ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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オマケや特別編含め60話代にしてよう実の有名キャラが登場
まあ原作でもそこそこ遅かったからね
妥当っちゃ妥当


学年一の秀Ψ!?坂柳有栖

 放課後になり、僕は面倒ごとはさっさと終わせるに限ると、クラスメイトの誰かに声をかけられる前に席から立つと教室を出た。

 向かうのはケヤキモール、坂柳さんの待つヨネダコーヒーだ。

 約束の時間は16時であり、坂柳さんの足のことを考慮すると今行っても彼女の姿はないだろうが、遅れるよりはいい。

 坂柳さんの話は噂程度ではあるが、聞き及んでいる。

 Aクラス内で葛城と派閥争いのようなものをしている先天性疾患により激しい運動が出来ず、それによって足が不自由な少女ということ。

 あとは人形のような可愛さを持った見た目をしているらしい。

 僕の知っていることといえばこれくらいで、出来ればこれらの情報だけで終わっていれば良かったと思いつつケヤキモールに足を踏み入れる。

 まだ放課後になったばかりのケヤキモールは静かなもので僕と同じ制服着ている生徒の姿は見えず、どこも人が少ない。

 

「随分と早いんですね(一応こちらも待たせては悪いと思って急いで来ましたが……スイーツ好きとは聞いていましたが、まさか30分もショーケースを見ていたんですか??)」

 

 そう考え事をしながらヨネダコーヒーの店の前でショーケースに並んだデザートを眺めていると待ち人は来た。

 正確には呼び出したホストはあちらではあるが。

 ショーケースから目線を上げると、そこには杖をつき隣に神室さんと橋本を控えさせた人形のような見た目の少女がこちらを見ていた。

 

「大変お待たせしたようで申し訳ありません。貴重な放課後にお呼び立てしてしまって」

 

 本当にそう思うのなら学校で済ませてくれないかという嫌味は引っ込めておく。

 せめて用件はさっさと済ませて欲しいものだが。

 立ち話もなんだからさっさと入らないかと店の中を指を指す。

 

「そうですね。こちらのお二人は同席しても? (まあ私としてはどちらでも構いませんが)」

 

 いてもいなくてもいいのならいてもいいんじゃないかと『任せる』と言うと坂柳さんは橋本と神室さんに問いかけた。

 

「どうされますか?」

「私はどうせ迎えに来させられるんだし、一緒じゃなくても最悪離れた席でもいいよ」

「俺はご一緒させてもらえると嬉しいッすね。学年どころか学校中の注目を集める斉木とは是非お近付きになっておきたい」

 

 橋本とは1度話しているはずなんだがな。

 坂柳さんの命令とは関係のない独断であったのは知っているが、その事は言わないでやった方がいいかと思っていると坂柳さんが首を傾げる。

 

「てっきり橋本くんはもう声をかけているものかと」

「そうしたかったんですけどね、斉木が3日くらい休んでたんで会えず終いだったんすよ(てことにしてくれよ、斉木)」

 

 目線でそう言わなくてもテレパシーで伝わっているから大丈夫だし、僕も吹聴する趣味はないから初対面ということにしておいてやるか。

 店の中に入り、奥の広めのソファー席に腰掛けると

 それぞれ注文を済ませていく。

 

「では改めまして、1年Aクラスの坂柳有栖です。今回は急なお誘いをお受けいただきありがとうございます」

 

 テーブル越しに向かい合って座る坂柳さんのお辞儀にこちらも一応挨拶を返しておくかと言おうとしたら、彼女はそれには及ばないと微笑をたたえる。

 

「大丈夫ですよ。こちらは存じ上げていますから。体育祭で見せた驚異的な追い上げを見てしまえば、誰もが貴方のことに興味を持ち、知ってしまいますよ(私もその1人ですし)」

 

 僕は誰もが目を奪われていくような完璧な偶像ではないんだがな。

 まぁ坂柳さんは今日まで隣で澄ましている神室さんや、僕の尾行に使っていた山村さんを使って情報収集していたようだし、ある程度は知っているか。

 

