読者の時間歪める権利を俺にくれ
ってことで朝の投稿です
朝の4時よ!ってことで書きました
ガハハ
クリスマスイブが終わると、当然のことではあるがクリスマス本番がやってくる。
僕が会ったこともない男性の生誕を祝う日となり、実家のベッドから身を起こす。
流石に高校生ということもあって枕元にはプレゼントはなかったが、机の上には昨日のクリスマスパーティで交換して巡ってきたプレゼントが置かれていた。
クリスマスイブの夕方、僕は結局Bクラスのクリスマスパーティに参加した。
顔を出すと言った手前、行かない訳にも行かないかと開始時間から15分過ぎた頃にグループチャットに記載されている多目的ホールに足を運んだ。
すると、入口前の壁にプレゼント交換用であろうルームフレグランスの入った紙袋を持ってもたれている姫野さんを見つけた。
『入らないのか?』
「ひゃっ!? って、斉木か……(本当に来たんだ。一之瀬さんからメッセージ来た時は何事かと思ったけど。てか、斉木が行くから行くってなんか斉木が来るから来たみたいで……ってなに私そのまんまなこと言ってるんだろ……)」
僕が尋ねると姫野さんは小さく飛び跳ねながら振り向く。
「斉木も来たんだ……グループチャットに返事してなかったから来ないと思ってた」
『2秒くらい顔を出したら帰るつもりだ、姫野さんは?』
「ふっ(なにそれ、まあ斉木らしいか)私もそんな感じ」
何が面白かったのかは分からないが、尖らせていた唇は綻び、僕が多目的ホールへ入るのに続いて姫野さんもついてくる。
中に入ると視界には丸テーブルの上に飲み物やピザ、長机にはビュッフェ形式でケヤキモールなどで売られている惣菜を綺麗に盛り付け直したものが並んでいた。
Bクラスの生徒達は食事を楽しんでいる者や談笑に花を咲かせている者と様々だった。
そして多目的ホールの一角には、綺麗にデコレーションされたクリスマスツリーが設置されていた。
「わっ、すご……」
部屋の様相を見て姫野さんが素直な感想を口にする。
僕も似たような感想を抱いており、誰が準備したのかは知らないが大したものだと感心してしまう。
入口でそうやって立っていると僕たちに気づいたのかサンタのコスプレをした柴田がやって来た。
「お二人さんようやく来たな待ってたぜ(一之瀬から聞いてたけど本当に来るとは、さすが一之瀬だぜ)」
べ、別に一之瀬さんに呼ばれたから来たんじゃないんだからねと下手なツンデレでも言っておこうかと悩んでいると先に姫野さんが口を開いた。
「まぁせっかくお呼ばれしたし、一応ね……って柴田くんなんでサンタクロース?」
「なんだ? 俺はトナカイの方が似合ってるんじゃないかって?」
「言ってないけど」
姫野さんにそのノリは通用しないぞと目線を送ると、柴田は観念したように肩を下ろした。
「レンタルでこういうのがあったからせっかくだし着てみたんだよ。似合うか?」
「まぁ? (でも確かにトナカイの方が似合いそう)」
「楠雄はどう思う?」
クリスマスパーティといえばサンタやトナカイのコスプレというのが鉄板みたいなところがあるが、知り合いが実際にやっているのを見るのは初めてだな。
そういえば、家の町内会でも親がサンタクロースになって町内の子供たちにプレゼントを配る催しがあると言っていたな。
今年は別の家族がやるらしいが来年辺りに父さんがやるかもと話していたのを思い出しつつ、柴田の肩に手を置く。
「な、なんだよ」
いや別に何も無いんだ。
ただ頑張ってくれと何となく肩に手を置いただけで他意はない。
「てか、柴田くんだけコスプレしてるの?」
「いや他にも何人かしてるぜ」
「そうなんだ(みんなよくやるわ)」
心の中で呆れたように呟いた姫野さんに柴田は「そんなことより」と口を開く。
「さっさと飲み物とか取ってこいよ。プレゼント交換はあと15分後だからよ、それまでに腹になんか入れておいたほうがいいぜ」
柴田に足止めを食らっていたからここにいたんだが。
しかし、顔は見せたしもう帰ってもいいかもしれないな。
「どうする?」
姫野さんに問いかけられて僕はうーんと顎に手を当て考えるフリをする。
正直僕は帰ればチキンとケーキがあるし、ここで食べる必要性もない。
一応、プレゼント交換用にホットアイマスクの詰め合わせは買ってきたが。
「もう帰ろうかな」
僕が答えるよりも早く姫野さんが帰ることを決めてくれて正直ありがたかった。
というわけでこのまま帰ろうとしたのだが柴田に首根っこを掴まれてしまった。
「ちょいちょーい!? 2人とも早くなーい!? 俺じゃなきゃ見逃してたよ!?」
全く何をするんだと思い柴田の方を見ると「え? 俺が悪いかこれ?」と困惑していた。
(なに? もしかして2人でこれからランデブー? マジランデブー?)
なんだ飛んでいってアバンチュールすればいいか?
