少女だったナニカ を 救う聖女の英雄譚……なんてそんな夢物語あるといいね〜   作:おんばん

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優しい子は大好物だよ!

 

 

 

 

『あーあー 結局あのおじさん 止められなかったんだ 村が大変なことになってる』

 

 

少女……またの名をユリナと名乗る

彼女の目線の先には 先程の冒険者達の故郷だろう村が先程の虫達に襲われ 見るも無残な悲劇が起きてしまっていた。

 

ユリナは 木の枝に座り ゆらゆらと足を動かしながら村の悲劇をニヤニヤと見つめ

彼女の足が動く度 彼女の黒いスカートがヒラヒラと揺れる。

 

 

『あのおじさん 今頃は虫たちの苗床かなぁ?

見たかったなぁ 目の前で元仲間の子が自分を生き地獄に連れていくため、ゆっくり ゆっくり近づいてくるのに 恐怖した顔』

 

 

想像しただけで…ククッ

 

 

 

『あははははは!!ダメダメ!想像したら笑いが…あはは!』

 

 

やっぱり いいよね〜!

昔話をしてから 殺したりするとみーんな罪悪感を持って死んで言ってくれるんだもん!

 

ユリナは何も気にしてないのに みーんな気にして

泣きながら謝ってきたり 素直になったり 怒ってきたり 悲しみながら戦ったり

 

でもそんな子達を殺すと皆揃って

 

 

いい絶望顔を見せてくれるんだよね〜!

 

 

 

『はぁー笑った笑った! さて次はなにしようかな〜とりあえず村に行って〜虫達にこれ以上広がるなって言わないとね、虫達に好きにされたら私の楽しみ減っちゃうし』

 

 

 

ユリナは高さのある木から何事もないように降り

村へと歩き出した。

 

月が照らす森を ただ1人 黒いセーラ服の少女が歩いている様は 不気味でどこか神秘的なものであった。

 

 

 

『とーちゃーく! さてさて虫さん達ー!』

 

 

 

村に着いた彼女は大声で虫に寄生された人々に向かい話しかけていく

虫達も彼女を狙おうとはせず すんなりと行動をやめて 彼女の方へ宿主の顔を向ける

 

 

 

『ここの村はみーんなの好きにしてもいいよー!だけど ここからは出たらダメだからね? 例え殺されそうになっても絶対にダメ!それ以外なら何をしてもOK!宿主達に人間の子供を孕ませて新たに宿主を作らせるのもよし!入ってきた人間を殺すのもOK!』

 

 

 

楽しそうに まるで遠足前の子供のように

可愛らしい声で宣言していく少女

 

 

 

『みーんなの好きにしてねー!それじゃあ またね〜!』

 

 

 

ユリナは虫達に別れを告げて村から出ていく

虫達も行動を再開しまだ寄生されてなかった人間達を探し出し 捕まえていく

 

その度 大きな叫び声が聞こえてくるが

ユリナはそれを見ようともせず、ただ1人暗闇の森へ消えて次の獲物を探す …はずだった

 

 

 

「ごめんね!隠れないと!」

 

 

『んぇ?』

 

 

 

村から離れていくユリナの手を綺麗な女の子が掴み近くの洞窟に引っ張ったのだ

ユリナが顔を向けると女の子は外にいるであろう虫を怖がり必死にユリナを抱きしめている。

 

どうやらユリナが虫から逃げ 怖がり

一人でいると思われたらしい、

 

 

 

「だ、大丈夫だからね 私が守るから」

 

 

 

ユリナは何処か聞き覚えのあるセリフを耳にしながらギュッと抱きしめられたこの状況を楽しんでいた。

 

 

 

 

この子 ユリナが村の子だとでも思ってるのかなぁ?

 

あはは!可愛い!!

おバカで慈悲深くて 何処かの聖女様みたいな子だ!!

 

いいよいいよ!その遊び乗ってあげる

 

優しい子なら大歓迎だしね!

