれない。
「おや、はぐらかされると思っていましたがちゃんと答えてくれるんですね」
『はぐらかしても君はしつこそうだからな』
実際に彼女はとてもしつこい。
山村さんを使って僕のポストにチェスの誘いの手紙や、対面打ちが無理ならゲームでもいいからとURLの書かれた手紙を入れてきたりする。
山村さんにご丁寧なお断りこ返信をお願いしても結果は変わらず、逆に頻度が増えてしまった。
「ふふ、お兄さんとは随分性格が違うんですね、それも天才故の孤独から、ですか?」
『なんだ僕に愛でも教えてくれるのか?』
そんなものは間に合っている、どころか僕でも知っている。
今の僕がいるのは両親や祖父母、大変遺憾ながらも空助のおかげだからな。
確かに僕は同級生や同世代と一緒にいる時は孤独を感じることはあるが、それも一過性のものだ。
そういうものだと慣れてしまえば、気にすることもない。
「そうしたいところですが、あなたの性格を見ていれば必要としていないことはわかります」
にこりと笑うが、彼女の目は笑っていない。
「本当、こんなに早くお会いできる日が来るとは思っていませんでしたよ、斉木……楠雄くん」
やれやれ、面倒なのに目を付けられたな。
君の胸の高鳴りは会えるはずないと思っていた芸能人に会えた喜びのようなものだ。
決して恋だとかではないから勘違いするなよ。
「もう少し斉木くんとお話したいところなのですが、またの機会としましょう」
そう言って去って行こうとしたが山村さんを帰らせているため、1人で帰らせるのは時間がかかりそうだったので、大変面倒だが森下さんを呼んで坂柳さんの介助をしてもらった。
「私を呼びつけるなんていい度胸でしたね斉木楠雄」
『礼は言ったはずだぞ』
「礼で済めば、警察はいらないと思いませんか?」
『いらないだろうな』
森下藍さんに目をつけられたというか、気に入られてしまったのも僕の不幸かもしれない。
ただ口では支離滅裂なことを言っているようで思考回路は割としっかりしている。
「なになに? また斉木くんと森下さんの漫才?」
「ふふ、相変わらず楽しい方々ですね(それに今日も斉木くんの声が素敵です)」
彼女のせいで西川さんや、彼女と親しい白石さんとも親交を持つことになってしまった。
僕からすれば女性型の骨格標本なのだが、クラスメイトやその他大勢からはそうは見えていない。
彼女らの容姿は整っているらしく、入学して間もないというのに彼女らの容姿に惚れて告白した男子生徒が何人かいたようだ。
白石さんは口にしないものの、頭の中では時々思い返しており、西川さんは普通に言いふらしている。
「さ、斉木、今日の漫才は俺も混ぜろよな!」
白石さんが僕に話しかけてくるとそれに追随して彼女に好意を寄せる吉田もやってくるが、もはや慣れたものだ。
森下さんに比べれば素直で、言い方は悪いが扱いやすい。
『僕はいいから、吉田は好きにボケててくれ』
「はぁ!? じゃあ、俺と森下で漫才やるのか!?」
「やりませんが?」
騒がしいものの、それなりに退屈はしない学校生活ができている。
まあクラスを出れば、何故かクラスメイトに監視されるというイジメを受けているが。
それも超能力を使わずにいれば特に問題は無い。
今日は鬼頭の日かと思いながら、特に寄り道することなく帰宅する。
僕の部屋のドア前、特に鍵の部分は監視カメラからちょうど死角になっている。
なので、周囲に人がいなければ超能力でドアを開けてしまうのだが、鬼頭がいる日はやらないようにしている。
中間テストと期末テストを難なく終え、夏休みを迎えれば、無人島試験が僕たちを待っていた。
ここでも葛城がみんなを誘導し、雨風を凌げる洞窟を拠点にすることに決める。
無人島試験で鍵となるリーダーは戸塚が務めて、さらに彼はCクラスの龍園からの契約をするべきではないと反論し、更には坂柳さんの派閥に属している橋本正義の裏切りを察知し、リーダーを降りてリーダー当ても回避している。
これも全て葛城康平の仕業なんだ……! と僕は夏休みを終えて、寮で1人寂しく待っていたという坂柳さんに特別試験での出来事を話させられていた。
「どうせ楠雄くんが助言したんですよね? で、船内試験での一人勝ちはどういうことですか?」
彼女と外で会うのは目立つためメールで詳細を送ろうとしたのだが、直接話したい、無理だったらそちらに這ってでも行きますと言われて渋々僕の方から彼女の部屋に訪れている。
『葛城がクラス内の優待者を把握して、そこから法則を見抜いて、彼を慕う人間に他クラスの優待者を指名させたらしいな』
ちなみに自クラスのは指名しても無効になるため、ヘイト分散のために3クラスに1人ずつ指名しても構わないと契約を持ちかけたようだ。
自クラスの3人を当てられ、すでに勝ちの芽がなかった3クラスは苦渋の決断を強いられたというわけだ。
「ルールと干支ごとのメンバーは橋本くんから聞きました。優待者が3人ほど分かってしまえばそう難しくない試験ではありますね(これなら私でも参加できたのに、ドクターストップが忌まわしいです)」
無人島試験の1週間と足の不自由な人間に船での生活が困難と判断したのだろう。
医者は賢明な判断をしたと僕は思うが。
「優待者の法則を見抜いたあとは葛城くんに丸投げですか。それにしては随分早くに終わりましたね(彼に自クラスの優待者は最終日まで当てさせないようにする作戦は取れても、わざと当てさせるなんて芸当は出来ないでしょうし無難ではありますが)」
3クラスに1人ずつ当てさせるというのも戸塚の提案だ。
僕は今回優待者の法則を見抜くことしかしていない。
「しかし、これで葛城くんの派閥の力が強まってしまいました。どうしましょう、私退学させられたら」
ほよよと見た目には合っていると思うが、性格上似つかわしくない弱い少女を演じる坂柳さんに僕は肩を竦めた。
「まあ、その時は楠雄くんが守ってくれますよね?」
『どうだろうな。君が誰も傷つけたりしないなら、考えてもいいかもしれないな』
「傷つけたりしませんよ、だって君がいますから」
瞬きしていないため今の彼女はスケスケだぜなのだが、その顔はきっと笑っているのだろうと思うとため息がつきたくなる。
「そういえば夏休み中も森下さんや白石さんとほとんど一緒だったそうですが、どちらが好みなんですか?」
試験中はほとんど橋本に張り付いていたからそうでもない、と思うが、試験を終えてからはかなり絡まれたな。
『鬼頭とケヤキモールに行ったりもしたが』
「え、鬼頭くんとですか……?」
そんなに驚くことか?
