ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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書かなくてもいいかと思いつつ書けてしまったので投稿します


届かぬ想い

 ペーパーシャッフルのペアが決まり、堀北から幸村と長谷部、三宅を勉強会に合流させるように指示を受けたオレは手筈どおりに彼らを引き合わせた。

 場所はパレットというカフェで指定したのは長谷部だと言う。

 先に教室から出ていた長谷部はカフェに通じる廊下の途中で待っており、無事に合流することができた。

 4人で座れる席を確保し、どこをどう転べばこんな集まりができるのかと首を傾げるが、出来てしまったものは仕方ないと受け入れる。

 斉木との約束もあるし、とりあえず勉強会の方針くらいは決めておかないととオレは口を開く。

 

「一応何か質問があれば先に受け付けるけど」

「綾小路くんって喋るんだ」

 

 いきなり出てきた質問がそれか。

 立って話すことが意外だったのか長谷部は不思議そうに顔をあげる。

 

「なんていうか、全然印象なかったから。休んでても気づかれない、みたいな?」

 

 長谷部と話したことなんてほとんどないし、そういう印象を抱かれても仕方ないか。

 オレの話はそれで終わり、そここら体育祭の話や三宅の部活の話などをしていると幸村が落ち着いた様子で口を開いた。

 

「綾小路、堀北から聞いたが勉強の方も期待していいんだな?」

「は?」

 

 方もってなんだ。

 そして、オレの知らないところで幸村に余計なことを吹き込むな。

 

「暗記は比較的得意ではあるが」

「そうか、じゃあ1点でも多く取れるように頼むぞ。俺が教えるんだからな」

 

 そのまま幸村は長谷部と三宅のテストの点数や間違えた問題などの確認に入る。

 2人は今回ペーパーシャッフル試験においてペアを組むことになったが、2人揃って文系科目が苦手ということで幸村の指導が必要になった。

 クラスに馴染めない孤独組同士、何か相入れるものがあったのか互いの苦手分野を把握していたそうだ。

 

「これから勉強方法を考えていく。悪いが少し時間を貰うから待っててくれ」

「了解〜」

 

 幸村はそう言うと2人のテストのミスから重点的にやった方がいい部分を探したり、今後のスケジュールを考え始める。長谷部は携帯を取り出して寛ぎ始め、三宅とオレはどうしたものかと店内を見渡す。

 そこでオレはふと視線を感じ、なんとなくその方向へと視線を送った。

 するとやけに強面で学生とは思えない風貌した髪の長い男子がオレの方を見ていた。

 確かAクラスにあんな生徒がいた気がする。

 何か恨みを買うことをオレたちの誰かがしたのだろうか。

 

「なんとかなんねーのかよ!」

 

 そう困惑しているとレジ横のショーケース前で声を荒らげている石崎の存在に気づく。

 

「そう仰られましても、そういった特注のケーキであれば、あと1週間は早めに言って頂かないと対応が難しく……とても当日では対応できません」

 

 石崎の要求は恐らく、ショーケースにあるような切り分けられたものではなく、お祝い用のホールケーキを所望していたらしい。

 しかし、カフェであるパレットでは事前に言わないと用意が難しく、店員が頭を下げて断っていた。

 

「ケーキか……」

 

 そういえば明日はオレの誕生日か。

 普通の人が抱くような誕生日の過ごし方のイメージを全く持ち合わせておらず、所詮はただ歳を1つ重ねるだけ。

 別に何も知らない無知という訳でもなく、興味が無い訳でもないが、誕生日を家族や友人に祝ってもらうという感覚は分からない。

 もし仮に祝って貰えたのなら、何かわかるのだろうか。

 そう考えていると長谷部に声をかけられる。

 

「どったの綾小路くん」

「いやなんでもない」

 

 明日は10月20日、ほとんどの人にとっては特に何も無い日の一つだが、オレにとっては一応誕生日となる。

 ただ、この学校には数多くの生徒や従業員、教師がいるが、オレと同じ誕生日の人間が1人か2人はいてもおかしくはない。

 誰かに誕生日を教えた覚えのないオレは祝われることなく誕生日を終えて、いつも通りの日常を歩む。

 それがいい、それでいいとオレは目の前の勉強会の終わりを待つことにした。

 

 

 ###

 

