ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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書いた!堀北との善人問答も!この手で……エレン!!ペーパーシャッフル編を書いたぞ!櫛田とのやり取り以外は……これでいいのか?これでよかったのか?!この二次創作はこれで本当に終われるのか!

なぜ全てを書かせてくれないんだ……龍園が企ている計画を……綾小路グループに絡む龍園を……ひよりと綾小路の出会いを……本当にこれしか、道はなかったのか?

ってことで投稿継続です


Ψ疑嫉妬の勉強会!?

 期末テストはまだ先ではあるが、ペアとの退学がかかっており、さらには他クラスとの戦いということもあってどのクラスも勉強モードだった。

 そのおかげもあってか、同学年で僕にちょっかいをかけたり、告白まがいのことをしてくる生徒はかなり減った。

 3年生は元々少なく、いても「あの堀北くんに勝てるなんてすごいよ!」という謎の褒め言葉をかけられるくらいだ。

 2年の方は南雲の手もあってまだかかりそうと思っていたが予想外の人物によって歯止めをかけられた。

 

「筋肉痛とやらは治ったのか? 斉木」

 

 長い銀髪を揺らし、女子にしては高い身長に合ったスタイルを持つその人は放課後に僕が1人になったタイミングで現れた。

 鬼龍院さんは僕の休んでいる間に1度教室に来たらしく、その時はいなかったから素直に引き返した。

 2回目も僕がいないことを神崎から聞いて引き返したかと思えば、寮の僕の部屋までやって来たのだ。

 鍵もかけていたので流石に部屋には入ってこなかったが、僕を心配して来たことと、どうして名前を偽っていたのかを部屋の前で聞かれるのは些か面倒だったので連絡先を渡し、後日改めて説明した。

 それで終わりだと思ったが、どうやら僕はかなり彼女の興味を引いたらしく、こうして絡まれてしまっている。

 

「安心しろ、今日は特に用はない。だが、用がなくてもお前と話すのは面白いからな」

 

 悪い人じゃないということは分かっているんだが、僕はこの人が少し苦手だ。

 理由は僕に絡んでくるからとかではなく、思っていることや考えていることをすぐさま素直に口にするのでテレパシーが意味をなさないのである。

 黙っている時は黙っている時で思考をまとめるためなのだろうが、かなりのテレパシーが流れてくるのも厄介なところだ。

 

「そんなことより随分と困っているようだな。聞いたぞ、うちの学年の女子の相当な数に声をかけられたと」

 

 相当な数かは知らないが、南雲の手先とは関係なく何人かには連絡先の交換や遊びの誘いはいただいたな。

 

「そしてその全てを断ったと。私はお前に声をかけたヤツらとは仲は良くないが話は聞こえてきた。それはもう清々しいほどの拒否だったと」

 

 少しでも可能性を残すとまた声をかけられると思って、ありとあらゆる可能性を潰した返事をしたからな。

 それが伝わっていて何よりだと肩をすくめる。

 

「しかし、安心しろ。その耐え難い日々も終わる。斉木は私の最大級の興味対象だと2年生達に宣言しておいたからな」

 

 何をどう安心すればいいんだ僕は。

 

「そう喜ぶな。礼もしなくていいぞ。私が勝手にやったことだからな」

 

 喜んでもいないし、礼をする気もないが。

 というか、何をしてくれているんだこの人は。

 

「要件はそれだけだ。おっと、これじゃ用があって話したことになってしまうな、ふはは」

 

 何も面白くないが。

 しかし、鬼龍院さんは友達はいないが、その実力は学年全体に知れ渡っており、容姿も整っているらしい。

 確かにいい筋肉繊維と骨密度をしているから身体能力には秀でていると思われる。

 そんな彼女が特定の1年生に興味を示しているとなれば虎の尾を踏みたくないと近づいてくる人間は減るかもしれない。

 

「じゃあな斉木、また用ができるか、私が暇を持て余したらまた来よう」

 