いや意味合いによっては不純異性交遊になって星之宮先生しか喜ばない結果になるな。
仕方ないからジュース片手に何人かと喋って帰るか。
しかしそうすると姫野さんが1人になるか。
『姫野さんは何か食べるか?』
「うーん、まぁそうだね。家になんにもないし、ちょっと食べて行こうかな……ってこれ参加費とかいらないのかな?」
どうなんだろうな。
柴田に聞こうにも他のグループに絡みに向かったからいないしな。
もしポイントを出せと言われたら払えばいいだろう。
『まあ払えと言われたら払うでいいんじゃないか?』
「ま、そだね。そうしよっか」
ジュースとコップの置かれているテーブルに向かい、それぞれ好みのジュースを入れる。
そして、次に食べ物というところで僕らを見つけた浜口と神崎に声をかけられた。
「来るとは聞いていたが本当に来たんだな」
「こう言ってはなんですが、2人が私服で並んでいるのは珍しいですね」
僕がいることが意外だったのか神崎に続いて浜口も僕を凝視する。
一応は一之瀬さんから来ることは聞いていたのだろうが、実際に僕たち2人が一緒にやってくるとは思っていなかったらしい。
「2人は普通の格好なんだね」
「(あぁ、柴田や網倉たちのことか)俺たちは設営の手伝いをしていたからな」
「はは、危うくトナカイにさせられるところでしたよ」
2人の格好を見た姫野さんが言うと、神崎たちは苦笑しながら頷く。
その時、一之瀬さんの声が響き渡った。
「みんな、遅くなっちゃってごめんね~!」
声がした方を見ると、網倉さんが一之瀬さんの手を引いてやってきた。
その2人はサンタクロースの衣装を着ており、膝上までしかない丈のミニスカートと背中の部分からモコモコが飛び出していたりと、いかにも女の子が着るようのサンタクロースのデザインであった。
「見てみて~! 帆波ちゃんのサンタコス!」
「もう恥ずかしいからやめてよ〜」
テンションの高い網倉さんに対して、一之瀬さんは照れ臭そうな表情を浮かべている。
恐らく網倉さんからの提案を断れず着ることになったのであろうことは容易に想像できた。
(相変わらず大胆だな……見すぎると目に毒だなアレは……)
(女子高生が来ていい服じゃないでしょうあれは……)
会場の男子のほとんどは一之瀬さんのサンタ衣装に視線を釘付けにされていたが、僕は気にせずに2人に問いかけた。
『そういえばこのパーティの参加費はいくらなんだ?」
「……ん? ぁ、あぁ、一応3000ポイントだが」
『こういうのはあとで揉めることになるかもしれないからな、幹事はだれだ?』
「今回は俺がやったが……」
じゃあ神崎に6000ポイント送っておけばいいかと、携帯を操作して送り付ける。
「ん? あ、お前、斉木……」
『悪いが僕らだけタダというのもおかしな話なんでな』
「え? 斉木くん私の分まで払ってくれたの?」
姫野さんの問いかけに頷くと『ダメだったか?』と確認した。
「それは……助かるけど……後で返すよ」
どうせポイントなんて僕にとってはほとんど使い道がないから気にしなくていいが、それはそれで姫野さんが気にするだろう。
頷きを返して、食事に入る前だった姫野さんの紙コップを預かる。
『僕はいいから、姫野さんは適当になにか取ってくるといい』
「わかった、ありがとね」
そう言ってピザやチキン、その他惣菜の並ぶテーブルに向かっていく姫野さんを見届けて神崎たちと少し喋っていた。
その後、僕たちに気を遣ってくれたのか予定よりも少し遅れた25分後に再び戻ってきたピザなどをつまんだ後に、予告されていたプレゼント交換が行われた。
交換は全員が輪になって音楽に合わせて右へと回していき、音楽が止んだ時に持っていたプレゼントを受け取るという形だった。
僕が受け取ったのは小橋さんが選んだ入浴剤セットで、この手のものは泡が出るものは使ったことがあるが液体タイプなどは初めてでバニラの香りや色々と種類があり、なかなかに悪くないものだった。
僕の選んだホットアイマスクの詰め合わせは白波さんに渡ったらしい。
彼女の安眠に繋がればいいが。
『僕はそろそろ帰る』
「あ、じゃあ私も」
余興にも参加してやったし、時間的にもちょうどいい頃合いだろうと、神崎たちに伝えて帰ろうとすると姫野さんもタイミングを同じくしたようだ。
すると神崎と浜口が頷いて一之瀬さんに近寄っていく。
「一之瀬、ちょっといいか」
「ん、なぁに?」
一之瀬さんは網倉さんと共にケーキを食べていたところを声をかけると、姫野さんと僕を手で示した。
「あの2人、そろそろ帰るそうだ」
「え、そうなの?」
僕と姫野さんが頷くと一之瀬さんがうーんと顎に指を添える。
「わかった。ありがとね、2人とも来てくれて(おかげでみんなでパーティできたし、いい思い出に……)あ、そうだ! 最後に写真だけ撮らない?」
写真か。
まあそれくらいなら構わないが。