 三宅と長谷部の苦手な傾向を割り出し、それに合わせた問題作りや対策のため、勉強会は明後日からに決まった。

 解散が宣言されると三宅は部活へ顔を出し、幸村は勉強会のための準備のため店を出る。

 長谷部は残りのコーヒーを飲んだら帰ると言う。

 オレは斉木との約束もあるため、三宅たちとは少し間を空けてから店を出た。

 出て直ぐに幸村から頼まれたどこまでのレベルの問題を学校側が認めるのかの確認をしておくべきという話を堀北にしておく。

 その際に勉強会がどのように進んだのかを聞いてきたのでそれをそのまま伝えておく。

 一応、新たな友達が出来たことを誇張しておいたのだが、堀北にはその点に一切触れる事なく聞き流されてしまう。

 唯一気にとめたのは三宅と長谷部の学力に類似点が多かったという部分だけだ。

 

「それからあなたにはもう1つ頼みたいことがあるの。幸村くんの勉強会が休みの日はこっちにも顔を出してもらえるかしら」

「それは最初に言っていた約束と違うんじゃないか?」

「何も違わないわ。勉強を教える必要はない、みんなを管理して欲しいだけだもの」

 

 なんだよその管理って。

 友達以上恋人未満くらい定義の分からない言葉だ。

 しかし堀北曰く、教える人間に対して教わる人間が多すぎるという問題の対処のためという。

 教師役だけでは目が届かないため、池と山内のような幼稚園児より集中力が欠如しているメンツを見ていて欲しいのだそうだ。

 

「そのメンツは櫛田の言うことなら聞くんじゃないか」

「そうね、でもその櫛田さんが個人的に勉強する時間が欲しいと言っているのよ」

 

 櫛田が? 

 まあ教師役にも勉強する時間は必要だろうが、それにしたって自分からそんな事を言うなんて変な話だ。

 

「出来る範囲では手伝ってくれるそうだけど、毎日は難しいと平田くんに言っていたわ」

「……そうか」

 

 体育祭の時といい、クラスのために貢献している部分はあるが、みんながいる時間に櫛田が居なくなるというのは違和感がある。

 あいつは目立ちがりとまでは言わないが、誰かに頼られたり、必要とされることを望んでいる人種のはずだ。

 しかし個人での勉強をするというのはあいつの学力を加味しても80点台で止まるだろうが、堀北や王といった成績優秀者に教わるのであれば伸びる可能性は十分にある。

 

「そういえば攻撃はどこにすることになったんだ?」

「Dクラス、つまりは龍園くんのクラスね」

 

 ということはAvsB、CvsDになったというわけか。

 分かりやすくはあるな。

 しかし、Bが相手でなくて助かったな。

 おそらく、今のうちのクラスの学力では勝つのは難しいどころか無理な話だろう。

 それこそ、相手側の問題と解答でもなければ。

 

「じゃあ対Dに向けた問題作りも始めるのか?」

「そうね。基本方針としては私と平田くん、それと幸村くんの意見を交えて作っていくつもりよ。本来ならもっと大勢の手を借りたいところだけど、人が増えれば増えるほどDクラスに問題が漏れる危険性も増すから難しいところね」

 

 体育祭の時のように内通者か裏切り者か。

 どちらにせよDクラスに守りの要となる問題文と解答が漏れるのは避けなければならない。

 怪しいのは櫛田だったが、体育祭での活躍や騎馬戦や最後のリレーで堀北に力を貸したところを見ると違うのかもしれない。

 複数人いるという可能性も視野に入れておくかと考えていると「綾小路くん」と訳あって最近話すようになったクラスメイトがオレに声をかけてくる。

 

「悪い、一旦切るぞ」

「ええ、構わないわよ」

 

 堀北からの承諾を得て電話を切ると、オレは近づいてきたクラスメイト、今回オレとペーパーシャッフルのペアを組むことになった佐藤摩耶に向き合う。

 

「タイミング、悪かったかな?」

「いや大丈夫だ」

 

 軽井沢と同タイプのギャル系女子の佐藤。

 下の名前を知ったのはペアになったときで、ありふれた苗字と打って変わって珍しい名前だった。

 池や山内たちとも仲のいい女子ではあるが接点はほとんどなかった。

 男子と親しくしてくれる女子であるため櫛田のように人気がありそうなものだが、軽そうな外見で間違いなく男慣れしており、そんなビッチはお断りという複雑な男の心情を聞かされた。