 そんなことが無いことを祈るばかりだ。

 しかし、2年生から声をかけられる可能性がある程度減るのは助かるし、礼ではないが少しくらいなら相手をしてもいいだろう。

 それにしてもどうして僕の周りにはこう癖のある人間がやってくるのか。

 勘弁して欲しいものだなと思いながら図書室へと向かう。

 理由は一之瀬さんに勉強会に顔を出して欲しいと頼まれたからである。

 なんでも、龍園クラスの妨害を避けるために堀北さんから合同で勉強会を行い、龍園クラスの生徒が近くに座れないようにする作戦らしい。

 僕は教室に近づいている鬼龍院さんがいたため、後で合流すると伝えていた。

 そんなわけで図書室に向かう。

 既に勉強会は始まっているのかと思われたが、まだ立ち話をしている生徒がいるためまだのようだ。

 堀北さんと一之瀬さんも先程合流したらしく、どこの席に座るかを各々で決めているところだった。

 そんな中で僕の存在に気づいた網倉さんが声を手招きしてくる。

 

「あ、斉木くん、こっちこっち」

(げ、斉木くん?)

(斉木も勉強会に出るのか)

 

 昨日告白まがいのお誘いを断られた佐藤さんは顔を顰めており、綾小路は意外そうな顔で僕を見てくる。

 しかし、僕の名前に反応したのは2人だけではない。

 池や山内といった男子からは嫉妬や僻みといったネガティブな感情を含んだ視線を感じる。

 一方で、それ以外の男子生徒達から感じたものは単純な興味で、足は速かったが勉強の方はどうなのかという比較的ポジティブなものであった。

 

(へぇ、斉木も来たんだ。教師役かな? 教え方は上手いと思うけどこんな人のいるところに来るのは意外)

 

 櫛田さんも一瞬目を向けるが、普段はあまり関わりのないこともあり、軽く会釈だけして視線を外してくる。

 一方で興味の視線の強い綾小路、堀北さん、佐藤さんたちの視線から逃れるように網倉さん側へと歩き、Bクラスの男子の方に混ざろうとする。

 その瞬間、ニコニコと微笑んだ網倉さんと小橋さんに止められる。

 

「斉木くんは帆波ちゃんとペアなんだし隣の方がいいんじゃない?」

「そうそう、そのほうがいいよ〜絶対」

「へっ?」

 

 2人はそう提案すると共に席をひとつずらして一之瀬さんの隣を開ける。

 誰も求めていない余計な気遣いに困惑しているのは一之瀬さんも同じでひとつ離れた席に腰掛けた2人に疑問の声を漏らす。

 

「えっと……2人とも……?」

「私は今日、ここに座りたい気分かなぁ」

「私は千尋ちゃんの隣に座るね〜」

 

 小橋さんが露骨な嘘を言い、網倉さんは暖かな微笑みを浮かべては勉強に向き合い始めた。

 

(な、なんか変な気の遣われ方をしてる!?)

 

 善意100パーセントの親切に照れているのか、焦っているのか、困っているのか、よく分からない表情の一之瀬さんの隣に腰掛ける。

 こういう時に変に表情や行動に出すから周りが誤解するのだ。

 僕は気にする事なく席に着くと一応持ってきた勉強道具を広げる。

 そうしていると僕が来るまではテンションが高かったらしい池が呟く。

 

「今日は斉木もいるんだな(こいつ一之瀬さんの隣に……やっぱり足速ぇとモテるんだろうな)」

 

 違うと言いたいが、足を速くしたせいで異性に声をかけられたのは事実だ。

 

「斉木くんは勉強はできるのかしら? (一之瀬さんとペアということは彼は下の方なのかしら。あまり勉強ができないというイメージはないけれど)」

 

 一之瀬さんとペアになったおかげで僕が下に見られてしまうものの、勉強ができない生徒と思われるのは変に目立たなくていいかもしれない。

 

