ようこそ超能力者のいる教室へ   作:オールF

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そんな寝惚けた投稿が通用するか!投稿はこうやるんだあああああ!

ってことでまだまだ継続中
ジメジメした季節ですがお身体には気をつけて
ルールを守って楽しく読書!


お話は映画を観たあとで

 15年前の事件の真相が判明し、衝撃的な結末ではあったが映画は終わりを迎えた。

 主人公やその周囲の人々はその事実を受け止めながらも、いつも通り事実を追求し続けるという、少しほろ苦さと前向きさが残るオチであった。

 刑事事件を扱った映画作品としては粗もあるが、リーガルエンターテインメントとして観れば良質な作品だったのではないか。

 それもこれも主題歌にドラマ版と同じ曲が使用され、清涼剤のように機能し事件の後味の悪さを軽減しているのもあるだろう。

 スタッフロールを見ながら、ほぼ空になったポップコーンの残りを頬張り、氷水になってしまったドリンクを流し込む。

 エンディングが終わり、館内の照明がつきはじめると客たちが立ち上がって退室の用意を始める。

 

「終わりましたね」

『ああ』

 

 映画を観ている時もゲルマニウムリングをつけていたため、椎名さんがこの映画に対してどのような感想を抱いているのかは僕にはわからない。

 テレパシー以外の超能力は健在であるため、表情から感想を読み取るというのも難しい。

 とりあえず映画館を出たらゲルマニウムリングを外すと決めて、席から立ち上がると椎名さんも立ち上がる。

 

「すみません映画館を出たら少しだけ待っていて貰ってもいいですか?」

 

 僕もゴミを捨てたり、他にいい映画がないか少し見たかったし問題ないと返答する。

 椎名さんが離れている間にゲルマニウムリングを外すと、(機材トラブルとかクソすぎんだろ)(結末知りたかったー)(どうせ返金してくれるだろ帰ろ帰ろ)(こんなことなら松潤の映画にしとけばよかった)……ふむ、流石に映画館となるとすごい量だな。

 食べ終えて空になったポップコーン入れと飲料カップをスタッフに受け渡して、指輪をコートのポケットに入れて椎名さんが見つけやすいようにと映画館の広告サイネージの前で立っておく。

 ついでに映画の半券で安くなったりするカフェがないか調べてみる。

 

「お待たせしました」

 

 するとすぐに椎名さんは戻ってくる。

 どうやらお化粧室に行っていたようだ。

 

「では、行きましょうか……と言っても行先は決めていませんが、斉木くんはおすすめの喫茶店などはありますか?」

『さっき調べたがこの下に映画の半券を見せたらドリンクが半額になる店があったからそこでいいか?』

「(待っている間に調べてくれたんですね)はい、是非」

 

 千里眼などで見てみたら客入りもそう多くなかったし、昼過ぎのこの時間なら映画終わりの客は昼食のためにフードコートなどに流れるだろう。

 椎名さんは一之瀬さんや櫛田さんに比べれば目立たないが、やはり異性といるところを見られると面倒なやっかみを受ける可能性はある。

 少しでもその確率を減らすために真っ直ぐ帰るべきなのだが、テレパシーが使えるようになった今厄介なことが大量発生していた。

 まずこのケヤキモールに知り合いが多く来ているという点だ。

 

(このまま観れないのだろうか)

(はぁ、こいつとケヤキモール来るとろくなことないんだけど)

 

(ふふっ、まさか楠雄くんが小柄な女性の方が好みだったなんて……ああ、いえ……冷静になったら気にしないだけで好きとは言ってませんね……いけないいけない……)

(こいつさっきから全然動く気配がないんだけど……まあ機嫌いいみたいだからほっとくか)

 

(政治学の本で新しいものが出てないか見に来たが、まさか冬休み初日でここまで人が多いとは)

 

 映画館だけでも綾小路と伊吹さん、1階には坂柳さんと神室さんに少し離れたところには神崎が本屋に向かっているのも聞こえた。

 ほかのフロアにはBクラスの生徒もチラホラおり、さらにこの前僕と連絡先を交換した佐藤さんや面識はあまりないが軽井沢も来ているらしい。

 大体のことはこの施設で完結するし、当然のことではあるが、偶然とはいえ椎名さんと一緒に映画を観ていたことを知られるのは面倒だ。

 とりあえずカフェに入って、感想を言い合い、椎名さんが満足したところで解散して帰る流れに持っていこう。

 

