ボウリングのルールを知らなかったことを気に病むことはない。
ただ認めて次の糧にすればいい。それが大人の特権だ。
てことでランキング一位になりましたので投稿させて頂きます。
評価、お気に入りしてくれた方、感想くれた方、見ている方々、これからもよろしくです。
しばしの休憩を挟み、僕と南雲の戦いを再開した。
3本目の現副会長である桐山の提案で、運要素があまり絡まないというエアホッケーをすることになった。
これで僕が勝てば、ボウリング、クレーンゲームでの2勝と合わせて3勝となる。
そのため、僕はこのゲームで勝てば南雲からのやっかみから逃れることができ、更には一之瀬さんも南雲からの執拗な勧誘から逃れられる。
一石二鳥というわけだ。
(休憩中にエナドリを飲んで、トイレも済ませてきた。エアホッケーなら運なんて関係ねぇ、実力で黙らせてやるぜ)
南雲の方は休憩を挟んだことでメンタルがリセットされたのか、会った時の獰猛な眼差しと自信に満ちた声に戻っていた。
エアホッケーはマレットと呼ばれる器具を用いて盤上でプラスチックの円盤のパックを打ち合い、相手ゴールに入れて得点を競うゲームだ。
起きよエアとワンゲーム分のポイントを南雲が支払う。
「先攻はもらうぜ(初撃で決めてやる。最初からクライマックスってやつだ)」
まあポイントは出してもらったしな、200ポイントだが。
時間制限は5分。
それまでに得点の多かった方が勝ちとなる。
シンプルで分かりやすいゲームだな。
南雲の方にパックが出てくると、南雲はそれを力いっぱいマレットを使って僕の陣地に向けて放った。
「らぁっ!」
生徒会に入る前はサッカー部にいて今も時折顔を出しているらしく、堀北元会長を超える為に努力していることは彼の筋肉繊維の密度などから見ても明らかだった。
おそらくはこの学校の中でも上澄みの実力者なのだろうが、綾小路や堀北元会長、高円寺とやらにはまだ少し劣るかもしれないな。
その3人に劣るということは制御装置をつけている僕にも届いていないということだ。
放たれたエアをとりあえずそのまま返しておく。
「かぁっ!?」
1点目は僕がいただくことになった。
ストレートに来る分には軌道の予測や、上から叩いて止めるということをしなくていい分、力の調整が楽でいい。
エアホッケーでは得点を取られた方が次のサーブ権を得るため、また南雲がパックを用意する。
「雅、先制されてるじゃん(てか斉木くん打ち返すの早)」
「……最初くらいはな(俺が反応できなかった? 馬鹿な、たまたまだろ……)っ!」
朝比奈さんからの茶々を交わしつつ、今度は角度を付けて打ってきた。
おそらくは直線的に来た時よりも角度を付ける方が打ち返す方の難易度が高いと考えてのことだろう。
パックがジグザグに動き回るところを見れば、確かに普通の奴なら混乱してしまうだろうな。
ただ、それもあくまで普通ならの話だ。
「あぁっ!?」
学年を掌握した現役生徒会長ってこんな情けない声を出すんだなと思いながら2点目を取る。
いかんな、今の僕の精神テンションは幼少期に戻っている。
幼稚園の王に君臨し、僕に勝負を挑んできた兄をボコボコにしていた当時にだ。
冷酷、残忍、その僕が南雲を倒す。
(ちっ、これもダメ……いや、まだだ、時間はまだある。俺が挑戦者だと? ふざけるなよ……斉木!)
