ようこそ超能力者のいる教室へ -1年生編-   作:オールF

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連続執筆継続。
私の好きな言葉です。

投稿遅延。
私の苦手な言葉です。

ということで申し訳ないが金曜日の更新がない代わりに木曜日更新させていただきます
特に何も進んでないけど……!


Ψ疑心再び?堀北鈴音の詰問

 冬休みだけでなく、ほぼ全ての日に生徒たちが世話になるケヤキモールの飲食店はどこもかしこも混雑していた。

 それは堀北さんが指定したこの店も例外ではなかった。

 予約をしていなければ入れなかっただろうという予想が容易いほどに店内は8割以上が女性客で埋まっており、僕たちは予約用で空けられていた壁際の席に通される。

 壁際の席に堀北さんが腰掛けると、もう1席はどうするのかと櫛田さんに視線を送る。

 

「帆波ちゃんどうする? ソファの方がいいなら譲るよ?」

「え、いいよそんな。桔梗ちゃんが座ってくれて」

 

 どちらも座らないというのなら僕が座らせてもらうかと堀北さんの隣に腰掛ける前にコートを脱ぐ。

 

『掛けようか?』

「ええ、お願いするわ」

 

 ついでに堀北さんの上着も受け取って壁にあるハンガーにかけてやっていると、背中に視線を感じた。

 

(ああいうのサラッとできるのにホントにモテなかったの……? 信じられない……絶対嘘でしょ)

 

 櫛田さんからジトっとした目つきを送られながらも、彼女もまた着ていたコートを脱いで椅子にかける。

 僕には筋肉繊維しか見えていないが、コートを脱いだ櫛田さんの服に興味を惹かれたのか一之瀬さんが口を開く。

 

「わっ、桔梗ちゃんの服可愛いね。むむっ? というか、なんかウエスト細くなってない?」

 

 瞬きして透視を1度リセットすると、櫛田さんは膝上まで丈のある肩出しニットの下に短めのデニムショートにタイツを合わせた服装だった。

 

「そ、そんなことないよ〜? あ、でもウエストは体育祭の時に少し痩せたかもね(堀北以外にも人がいるって知ってたらこんな服着てこなかったけど、大丈夫かな? 斉木に痴女みたいとか思われてない……?)」

 

 別に普通なんじゃないか? 

 店内は暖かいし、人の服装にとやかく言う気もなければ、見えるのはほんの一瞬だから興味もない。

 堀北さんの方の服装を見ると、カッターシャツにネクタイ、その上にカーディガンと彼女らしい落ち着いた服装をしている。

 一之瀬さんはベージュのフリースに白いニット、黒いスカートと以前の休みに会った時とはまた別の格好をしていた。

 3人の服装から視線を落とし、メニューを開いて何を食べるか考えようとしていると、隣に座っている堀北さんが口を開いた。

 

「体育祭ね、そういえば斉木くん随分と足が速いみたいだけど、何かスポーツなどはやっていたのかしら?」

『ベイブレードだな』

「べ、ベイブレード? (知らないスポーツだわ、なんなのかしら……)ごめんなさい、どういったスポーツなのかしら?」

 

 メニューを見ながら適当に答えると当惑の念が流れ込んできた。

 すかさず櫛田さんがフォローに入る。

 

「ベイブレードって確か駒遊びだったよね? スポーツかは分からないけど、大会とかもあるらしいよ(いくら堀北がその手の知識無さそうだからって揶揄うなよ)」

「駒遊び? そんなので足が速くなるの?」

「ええっと……(メニュー見てないでちゃんと答えてやれよ、ってかちゃっかりデザートのページから見てるし)」

 

 ただの駒遊びじゃないぞ、ベイブレードは単なる遊びの道具じゃない。

 その力を使えばビルを破壊することだってできる。

 なんて説明も通じそうがないし、流石にフォローのしようがなくなったのか櫛田さんが僕の方に視線を寄越してくる。

 

『すまない軽い冗談だ。僕の足が速い理由か? 速いから速いとしか言えないな』

「な……っ! (まさか特に努力をしていないというの? でも、兄さんもそこまで走り込みなどをしていた覚えはないわね)」

 