「私はレモンティーで大丈夫です。斉木くんは?」

『ホットココアで』

「かしこまりました(大人しそうなカップルだな。けっ、この時期はカップルが多くて困るぜ)映画の半券がありますので1杯目は半額とさせていただきますね。では」

 

 店員に注文を伝え、去っていくと椎名さんはキョロキョロと店の中を見渡した。

 それにどうかしたのかと視線を送る。

 

「いえ、こういうところはあまり来ないもので」

 

 まあ読書が趣味の椎名さんは家で本を読んでいることが多いだろうし、外に出ても本屋か図書館といった本にまつわる施設か生活用品や食料を買ったりくらいなのだろう。

 

『こういう静かな喫茶店でコーヒーやココア、紅茶などを飲みながら読む本も悪くないぞ』

 

 もっとも僕の場合は店が静かでもほかの客や店員からのテレパシーが聞こえるので休日の子供が集まる公園で読んでいるのと変わらないが。

 ゲルマニウムリングをつけていれば、店内に流れるクラシックミュージックや雨音や風が窓ガラスにぶつかる音、暖房の機械音くらいしか聞こえない。

 ゲルマニウムリングをつけていたら、な。

 

「本屋さんの帰りなどにはいいかもしれないですね」

 

 椎名さんが頷くと頼んでいたココアとレモンティーが運ばれてくる。

 それぞれ礼を伝えてカップに手を伸ばし一口啜る。

 

「温かくて美味しいです」

『ああ』

 

 レモンティーに口をつけてそう伝える椎名さんに相槌を打つ。

 店内は程よく暖房が効いているため、温かい飲み物が骨に染みるということはないが、冬場に飲むホットドリンクが美味しいのは事実だ。

 

「あの、映画の感想なんですけど、斉木くんはいかがでしたか?」

『そうだな』

 

 遠慮がちに聞いてくる椎名さんに僕はカップを置いて答える。

 

『多少粗はあったように思うが映画作品ということで今までの主要メンバー全員が出てくるのは良かったし、大人たちが事件の真相を隠そうとした理由にも納得がいった』

 

 ドラマの映画作品というと、ドラマ版よりもスケールの大きい敵、法廷モノだと代議士や政治家のスキャンダルなどの黒幕を暴くような話が多い印象だが、今回はどちらかと言えば過去の事件を紐解くような展開はドラマとは異なるベクトルへ向かっていたと思う。

 あと、やはり主題歌が変わらず同じ曲だったのは良いと思った。

 そのあたりを椎名さんに伝える。

 

「なるほど、確かに斉木くんが以前勧められた映画も代議士や大使館員のような大物が登場するパターンでしたね。確かに過去の事件の真相を解き明かす、それも既に被疑者が死亡している事件をというのは意外性がありました」

 

 僕の感想に同意を示し頷いてくれる。

 

「けれど、あの事件の真相……村の人たちが隠していた事実というものは予想外で、悲しいものでした。何も知らなかったとはいえ善意からやってしまった行動が人の死を招くなんて……」

『結局はそれを隠蔽した大人たちの責任、という話だったのかもな』

 

 大人たちが事件の真相を知っていながらもそれをひた隠しにした結果、真相に気づいた犯人たちは晴らしたくても晴らせない業を背負うことになってしまった。

 何よりやるせないのが事件の真相を解き明かそうとしていた協力者が自分が犯人の1人だと気付かずに協力してしまっていたことだろう。

 

「お話自体は面白くて、とても良かったのですが後味の悪さは拭えませんね」

『しかし当時の判決を下した裁判長が辞任したり、かつての敵が間違った道に進まないように声明を出してくれたりと、見どころはあったと思う』

「それはそうですね。男の子の言う、かつての敵が味方になるという展開が熱いという気持ちはわかる気がしました。あと、出てこなくなった昔の仲間が再び出てくるというのも」

 

 先程の沈鬱な声音から少し上向いた様子の椎名さんはレモンティーの残りを飲み干す。

 僕も椎名さんの感想を聞いて思いついたところはどんどん話していく。

 次第に話は映画の話から最近読んだ本の話や観たドラマの話へと移っていき会話は途切れることなく続いて、カップが空になっても続いていく。

 