すぐさまパックを回収し、さらに勢いを付けて飛ばしてくる。
1度目のカウンターがたまたまと確認するための一手か、悪くないかもしれないが、僕には悪手だな。
再び簡単に打ち返してやるとパックが南雲陣地ゴールに突き刺さる。
あのパックかなり頑丈なのか、僕の力の調整が上手くいっているのかは分からないが今のところ壊れる気配はないな。
どこのメーカーのものだろうか。
「なっ(また反応できなかった!?)く……っ!」
『今のスマッシュ、まさか全力か?』
「ッ!?」
忠告がてら正面突破では僕からポイントは取れないぞと伝えておく。
これで3点目だ。
後ろをちらりと見ると、南雲陣営も一之瀬さんも全員が唖然としていた。
「南雲のやつ手を抜いている……わけじゃないのか?」
「ううん、雅は全力のはずだよ(それよりも斉木くんの反射神経、パワーが上回ってる……)」
日本屈指の進学校である高度育成高等学校の生徒会長が足が速いだけだと思っていた1年生に一方的にやられているところを見ればああもなるか。
一之瀬さんも一度は憧れた元BクラスからAクラスになり、生徒会長にもなった南雲がコテンパンにやられては僕への好感度は下がるだろうとチラリと見てみる。
「(あっ、斉木くんと目が合った)え、えっと、が、がんばれー!」
反応的にはどっちだと思い、
好感度メーターを確認する。
79!? 何故か上がっている!?
その事に僕が驚いていると、南雲は再びパックを手に取り、三度彼の出せる本気でスマッシュを撃ってくる。
「よそ見してんじゃねぇよ!」
それはすまないとすぐさま跳ね返すと4点目が入る。
「あ……? あ……? (あいつ、今見てたか? 後ろにも目がついているのか? いや、そもそもどうやって打った? 構えることなく棒立ちのまま打ったのか? それであのスピードだと?)」
宇宙猫のように惚けた南雲の頭では情報が完結していないらしく、普段澄ました表情を浮かべているのであろう彼らしくない惚け顔になっていた。
『どうした? 無口になったな』
まだ時間はあるが、あちらの手はないようだし、あとは喋って終わらせるかと僕は南雲に問いかけた。
だが、彼からの返事はない。
仕方ないのでまた僕が喋る。
『それにしてもこれじゃちっとも面白くない……もっと本気でやって欲しいな』
「……あ?」
ようやく反応を見せた南雲に僕はマレットを指先で回しながら続けた。
『……それとも本気でやってこのザマだったか? だったら失礼なことを言って悪かった、謝るよ』
少し煽りすぎたか? と思っていたら南雲がニヤッと笑う。
「いいぜ、後悔するなよ……?」
目が覚めたような顔をする南雲。
その瞳の奥底に赤い炎が灯ったような気がするが、まさか僕はコーヒーキャンディにでもされてしまうのだろうか。
「そうだな、確かにお前のいう通り、まだ本気じゃなかった」
そういうと南雲はパックをコートに置き、マレットを構えた。
そして僕に対して睨みを利かせながら宣言する。
「初めてだぜ? 俺をここまでコケにしたバカはよ……(どんな手を使ってでも勝つ。たとえ卑怯者と罵られようとも勝てばいいんだ、勝てば!)」
そうしてマレットとパックが衝突する瞬間に南雲は叫んだ。
「あ! あそこに限定チョコレートパフェが!」
それに対して僕は冷静にスマッシュを返した。
ガァンッ!! という音を立てて南雲の陣地へと帰っていくパックは無防備になったゴールに突き刺さる。
「雅、あんた……」
「あんなのに引っかかる奴がいるわけないだろ」
僕らの戦いを見守っている2人からは呆れた声が聞こえてくる中、僕の味方からは安堵の声が聞こえてくる。
「ほっ(よかった、斉木くん、引っかからなくて……)」
引っかかると思われていたのか僕は。
このフロアにあるのは飲料の自販機とアイスクリームの自販機だけで、スイーツを売っているところはないことは把握済みだ。
「く、くそが……(こんな子供だましじゃ通用しないか……だったら次は……)ん? おい、パックが出てこないぞ」