 

 

 

 

『怖い…怖いよ…』

 

 

「大丈夫 ここまで虫は来ないから…大丈夫」

 

 

『うっ…うぅ…』

 

 

「絶対に守るからね 大丈夫…大丈夫だから」

 

 

 

ふーん…

 

本当にどこかの聖女様みたい

自分も怖いくせに 逃げたい癖に 必死に相手を守ろうとする所とか

 

守りたいのに守れる力が無いところとか

 

事件の犯人が目の前にいるのに気が付かないマヌケさとかね

 

 

でもユリナはそんな君のこと気に入っちゃった

だって本当に可愛いんだもん!

 

私の頭を自分の胸に押し当てて必死に 大丈夫 大丈夫って暗示のように囁いてるのがさー!!

 

虫に脅えて体がガタガタ震えて 涙目になって

ただひたすらに洞窟の入口を見つめてる君が

大好きになっちゃった!

 

 

だから ユリナからのプレゼントとして

一晩だけ演じてあげる。

 

君が望む震える女の子を

 

君をヒーローにしてあげる

 

 

 

 

『………お姉さん…誰…?』

 

 

「私は イリエコ村のファム・リーダスだよ

ファムでいいからね。大丈夫 私が君を守るよ」

 

 

『ファムさん…わ、私ね…』

 

 

「うん」

 

 

『お母さんと…お父さんの3人で イリエコ村に向かってたの…そしたら………む…虫が…お父さん…を』

 

 

「怖かったね 大丈夫 私がいるから」

 

 

 

 

イリエコ村って言うんだ あの村

 

暇つぶしでこの辺に遊びに来たら

近くに小さな村があるって教えられて 案内してくれた子供が可愛かったから この村に決めたんだけど…

 

こんなに可愛い子が居るなら ユリナの勘は当たってたってことだよね?

あの子供も最後まで可愛かったし

さすがユリナ〜!

 

 

 

「私はね こう見えて 聖女様が居る お城に働きに行く予定だったんだよ。こう見えて強いんだ 私は」

 

 

『聖女様の…お城……お姉さん あの虫倒せるの…?』

 

 

「勿論 でも下手に戦うと危険なの だからこうして2人で隠れてようね」

 

 

『うん!』

 

 

 

 

聖女様のお城に働きに行く予定だったんだ〜

 

確かに彼処は 何かと強い子達が多いよね

 

 

戦闘 研究 魔法 政治 立場

 

 

だから入るのがすごく難しい場所なんだけど

この子も嘘はついてないんだよね。

 

戦闘方面で強い訳じゃなくて別の事で強いんでしょ?

ユリナにはわかるよ

私を抱きしめる その細い腕が剣を振り回す事なんて出来ないもん。

 

魔法だって使えるのなら虫達を蹴散らせるハズだし、力があるのなら自分の家族もここにいるはずだよね。

 

権力もないはず

こんな小さくて何も無い村なんかに住んでたんだもん。

 

だからユリナの予想だと

 

 

 

 

“頭が強い“ のかな?

 

 

 

 

実験かな?研究?

うーん あ、もしかして!

 

最近話題の王子様に惚れられちゃった…とか!?

なになに〜恋愛話は聞きたいな〜!!

こう見えて乙女なんだよ ユリナはね

 

あぁでも あの王子様は嫌いかも

だって女の子を取っかえ引っ変えしてるって噂だし、実際にユリナも見てたけどアレは酷かったな

 

まっ いっか!

 

ファムちゃん もう少し夢を見せてあげるから

朝までの間 ユリナを楽しませてね?

 

 

 

 

 

 

ファム・リーダス が ユリナを洞窟の中に引き入れてから数時間が経過したころ

暗く濁っていた空は綺麗な青になり 洞窟の外には心地よい風が木々を揺らしていた。

 

 

ユリナを胸に抱いたまま ファム・リーダスは

夜通し ユリナを怖がらせないよう 安心させるように 昔話や今後のお話 希望のお話を聞かせ続けた

 

 

 

「それでね…あ、もう朝だね 」

 

 

『…うん』

 

 

「あの虫達はね 朝になると動かなくなる種類なんだ、だからもう出れるよ」

 

 

 

やはりユリナの考えは的中し 虫に詳しいところを見ると魔物等を研究している女性らしいことが判明した。

 

確信をしたユリナは 山羊の目を糸のように細め

ニヤッとしたかと思えば すぐに怖がる少女の顔になりファム・リーダスの胸の中から洞窟の入口へと駆け足で向かい 入口に着くと 器用にクルリと周り

 

 

 

 

『おねーさん♡ 自己紹介してなかったよね?