「あ、もうこんな時間、ですね」

 

 ある程度話を終えたところで椎名さんが店内に掛けられた時計を見てそう口にする。

 なんだかんだで映画で2時間ほど、カフェで1時間話してしまい、時計は15時を回っていた。

 

「すみません、話しすぎましたね……」

『いや僕の方こそつい話し込んでしまった』

 

 とは言いつつも、ケヤキモール内にいる知り合いの人数は減りつつあったのでちょうどいい。

 昼食時を過ぎて、大抵の人間は僕らのようにカフェに入っておやつタイムと洒落こんでいるか、寮に帰宅して健全な時間を過ごしているようだ。

 

「私はこの後本屋さんに寄って帰りますが斉木くんはどうされますか?」

 

 僕は特に見たり買いたい本はないしこのまま帰らせてもらうか。

 そう伝えると椎名さんは「分かりました」と言って伝票を手に取る。

 

「ここは私が払いますね。ポップコーンとジュースのお礼をさせてください(映画の半券で半額になっているので私の方が払う額は安いかもしれませんが、何もしないよりはマシです。このまま斉木くんばかりに貰いっぱなしというのも気が引けますし)」

 

 櫛田さんもそうだったが別に気にしなくていいんだがな。

 まあそれで本人たちが満足するなら構わないかと任せてはいるが。

 会計を終えて店を出ると、椎名さんは本屋に向かうため北の方へと歩いていく。

 僕も椎名さんと別れたら真っ直ぐ帰ろうと思っていると、椎名さんがこちらを振り返った。

 まだ何か気になることがあるのだろうか。

 

「今日は楽しかったです。また年明けに学校でお会いしましょうね」

 

 別れを惜しむ素振りもなく、椎名さんは軽く手を振って本屋の方へ歩いて行った。

 僕はその背中が見えなくなると、エスカレーターの方へと向かっていく。

 テレパシーで声を拾いながら知り合いとの遭遇を避けつつケヤキモールから出て、寮へと戻る。

 部屋に着いた時には16時になっており、久しぶりに疲れたなと着ていたコートをハンガーにかける。

 一旦実家に戻ろうかと悩んで、映画を観たあとだからドラマの方を見返したくなってテレビをつける。

 冬休みの始まりとしては悪くないいい一日だったと言えるが、ゲルマニウムリングをつけていると予想外の遭遇に対処しづらいということがよくわかった。

 これを教訓に次からは……と考えていたところで電話が鳴った。

 珍しいなと思いつつ携帯を手に取り、電話をかけてきた人物を見てこれまた珍しいと電話に出る。

 

「もしもし、オレだ」

『そこは綾小路だ、か清隆だと言うべきじゃないのか?』

「む(まあ確かにそうか。電話を鳴らしてきた相手がオレ本人とは限らないこともあるか)」

 

 まあこの学校でなら携帯の持ち主である当人以外が携帯を使うことは稀であるため、わざわざ名乗る必要もないが。

 

「綾小路清隆だ……斉木の携帯で間違いないよな?」

『間違いないな、それでどうしたんだ?』

「折り入って相談と頼みがある」

 

 ふむ、これまた珍しいな。

 綾小路から頼み事というのは。

 ホワイトルームとやらで処世術やコミュニケーション技術などを学んでおり、彼の学校生活を見ている限りでは自身の周りで起きたトラブルには適切に対処しているように思う。

 

『相談は聞いてやるだけならいいが、頼みごとは内容次第だな』

「内容を聞いてもらってから判断してほしい」

『分かった』

 

 僕が頷くと綾小路はまずは相談の方から始めた。

 

「実は25日に佐藤……この前斉木に紹介した女子と出かけることになったんだが、女子が喜びそうなデートコースなどに心当たりはないか?」

『は?』

「ん? (よく聞こえなかったのか?)いや、実は佐藤と明後日に」

『いや内容は聞こえていた。そのデートコースとやらの心当たりは全くないが、どうして僕に聞いてきた?』

 

 言っておくが僕は生まれてこの方女性を誘ってデートというものをしたことが無いぞ。

 

「この前の日曜日に櫛田とデートしてきたんじゃないのか? (一之瀬や坂柳もいたと聞いたが)」

 

 そういえば噂になっているんだったな。

 しかし、一之瀬さんや坂柳さんが後から合流したのを知っている風だが、櫛田さんが話したのか? 