それも十分子供だましだろ。
脳と脊椎が繋がってないやつくらいしか引っかからないだろそれは。
だが、疑いの目を向け続けていても南雲はパックを打ってこないだろうし、乗ってやるかと今日は一度も出てくるところを見ていないパックの供給口を見る。
「かかったなアホが!」
そうすると南雲が大声で笑うと同時に放たれたパックが僕の陣地へとやってくるが、透視であちらにパックがあることは知っていたし、こうすることは分かっていた。
昔、父親にやられたことがある手だからな。
パアンっとパックを返してやるとそれには反応できた南雲がマレットを引き、僕の返したパックを打ち返そうとする。
「……は?」
しかし、打ち返そうと押した手はパックの威力に負け、南雲の持っていたマレットが宙に舞う。
パックがゴールに入り、僕側の点数が加算されると共に南雲の顔からニヤケ面が消える。
『どうした、笑えよ南雲』
「……ッ!?」
ここまで煽らなくてもいい気はするが、二度と僕と勝負なんてものを挑もうとするなと牽制しておくためにも最後までとことんやってやることにする。
「斉木くん……(そこまで言わなくても……)」
(もうやめて! 雅のライフはもうゼロよとか言った方がいいのかな……)
(南雲の本来の真骨頂はそのカリスマ性と能力、そして人心掌握した学年全体を使った組織的なもの。だけどこの場でそれを発揮出来ない以上は、南雲にはどうしようもないか。だがあいつ個人の実力も相当なものだ。それが一切通用しない相手は堀北先輩以外で初めてだ)
ふむ、ようやく一之瀬さんからの好感度が少し下がったな。
朝比奈さんと桐山の方はどうでもいいが、もう少し南雲を労わってやれよとも思うな。
南雲が呆然と立ち尽くしている間にゲーム終了のブザーが鳴る。
諦めろ、試合終了だと無慈悲に告げる音に南雲は膝を着いた。
頭が高いぞと言う前に頭が低くなってしまったな。
「あ、ありえねぇ……たかがエアホッケーとはいえ、俺が負けるなんて」
『正直驚いたよ』
「あ……? 何にだよ……」
『この程度の実力で僕に勝てると思っていた脳みそに驚いたって言っているんだよ』
(コノヤロウ……!)
たかがエアホッケーなんだからそんなに気にするなよ。
まあ他のゲームをやったところで結果は変えないが。
それに今回は運の絡まない実力勝負という条件を満たしているのだ。
文句は言わせないぞ。
『これで3勝だな』
ボウリングで時間がかかったものの、1時間で終わったため、僕は清々しい気分だ。
1曲くらいなら歌ってやってもいいが、カラオケ勝負をする理由もないしな。
さて面倒事も終わったことだし、どうするかと見下ろしていた南雲から目線を戻すと真横に目を輝かせた朝比奈さんが立っていた。
そして、朝比奈さんは僕の手を握ってきた。
「すごい、すごいよ! ホントに雅に勝っちゃうなんて!」
興奮を抑えられないという風に笑顔で僕の手を握ってくる。
よく分からないが良かったですねと軽く宥めていると、一之瀬さんが僕らの間に入ってくる。
「あの、斉木くん困ってますから……」
別にまだ困ってないが、まあそのうち困るかと思ってゆっくりと手を振りほどくと朝比奈さんはバツの悪そうな顔をする。
「あ、ごめんね。つい興奮しちゃって……(雅ってさ性格はドブカスだけど、実力はあるからさ、だから誰かに懲らしめて欲しいと思ってたから本当によかった)」
別に気にしなくていいと一言入れておき、桐山も未だに信じられないと言った風にこちらを見ていたが、桐山の方を向くと肩をビクッとさせて目を逸らしてしまった。
(南雲には負けて欲しい、誰かに止めて欲しいと思っていたが、それが1年だとはな……あいつが俺と同学年なら何か変わったのかもな……)
仮に僕が南雲たちと同い年だったとしても、僕はこいつになにかされない限りは動かないだろう。
桐山がどんな未来を思い描いていたのかは想像に容易いが、僕と鬼龍院さんが同じクラスに揃ったところで彼がBクラスのままであることに変わりは無いだろう。
僕も彼女もAクラスには興味が無いからな。