 身体能力なんてそんなものだろう。

 ただ、堀北元会長の方は相当努力したみたいだがな。

 妹にはその姿を見せなかったのかもしれないが。

 メニュー選びにもどり、無難にパスタランチのミートソースパスタにして、飲み物はコーヒーでいいかと決めて、他の3人が注文を決めるのを待つ。

 すると、堀北さんは早々にメニューを決めると再び僕に質問を投げてきた。

 

「数学のテストで坂柳さんに勝ったという噂を聞いたけれど本当なの?」

『ああ』

(これには素直に頷くのね)

 

 はいかいいえで済むクローズドクエスチョンなら答えてやれるが、具体的な答えが必要なオープンクエスチョンは難しいのだ。

 大抵の答えが僕が超能力者だからで終わってしまいそうだからな。

 矢継ぎ早に質問をしてくる堀北さんに、一之瀬さんがからかうように言った。

 

「堀北さん、斉木くんに興味津々なんだね」

「まぁ……そうね(兄さんに認められるほどだもの。少しでも兄さんに近づくため……いえ、足の速さは兄さん以上だった。興味がないかと聞かれたらあると答えるに決まっているわ)」

「え」

「へー……」

 

 おい心の声をちゃんと口にしてくれ。

 言葉足らずな部分があるから変に警戒させたり敵を作ったりするんだぞ。

 高育の橘朔也やアスラン・ザラとは言われたくないだろう。

 

『君の兄とは何も無いぞ』

「嘘言わないで。兄さんは明らかに体育祭以前からあなたのことを知ってる物言いだったわ。それに夏休みの時だって、兄さんに見せたらとか言ってたじゃない」

 

 言ったが、それは体育祭の時にチャラになったんじゃないのか? 

 そもそもの話、腕に水筒事件のことは言ってしまっていいのか? 

 一応、大丈夫なのか小声で問いかける。

 

『夏休みの話とやらはして大丈夫なのか?』

「しないで。引き裂くわよ。肉を」

 

 どこの肉だよ。

 喉とかじゃないのか? 

 カトラリーも来てないのに何で僕を引き裂く気なのかは置いておいて、堀北さんの気を逸らすことには成功したな。

 

(斉木と堀北ってプール以外で夏休みに会ってたの? プールの時2人きりで話してるのとか見なかったし)

(もしかして1学期の中間テストの過去問をくれたのって堀北元会長……?)

 

 まあ他の2人が新たに疑問を持ち始めたみたいだが、それより早く注文を決めることをおすすめする。

 

『そんなことより一之瀬さんたちは注文は決まったのか?』

「え? あ、ごめん、えっとねー……(ランチセットのグラタンかパスタか……うーん、悩むなぁ……)」

「私は決まったよ(面倒だから斉木と同じのにしよ)」

「ええっ!? えと、えと……っ」

「そんなに慌てなくていいわよ一之瀬さん」

「えと、じゃあはい! これに決めた!」

 

 そう言って指さしたのは僕と同じパスタランチセットで、選べるパスタとパン、サラダ、日替わりスープがつくセットだ。

 

『パスタはどれにするんだ?』

「うーんと(1回家に帰るしペペロンチーノでもいいけど、一応ミートソースにしとこうかな)、ミートソースで」

 

 僕と同じか。

 全員の注文が決まり、堀北さんが机のベルを鳴らし、店員にそれぞれ注文をする。

 ちなみに堀北さんはカルボナーラを選んでいた。

 頼んだメニューが来るまでの間、どうしても時間が空く。

 その間に一之瀬さんが堀北さんに尋ねた。

 

「そういえば、どうして堀北さんは私と桔梗ちゃんをご飯に誘ってくれたの?」

 

 確かにそれは気になるなと2人に目線を向けてみる。

 

「別に理由なんて大したことないわ。私なりに親しくなりたいと思った人を誘っただけよ」

 

 堀北さんは彼女なりのやり方で櫛田さんとの距離を埋めようとしているのか、と解釈した。

 