姫野さんも同じらしく、小さく頷く。
「わかった」
「よし、じゃあみんな集まってー!」
一之瀬さんの声掛けでBクラスの生徒たちが一ヶ所に集まり始める。
そこに一之瀬さんと共に僕たちも加わり、網倉さんが端末を取り出して机の上に立てるとセルフタイマーをしてこちらに走ってくる。
「じゃあ撮るよー! ハイ、チーズ♪」
網倉さんのかけ声とともにシャッターが切られ、その後追加で3枚ほどポーズや掛け声を変えて撮影された。
その後、網倉さんが写真をメッセージアプリでグループ全体に送信してきたため、僕も受信して確認をする。
そこにはサンタやトナカイなどのコスプレをした生徒を含め、各々が楽しそうな笑みを浮かべていた。
姫野さんも同様に写真を見ており、どこか満足そうな表情を浮かべていた。
写真を撮り終えて再び散り散りになった会場内で一之瀬さんが声をかけてくる。
「じゃあ、今日はホントありがとね。メリークリスマスっ!」
「……こっちこそ呼んでくれてありがと……メリークリスマス……」
姫野さんが少しばかりぎこちなく言うのを見て一之瀬さんが笑みを深める。
『メリークリスマス。邪魔したな』
「ううん、じゃまたね」
僕と姫野さんは一之瀬さんに別れを告げ、そのままBクラスの生徒たちにも手短に挨拶して多目的ホールを出た。
「思ってたより長居しちゃったね」
出て少しすると姫野さんからそう口にする。
確かに2秒くらい見て帰るつもりが2時間もいてしまったな。
恐らく実家のチキンはもう冷めちゃっているだろうなと思いつつ、寮を目指して歩く。
「そういえばさ、ひとつ聞いていい?」
なんだろうかと姫野さんに顔を向けると、こちらを向いた彼女の鼻先は赤くなっていた。
「斉木ってまだモテてるの?」
『いや嬉しいことに体育祭特需は終わったな』
(嬉しいんだ……)
知らない人から向けられる好意は僕にとって負担でしかないからか。
まあ知っている人からの好意も、僕には応えることが出来ないから負担ではあるが、まだ多少はマシだったりする。
『で、なぜそんなことを?』
話を戻そうと問い返すと、姫野さんは数拍おいて口を開く。
「……だって、モテる男の子が私と一緒に歩いてるって……また斉木、誤解されるでしょ(現に櫛田さんとか一之瀬さんとかと噂になってるし)」
そんなことか。
クリスマスイブの夜に男女2人で歩いているだけでそんなふうに思う高校生はそれほど多くないだろうし、仮に思われても毅然とした態度で否定しておけば問題ない。
「でも私じゃなくてもさ、関係が誤解されるとモテなくなるんじゃないの?」
『僕はモテたくないからその方が助かるな』
悪い評判とやらは火消しすればどうにでもなるが、モテるというのは少なからず面倒だ。
「ま、そっか。そうだよね」
姫野さんの理解が得られたところで寮にたどり着き、エレベーターに乗り込む。
そして男子階の方が先のため、僕は自分の部屋のある階で降りた。
「それじゃあ、改めてメリークリスマス」
『ああ、メリークリスマス』
返事を返すと姫野さんは小さく手を振ってくる。
「またね」
『あぁ、また学校で』
会う約束などは無いため、この挨拶が適切だろうと答えた後、自分も手を挙げて部屋へと入った。
その後、テレポートで実家に戻り温め直してもらったチキンを食べ、ケーキも食べて風呂などに入り僕は1日を終えた。
朝ごはんを済ませてから寮の方へと戻ると携帯には、集合写真以外にも何枚か撮っていたのかグループチャットに写真がいくつか貼られていた。
そして、それらを確認すると一之瀬さんから今日のことでもメッセージが来ていた。
【一之瀬帆波:おはよう! 昨日は楽しんでくれたかな? 昨日の今日で申し訳ないけど今日もまたよろしくね!】
このメッセージの後に時間や待ち合わせ場所が書かれており、昼前にケヤキモールに行けばいいようだ。
南雲のせいでクリスマスも外に出ることになってしまった。
冬休み最初の3日間はほとんど全滅状態だが、とりあえず僕はこの予定を済ませて残りの冬休みは静かに過ごさせてもらうとするか。
ボツにしましたが姫野さんとのコミュがもっと進んでいたら
「その迷惑なお誘いを避けるのに私のこと使う?ほら、彼女いるから無理的な感じでさ……」的な提案をさせることも視野に入れていたがいくらクリスマスだからってそんなはみ出す女もそういないかとおもってボツにしました
手頃なクラスメイトに話しかけて帰宅するはずが思いのほか残っていた楠雄
楠雄が参加した余興はモノマネで、ローと武田一鉄、ガンマ1号のモノマネをしてくれたらしい
せっかくだからな、とのこと
次回でクリスマス本番して、その後に堀北元会長と遊んだら7.5巻終わりになると思われる
投稿再開してから2ヶ月くらいで7.5巻まで進めたの我ながらイカれてるなと思いつつ、早く2年生編に入りたい
ではまた次回