最後に僕は項垂れている南雲の方を向くと、拳を握った南雲はこちらを睨んできた。
「……斉木、この借りはいつか必ず返す……と言いたいが、負けは負けだ……一之瀬のことはこれ以上誘わないし、連絡もしない」
本当に納得いかないという風だが、ここで約束を破っては僕だけでなく、周りの奴ら全員から総スカンを食らうことは理解しているのだろう。
「お前のことも狙わない……(だが、俺がお前個人を狙わないだけでクラスや2年を使ってお前を潰すことはあるかもな。来年の1学期が楽しみだ)」
朝比奈さんの想いとは裏腹に南雲はちっとも懲りていないようで、次は必ずと復讐心を燃やしていた。
しかし、まだ先なのに2年生になってからの試験内容がわかってしまった。
しかも学年を跨いだ試験になるようで、新1年生も混ざるのは必定だろう。
なるべく大人しくて、闘争心などとは無縁の後輩たちができると嬉しいが、そうもいかないんだろうな。
とりあえず今日は一之瀬さんへのちょっかいを止めさせることは成功したし、僕だけに火の粉がかかるのなら対処も楽だし、よしとしておこう。
「斉木くん、今日はごめんね! 雅が邪魔しちゃって……でも、ありがとね!」
謝るのならば朝比奈さんではなく、絡んできた南雲だと思うし、お礼を言われる筋合いもないが一応は受け取っておく。
「斉木くんさえ良ければまた今度私と遊んでよ。意外と面白そうだし、またぬいぐるみとか取って貰えたら嬉しいし」
最後が本音のようにも聞こえたが、僕のことを面白そうと思っているのも事実のようだ。
正直気は乗らないし、朝比奈さんと遊ぶ義理もないしな、やんわりと断っておくか。
「あ、スイーツも好きなんだよね? おすすめのクレープとかあるから、また食べに行こうよ」
それは前向きに検討させてもらおうとしようとコクリと頷くと、朝比奈さんは
嬉しそうに微笑んだ。
南雲を連れて桐山と去っていった朝比奈さんを見送り、少し疲れたなと肩を回す。
そういえば、一之瀬さんはどうしたのかと後ろを見る。
(斉木くん、歳上の方が好きなのかな……? いや、今のはクレープに釣られただけ……? でも、南雲会長のパフェには反応してなかったし……)
何やら考えているようなのでそっとしておこうと僕は椅子に座り、少し脱力する。
しかし、初めてボウリングをしたが思っていたより楽しかったな。
また実家でゲームの方をやってみるのもいいかもしれない。
あっちは10本以上倒せるし、僕の超能力は意味を成さないからな。
「はぁ、私もずっと立ってて疲れちゃった。隣いいかな?」
少し休んでから帰っても構わないだろうと一之瀬さんの申し出に頷く。
すると、腰掛けた椅子の後ろで聞き覚えのある声が聞こえた。
「えー? 本当に? (グループチャットに斉木がボウリングでストライク連発してるからって聞いて来たけどいなかったじゃん)」
「本当だって桔梗ちゃん! 斉木が全球ストライク叩き込んでて、あの南雲会長が手も足も出てなかったんだぜ!?」
「いや、手も足もって……南雲会長もスペアとかストライク取ってたじゃん(池のやつ櫛田さんが来てからテンション上げててなんかムカつくな……)」
そういえば、ボウリング場に池と篠原さんという女子がいたなと思っていたが、何故ここにいる。
特に櫛田さんは2人と一緒にいなかったはずだが。
「南雲会長はすごいイメージあるけど、斉木くんがストライク連発ってちょっと信じられないかなぁ(まああいつなら卒なくやるんだろうけど、流石に全球ストライク連発は嘘でしょ。そんなのプロボウルにでもなれって話だし)」
「いやホントなんだって、なぁ篠原!?」
「まあ、最初から見てたけど全部ストライクだったね……(なんか最初のボールは転がってる音しなかったり、斉木くんがボウリングでボール回ししてるのが見えたりしたけど、気の所為、だよね……)」
なんで見てるんだよ。
クリスマスデート中に他所のボウリングを見てるなんて嘆かわしい。
というかなんで櫛田さんはここにいるんだ?
