ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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こっから体育祭編に入りますが純粋な身体能力勝負なのでくーちゃんがすることなんてないでしょう



5巻くらい
ペナルティ満Ψ!?2学期の幕開け


 夏休みが終わり、2学期が始まった。

 2学期といえば、夏、秋から冬までの季節を横断する3ヶ月で、一般的な高校であればこれでもかというくらいに行事を押し込まれる学期となる。

 それは高度育成高等学校も変わらぬようで、2学期初日早々に午後からホームルームが組み込まれていた。

 それもあってか、授業前や休み時間の会話はホームルームの内容予想などに費やされていた。

 

「やっぱり体育祭じゃない?」

「それにしては早くねぇーか? 大体9月の末とかのイメージだけど」

「まあ、この学校なら有り得なくは無いだろうな」

 

 クラスの中心、一之瀬さんの周りには社交的な生徒が集まっており、昼休み後に控えたホームルームの話に華を咲かせている。

 それ以外のメンバーはといえば、登校期間中や休み中も寮で過ごしていることもあり、夏休み明け特有の会話は少なく、最終日付近は何をしていたかという話がメインとなる。

 神崎が一之瀬さんのグループにいることもあり、1人静かな読書タイムで時間を潰していると(あ、斉木1人じゃん)と夏休み中はほとんど聞かなかった声が届く。

 

「斉木、お久」

 

 長く伸ばした髪をツインテールにまとめた姫野さんは僕にそう声をかけてくる。

 お久といえど、彼女とは夏休み中にメールでのやり取りはしていた。

 主に彼女が夏休み中に1学期の復習や2学期に備えての予習をしていて、分からないところを訊いてきたので答えていただけで、浮ついた話などはない。

 

「夏休み中ありがとね。助かったよ」

 

 解説を書くのはそこまで苦ではないから構わない。

 いちいち携帯で打つのが面倒だったので、解説を即行で念写するだけだしな。

 僕はそこまで携帯を見る方じゃないから、メールが届いたのを確認するのは早くても10分ほどだ。

 解説を書いて送り付ける時間には十分だろう。

 

「斉木は夏休み中どうしてたの?」

 

 別にクラスメイトや同級生の相談に乗ったり、上級生に絡まれたり、最後はプールに行ったくらいだ。

 普通の高校生らしくありふれたものだなと僕は頷く。

 

「そっか、なんか意外だけど……(まあ、斉木、神崎くんと仲良いし、自然とあの辺のグループと一緒になるか)」

 

 姫野さんの視線は前方にいる一之瀬さんたちに注がれている。

 そこでチラリと黒板上の時計を見てそろそろホームルームの時間だと認識し、会話を切り上げる。

 他のクラスメイトたちもチャイムが鳴る前に自分の席へと戻っていき、それから少しして星之宮先生が入ってくる。

 

「(お〜みんな席についてる。優秀優秀〜)はい、じゃあ今から2学期の目玉行事、体育祭に向けての説明をしていくよ〜」

(っしゃ! やっぱり!)

(体育祭かぁ、やっぱりあるんだ)

(1人1競技絶対参加とかかなぁ、嫌だなぁ)

 

 体育祭にはみんなそれぞれ思うところがあるのか、口には出さないが心の中で張り切る者が全体の7割、ため息を吐く者が3割と言ったところだ。

 ちなみに僕はどちらでもない。

 体育祭は球技大会とは違って球技種目がないからな。

 あってもせいぜい玉入れ程度だろう。

 高校生にもなって玉入れ、ということもないかとタカをくくっていたら先生から配布された体育祭の資料の全員参加種目に玉入れ(女子限定)とあった。

 良かった、男で。

 

「じゃ、チャチャッと説明していくね。今回の体育祭は全学年を2つの組に分けます。BとCが白組ね(サエちゃんと同じ組なのは嫌だけど、まあ仕方ないよね)」

 

 体育祭は赤対白というのは同じらしく、組み合わせがクラスの能力のバランスを鑑みてAとD、BとCが組むことになっているようだ。

 

(Cは1学期なら龍園くんたちだったけど、夏休みの特別試験で櫛田さんたちのクラスに変わってるのはやりやすくていいね)