「斉木くんは平均的……かな(多分あんまり言わない方がいいんだよね?)」

「そう(船上試験や普段話している感じからして頭は良いと思っていたけど違ったのかしら。それとも一之瀬さんとペアを組むために意図的にテストの点を下げた可能性もあるけれど……特にメリットは感じないわね)」

 

 本当に偶然だからな。

 堀北さんの思うような作為的なものは何もない。

 一之瀬さんがフォローしてくれたためか、堀北さんはそれ以上は追求せずに勉強会を始める。

 勉強会が始まってすぐに斜め向かいに座る佐藤さんと綾小路ペアから会話が聞こえてくる。

 

「ねえ綾小路くん、私どうやって勉強すればいいかな? (普通にやれば80点くらい取れそうだけど、今はアホっぽいキャラで通してるし一応聞いとこ)」

「……そういうのは堀北たちに聞いてくれ(あんまりボロを出すと怪しまれるから堀北に任せよう)」

 

 にしても、あの2人がペアというのも意外というか、もし神がいるのであればあれほどよく出来たペアもないだろう。

 スタンド使いとスタンド使いが惹かれ合うように実力を隠し合っている者同士惹かれ合ってしまったのだろうか。

 

「いい機会じゃない。ペアを組むんだし、綾小路くんが佐藤さんの面倒を見てあげたら? (まあどうせ見ないと思うから彼に勉強させるための言質くらいは引き出させてもらうわ。勉強したという態度を見せておけば本番でも点は取りやすいでしょうし)」

「(人の気も知らないで……)オレは佐藤とテストの点数が少ししか変わらないんだ、教えるも何もないだろ。こっちが教わりたいくらいだ」

「(言質は取ったわよ)そう、分かったわ。私があなた達にしっかり勉強を教えてあげるわ」

 

 今回は堀北さんの方が上手だったな。

 そんな様子を見ながら何に取り組もうかと顎に手を添える。

 正直、今回の期末テストの範囲で勉強することも覚えることもさほど大してない。

 だが勉強しなければ悪目立ちしてしまうしな。

 

「斉木くん、何からするか悩んでるの?」

 

 少しすると一之瀬さんが隣から声をかけてくる。

 

(斉木くん特に苦手な科目はないって言ってたし、多分テストの点数も意図的に下げてたりするのかな?)

 

 船上試験で優待者の法則を見抜いてしまったからか、一之瀬さんには僕が意図的にテストの点数を落としていることがバレかけている。

 謎解きの閃きとテストの点数は直結こそしないが、ある程度の地頭がないと導けないことも事実だ。

 

「とりあえず今日の復習をするのはどう?」

 

 とりあえず頷いておく。

 

「だったら数学をやってみようか。Aクラスも基礎的な計算問題は出してくるだろうし、やっといて損はないと思うから」

 

 そう言って一之瀬さんはいくつか問題を抜粋してくる。

 どれも確かに基礎的な内容が多く、初歩的なミスさえ犯さなければ間違いなく正解できる問題だった。

 静かな図書室でシャーペンの走る音の中に紛れた一之瀬さんの小声は他のメンバーにも届いたようで三者三様の反応を示す。

 

(帆波ちゃん上手くやれてるみたいだね)

(斉木のやつ、一之瀬さんにおんぶにだっこかよ)

(あんなんでも足が速いだけでモテるからいいよなぁ)

(斉木くんと帆波ちゃん距離近……近くない?)

(斉木ってああいうのがタイプなのかな。……髪、伸ばしてみる? いや、それじゃああいつのこと意識してるみたいだし、やめとこ)

 

 網倉さんやBクラスの連中は微笑ましげに僕たちを見ており、池や山内といったモテる男子というのが気に入らないやつは嫉妬の眼差しを向け、バーサク白波さんは興奮気味に誰かに問いかけていた。

 櫛田さんはというと何故か毛先を気にしていたが、僕は周囲の視線を気にすることなく、一之瀬さんの出した問題を解き終える。

 

「わ、全問正解、さすがだね斉木くん(これくらいなら解けちゃうか)」

(斉木くん、帆波ちゃんに褒められてる……ウラヤマシイッ……!)

