少女だったナニカ を 救う聖女の英雄譚……なんてそんな夢物語あるといいね〜   作:おんばん

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ユリナが昔話してあげるね!

 

 

むかーし むかし ある所に 何も知らない2人の女の子が居ました。

 

その子達はいつも仲良し!

どこに行くのも一緒!

 

 

そんな子達

 

 

 

華の高校生生活を楽しみながら2人で沢山のことを体験し たまには喧嘩もして仲直りして

 

それはそれは 親友と呼ばれるのにふさわしい2人が居ました。

 

 

 

そんな2人はある日 いつものように2人で遊んでいると とてつもない眠気に襲われ 2人して気を失ってしまったのです……

 

 

次に目を覚ますと なんと!不思議!

 

全く知らない場所に2人して寝ていたんです!

 

 

2人は大慌てで互いの身を寄せ合い 身を守ろうとしました。

それもそのはず!周りには知らない人達が2人を囲って見ていたからです!

 

 

怖がる2人の前に 一人の偉そうな男が現れこう言いました。

 

 

 

「我々は伝説の聖女様を求め君を呼んだ。そう君は世界を救う聖女様である」

 

 

 

ってね。

 

1人は理解が追いつかず必死に親友から離れないように身を寄せあっていましたが もう1人の少女はある事に気が付きました。

 

男の目が親友の少女しか見ておらず 自分を見ていない事に

 

少女は理解しました 。

本来この世界に呼ばれたのは親友の方なのだと

私は近くに居たからオマケで連れてこられたのだと

 

 

その考えを見通すかのように男が続けて言い放ちました。

 

 

 

「しかしどうやら 別のゴミも着いてきてしまったようだがね」

 

 

「ご…ゴミ…?」

 

 

「あぁ!勿論君のことでは無いよ。君の隣にいる 黒髪の女のことさ」

 

 

 

ここで少女は自分の考えがあっていることに確信を持ちました。

それと同時に恐怖も感じ始め 体が震え始めたのです。

 

 

親友は震える彼女を胸に閉じ込め 男を睨みつけ

彼女を馬鹿にしたことを怒ります。

 

すると 人が変わったかのように男は謝りだし

こう言ったのです。

 

 

 

「ならばその方を安全な所へ 案内させます。なので貴方様は此方に」

 

 

 

なーんて いかにもな言葉に 親友はマンマと騙されてしまったのです。

 

 

どうしてそんなあからさまな言葉を信じたのか?

気になるよね?

 

それは彼女が 神に選ばれた聖女様 だから!

親友さんは いい意味でも悪い意味でもいい子なのです!

 

 

 

そして親友は少女に

 

 

 

「大丈夫!私が守るから」

 

 

 

そう言って男の方へ言ってしまったのでず。

少女は怖がりました。

 

周りの人間が皆 自分の事をおまけ程度にしか思っていないことを理解しているからこそ 彼らが怖かったのです。

 

 

そこヘある女性が現れ 少女に着いてこいと命令し

ある場所へ連れていかれました。

 

 

そこは 汚く 暗く 奴隷達が閉じ込められている場所でした。

 

 

少女は大声で親友の名を呼びましたが 近くに居た兵士に殴られ 服を脱がされ奴隷達の牢屋へ投げ込まれたのです。

 

 

女性は面倒くさそうに奴隷達に言いました。

 

 

 

「その女 殺さなければ何してもいいわよ 妊娠しない魔法もかけてあげたし 好きにしなさい」

 

 

 

と そう言われた途端 周りの奴隷達は皆

少女の方へ群がり 少女の体を掴み 引っ張り

自由に使い始めたのです。

 

勿論 少女は抵抗しながら 必死に親友を呼びました。

 

 

 

助けて ここに居る お願い やめて

 

 

 

沢山 叫んで 仕舞いには神様なんかにも頼んで

 

でも結果は?