ワタシは〜ユリナって名前なの』

 

 

 

「どうしたの?1人だと危ないから一緒に行こう?ほら、手を繋いで行かないと危ないよ」

 

 

 

『あはは〜お姉さん優しいね!ユリナもっともっとお姉さんのこと好きになっちゃった!』

 

 

 

 

突然として性格が変わったユリナに驚きながらも彼女を守るため近くによってくるファムに ユリナは己の中に住まう黒い感情を抑えられずにいた。

 

 

 

今すぐにこの子で遊びたい!

 

この子を可愛がりたい!

 

この子に絶望を知って欲しい!

 

 

 

ってね

 

 

 

 

『ねぇねぇ お姉さん ユリナの服可愛いよね?』

 

 

「えぇ 勿論可愛いと思うけど」

 

 

『どこの国の服だと思う?』

 

 

「どこって……」

 

 

 

 

全てが黒い服に真っ赤なリボン

 

ヒラヒラと揺れる黒色のスカート

 

ファムは頭の中で どの国の特徴なのか

見たことはあるのか必死に答えを探し出す。

 

 

しかしながら 当然 該当する記憶は存在しない

 

 

なぜなら 彼女が来ている服は この世界には

2着しか存在しないのだから

 

 

 

 

『正解は〜 ジャパン!つまり日本でした〜!』

 

 

「にほ…ん?」

 

 

『お姉さんなら知ってるんじゃないの?

なんだって聖女様と同じ場所で働ける頭があるんだもん!勿論 聖女様の事も知ってるよね?』

 

 

 

 

日本 この世界にそんな国など存在しない

誰に聞いても知らないと答える名前だろう。

 

しかしファム・リーダスは違った 彼女は幼き頃から聖女様の隣で研究をし世界の役に立ちたいがため 毎日 机と顔を合わせていた。

 

 

 

彼女のそばで魔物や魔族を調べ和解を目指したい

それこそがファム・リーダスを動かす夢なのだ

しかし それとは別に研究者が どうしても避けられない 研究がある

 

 

 

それは 聖女様 の研究である。

 

 

 

100年前 異世界から神に選ばれこの世界のため聖女となってくれたお方であり 己に呪いまがいの魔法をかけて 今も尚 世界を救ってくれている聖女様

彼女の魔法は想像がつかないほどに素晴らしく

世界中の研究者が彼女の研究や彼女だけが使える魔法を調べ実験する

 

研究を進め 聖女様の役に立つ

これだけはどの研究者も持っており

彼女のそばで働くなら絶対に頭に入れておかなければならなかった。

 

 

そしてそれは ファム・リーダスも同じであり

彼女もまた 聖女の歴史や聖女が話をした異世界の話を全て記憶していたのだ。

 

 

 

だからこそ気がついた

 

 

 

気がついてしまった

 

 

 

 

 

 

日本という場所は 聖女がやってきた 異世界 にある国名だと言うことに

 

 

 

 

 

なぜ目の前で笑っている少女は その言葉を知っているのだろうか?

少女もまた 研究者を目指している?

親が研究者で知ってるだけ?

 

 

 

ファム・リーダスの頭の中にはいくつもの可能性を見出していくが 頭の片隅には あってはならない

気づいてはならない 真実がゆっくりとその存在を認知させるように浮き出し始めている

 

 

 

 

『学校のセーラー服は昔に取られて無くしちゃったんだよね…可愛いのに残念。だけど今はこうして ユリナの力を使えばすぐに服を作れちゃうのでーす!!拍手!』

 

 

 

 

聖女様を調べるにあたり絶対に出てくる話がある

 

 

 

王家の失態

 

 

 

後に帝国最悪の悪夢と呼ばれる事件

 