(堀北だけなら遠慮なく言いたい放題にできるけど、公共の場だし帆波ちゃんと斉木がいたらそうも出来ないし、上手く誘われたな。けど、それだけ私に興味を持ってくれたってことなんだろうけど)

 

 櫛田さんも以前ほど堀北さんへの敵意はないようだ。

 

「そっか、えへへ。嬉しいな」

 

 嘘偽りのない堀北さんの言葉に一之瀬さんも嬉しそうだ。

 先に来た飲み物を飲みながら話をしていると櫛田さんが思い出したかのように呟いた。

 

「そういえば、堀北さん、須藤くんに声掛けられてないの?」

「声? なんの事かしら」

「クリスマスは一緒に過ごしたりしないのかなって」

「するわけないでしょう(一緒に出かけないかと言われたけれど、わざわざこんな人の多い日に、しかも夜に出かける理由なんてないもの)」

「でも須藤くん誘って来なかった?」

「今この場では関係のないことよ」

 

 須藤と堀北さんか。

 考えていることが表に出やすいもの同士、惹かれるものがあるかと思ったが堀北さんにはその気がないらしい。

 

「逆にあなたはどうなの? そこの彼と噂になっているけれど」

「えー? 別になんでもないよ。ね? 斉木くん(噂って言っても坂柳さんのせいで話が大きくなっただけだし。斉木と2人きりなら大した噂もなかったでしょ)」

 

 いや君も結構目立つぞ。

 

「けれど火のないところに煙は立たないと言うわよ」

「教室でも言ったけど、斉木くんには勉強見てもらったからそのお礼しただけだよ」

「そう、自分の勉強もしながら他人の勉強も見れるだなんて随分余裕なのね」

 

 おっと、矛先が僕に向いてきたな。

 というか、今回はそれが目的か。

 

『やってやれない事はない。というか堀北さんも勉強会でやっていたことだろう』

「それはそうだけれど……」

『それに僕は総合得点は低めだぞ。数学しかちゃんと勉強していなかったからな』

 

 そう言ってペアだった一之瀬さんに目配せしてみる。

 

「にゃはは、まあ平均点よりは上だったけど結構危なかったかもね」

 

 そんな一之瀬さんの言葉を聞いて堀北さんはまだ疑念はあるようだが納得の意を示した。

 その後、タイミングよくサラダとスープ、さらにはメインとなるパスタも届いて昼食タイムとなった。

 値段も手頃で味も良く、育ち盛りの高校生にはちょうどいい量ですんなりと食えてしまった。

 2杯目のコーヒーを頼み、3人が食べ終わるのを待っていると一之瀬さんが口を開いた。

 

「そうだ、堀北さんたちのクラスはクリスマスパーティとかしないの?」

「パーティ?」

 

 尋ねられた堀北さんはサラダに向けていたフォークを止めて怪訝な顔で返した。

 

「そ、パーティ。うちは多目的ホールっていうの借りてケーキとかチキン、あとピザも買ってみんなで食べたりプレゼント交換したりする予定なの」

「特にそういう話は出てないけれど……櫛田さんは何か知ってるかしら」

「んーん、特にそういう話は出てないかな。でも、クラス単位じゃなくて仲いい子たちでクリスマスにどこそこ行くとか出かけるよ〜みたいな話は聞いたかな(池くんと篠原とか、長谷部さんと佐倉さんのグループとか、今日じゃないなら綾小路くんと佐藤さんとか)」

 

 さすがクシペディアだな。

 

「Bクラスはいつ頃からする予定なのかしら?」

「夕方からする予定だよ。結構集まり良くて斉木くんと姫野さん以外は来るって連絡が来たよ」

(へぇ……斉木くんと姫野さん以外……姫野さんってツインテールに、髪に青いメッシュ入れてる子だよね? まさかとは思うけど……)

「仲が良くて羨ましいわね(綾小路くんはなんだかんだで来るでしょうけど、高円寺くんは来ないでしょうし、私もそういう集まりは苦手だし気は進まないわね)……って、櫛田さんどうしたの? 誰かにメール?」

「うん、ちょっとね」

 