(斉木楠雄くん。性格は冷静沈着。普段は教室で読書。昼休みはクラスメイトの神崎くんとお弁当で食事。放課後は図書室に向かわれるか、寮に戻る前にスーパーで買い物。その後は外に出ることなく一日を終える。休みの日は金曜日に買いだめしておくことで外に出ずに過ごす。内向的な方。しかし、運動能力は桁外れで、勉学の方は平均並の点数。でもこれもブラフだということは分かっています。2学期の中間テストは比較的簡単だったにも関わらず平均点並だったのに対して、1学期の期末テストでは彼は高得点を取っていましたからね)

 

 序盤テニミュでも始めたのかと思ったが気の所為か。

 しかし、坂柳さんたちに見せている姿は、南雲や龍園の寄越した見張りにも情報として与えている。

 クラスメイトに聞き込みをされても面倒だったからな。

 中間テストではいつも通りに平均並の成績にしておいたが、それが裏目に出たらしい。

 

「斉木くんは回りくどい話は嫌いそうなので単刀直入に言いますね。次の期末テスト、私と勝負してくれませんか?」

『何故だ?』

「貴方の本当の実力が見たい、と言った所でしょうか。2学期の中間テスト、明らかに手を抜いていますよね?」

 

 僕の頭がいいと思う根拠はどこにあるのか知りたいが、この手の人間は自分がそうだと思ったらそうかそうかつまり君はそういう奴だったんだな的な解釈をしてくる。

 僕がいかに凡人でどこにでもいるような男子高校生だと力説したところで無駄だろう。

 どこにでもいる高校生が最速3秒台を出さないだろというツッコミは聞かないでおくとして、今までそこまで高い点をとった記憶はないし、それこそ坂柳さんの方が点数は上だったと思うが。

 

「あれは学校側が作ったテスト範囲からしか出ない、いわば取ろうと思えば誰でも満点の取れるテストです」

 

 でも次は違いますよねと坂柳さんはコーヒーカップに口をつけたため、続きの言葉を橋本が引き受ける。

 

「今回のテストはどこかのクラスと総合点を競い合う特別試験だ。勝利条件は相手クラスより総合点を取ること。そしてその試験の問題は生徒が作る。姫さんは自分の作った問題とアンタが作った問題を解き合って、どっちの方が頭がいいか勝負がしたいんだと」

『そんなの坂柳さんが勝つに決まってる。僕は頭が悪い』

 

 そう言って机の上に届けられたシロノワールを素手で掴み口に放り込む。

 汚い食べ方をすることで好感度を下げる作戦である。

 

(うわ……)

(えぇ……そこまでやるかよ……)

 

 目論み通り神室さんから侮蔑の視線を送られているのがわかるが、坂柳さんの表情は変わらない。

 

(ワイルドな食べ方ですね、私も真似してみましょうか……)

 

 なんでだよ。

 

「貴方が自身をどう思っているかは分かりませんが、斉木くんの評価は高いですよ? 運動能力抜群、運動神経に関しては学年トップと言われても否定できる人はいないでしょう」

 

 たかが足が速いだけで全ての運動神経がいいとは限らないだろう。

 現に僕は球技が苦手なわけだしな。

 それに次の期末テストでAクラスとBクラスが勝負するとは限らないだろうと2切れ目のシロノワールを放り込む。

 

「AクラスはBクラスを指名させていただきましたよ。葛城くんはCかDにするべきだと言っていましたが、夏休みの件もあり、クラスポイントの差もあまりありませんし、勝って突き放しておくべきだと説得させていただきました」

 

 ペアを決めるための小テストも終わっていないのに手が早いな。

 次の期末テストでは小テストの点数が高いものと低いものから順にペアを組み、期末試験に挑むことになる。

 ここまでは公にされていないが、明日の小テストが終われば全生徒に知らされることだ。

 

「Bクラスも同じじゃないんですか? もうすぐでAクラスに追いつける。それなら挑まない手はないと思っているBクラスの方は多そうですが」

 

 確実にAクラスに上がるためにはそうした方がいいだろうが、安全策としてCやDのような下位のクラスを狙うという手もあると思うが。

 まだ1年の2学期でそこまで急いでAクラスになる必要性はない、というか僕自身はAクラスでの卒業には興味が無いしな。

 Bクラスがやると言えばやるくらいだ。

 長い物には巻かれておいたほうがいい。

 