聖女様自ら裁きを与え罰を与えた唯一の出来事

事件の関係者 または加害者は皆 聖女様 ご本人から罰を与えられ

なかには 一生出られない牢の中で人生を終わらせた者もいる。

 

 

100年前 聖女様をこの世界に呼び出すための儀式を王家は成功させた。

見事に別世界から聖女様がやって来られたのだ

王家は喜び 聖女様を向かい入れることに大歓喜

 

 

しかし 問題点が1つ

 

 

聖女では無い少女が聖女様と同じくやってきてしまった。

少女は聖女様と仲が良く 聖女様もよく 世話をするメイドに少女の事を楽しそうに話していたとされている。

 

 

本来 意味もなく呼ばれた少女を帝国は王家は守るのが常識であり 唯一の同僚で友の聖女様の近くに居させるべきだったのにも関わらず王家は

少女に対し 守るのではなく 暴力を振るった。

 

聖女様にバレぬよう 死にものぐるいで隠しながら

少女を死なないように様々な方法で痛めつけ楽しんでいたという。

 

 

 

そして事件が起きた

 

 

 

その名は “ ナイトメアの誕生“ と言われ長きに渡り研究者達の研究対象として知られている。

 

 

その名の通り 悪夢が生まれた日 であり

暴力に襲われていた少女が王家に反逆を始めた日であるとされ 少女と同じ牢屋に入れられ楽しんでいた奴隷達は皆 顔がわからない状態で死体が発見され、少女も行方が分からなくなった事件

 

 

聖女様は事件を知り 初めて己の友が苦しんでいた事を知り深く傷ついてしまった。

周りの者達は必死に慰めたそうだが 聖女様はそれすら嫌がり 事件関係者を 牢に閉じ込め 少女の在処を聞こうとしたが、結局少女は行方をくらませ

今なお 聖女様は探し続けている

 

 

 

 

これが 帝国内で地上最悪の悪夢 と呼ばれる

 

王家の汚点である。

 

 

 

 

あぁ…どうして…

昨日といい今日といい、もういいじゃないですか

私が何をしたというのですか 神様?

 

ただ聖女様の隣で研究を勧めることを

魔族と人類の平和を 願っていただけなのに

何がいけなかったのですか?

 

もう…頭はとっくの前にパンクしてるんですよ…?

 

 

 

「……貴女は 優里奈 という名前の聖女様と同じ異世界出身の…ナイトメアの被害者?」

 

 

『ナイトメア?あぁ なんか勝手に付けられてた事件の名前?アレダサくない?可愛くないからユリナ嫌なんだけど』

 

 

「あぁ…どうしてこうも 嫌な事ばかり起きるの…夢なら覚めて欲しい…」

 

 

『あれれ?悩み事? ユリナで良ければ相談に乗るよ?』

 

 

「ナイトメア事件が起きてから10年後 突然として現れた 厄災 。 突然現れ 大人子供関係なく殺し

ただ己の欲の為のみ動く愉快犯 それが…優里奈…あの事件の被害者だなんて…」

 

 

『おねーさん? おーい……あらら 考え込んじゃった?』

 

 

「こんな事をどうやって 報告したらいいの…?厄災 “イノセント“が…聖女様の親友だったなんて……」

 

 

『うわっ…でた その名前。 本当にダサいからやめて欲しいよね 何?イノセントって付けた人厨二病とかなの? ユリナは優しいから、オタク君も好きだけど流石に 名付けられると別だよねー』

 

 

「優里奈さん 貴女があの虫達をイリエコ村に呼んだの…?」

 

 

『そうだよ?』

 

 

「貴女は恨んでい…るわよね…帝国の…王家とはいえ 帝国の人間だもの 帝国の人間…いや人類を嫌って恨んでいても仕方ないわ…」

 

 

『あれれ?お姉さん 何か勘違いしてない?』

 

 

「え…、?」

 

 

 

先程までの怖がる少女はどこにも居なくなり

悪魔のような笑顔を作る少女が細めた目で私を見つめていた。

 

その目は楽しそうで でも愛を感じる目線で…

目の前にいる少女が本当に人間を恨んでいるのかすら信じられなかった。

 

 

いや…待って

 

今この子はなんて言ったの?