 ふむ、少し嫌な予感がするなと思った直後携帯が震える。

 脳が震えた方がよかったかもしれないなと思いつつ、こっそりと携帯を見る。

 

【櫛田桔梗:クリスマスパーティ行くって言ってなかったかな? 気のせいかな?】

 

 パーティがあるらしいとは言ったが、行くとは一言も言っていないな。

 詳しくは2話前を参照して欲しい。

 ここで返信すると僕と櫛田さんがやり取りしていると勘繰られるかもしれないので無視してコーヒーを啜っていると堀北さんが訊いてきた。

 

「それで? 斉木くんはBクラスのクリスマスパーティには行かないのかしら」

(よく聞いた堀北)

 

 パーティか。行かないと柴田怒るだろうな。

 行ってちょっと見てすぐ帰ってこよ。

 2秒くらい見て。

 

『生憎とチキンとケーキを買ってしまっていてな』

 

 だが少し顔を出すだけならと続けようとしたところで櫛田さんが反応した。

 

「ケーキ? じゃあ斉木くん、クリスマスは独り寂しくお家パーティなの? (よくよく思い出したらこいつパーティがあるらしいって行くとは一言も言ってなかったな。でも、もしかしたら部屋で誰かとパーティするのかも、それこそ姫野さんとか、この前来た坂柳さんとか)」

 

 するはずがないだろうそんな事を。

 この僕が。

 しかし家族と楽しくパーティとも言えないので、どうしたものかと悩んでいると櫛田さんが「そうだ」と弾んだ声で手を叩く。

 

「私が行ってもいいかな? 斉木くんのクリスマスパーティ。1人よりはいいと思うんだけど?」

「へっ(桔梗ちゃんが斉木くんとパーティ?)」

 

 いや1人ではないし、部屋にはチキンもケーキもないんだがな。

 1人分しかないことと1人でするつもりだから気にしなくていいとサラリと断る。

 

「そっか(ま、こいつのことだから本当に1人っぽいな。ゲームも買ってるし)」

 

 僕にそんな人望があると思っているのかこの子は。

 いや今の僕なら声をかければ誰かしらは来てくれそうだな。

 好感度メーターを応用して人気度メーターなるものを作ってみたが、僕の人気度は今のところ74と体育祭直後の90よりは下がったがまだ高い方だ。

 それでも櫛田さんと一之瀬さんの85よりは全然下だが。

 しかし、そんなことよりもクリスマスパーティに顔を出すかのは話だったな。

 

『パーティには一応顔を出すつもりだが、何時でもいいのか?』

「うん! 斉木くんが来てくれたらみんな盛り上がるよ」

 

 いや盛り上がらないだろ……と胡乱な目線を向けると、その目線は無視された。

 

「斉木くんが来るなら姫野さんも来やすいだろうし、声掛けとくね」

『その辺は任せる』

 

 好きにしてくれと投げやりになって、残り少なくなっていたコーヒーを飲み干す。

 僕がちゃんとパーティに行くとわかって櫛田さんはそれ以上何も言ってこずに黙々と残りのパスタを完食し、堀北さんはしばらく喋っていなかった間に食べ終えて残りのコーヒーを味わっていた。

 一之瀬さんも姫野さんに連絡だけしておき、食事に戻っていた。

 やれやれ、クリスマスパーティか。

 母さんには晩御飯は遅めにと頼んでおかないとな。

 少し顔を出すだけだし、プレゼントは買っておかなくてもいいかと、ふと手元を見た。

 ……いや、さすがにこれらのクソゲーを渡すのは忍びないし、交換会は辞退しよう。

 食べ物も食べないようにして、柴田や神崎たちと少し話したら帰るくらいにしておくか。

 

 




もう少し書こうかと思ったけどだいたい書くべきことは書いた気がするしいいかな。
櫛田さん周りから見たら結構楠雄のこと意識してそうに映って……ないな!多分!いつもの優しいクシダエルだ。

鈴音は納得してないけど綾小路みたいにのらりくらりと躱すタイプとわかったのでそれだけでも良かったと考えてね!

今回はここまで!次は金曜日の日中か土曜日です
さいなら
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