 そして、そんな佐藤にオレが声をかけられたのは体育祭を終えての休養日明けだった。

 

「あのさー、なんというかちょっと顔貸してくんない? 話があってさ」

 

 何とも珍しいとオレは警戒心を強めたが、断る勇気などなく受け入れる勇気を持って頷きを返した。

 

「ここじゃなんだから、いいかな」

 

 オレが断らなかったため佐藤は場所を変えることを要求してきた。

 それに従ってオレは彼女のあとを追う。

 廊下に出るとBクラスの方は朝と同じく恐ろしい喧騒で斉木ブームが巻き起こっていた。

 そして佐藤もその斉木ブームに躍らされた1人だった。

 

「ちょっと変なこと聞くけどさ……斉木くんって誰か付き合ってる人とかいるのかな?」

 

 仲良いんだよね? と聞かれるが、仲がいいかと言われればオレの中では良いと感じているが斉木がどう思っているかは分からない。

 ただ、あいつに恋人の類がいないことは知っている。

 

「いないはずだ」

「あっそうなんだ……へぇー、そうなんだ」

 

 バカにするわけでも、哀れむわけでもなく佐藤は少し嬉しそうに口元を緩めた。

 

「……あのさ、お願いがあるんだけど。斉木に私のこと紹介してくれないかな?」

 

 まさかオレがこんな提案を受けることになるとは思っていなかった。

 友達のことが気になっているクラスメイトのギャルを紹介する間男のオレ。

 あるかどうか分からない経験に僅かに心が踊る。

 オレも斉木ムーブメントに踊らされているようだ。

 

「とりあえずわかった」

 

 紹介するだけならと承諾したオレは斉木にメッセージを送る。

 斉木を紹介して欲しい人がいるとそのまま伝えると『わかった』と返事が来た。

 その後、オレは勉強会の打ち合わせ、斉木も斉木で用事があるらしく18時に待ち合わせになっていた。

 その場所に行くと斉木は先に着いていたらしく、今回は[魔眼探偵]という本を読んでいた。

 

「悪い、待たせたか?」

『いや僕の方が先に用事が終わったから気にするな』

 

 斉木はそう言って本を閉じるとオレの隣にいる佐藤へと目を向ける。

 佐藤もまた気になる話題の人物である斉木と話せる機会を貰い上機嫌なようで笑顔を見せている。

 友人とクラスメイトの異性との初邂逅だが、その中間にいるオレはどうしたらいいのだろうか。

 

『彼女が綾小路に紹介を頼んだという佐藤さんか?』

 

 斉木の問いかけに佐藤は頷く。

 

「う、うん、佐藤摩耶。最後のリレー……ってかその前の競技から足速いなーって思って気になってたんだよね」

 

 龍園との200メートル走ではぶっちぎりだったな。

 それはそうとオレはどこにいればいいかよく分からないので2人から1歩引いた距離で話を聞くことにする。

 

「それでさ、その、綾小路くんからは聞いたんだけど、本人にちゃんと聞いておきたくて、斉木くんって彼女とかいるの?」

『いない』

 

 即答。

 まぁ実際、斉木が女子といるところを……見たことが無いわけじゃないが一之瀬たちはクラスメイトだしカウントしなくてもいいだろう。

 

「じゃあさ、その連絡先交換して欲しいんだけど……まずは友達として……」

『友達とやらになる分には別に構わないが僕は彼女や恋人とやらを作る気は無いぞ』

「えっ」

 

 佐藤のゴールを見越してか先に斉木は釘を刺しておく。

 

「あ、でも、仲良くなっていくうちに心変わりとか」

『しない』

「今好きな人がいるとか?」

『いない』

「……昔の恋愛で何かあった感じ?」

『ない』

「……男の方が好きとか?」

『好きじゃない』

 

 佐藤の問いかけを一刀両断していく斉木に彼女も焦ったように畳み掛ける。

 

「じゃあさ、なんで彼女とか作らないの? てかなんで友達ならOKなの? 理由を聞いてもいい?」

『必要ないからだ。友達になりたいのであれば咎めはしないが、恋人になることを前提に近づいてきた人間なら、友達止まりと分かればすぐに手を引くだろう』

 