「……もしかして自クラスがどこのクラスを攻撃するか興味がないのですか?」

『ないな』

(強者の余裕……ではなく、本当に闘争などに興味がないといった感じですね)

 

 一応どこのクラスを攻撃するかはテレパシーで把握しているが、それを坂柳さんに伝える義理はない。

 手に着いたクリームやチョコをハンドペーパーで拭き取り、『話は終わりか?』と問いかける。

 

「終わってはいませんが、斉木くんは終わりにしたい。ということですよね」

 

 そうだなと肯定の意を示すと坂柳さんは残念だとため息をつく。

 

「(仕方がありませんね。まあ今回は私のことを知って貰えただけでも良しとしましょうか)また機会があればお話に付き合っていただけますか?」

 

 あまり乗り気では無いが、話すだけなら暇があれば応じてもいいが、坂柳さんも目立つ人間の部類だ。

 今は僕の方が目立ってしまっているが時期が経って落ち着きを見せればそうでもなくなるだろう。

『なるべく会いたくは無いな』と率直に言うと、坂柳さんは何が嬉しいのか微笑みを見せる。

 

「そうですか、でも私は会いたいのでまた折を見て話しかけさせて貰いますね」

 

 断っても聞いてくれないのか。

 この学校には強かな女性が多すぎるきらいがあるなと思いつつ、自分の伝票だけ払おうと立ち上がり坂柳さんに伝票を見せてもらおうとしたが、伝票は彼女に取り上げられてしまう。

 

「結構です。御足労いただいたお礼に私が払わせていただきますから」

 

 そう言うと思ってたよ。

 携帯を鞄にしまい直して店を出ようとすると背中から呼び止められる。

 

「今回の勝負、貴方は私の誘いに乗ったつもりはないのでしょうけど、私は了承したと考えさせていただきますよ」

 

 それはもう僕の意見無視なんじゃないのか。

 まあ彼女の言う通り、BクラスもAクラスを攻撃指名しているため、彼女の願いは叶うことになる。

 もしくは山村さんの諜報力で既に知っていた線もあるが、テレパシーでそのような事は言っていなかったし、彼女の読み勝ちになるのだろうか。

 

「クラスやペアの総合得点では互いの学力は関係ありませんし個人の合計得点で勝負しましょうね斉木くん科目は数学でいきましょうか。あ、斉木くんの得意科目でも構いませんよそれで負けた方は勝った方の言うことを1つ……」

 

 弾んだ声かつ早口で言われてしまうが僕は頷くこともしなければ、振り返ることもなく店を出た。

 

 

 ###

 

「……って、行ってしまいましたね」

 

 残念ですと斉木くんがよくやっているらしい肩を竦める動作をすると、黙って私たちの会話を見守ってくれていた真澄さんが聞いてきます。

 

「で、勝算はあるわけ?」

「どうでしょうか。私はまだ彼の全てを知るわけではないので」

「てか、言うことを何でも聞くって……どうする気?」

「私はチェスでもいかがかなと……あちらが何をお願いするかは分かりませんが」

 

 私に興味が無さそうなのでまずはそこからですね

 実際問題、私が斉木くんを知ったのは体育祭からですし。

 葛城くんは試験などで一緒になる機会があったので知っていたようですが。

 

「まあ、頭はいいんじゃないですかね」

「あんたの意見は聞いてないんだけど」

「相変わらず辛辣なことで」

「あんたのせいで葛城派から睨まれることになってるのわかってるわけ?」

「睨まれるも何も、俺は姫さんの言う通りにしただけなんだよなぁ」

 

 睨まれる橋本くんは助けを求めるように私を見てきます。

 

「それについては私も思うことがありますね」

「うげ」

 

 嫌そうな声を出す橋本くんに私は責めるわけではないと前置きをしてから話し始めます。

 

「無人島試験自体では葛城くんへの妨害は成功しているので問題は無いですよ。ただ船上試験ではこちらが手を打つ前に事が終わってしまっていたので仕方ない部分もあります」

 

 言うと、橋本くんはふぅと安堵の息を漏らします。

 

「けど、不思議なんですよね。本当に一之瀬さんに初日から優待者の法則を見抜いて龍園くんのクラスを狙い撃ちにする策を思い付けたのか」

 