 

 

 

 

無駄でした。

 

 

 

抵抗虚しく少女の椿の花が落ちたのです

 

 

 

そこから彼女の地獄が始まりました。

 

ある日は 知らない兵士達の

 

ある日は 暴力の捌け口に

 

 

ある日は……

 

 

 

異世界に来てから 1年がたった時

彼女にはもう 何も残っていませんでした。

 

何せ この世界に来るまでは ただの高校生ですから

耐えられるメンタルなんてありません。

 

 

そしていつも通りの朝 いつか見た女性が彼女の前に現れ こう言いました。

 

 

 

「聖女様はこの国を救ってくれてるわ 彼女には感謝しなくちゃね…あんな存在絶対にこの世界では生まれないし、というか聖女様って 本当に貴方の親友なわけ?あの方が優しかったから 友達の振りしてただけだったりね?」

 

 

 

彼女はその言葉を聞いてハッとしました。

 

その通りです

聖女として成功したのなら 何故助けに来ないのか?

知らなかったとしても 親友の様子を見に来るなんて普通のことです。

なぜ来てくれないのか?

 

 

私を見捨てたのか?

 

親友じゃなかったのか?

 

裏切ったのか?

 

 

彼女の頭には沢山の黒く汚い考えがよぎります。

 

 

女が去りまたいつものように兵士達のストレス発散に付き合わされている時も

奴隷達に遊ばれている時も 彼女の頭の中には親友のことだけが残りました。

 

 

前とは違い…恨み 怒り ですけど。

 

 

 

そして異世界に来てから2年がたった時

彼女は夢の中である人物と出会いました。

 

その人物は 己を魔王様が作りあげた部隊の幹部だと言い 彼女に

復讐の提案を試みましたが 彼女は 警戒を解いている相手に思いっきり噛みつきました。

 

 

夢の中とはいえ痛みを感じるのか 抵抗をされましたが彼女は必死にその人物を噛みちぎり 殴り

できる限り全ての暴力を彼に与えました。

 

 

そのうち彼はピタリとも動かなくなり 彼女は本能的に彼が死んだのだと理解しました。

 

なんと 夢の中で死ねば 現実でも彼は死ぬ存在だったのです。

 

 

しかし彼女は驚きはせず 必死に頭を動かし

これからどうするか という策を考え始めました。

 

そして思いついたのが

 

 

 

 

彼を “食べる“ ことでした。

 

 

 

 

奴隷達は何も毎秒発情してる訳ではなく ボロボロになった彼女を放置してそれぞれで話をする時があったのです。

 

彼らはこう話していました。

 

 

 

高位の魔族を食えば その力を得る代わりに…

 

 

 

彼女はこれを信じたのです。

彼は 自分が魔王に関係する幹部だと紹介してた為 高位魔族である事を確率的に見て高いと判断し

どんな対価が来るのか分からないまま夢の中で彼を食べ始めたのです。

 

 

 

そして完食したと思った時 彼女にとてつもない激痛が訪れ 彼女を苦しめました。

それはもう 死んだ方がマシだと思えるぐらいの痛みです。

 

 

彼女は必死に耐えました。

 

奴隷達を恨みながら

 

兵士を恨みながら

 

神を恨みながら

 

全ての人間を恨みながら

 

 

親友を恨みながら

 

 

必死に

 

 

耐えて 耐えて 耐えて 耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて 耐えて 耐えて 耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて 耐えて 耐えて 耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて

 

 

耐えて

 

 

 

目を開いたのです。

 

 

 

 

目が覚めた彼女は まだ少し残る体の痛みに耐えながらも起き上がることに成功し周りの奴隷達を横目で見てみると 突然立ち上がった彼女に驚いている様子でした。

 

足の裏が生暖かく感じた彼女は視線をしたにずらし 生暖かい物の正体を見ました。

 

それは血液でした。

それも大量の きっと彼女が痛みに耐えている間 リアルの世界でも体に何かが起こっていたのでしょう。

 

 

そこから彼女は…………………

 

 

 

 

もういいや 面倒くさくなってきた

 

 

 

ねぇ ここまでいえばどうなったかわかるでしょ?

 

 

少女だった彼女は どこかのお偉いさん魔族を食べて力を得て奴隷達を皆殺しにしてその場から逃げたのでした〜

 

 

めでたしめでたし

 

 

 

 

あはは!