 

 あまり褒めないでくれ、周りからの目が怖い。

 いちばん怖いのがクラスメイトからの視線なのはどういうことなのだろうか。

 

「応用とかもやってみる?」

 

 それはここでやると面倒くさそうだ。

 僕のことはいいから一之瀬さんは一之瀬さんの勉強をしてくれと伝える。

 

「うん、わかった。ごめんね邪魔して」

『こちらこそ悪いな。気をかけさせて』

「ううん、そんなことないよ。私がお節介だっただけだよ。斉木くんは謝らないで」

 

 そんなやり取りをしているとやはりBクラスの1人を覗いて暖かい視線を送られてしまう。

 

(うん、顔のいい2人が互いに気を遣いあってる姿は目に効くなぁ眼福眼福)

(やっぱりあの2人相性いいよね〜。気遣いのプロだし、なんでもそつなくこなす……どころか斉木くんはめちゃ速だし)

(斉木になら一之瀬さんを任せられる……というかあいつしかいねぇよなぁ)

(無人島の時から思ってたけど斉木って何気にちゃんと周りみてるし、一之瀬さんが不調の時とかリカバリーしてくれそう)

(帆波ちゃんが楽しそうに……好きな人の笑顔は嬉しいけどそれを引き出してるのが自分じゃない時点でなんかヤダ!)

 

 何が眼福だよ。

 こっち見てないで勉強しろよお前ら。

 

 ###

 

 勉強会が無事終わると、ようやく自由な時間がやってくる。

 隣の一之瀬さんの目や目の前では堀北妹の目があったため内職などはできず、ただひたすら問題を解くマシーンになるのは辛かった。

 

「じ、じゃあ、俺らはこの辺で! (なんか今日の桔梗ちゃんピリピリしてたし、堀北は怖えし斉木は羨ましいでもうこんなとこいられねぇよ!)」

 

 脱兎のごとく図書室を飛び出していった池たちに続いて他のDクラスの生徒も図書室から出ていく。

 

「おい待てよ、寛治!」

「みんなー騒いじゃダメだよ(あーうるさ。勉強会が終わった途端これだよ。自分の勉強全然進まなかったし……このままでほんとに堀北に勝てるわけ? あとで斉木にメールか電話しよ)」

 

 僕に八つ当たりを企てている櫛田さんからの連絡拒否をするか悩んでいると、退室時も騒がしいCクラスを見た一之瀬さんは羨ましそうに呟いた。

 

「賑やかだね、ちょっと分けて欲しいくらいだよ」

「悪い方向にね。落ち着きのあるBクラスが羨ましいわ」

 

 ないものねだりではあるが、堀北妹がBクラスを羨む気持ちはわからなくもない。

 今回勉強会に参加していたCクラスの生徒は教師役の堀北妹と実力を隠している綾小路と佐藤さんを除けば集中力も学力も低さが目立つからな。

 

「それじゃさようなら。帆波ちゃんも斉木くんも、堀北さんも、さようなら」

「ええ、さようなら」

 

 櫛田さんが残った女子数人を連れて図書室を出ていく。

 それを見て一之瀬さんが「私達も出よっか」と口にすると堀北さんが待ったをかけた。

 

「ごめんなさい一之瀬さん、少し質問してもいいかしら」

「ん? 何かな?」

「出来ればあなたにだけ聞きたいことなのだけれどダメかしら。数分で終わるわ」

(私だけ? 何の話だろう)

 

 チラリと一之瀬さんは僕たちの方を窺う。

 

「数分なら構わないよ。皆悪いけど廊下で待ってて貰ってもいい?」

「うん、外で適当に話して待ってるね」

 

 メンバーを代表して網倉さんがそう返事すると、Bクラスの生徒たちが図書室を出る。

 僕も乗るしかない、このスモールウェーブにと歩き出すと一之瀬さんにブレザーの袖を掴まれる。

 

「斉木くんもいいかな?」

「……別に構わないけど(兄さんが実力を認めているわけだし)」

「オレは?」

「あなたはいてもいなくても同じ存在だからどちらでも」

(嫌味か? いや、オレが残りやすいようにしてくれた……んだよな。そう思いたい)

 

 こうして男と女が2人ずつ図書室に残った。

 そういえば僕の意思は聞かれてないんだが、残った方がいいのか? 