 

 一之瀬さんの言う通り、3クラスからの集中攻撃により、9月から龍園クラスはDクラスに落ちている。

 そのおかげもあって身内に刺されるという心配はなさそうと大半のクラスメイトが安堵した。

 

「体育祭だけど、組分け以外にもいくつか重要なルールは多いからしっかり目を通していくよ」

 

 個人種目や団体種目の点数配分に、推薦競技や組ごとの結果が与える影響、学年別順位が与える影響など、ただ体育祭に参加していればいいという単純なものではなく、全体で勝ち、あるいは個人で勝たなければ獲得ポイントに大きく関係するようだ。

 

「先生、勝利した組が獲得できるポイントの記載がありませんが」

「うん、何もないからね。マイナスっていう措置がないだけ(つまんないよねー、毎年これなんだもん)」

 

 神崎の質問に星之宮先生は頷く。

 1学期の学力試験と夏休み中の特別試験では退学やクラスポイントの低下といったリスクの代わりに、ポイント増加のリターンが用意されていたが、今回はないらしい。

 それにBクラスの面々は不満を露わにはしても、先生を責めることはしない。

 

「だからって手を抜いちゃだめよ? クラス別のポイントも大事なんだから。白組が勝っても、みんなの総合点が最下位だったらクラスポイントが100も引かれちゃうんだから」

 

 面倒な行事だな。

 総合得点が上位でも、白組が負ければポイントは引かれてしまう。

 

(BとCの連合チーム、その差はAクラスだけなら大きな差は無いかも。だけど、上級生の3年生と2年生のAクラスは現生徒会の堀北会長と南雲副会長がいるし、上級生たちの足を引っ張らないようにってしてても、白組自体が負ける可能性は高いよね)

 

 難しいなぁと独り唸る一之瀬さんだが、一応個人競技で1位をとった生徒にはボーナスがあるのを見て、多少は興味を持ち始める。

 

「今までの試験には見劣りするかもだけど、1位になったらプライベートポイントか筆記試験で使える得点が貰えるから」

「特典、ですか?」

「千尋ちゃん、資料の8枚目を見てみて」

 

 先生の言葉に首を傾げる白波さんに一之瀬さんがフォローを入れる。

 

「次回筆記試験に使える得点……ってそのままかぁ……」

「まあニュアンス的には特典でもいいかもね。大袈裟な話、個人種目で1位になっちゃえばいきなり30点スタートとか出来ちゃうってわけ(まあ上位クラスだとその恩恵もあんまりないからみんなプライベートポイントにしちゃうんだけどね)」

 

 しかし、この学校は体育祭を頑張らせる為かは知らないがペナルティの方がやけに多いな。

 点数が少ない下位、つまり総合成績が下から10番目までの生徒には……筆記試験でマイナス10点か。

 これも下位クラス、特に学力に優れない生徒にはかなりの痛手になるだろう。

 

(負けたら結構痛いな、それも学年関係なしかぁ)

(プライベートポイントならいいけど、筆記の方は嫌かもなぁ……)

(体育祭とかダルすぎだろ……、筆記ならまだ勉強すれば上がるのに)

(1位取ったらプライベートポイント5000ポイント、これはデカいよな……俺なら狙える……!)

 

 体育祭で発生するポイントに対してクラスメイトの反応は様々だ。

 どれも心の中ではプラスではなくマイナス寄りの感情だが、柴田のように運動神経に自信がある生徒はかなり前のめりだ。

 

「種目の方は全員参加のと推薦参加のがあるけど、推薦競技は自薦でも他薦でもいいよー」

 

 全員参加種目

 ①100メートル走

 ②ハードル競争

 ③棒倒し(男子限定)

 ④玉入れ(女子限定)

 ⑤男女別綱引き

 ⑥障害物競走

 ⑦二人三脚

 ⑧騎馬戦

 ⑨200メートル走

 

 推薦参加種目

 ⑩借り物競争

 ⑪四方綱引き

 ⑫男女混合二人三脚

 ⑬3学年合同1200メートルリレー

 