 

 

ねぇねぇ! お兄さんは少女が生きているなら

何をすると思う?

 

 

ねぇねぇねぇ!!そんな端っこで怯えなくてもいいじゃん〜!

 

 

 

 

「……せ、…せ…聖女様に…親友に…復讐をする…」

 

 

 

そうそう そう思うよね〜!

 

元親友を殺したいと思うのが普通だよね?

 

でも残念 ハズレだよ〜!

 

 

せ・い・か・い は〜

 

 

 

 

『何もかもどうでも良くなった〜!!でしたー!!!』

 

 

 

「ひっ…」

 

 

 

『おかしいよね〜 なんでか知らないけど 聖女様に対する恨みも全人類に対する怒りも奴隷達への怒りも何もかも どうでもよくなっちゃった』

 

 

「…まさか…き…君が…」

 

 

『なんでなんだろうね?ユリナにもわかんない!』

 

 

 

 

でも一つだけ 空っぽな 元少女に残された物があったの、それはとても大切でとても楽しくて

とてもとても 簡単に手に入る物

 

 

 

 

『今はね 唯一残されたソレの為 動いてるの。

だから さっき えーと…君の所の冒険者リーダー…だっけ?が言ってた 聖女暗殺とか帝国崩壊とか どうでもいいんだよねー』

 

 

「あ、ご…ごめな『だけどね』…ぅ…」

 

 

 

『謝ってほしいわけじゃないんだよね〜 冤罪をつけられて迷惑なんて感じてないもん! なんなら感謝してるよ?』

 

 

 

 

元少女だった ナニカ は 唯一残された感情

本当に自分の感情なのかも分からないソレの為

身体を動かした。

 

もしかしたら自分が食べた魔族の思想なのかも

しれないソレの為 彼女は親友も何もかもを捨てたのだ

 

 

何もかもが空っぽになったナニカに残されたもの

ソレは誰もが持ち 誰もが嫌がる物

 

 

 

 

 

『君達がユリナの元に来てくれるからこそ!ユリナは君達の 失望 絶望 落胆 不安 をこの目で見れるんだもん!!アハハハ! 』

 

 

 

 

 

ソレは 絶望 と呼ばれる 負の感情であった

 

 

元少女の中に残るのは 絶望

ただそれだけ

 

 

虚しい 悲しい 怖い 痛い

 

 

そんな負の感情をナニカは楽しめるようになってしまった。

 

 

たとえ絶望の対象が自分では無い他人だとしても

 

 

絶望の対処が たとえ ”自分“ だとしても

 

 

 

 

『アハハハ…はぁ〜 ほんとうに感情してるんだよ〜?今日もこうしてユリナに会いに来て来れてるわけだし?』

 

 

「ま、待ってくれ!!君が聖女様と同じくこの世界に呼ばれた 少女だと言うのか!?」

 

 

『あれれ?まだ生きてたの?』

 

 

 

 

ナニカのすぐ後ろから声が聞こえた。

 

ナニカの後ろには大量の死体の山

体はボキボキに折られ 中身は飛び出し

目玉を無くし 指を無くし

足を無くし 自ら首にナイフを刺し

 

数え切れないほどの死体の山から声が聞こえた

ナニカは特に驚く様子もなく 可愛らしく クルッと振り返る。

 

そこには血だらけになり 指がなくなり 片目が無くなり もう立つことも出来ない髭の生えたおじさん

 

 

 

 

『これにはユリナもびっくりかも!アレだけお仲間さんに叩かれて刺されて まだ喋れるなんて』

 

 

「黙れ!!それよりも応えろ!貴様が…貴様が聖女様と同じくして世界に呼ばれた少女なのか!?」

 

 

『どっちがいいの?』

 

 

「なに?」

 

 

『ユリナがどっちだったら嬉しい?その生命力に応じてその通りにしといてあげる〜』

 

 

「貴様がもし 少女だとするならば なぜ生きている!?」

 

 

 

 

この世界に聖女様が来てから 100年は経っているんだぞ!?