 

「それで話ってなんだろ?」

「当然の話とあなたは思うかもしれないけど、一之瀬さんは仲間が困っていたら助けるわよね?」

「んん? 困っていたら助けるのは当たり前じゃないかな?」

「そうね、Bクラスが勉強会を開いているのもそのためでしょうし。でも、助ける内容は一口に言っても色々あるわよね。学力向上のため、いじめ問題だったりお金の問題、あるいは友人関係や先生との関係。人は様々なところに悩みの問題を抱えるもの。その全ての事柄に対して、困っている仲間が助けを求めてきたら一之瀬さんは手を差し伸べるのかしら」

「うん、私にできることならするつもりだよ」

 

 即答だったな。

 堀北さんはその答えには驚いておらず、予想通りといった感じだった。

 

「あなたにとって仲間かそうでないかの基準というのは明確にあるのかしら」

「どうだろ、仲間かそうじゃないか……か」

「例えばの話だけれど、Bクラスの生徒であれば誰でも無条件で助けられる? それが普段深く話すことのない生徒であったとしても?」

「向こうが私をどう思っているかは置いておいて、Bクラスである以上は仲間だと思ってるよ。困っていたら必ず助ける」

「愚問だったかしら」

 

 何のための問答なのかは一之瀬さんには分かっていないだろうが、おそらくは櫛田さん絡みか。

 Cクラスはまだ体育祭の参加表を龍園に提供した裏切り者を見つけられていない。

 その有力候補が堀北さんに私怨を持つ櫛田さんなのだろう。

 それからも堀北さんからの質問は続いたが、Bクラスである以上どんな人間でも仲間という結論を下す。

 

「1番初めはAクラスじゃなかったことに落胆したこともあったけど、今では最高のクラスに配属されたと思ってるよ」

「そう……(まあ一之瀬さんには頼りになる相棒もいるわけだし、そう思うのも当然よね)」

 

 僕は別に一之瀬さんの相棒では無いから僕を見るのはやめろ。

 

「2人の話に割って入るのは野暮なんだが、オレからも一つ聞いていいか?」

「うん、いいよ」

「Bクラスの人間は無条件で仲間というのは理解できた。その考えはオレも堀北も何となくわかる。同じ釜の飯を食った人間と仲良くなるのは必然みたいなものだと思うからな。だが、友達と呼べる存在はAやC、Dクラスにだっているんじゃないのか?」

「綾小路くんも堀北さんも私にとっては大切な友達だよ」

「なら、こんなオレたちが困っていたら? おまえに、100万ポイントを貸してくれって泣きついたらなら?」

「正当な理由があるなら私は助けるよ、金額に関係なくできる限りの事はするよ」

 

 一之瀬さんの答えは依然と変わらない。

 個人にできることは限られているが、それでも出来うることはすると彼女は口にしてみせる。

 そこに裏なんてものはない。

 

「なら、私と斉木くんが同じように困っていたらどうするの?」

「……両方助けるってのは禁止かな?」

「それを認めてしまったなら、あなたは両方助けるもの」

「だよね、参ったなぁ」

 

 不条理な2択を突きつけられた一之瀬さんはほんの僅かに答えに間ができる。

 

「多分それは答えがない選択肢だよね。2人の友達が同じ問題に苦しんでいて、同じように助けを求めてきてる。この場でどちらかを助けると言ってもそれは真実であって嘘でもあるよね」