「てか池さぁ、グループチャットで言わなくてもよかったんじゃない? 斉木くんがすごいのなんて結構知れ渡ってることじゃない? 足速いのもそうだし、私たちが知らなかっただけでボウリングも得意だったんでしょ」
「いやけどさぁ、夏休みにあいつとビーチバレーしたんだけど全然そんな感じしなかったんだって!」
(んー、あの時もまあまあイカれたサーブ撃ってたような気がするけど、別に驚きはしないかな、うん)
3人が話に夢中になっている間にさっさと退散するかと一之瀬さんに目を向ける。
(はぁ、今日は凄かったな。斉木くんとご飯食べて、その後南雲会長と勝負することになって……で、斉木くんぜーんぶ勝っちゃうんだもん。途中、南雲会長のことすごく煽ってたけど、あれって賭けをなかったことにさせない為にわざと南雲会長のプライドを刺激したのかな?)
まあだいたいあっているな。
しかし、考えるのは後でもできる。
このままいて池たちに捕捉されてまた何かしらに巻き込まれるのはごめんだからな。
「用事があったからついでに覗いて見たけど残念だな、そんなすごいところ見れなかったなんて」
「マジで凄かったよ。でもなんか南雲会長と勝負してるみたいな話聞こえたし、まだこの辺にいるんじゃないかな?」
もう終わったよ、奴さん負けたよと言うわけもなく、声を出さずにちょんちょんと一之瀬さんの肩を突つく。
「ひゃあっ!? (な、なに!?)」
それに驚いてしまったのか一之瀬さんは飛び上がると、突然の声に池たちがこちらを向く。
「あれ? 一之瀬さん……それに、斉木!」
不味い見つかってしまったと、椅子から立ち上がる。
いや、逃げる必要はないんじゃないか?
一之瀬さんと僕は同じクラスメイト。
それが偶然、たまたま、ケヤキモールでばったり会って、作為的に南雲と会ってしまって勝負することになり、それが終わって少し休んでいたという説明をすれば、事実の分からない3人は納得するしかない。
「あ、帆波ちゃんと斉木くんだー! すっごく偶然! えー? どうしたのー? こんな所でー? (おまえ 今日 ゲームするから家にいるって言ってたよな?)」
なんかすごい圧を感じるし、一之瀬さんの方ではなく、僕に近づいてくるのは何故なんだ。
普通は自分と交流がある方に駆け寄るものだろう。
「私と斉木くんは、えっと、その〜……ケヤキモールでばったりあって、それでね……(斉木くんどう説明すれば……南雲会長に絡まれたなんて言ったら余計な心配かけちゃうよね……)」
どう説明するべきか悩んでいるらしいので、僕が用意しておいたストーリーを読み上げる。
「あ、そうだったんだ。大変だったね(まあ帆波ちゃん体育祭以降モテてるらしいし、南雲会長の目にも留まったって感じか。斉木がケヤキモールにいた理由は分かんないけど、帆波ちゃんに助けを求められたとかかな?)」
すると櫛田さんは不満げながらも一応納得していた。
池と篠原さんも特に不審がる様子もなく、気を遣ってくれる。
「南雲会長、夏休みに取り巻きの女の子いっぱい居たのに一之瀬さんにも惚れてるのな(確かに一之瀬さんも可愛いけど、俺は桔梗ちゃん推しだぜ!)」
「モテる女の子は辛いねー(ってことは斉木くんが一之瀬さんを守ってあげてたわけか。なるほどなるほど……)」
若干篠原さんの方の解釈にズレが出ている気もするが、概ね誤魔化すことに成功したと言っていいだろう。
そういうわけで僕は疲れたからもう帰ると伝えて離脱を図る。
「そうだね、私もちょっと疲れたし今日はカフェとか寄らずに帰ろっか」
賛同してくれた一之瀬さんが言うと、篠原さんの眉がピクりと動いた。
「今日は? (そういえばこの2人ってこの前櫛田さんとスイーツビュッフェにいたって言ってたっけ……)」
坂柳さんもいたが、それがどうかしたのだろうか。
「うん、本当はカフェでおやつ食べて帰ろうって話だったんだけど、南雲会長とあっちゃったからそれが流れてて……」
「ん? 2人って偶然会ったんだよな?」
「あ」
あーあーと僕は思ったが、もう出てしまった言葉は引っ込むことがない。
櫛田さんが何か言いたげにじっとりとした目線を向けてくるが、それから逃れるように顔をそらすも逸らした先には篠原さんがいる。
「もしかして、元々クリスマスデートのつもりだったの?」
「ひぇっ」
図星ですという声を出す一之瀬さんに、どうして君はそんなに分かりやすいんだと怒りたくなったが、責める訳にもいかない。
一旦この場から離れよう。
僕が帰ろうとするのを察したのか、櫛田さんと一之瀬さんが両脇を固めてきた。
「斉木くん? (デートだったの?)」
「斉木くん! (置いてかないで!)」
くっ、南雲に勝ったはずの僕がどうしてこんな目に……!