 

 

 

 

『それは聖女様も同じ じゃん?』

 

 

「聖女様は自分に呪いとも言える魔法をかけ

不死身として生きている!」

 

 

『あははは!!なら中身はおばさんなんだね〜!』

 

 

「貴様もだろう!! 突然として現れた厄災めが!」

 

 

『厄災だーなんてひどいー!ユリナは好きに生きてるだけなのに〜!』

 

 

「突然現れ 大人子供関係なく無惨な殺し方をする貴様が厄災では無いというのか!!そして応えろ何故生きている!」

 

 

『うーん 答えてあげてもいいけど その前に〜』

 

 

「…っ!逃げろ!こいつの狙いはお前だ!」

 

 

 

ナニカは血まみれの年寄りを放置し

先程まで話をしていた若い 冒険者に顔を向けゆっくりと近寄っていく。

 

冒険者は近くに来た彼女の顔を真正面から見つめ

唾を飲み込む。

 

 

 

『もしかして〜 ユリナに見とれちゃったー?

ユリナって可愛いもんねー!仕方ない仕方ない!』

 

 

 

ナニカは嬉しそうにキャキャと可愛らしく笑う

その言葉の通りナニカはとても可愛らしかった。

白く傷がない美しい肌に 長く美しい黒髪

 

 

そして 特徴的な目

悪魔のような 目

 

ナニカの目は 山羊の目をしていた。

 

見れば見るほど美しい緑色の目に1本の黒い線があるような目

 

そんな目に見とれていたから彼は気が付かなかった

 

 

ナニカの後ろにいる年寄りが 何かを必死に叫んでいることを

 

彼の後ろの壁にカサカサした何かが大量に近づいていることを

 

 

 

 

『それじゃあ 時間もないし バイバーい!』

 

 

「え、?」

 

 

 

ナニカが笑顔でそういった途端 男の体に大量の小さな虫が登ってきたのだ

背中から足から手から

 

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

 

いくら払い除けても 何回でも登ってくるうちに

みるみる数が増えていく虫達

仕舞いには彼の鼻 口 から体の中にまで入ろうとしてくる虫達

 

 

 

「は、え…ゲボッ… ぐるなァ!!」

 

 

『その子達 最近 減ってきてたし ちょうどいい苗床だよ〜!ありがと〜!! 』

 

 

「貴様!!」

 

 

『うわっ…顔怖いよ?カルシウム足りてる?牛乳飲まないとだめだよー!』

 

 

「やめろ!そいつはまだ若いんだ!」

 

 

『大丈夫だって 死にはしないから』

 

 

「なに…?」

 

 

『だって虫に殺されるなんてかわいそーだから

苗床を殺さない虫達を呼んであげたんだ〜!ユリナってば優し〜!』

 

 

「し…死なない…だと」

 

 

『この子達はね 苗床から栄養を貰うんだ〜 その為に苗床は生かして栄養を取ってもらわないといけない だけどこの子達は見ての通り寄生には向いてない見た目でしょ?』

 

 

 

だから 宿主の記憶を見て 村や家 近くの食材

を探して そこで新たに栄養分 又は 新たな苗床を

探すんだ〜!

 

 

賢いでしょ〜?

お気に入りの子達なんだ〜

 

 

 

ナニカはケタケタと楽しそうに笑う

そんなナニカのすぐ後ろで苦しそうに喘ぎながらも男は立ち上がった。

 

体にはたくさんの虫達が着いており口からも鼻からも耳からも 虫の触覚が見えている。

 

 

 

『それじゃあ ユリナはそろそろ帰るね〜 』

 

 

「待て!」

 

 

『あ、そうだ! さっきの質問の答えはね〜 』

 

 

 

ナニカは 傷だらけの年寄りを避けて出口まで歩いていきふと振り返る

 

悪魔のような表情を見せながらナニカは言った

 

 

 

 

『聖女様は私の親友だった子だよ〜 それじゃあ 生きてたらまたねー』

 

 

 

そう言ってナニカは…少女だったモノは消えていった

 

 






***

作品が進むスピードは事情によりとても遅いですがゆっくり待って頂けると幸いです。

pixivにも同じものを投稿しています。

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