 個人競技や団体競技など、数だけで言えば13種目とやや多めだ。

 そのおかげか大抵の学校ではあると思われる応援合戦やダンス、組体操といったプログラムがないのは僕にとっては嬉しい限りだ。

 部活対抗リレーもないようだし、全員参加種目だと気をつけるべきは二人三脚くらいか。

 

「……多くないですか?」

「あくまで体育祭は体力、運動神経を競い合うものだから、ダンスとか応援合戦はありません! (一之瀬さんのチアガール姿見たかったな〜!)」

 

 浜口の疑問の声に先生はそう返す。

 

「あ、そうだ。最後にこの参加表ってのがあるんだけど、参加表には全種目の詳細が書いてあって、みんなでこの参加表に自分たちで、どの種目に、どの順番で参加するか決めて書いてね。書き終わったら担任の私に提出してね」

「自分たちで? 全部決めちゃっていいんですか?」

「そうだよ〜。締切時間以降はどんな理由があっても変えられないからしっかり考えてね。提出期限を過ぎたら学校側が勝手に決めちゃうから(みんなのことよく知らないおじさん達が決めちゃうよ〜)」

 

 提出期間は体育祭の1週間前から体育祭前日の午後5時までと余裕はあるように思えるな。

 そう考えていると姫野さんが心の中で呟く。

 

(これって体育祭前日とか当日に怪我とか病気になったらどうなるんだろ)

 

 訊いてみたらいいじゃないかと思ったが、彼女は自分から進んで訊くことはしない。

 そして、僕からも訊きはしない。

 プリントの最後の方に載っているしな。

 姫野さんは最後までしっかり問題文が読めれば、定期テストでの点数アップが望めるだろう。

 

(ん? 風……? あ、ん? あ、欠席者や代役についてって書いてある)

 

 少し風を吹かせてそのページが見えるようにしてやると、姫野さんはそこに気がつく。

 全員参加種目については欠席者が出た場合は続行不可能と見なされるのに対して、推薦競技はプライベートポイント10万を払えば代役をたてられるようだ。

 

「質問がなかったら打ち切るけど、大丈夫そ?」

 

 ぐるっと教室を見渡してから星之宮先生は締めの言葉を述べる。

 

「それじゃあ、次の時間は第一体育館で各クラス他学年との顔合わせになるから……(まだあと25分もあるし)残りの時間は好きに使っていいよ! あ、でも当たり前だけど教室から出ちゃダメだよ」

 

 先生がそう言うと、質問の時以外は口を噤んでいたクラスメイトたちが一斉に話し出す。

 僕は関係ないとばかりに外に出たいと思うが、この学校はそんな自由は許されない。

 

「とりあえず、推薦競技とか誰が誰と組むかの前にみんなの身体能力を計らないとね」

「ああ、俺もそう思う」

「体育祭までの間は自由時間が多いみたいですし、早速次のホームルームで体力測定をするのはどうでしょう?」

「そうだね、リレーはもちろん、二人三脚や騎馬戦のことも考えると個人の能力の把握は必須だね」

 

 僕が何もしなくても一之瀬さんや神崎、浜口あたりが的確な判断をしてくれるだろうからこのまま大人しくしていても問題はない。

 体力テストなどもやる分には構わないし、僕はクラスの方針に従うだけだ。

 今回は純粋な身体能力勝負だから、夏休み中の特別試験のような頭を使うことや、搦手を使ってくるようなこともないだろう。

 ボーナスやペナルティという概念はあれど、小中と変わらない、普段通りの体育祭になりそうだと僕はボーッと時間が経つのを待つことにするのだった。

 




楠雄が把握しているようで把握していない懸念事項
・坂柳▶︎一之瀬狙い
・龍園▶︎堀北メイン、ついでに一之瀬狙い
・櫛田▶︎堀北狙いだけど、Bと組むのでどうしようか検討中
・南雲▶︎一之瀬が生徒会入り拒否ったので、どうしてやろうかって感じ
・綾小路▶︎堀北及び自クラスに挫折させたいので勝つ気はない

次回は顔合わせ回です
多分火曜日の日中か夕方くらいになるかと思います
ではでは
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