この後僕は櫛田さん達にちゃんとした事情を説明すると、今度こそ納得してくれたようで「最初からそう言えばいいのに」と何故か僕が怒られる羽目になった。
池と篠原さんたちからやっと解放されたと思えば、櫛田さんだけ着いてきて一之瀬さんを含めた3人でカフェでおやつの時間を過ごすことになったが、流石櫛田さんのリサーチと言わざるを得ない味だった。
クリスマスなんて懲り懲りだと、眉毛の繋がった警官のように叫びたくなる1日になりそうだったが、結果的には良かったことにするとしよう。
桔梗ちゃんケヤキモールにいたのは割とたまたま……というのは嘘で、本当は楠雄にあげるクリスマスプレゼント見に来てた
一応帆波へのちょっかいは阻止できた楠雄
なお、これから南雲に狙われることは確定の模様
上級生全員に襲いかかられたら勝てるないだろ!
今回のことは桐山から堀北元会長にバチコリ連絡いってます
南雲はカラオケに行かずにそのまま帰った模様
そして彼は未来永劫このクリスマスのことを忘れることは無いだろう
クリスマスにボウリング、クレーンゲーム、エアホッケー、じゃんけんをする度に傷が疼くようになってしまい、女の子とのクリスマスデートでは外すようになる(まぁ、エアホッケーとじゃんけんはする可能性低いだろうけど)
朝比奈先輩は斉木に取ってもらったぬいぐるみを大切にしているそう
これも縁。この二次創作を見たな!これでお前とも縁ができた!
綾小路は楠雄(桔梗)から提供された情報を元に佐藤とのデートを上手くやった模様
映画終わりにグループチャットで楠雄がボウリングで全球ストライクしたのを見て「オレもやってみるか」と佐藤平田軽井沢と共にボウリングに興じた
なお1位にはなったがパーフェクトゲームとはならなかった
こんなもんかな
次回で7.5巻分終わりです!
会長とゲームするだけでちょっと短いかもですがよろしくです!
ほな!
オマケ
楠雄に仮に人間の範囲内で本気で遊んで貰えたら
綾小路▶︎思った以上に強すぎて笑いしか出なくなる(感情を取り戻す)
高円寺▶︎良い!イイ!私は君と出会うためにこの学校に入ったのだ!(ボコボコにされるが好感度MAXになる)
坂柳▶︎はぁ、はぁ、さすが楠雄くんです……やっぱりあなたこそが真の天才です……っ!私に勝てるのはあなただけです……っ!(ドM化)
龍園▶︎バカがよくそが勝てるわけねぇだろボケが遊びだから気にすんなじゃねぇよ、ならエロゲだエロゲ。それならお前も得意とか関係ねぇだろ?何で勝負するかって先にヒロインとヤレた方が勝ちだ(割と楽しい)
堀北兄▶︎どうして俺はお前と同じ歳に生まれなかったのか、今この瞬間だけは鈴音のことが心底羨ましい(妹に嫉妬)
鬼龍院▶︎それでこそ私の認めた男だ!私が一勝でもできたら卒業後、私の両親に会ってくれ!(求婚)