勘違い? つまりこの子はイノセントではあるが

優里奈という異世界人じゃないって事?

 

それとも 人間を恨んでないとでもいうの?

 

 

 

『別に恨んでなんかないよ?それより 人間の事は

だーいすきだよ?』

 

 

「恨んでないのなら…どうして?」

 

 

『単純な事だよ ユリナがどうして人間を殺すのか』

 

 

 

人類を恨んでいないのなら 聖女様を恨んでないのなら どうしてこんな酷いことができるの?

恨んでいるのなら 今までイノセントがやって来たことは全部納得ができる

 

 

今回みたいに私の故郷を虫に襲わせ壊した事も

まだ納得ができるのに

まだ許せる可能性があるかもしれないのに

帝国に恨みを向けれるのに

 

 

 

『楽しい から ただこれだけ。

ユリナは別に帝国の人も魔族も魔物もだ〜れも恨んでない。ただ楽しいからこうしてるだけ』

 

 

「…な…何が楽しいの…」

 

 

『この村を選んだ理由も大した事じゃないんだよ? ユリナをこの村に案内してくれた女の子がいてね その子がすっごく優しくて可愛かったから ここにしたの。』

 

 

「…………」

 

 

『あの子を拐った後にね 冒険者達がユリナを退治しに来たの。おバカでかわいかったなー!わざと付けた痕跡を律儀にたどって虫達の巣穴に入ってきてくれたんだもん。』

 

 

 

でも そのおかげで 虫達が 冒険者に寄生して 栄養を得るため仲間を攻撃し始めたのが見れた時は

楽しかったなぁ…

 

冒険者とか兵士たちってお馬鹿だよね

90年前から誰にも顔をバレず 名前もバレないようにしてるのに 痕跡なんて残すわけないのにさ!

 

ホントに可愛くて仕方ないよ!あはははは!!

 

 

 

 

目の前にいる少女は本当に 人間なの?

本当に目の前にいるのは人間の女の子なの?

 

まるで 魔王が討伐された直後の “魔族“ みたいで

私の体は恐怖により 腰が抜け 足や体をガタガタと震わせることしか出来なかった。

 

何一つ理解ができない今の状態で唯一理解出来ること ソレは

 

 

 

 

私は今から 殺される

 

 

 

ただそれだけで…

でもただえさえ体は震えて動かず 少女は出口にたっている。

 

 

 

「い………よ…わ…し…は」

 

 

『おねーさん 顔真っ青で可愛い〜』

 

 

 

動けない体と違い 研究者になる事を求めた頭はずっと 死にたくない 生きたいと考え始める。

その思考は止まることなく 私を支配する。

 

私は無意識に土下座のような姿を取り 頭を硬い地面に押し付け必死に少女に彼女に声を荒らげ

お願いする

 

 

 

「お願い!!何でもするから殺さないでください…!お願いです!」

 

 

『あははははは!なになに命乞い? ねぇねぇ 殺されたくないの?死にたくないの?』

 

 

「お願いします!!」

 

 

 

見た目が自分より年下の彼女に頭を下げ

涙を流し必死に命乞いをする姿を親が見たらどう思うかな…?

 

私を逃がすため 虫たちの犠牲になった家族は今の私を見てどう思う?

 

だけどごめんなさい

私は生きたい 死にたくない

せっかく聖女様に選ばれたのに死ぬ訳には行かないの!

 

ごめんなさい

 

 

 

少女は可愛らしい声で笑いながら私の元へ コツコツと音を立て近寄り 頭を下げている私のすぐ隣にしゃがみ 頭をゆっくりと優しく撫で始める。

 

 

 

『そっか そっか〜 家族を友達を故郷を壊したユリナに頭を下げて泣き顔を晒して 死んで行った親達の事なんでどうでも良くなるぐらい生きたいんだね〜』

 

 

「…お願いします…何でもします」

 

 

『おねーさん顔上げて?』

 

 

 

顎の下に手を入れられゆっくりと顔を上にあげれ少女と目が合った

 