 予想外の返答だったのか佐藤は大きく目を見開き驚いている。

 オレは斉木のストレートな物言いを知っているため何とも思わないが、初めて見たり聞く人間、それも斉木に少なからず想いを持っているのなら驚きもするだろう。

 

「ま、確かにね。いきなり恋人云々言っちゃって警戒させたよね。でも、私は普通に友達になりたいかな。斉木くん面白そうだし」

『そうか? 僕ほどつまらなくて矮小で卑屈でどうしようもない人間はそうはいないぞ』

「自己肯定感低っ!? いやあんなに足速いんだし大丈夫だって……少なくてもどうしようもなくはないと思うよ」

 

 つまらなくて矮小で卑屈なところも否定してやってくれ。

 しかし、今日の斉木は卑屈というより強気な気がするなと思い、問いかけてみる。

 

「斉木、もしかしてここしばらく佐藤みたいな話を持ちかけてくるやつが多いのか?」

『ああ多い。とても多い』

 

 やっぱりなとオレが思った矢先、佐藤は慌てたようにオレたちに食ってかかる。

 

「えっちょっとちょっと、綾小路くんに斉木くん、それどういうこと? 他にもいるって?」

 

 佐藤は明らかに動揺した表情でオレたちに確認してくる。

 

「私が初めてじゃないってこと? ホント?」

『10回くらいは既に言われてるな』

 

 それだけ需要のある存在になってしまったということか。

 友達が遠くに行ったようで寂しいというのはこういう感情なのか? よく分からないが。

 

「ちょっと待ってちょっと待って。どうしよう。早くもライバル多すぎ? てか私もかなり遅れをとってるんじゃない?」

 

 顎に手を当てて何やら葛藤している佐藤だが、諦めて友達を目指せばいいんじゃないだろうか。

 

「わかった……ごめん時間取ってもらったのに」

『気にするな。僕の気持ちがわかって貰えたのならその方が嬉しい』

 

 斉木の攻略は不可能だと察したのか佐藤は早々に諦めることにしたらしく、名残惜しさを感じながらも一応、斉木と連絡先を交換して帰っていく。

 

「綾小路くんもごめんね時間取らせて。じゃあ、またね」

 

 帰り際にそう声をかけられたのでオレは小さく手を上げておく。

 それにしても人気者になるというのは大変なんだな。

 オレも気をつけるとしよう。

 

「悪かったな。そこまで大変なことになっていたとは……コーヒーゼリーでいいか?」

『別にいらないが……貰えるのなら貰っておこう』

 

 その後、オレと斉木はスーパーまでの道のりを適当に話しながら歩いていった。

 帰り際にコーヒーゼリーを渡すと、『お返しだ』と斉木から誕生日祝いを貰ったが、オレはこいつに誕生日を教えただろうか。

 生徒手帳を見れば書いてあるが、部屋に来た時に見たのだろうかと考えて、チャットのアプリには生年月日を入力するところがあった。

 そこで非公開を選んでいなかったから、斉木は知ることができたのだろう。

 逆に斉木の誕生日はいつなのだろうかとプロフィールにアクセスしてみるが斉木は非公開にしていた。

 あいつの性格を考えれば誕生日会などの騒がしいイベントは避けたいだろうから非公開にしているのだとオレは確信する。

 まあいいか、お返しは別の機会にすればいい。

 せっかくもらったゼリーメーカーだ。

 次の休みにでも使って食べさせてもらうとするか。

 しかし、たまたま斉木のプライベートポイントの所持額が見えてしまったが、あの途方もない額は一体どうやって集めたのか。

 大方、非常時に備えてクラスメイトたちから月イチで集めているという線が妥当か。

 結束の強いBクラスだからできることではあるが、それを斉木が持っているという意外性に知れば知るほどよく分からない男だと斉木の評価を改めるのだった。




書きたいことだいたい終わったはずなので次でペーパーシャッフル編終わりかなと思ったらまだ1個あったので2話くらいですね

そろそろ更新途切れます!理由はもちろんお分かりですね!?
これ書いて学マスして原神してFGOしてたらプラモを作る時間がなく罪が増えてしまったからです!
覚悟の準備をしておいてください!ちかいうちに訴えます。
アンケートも起こします。Amazonギフト券にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!

てことで火曜日くらいまで投稿止まります
とか言いつつ書けてしまったら投稿するので適当なタイミングで覗いて見てください
ほな
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