「本当にあなたはすごいわね。私は純粋な善人なんていないと思っていたけど、そうでもないのかもね」

 

 堀北さんは素直な思いを口にするが、一之瀬さんはその言葉を聞いて初めて黙り込んだ。

 彼女の瞳が2人から外れる。

 

「それは……それは、買いかぶりすぎだよ、堀北さん」

「そんなことはないわ、少なくても私が今まで見てきた誰よりもそう思ったもの」

「私はそんな善人なんて言われる人間じゃないよ(それは、きっと、ううん、私じゃなくて……」

 

 図書室の窓際へと足を運ぼうとして、一之瀬さんは何故か僕の方を振り向く。

 そういえばここまで僕は無言だったな。

 少しくらい話しておかないとお前なんでいたんだよと言われかねないな。

 

『全くの打算も、邪な気持ちも、見返りもなく人を助けられる人間はいないんじゃないか? そもそも、仲間を助けるということは、仲間じゃない誰かを助けないことでもあるんだから』

「本物の善人なら誰も彼も救ってみせると? そんな正義の味方みたいなことできるわけが……なるほど、そういうこと……ごめんなさい、善人善人と言いすぎたわね」

「ううん、大丈夫。気にしないで」

 

 誰も彼も全て救える人間なんていない。

 少年ジャンプの主人公でさえ出来ないのだ。

 ヒーローは遅れてやってくる。

 それは事件が起きたり、敵が出てこないとヒーローは動けないからだ。

 図書室での会話はひとまず落ち着き、一之瀬さんは元の柔和な笑顔に戻っていた。

 だが僕は知っている。

 彼女は決して完璧な善人ではないことを。

 彼女が抱える悩みや葛藤も。

 

「じゃあ千尋ちゃん達を待たせてるから」

「ええ、ありがとう。こんなよく分からない話に答えてくれて」

「ううん、それじゃまた明日」

 

 短くも長い問答を終えて僕たちは図書室から出ると網倉さんたちの所へと合流する。

 

「何の話してたの?」

「うーん、悩み相談かな」

「堀北さんでも悩むんだね」

「悩む相談みたいなものかな。私の話なんかで解決の糸口が掴めるなら良いんだけどね」

 

 人間誰しも大なり小なり悩みを抱えている。

 それは一之瀬さんでも堀北さんでも、綾小路や僕ですらも。

 寮に戻ろうとして、階段で(あー堀北のやつ、話ってなんだろ。帰って斉木からもらったプリント解かないといけないんだけど……)と呟いている櫛田さんのテレパシーを聞く。

 これ以上は僕が首を突っ込むべき話ではない。

 今の櫛田さんなら堀北さんに対して感情的にならずに向き合うことができるだろう。

 それが終われば、クラスで目立つためには裏切り者を見つけたという成果と、その裏切り者すら救ってみせる女神のような優しさも必要になるだろう。

 運動と勉強、そしてクラス内の不安要素の解消までしてやれば、彼女のクラスでの立ち位置は揺るぎないものになる。

 そうなればこの協力関係も解消され僕は自由の身になれるだろう。

 

 




この話も書く気はなかったんですけど、一之瀬帆波を知る上では必要な話だった。仕方なかったってやつだ
あと2話と言ったな。
あれは嘘だ。

小橋さんが僕の中でカプ厨なイメージがあるので本編のようになった
そのうち抱けぇーっ!とか言い出すかもしれん
網倉さんは巻き込まれ事故

ペーパーシャッフル編が終わったら俺学校行くよ

隙あらば自分語りですが、最近ドラゴンボールのS.H.Figuarts集めにハマりました
欲しかったスーパーサイヤ人になってすぐの悟空がプレバン限定で泣き叫んでいます
オレはバンダイが許せねぇ

てことでまた次回
明日と明後日は時間あると思うのでどっちかに書いて投稿しようと思います
あばよシャバよ
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