少女の目は山羊のような目で何を考えているか分からない目で…だけど楽しそうで

 

 

 

『うっわ…可愛い顔が台無しだよー!そんな顔になってまで生きたいんだ!!可愛い〜!よしユリナ気に入った!生かしてあげる』

 

 

「ほ、ホントですか!」

 

 

『うん ユリナはね 嘘は絶対つかないから安心して』

 

 

 

少女はスっと立ち上がりもう一度出口に向かい洞窟を出たらこちらに振り返り ただの少女のような笑顔を太陽に照らされた木々をバックに私に向けた。

 

 

 

『お姉さん ここの洞窟が何処に繋がってるか知ってる?』

 

 

「へ…」

 

 

『どこにも繋がってない小さな洞窟 だけど奥に湧水あったでしょ?』

 

 

 

私は少女の言う通り奥に目を向けると 確かにそこには飲めるほどの綺麗な水が沢山溜まっていた。

 

 

 

『お姉さんに引っ張られた時に見たんだけど ココ動物達の水飲み場みたいなんだ〜 ウサギとか鹿とかね?』

 

 

「…だ…から?」

 

 

『でもこの森に住んでるの 動物と人間だけじゃないんだよ?この森にはね』

 

 

 

 

“ゴブリン“が住んでるの 知ってた?

 

 

 

 

少女がそう言った直後

森がざわめき出し小さくなにかの声が聞こえ始める。

 

 

 

 

『初めはね ゴブリンに村を襲わせようと思ってたの 虫達より面白いから だけどココのゴブリン 皆怖がりで人間を怖がるの 』

 

 

 

試しに 数人の女の子を裸にしてゴブリンの巣穴に入れたんだけど普通に誰も近づかなくて ユリナが殺す羽目になったんだよ?

ゴブリンの癖に怖がりなんて面白いよね?

 

 

 

森のザワザワが酷くなり声が大きくなってくる

何かが来ている それも大群で 私がいるこの場所に…

 

 

 

『だから虫達にしたんだけど、、ココ最近は捕まえてた女の子達が死んじゃって子供が産まれなくてゴブリン達も必死みたいなの。虫達のおかげでもう村は使えない…そ・こ・で!』

 

 

 

森のざわめきが 消えた

 

 

 

『おねーさんには ゴブリンの花嫁になってもらいまーす!! はい!新郎達のお出まし〜!』

 

 

 

少女の後ろからゾロゾロと沢山の小さな緑色のゴブリンが現れる。

ゴブリン達は皆 私を見て怖がる様子もなく興奮したように口を動かし何かを叫んでいる

 

 

 

「生かしてくれるって!」

 

 

『ゴブリン達は花嫁を殺さないからね 死んでないでしょ?大丈夫!ちゃんとゴブリン達が食べた後のご飯は食べれるし ただ赤ちゃんを産みまくれば生きていられるから!』

 

 

「いや、いや!!」

 

 

『あはははは!!お姉さんが言ったんでしょ?

死にたくないって。ユリナ優しいから痛くないように一瞬で殺してあげようとしてたのにな〜』

 

 

 

ま、お気に入りのお姉さんの頼みだもんね

ユリナ 優しいからその願い叶えちゃうよ

感謝してね?

 

 

おねーさん♡

 

 

 

『はい 今から結婚式を行いまーす!ゴブリン代表の新郎 出てきて下さーい』

 

 

「ギュビィ…ギヒィ」

 

 

『うんうん 張り切ってるね〜 お次は〜 イリエコ村出身のファム・リーダスさんでーす! 』

 

 

 

ドンドンパフパフ!ドンドンパフパフ!!

 

はい拍手〜!

 

 

 

「人間の女を襲うならどうして貴方は襲われないの!!」

 

 

『90年前からユリナ 魔物から味方判定されてるんだよね〜 なんでだろう? まぁ別にいいんだけど』

 

 

 

さー張り切って行ってみよーー!!