橋本が洞窟の外に出る時に足止めをしてきたんだが、その時には戸塚にパイロキネシスを使ってリタイアさせると決めていたからな。
下手な話を振ってくる彼を見かねて、ファッションデザイナーか何かを目指していると僕が勝手に聞いていたから、最近の服装の流行りなどを振ってみたら、「斉木、試験が終わってからでいい。ケヤキモールに見に行かないか」と誘われてしまったんだ。
鬼頭は顔が厳ついらしく、自分に似合う服が地味なものくらいで、一般的な男子に似合う服はどんなのかを試したかったらしい。
一応、夏服や秋服も買い足しておいた方がいいかと思っていたから、1日だけ付き合ったんだが、彼は思いのほか楽しそうだったな。
「私のところから橋本くんや鬼頭くんがいなくなってしまうのも時間の問題ですね」
坂柳さんは自分が1番賢いと思っている分、クラスメイトとのコミュニケーションが僕以上に取れていないからな。
そこを改めれば馴染めるんじゃないかと思うが、余計なお節介か。
(まあ、私は楠雄くんがいればそれでいいですけど)
全く、愛しのホワイトルーム生とやらはどうしたのかと言いたくなるが、僕がいることで彼女の苛烈性が抑えられるのならクラスにとってはいいことかもしれない。
僕はこのまま悠々自適に、葛城と戸塚率いるAクラスの地味な生徒として過ごさせてもらうとしよう。
橋本視点だけだと神室が坂柳の下にいない理由が不明で終わるので楠雄視点を足したら結構かかった。
一応、クラスメイトからの認識としては森下に絡まれてもそれとなくやっていける良い奴って感じです。
森下が可愛い燃堂と考えれば分かりやすいか……?
クラスメイトからの評価(リーダー2人以外はざっくり)
坂柳▶︎80。楠雄くん♡綾小路のことは認知していないが認知したら、本物と偽物どっちが強いんだい!となってことある毎に斉木に綾小路と戦うように仕向けようとする。ただ本人たちにやる気がないので八百長試合になることが多い(綾小路は斉木と本気でやりたい気持ちがあるものの、それは3年生とかになってからでいいかとなっている)
葛城▶︎80。最高の参謀、孔明のように思っている。真面目で誠実で先見の明があるとしてかなり重宝しているし、友としても慕っている。義理堅いため、妹へのプレゼントを届けてもらい、さらにはお礼の手紙も持ってきた斉木に対する評価は高い。堀北会長に俺ではなく斉木を生徒会に入れてくださいと言うほどには高い。
戸塚▶︎75。まあ、葛城さんの役に立ってるうちは褒めてやるよ。とか言ってたら自分の株上げをめちゃくちゃしてくれるから知らないうちにめちゃくちゃ気にいってる。
橋本▶︎55。なんか俺にだけ当たり強くねぇか?
鬼頭▶︎62。悪くない男だ。冬もよろしく頼む。
神室▶︎50。普通のクラスメイト。
森下▶︎61。私と話せることを光栄に思ってください。それはそうと昨日食べにいったカフェ、もう一度行きませんか?斉木楠雄の奢りで。
山村▶︎63。どこにいても気づいてくれる。大抵伝言ではあるが、世間話もしてくれる。フラグを立てると恋に落ちる。
白石▶︎63。もう1人の観察対象。声がいいのとノリもいいので気に入ってる。
西川▶︎59。話していて面白い男子。全く下心を感じないため相談などもしやすい。
吉田▶︎57。白石を取られるかと思って話しかけていたがめちゃくちゃいいやつじゃね?となって結構仲良くなってる。放課後に食事に誘って3回に1回は行ってもらえている。
以上です。
次回から体育祭編です。
投稿次週からとなります。
また次回。