 

『櫛田さんから聞いているんじゃないのか?』

「ああ、一応は(噂を聞いた池や山内、佐藤、篠原辺りに質問攻めにあって、少し世話になったからそのお礼に誘ったと言っていたが、本当のところがわからないから聞いておきたかったんだが、そう簡単にはいかないか)」

 

 ふむ、体育祭やペーパーシャッフルでのことは話さなかったのか。

 それくらいなら僕に特に被害は無さそうだな。

 池や山内は体育祭以降、僕に嫉妬の目などは向けてくるが絡んでこないし、他の女子生徒とも関わりがない。

 ある程度は櫛田さんなりに配慮してくれたんだろう。

 

『そうか。櫛田さんから聞いているだろうが誘ってきたのは彼女からで僕はただホイホイついて行っただけだ』

「(まあスイーツビュッフェならホイホイついて行きそうだな……)そうか。何のお礼かは知らないが良かったな」

『ああ良かった。いいことはしておくものだな』

 

 ただ坂柳さんや一之瀬さんの乱入のせいで予期せぬことになっているが。

 バゼルギウスといる時にラージャンとイビルジョーが来たら騒ぎにもなるか。

 この例えはかなり失礼だなと思いつつも、綾小路の相談の対処にあたる。

 

『クラスメイトなら佐藤さんの趣味嗜好を知っている知り合いに聞けばいいんじゃないのか?』

 

 それこそ綾小路には軽井沢さんという佐藤さんと同系統の女子の知り合いがいるのだし、そちらに聞く方が確実性が有るだろう。

 

「オレもそう思って今朝佐藤の好みとかを知ってそうな女子にメールしておいたんだが返事がないんだ」

『他にいないのか他に』

「……佐藤と出かけることを知られたくない。冬休み明けに質問攻めにあうのは嫌だ(と、櫛田を見てて思ってしまったんだ)」

 

 なるほどな。

 

『櫛田さんなら佐藤さんのことも詳しいんじゃないのか?』

 

 人気者になるため学年中の人間と交流を持っている女子だからな、同性かつクラスも同じならかなりの情報を把握しているだろう。

 実際僕は聞いていないはずなのに櫛田さんの頭の中には色んな人の秘密や悩み事が蓄えられていて、体育祭の練習や期末テストでの勉強の際にそれを度々テレパシーで聞かされて、勝手に共犯仲間にされている気分……いや僕も結構彼女を巻き込んでるな。

 無人島試験でAクラスから教えてもらったリーダー情報を教えてくれたのは櫛田さんということにしてくれと頼んでいるし。

 

「頼み事というのはそれなんだ」

『まさかとは思うが僕に櫛田さんに佐藤さんの趣味嗜好を聞けと』

「話が早いな」

『切るぞ』

「プレミアムコーヒーゼリー3個セットでどうだ」

『やるだけやってみよう』

「(ちょろいな……用意しておいてなんだがこんなことで引き受けてくれるなんて心配になるぞ)助かる。明日の夜、いや夕方までに連絡をくれると嬉しい」

『善処しよう。コーヒーゼリーは25日か26日に受け取りに行く』

「わかった(情報の善し悪しに関わらず頼んだ以上はある程度やってくれるだろうし、オレが持っていても持て余すからな)」

 

 詳細はメールすると、軽井沢さんに送った内容と同じのを転送するとテレパシーで漏らしていた綾小路は早々に通話を切った。

 ホワイトルームではデートの仕方やお出かけスポットについて教えられなかったのかと思いながら、携帯を置く。

 綾小路からのメールを待ち、内容を確認してから櫛田さんに連絡を取ることにするため、僕は一旦実家に戻るのだった。

 




綾小路(やっぱり櫛田に協力しているのは斉木で間違いないが……なんでそんなことしてるんだ……?アイツも脅されているのか……?)

櫛田のターンが多くなってしまっているが俺は櫛田推しじゃないよ
好きではある
話の都合上仕方ないんだ……時代や環境のせいなんだ……

ちなみに楠雄とひよりが観たのは99.9%というドラマの劇場版です
タイトルは主演俳優と同じグループにいる人の主演作からつけました

本当はやりたい話がひとつあるんだけど綾小路のデートの相談終わったら、それせずに8巻にいきそうです
早く2年生編に行っておきたい

ではまた次回
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