 

 

 

『ゴブリンと人間の営みが今始まる!!GO!!』

 

 

 

ゴブリン達は少女の声を聞き一斉にファム・リーダスに襲いかかり服を破り嫌がるファムを押さえ込み……

 

 

それをすぐ近くで見ていた少女ことユリナは

どこか昔を思い出すように 優しい笑顔で見守っていた

 

 

 

『懐かしいなぁ ユリナも昔はこうだっけ?』

 

 

「いやぁぁぁあ!近寄らないで触らないで!」

 

 

『同じこと言ってた気もするし…今となっては何がそんなに嫌だったんだろーね?ユリナはあの女に妊娠しないように呪いみたいなのかけられてるし?』

 

 

「く…コポッ…ンンン!!!」

 

 

『ん〜 わかんないや まーいいや もう忘れよ〜 』

 

 

「オェ”…もゔやめで…ぅぐ 」

 

 

『それじゃあ もう会うことは無いと思うけど人生楽しんでね〜 それじゃあね お姉さん』

 

 

 

ぐちゃぐちゃと嫌な音と叫び声が鳴り響く洞窟を背に可愛らしい笑顔をしながら次の場所へと移動を始める。

 

 

 

『んー次はどこ行こうかな〜 』

 

 

 

村は今回で行ったし〜

冒険者狩りも前したでしょ〜

女の子を捕まえて遊んで殺すのもやったし

男の子もやったな〜

 

 

”魔族” で遊ぶのも飽きたし…

魔物も反応悪いしー

 

 

 

『って仮面つけないと…忘れてた 』

 

 

 

何も無いところから当たり前のように 真っ白な仮面を取り出し

道化師の様なピエロのような真っ白な面に黒色で目と口が笑顔に書かれているだけの仮面を顔に

装着する少女。

 

 

『とりあえずは 帝国に遊びに行こーかな?そろそろお祭りだし〜』

 

 

少女がパチンと指を鳴らすと 黒色のセーラー服が突然と黒色の地味なピエロのような服へと変化し

少女は自分の体を見た後に 何事も無かったかのように 帝国に続く道へ歩き出したのだった。

 

 

 

 

 

それと全く同じ時刻に帝国内最強のもの達が集まる城にて ある会議が行われていた。

 

 

 

「はぁ…また遅刻?」

 

 

「これだから研究者は嫌いなんじゃ」

 

 

グレーの髪色をした男が机に両足を乗せながら

空白の席を睨み 文句を言い放った。

そのすぐ隣に座っている年寄りの魔法使いが

目を瞑り 空席の場所の主に嫌味を放つ

 

 

 

「ダメだよ すぐに悪口を言ったりするのは

彼らも忙しいんですから」

 

 

「聖女様 そうやって甘やかすからダメなんですよ アイツらは」

 

 

「ほう?剣を振るうことしか考えておらぬ 貴様と同じ考えとは 明日は槍が降るのう」

 

 

「んだと クソジジイ」

 

 

「喧嘩はダメですよ!」

 

 

 

大きな丸い机を囲むようにあるイスの中で 人一倍大きく豪華な椅子に座る 黒髪の女が 喧嘩を始める2人を止めながらも ため息を着く

 

近くで見ていた同じく 椅子に座っていた別の大きな剣を持った赤髪の女が彼女に声をかける

 

 

 

「聖女様 アンタ疲れてねぇか?」

 

 

「え?大丈夫ですよ…?」

 

 

「嘘はいけねぇな?ウチはアンタに救われた身だけどよ 頑張りすぎんのは良くねぇぜ?」

 

 

「しかし…私の助けを待つ方は今もきっと沢山居ますから」

 

 

 

聖女様と呼ばれる女が 窓の外を見つめ 元気に溢れている帝国を見下ろす。

子供達がお祭りの準備を手伝っていたり

仕事に向かう大人がいたり

 

こんな平和の影で苦しみ命を落としている可能性を考え頑張りを増やさなければと思い始める女

 

 

人一倍大きな椅子に座る 白い服を着た彼女の名は

 

 

 

 

 

一ノ瀬 優香

 

 

 

 

 

帝国一の…世界一の聖女をしている

 

 

 

 

「私は生きてる限り救い続けないといけないんですから」

 

 

 

日本人である。

 

 

 

 

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