 優待者の法則自体は簡単なものでした。

 自クラスの3人の優待者を把握出来れば法則に辿り着ける人は多いでしょう。

 斉木くんの存在を知る前であれば、Bクラスを束ねるリーダーとして橋本くんから名を聞いていた一之瀬さんがしたことだと納得がいきましたが、今は違います。

 彼女と同じグループにいたAクラスの生徒に話を聞けば、頭の回転は早く、グループ内の会話を回していたことは聞いていますが、それだけでは決定打に欠けます。

 それは斉木くんも同じことですが、彼は龍園くんに言い返し、さらには彼の脅しにも動じなかった。

 そして、橋本くんがクラスを裏切っていたという話を漏らしたのも彼だと言います。

 あくまで彼は一之瀬さんからそう聞かされていると言っていたそうですが、果たして真実はどこにあるのか。

 

「一之瀬さんか神崎くん、あとは斉木くんに近しい姫野さんもつついてみると面白いものが出てきそうですね」

「その辺は俺と神室でやりますよ。鬼頭じゃ目立ちますし」

 

 それくらいは私がやってもいいんですけど、私だとつつきすぎて斉木くんの怒りを買っても困りますね。

 

「そうですね。2人ともお願いしますね」

 

 攻め方はいくらでもありますし、まだ1年の2学期です。

 彼を知りたい気持ちは高まる一方ですが、時間はたくさんあります。

 そう思っていても早く知りたい。

 運動能力だけが優れているのなら運動能力だけでも構いませんが、知能も高いなら高いでそれは僥倖。

 それを知るためのペーパーシャッフル。

 私が勝てばチェス勝負という2回戦が、彼が勝てば私の作った問題を解ける知能を持っている証明になる。

 この辺りの詳細は決まり次第橋本くんにお願いして伝えてもらいましょう。

 それに斉木くん周りを調べていたら思わぬ収穫もありましたしね。

 

「ついでに、綾小路くんについても調べておいてください」

「綾小路?」

 

 真澄さんが誰それと首を捻りますが、体育祭では目立たずにいたようなので知らなくても無理はないでしょう。

 私も斉木くん絡みで知っただけですし。

 

「斉木の他クラスの友達だってよ。斉木と同じで地味目で目立たない感じだったかな。でも足はあいつも速い方だったな。須藤と平田よりちょっと遅いくらいだな」

「へぇ」

 

 橋本くんは会ったことがあるのか、彼に対してそのような評価を下します。

 まあ斉木くんを見た後ではそうなっても仕方ありませんね。

 

 何せ彼は、偽りの天才ですから。

 斉木くんが本物の天才かはさておき、会うのはもっと先だと思っていた彼と思わしき人物を見つけれたのはなんという僥倖。

 本人かはまだ分かりませんが、どちらにしても時間の問題でしょう。

 これまで大人しくしていた甲斐がありました。

 斉木くんも含めて、2学期からは楽しい学校生活になりそうです。

 




なお3人の話は斉木のテレパシー圏内なので丸聞こえの模様
話を聞くだけなら特に何もしないらしい
ペーパーシャッフル編の坂柳は情報収集メインだからね

橋本が喋った内容▶︎誰から無人島試験のリーダーが戸塚って聞いたんだ?▶︎綾小路と櫛田さんから聞いた
(櫛田には口裏合わせ依頼済み もう斉木の実力モロバレルしてるから共存共栄共犯仲間しようぜとなっている)
(このため、またしても何も知らないのに売られている綾小路になる模様)
Aクラスになる気はあるのか?▶︎ない
そうか、出たらいつでも言ってくれよ。ケースバイケースだが手を貸すぜ▶︎よく喋るな▶︎3行くらいしか喋ってなくねぇか!?

次回からペア確定とテスト対策なんすけど、他クラスのこととか軽く書いたらチャチャッと終わるかも
まあ7巻も特に書くことないんだけどネ!

今計算してみたがこの小説のストックは尽きた!
貴様らの読み過ぎだ!

あと普通にゲームの新シナリオ来たのでそっちやりつつになるので投稿頻度落ちます
感想が追いつかないくらい早いとか言われてたしちょうどいいよね……♠

ではまた次回
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