『クリア・ノート』に転生しました。   作:ファウード編アニメ化まだですか?

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『最終決戦3』

「『レード・ディラス・ジャウロ・ザケルガ!!!』」

 

ギャラララララララララ!

 

「ははっ、なんだそれ、滅茶苦茶だな! ハァアアアアアアアアア…………スゥウウウウウウウウウウウウ………………! ファイアァアアアアアアアアアア!!!

 

ズドドドドドドドドドド!

 

 ゼオンから放たれる無数の雷の刃のついたヨーヨー。

 ()()にはなかった、滅茶苦茶な範囲の破壊力を持った術に、思わず笑ってしまう。

 僕は一旦息を吐いてから大きく吸い込み、呼応するように無数の砲弾を放った。

 

ドギャギャギャギャギャ!!

 

バリバリバリバリバリバリ!!!

 

 縦横無尽に駆け巡る11の雷の刃と、止めどなく放たれる消滅の砲弾。

 そこかしこで衝突しあい、刃を削りながらも砲弾は全てうち落とされていた。

 僕に向かってくる刃は逸らし、いなし……間を縫って砲弾を放つも、それは刃に阻まれて一切届かない……そんな千日手。

 これがゼオンとのタイマンなら、暫く膠着したかもしれない。

 

「清麿、シェリー」

 

 ゼオンに指示を出しながら、デュフォーが小さく呟いた。

 そうだね……これはタイマンじゃない。

 

「『バオウ・クロウ・ディスグルグ!』」

 

「『ニューボルツ・マ・グラビレイ!』」

 

 『レード・ディラス・ジャウロ・ザケルガ』を相殺するのでいっぱいいっぱいな僕を、バオウの爪と、引き寄せる超重力が襲い掛かる。

 これは、重力は後回し、今の僕なら暫く耐えられる。

 だが、砲身が持たないな……ならばこうだな。

 

ファイアーッ!

 

 全ての砲身を此方から溶かし尽くす勢いでフルに稼動させる。

 気合いを込めて放った砲弾は、バオウの爪をすり抜け、ゼオンの雷の刃達を穿つ。

 

メキメキメキッ

 

バキンッ

 

 超重力の負担もあり、へし折れ、砕ける砲身を破棄!

 

「『アム・ドュ・スプリフォ!』」

 

ブシュウウウ

 

 即座に発動した術で超重力を出現した手で包んで消去して……ぐっ。

 

ザクッ!

 

「爪ごときが! 消えろ!」

 

 僕の肩を抉ったバオウの爪を、重力球を消した後『アム・ドュ・スプリフォ』の手で薙いだ。

 バラバラになって消えていくのを見届ける事なく、その場から即座に後退する。

 

ブオンッ!

 

 僕のいた場所を襲う、ゼオンのマント。

 擦った髪の束が、パラパラと散らばった。

 

「ちっ」

 

 小さな舌打ちが聞こえた。

 飛び退いた僕は即座に掌を前に向けた。

 

「『フェイ・ガンズ・ビレルゴ!!!』」

 

 次に放つのはバードレルゴを模した小型の消滅波。

 自在に宙を舞う無数の高速消滅波に、対応出来ない……なんてヴィノーが叫んでいるような気がする。

 

「『クエアボルツ・グラビレイ!』」

 

「なっ!」

 

 現れたのは巨大な重力の柱。

 その影響下に置かれたビレルゴ達の動きが、一気に鈍る。

 ああ……これは……()()であったなぁ……。

 

「『ジオウ・レンズ・ザケルガ!』」

 

 なんだろう、突然追い詰められたような気分になる。

 まだ余裕ある筈なんだけどね、おかしいな。

 何処か見覚えのある光景に、なんだか夢現だった。

 現れる『バオウ・ザケルガ』とはまた違う、恐らくはガッシュ自身の雷の力の化身。

 長い体をくねらせた『ジオウ・レンズ・ザケルガ』はその身を無数に分裂させ始めた。

 清麿の瞳が、全てを見通すように此方を見据える。

 

 ああ……これは全滅だ。

 反射的にそう思い……両手を顔の前で交差させた。

 

パパパパパパパパパパパパ

 

 あっという間にビレルゴ達は撃ち抜かれ、撃ち落とされ……一際大きな顔のついた電撃が、僕自身を撃ち抜いた。

 

「ぐっ……あぁあああああああ!」

 

「クリア!」

 

 その凄まじい勢いに圧され、防いでいるにも拘らず大きく後退してしまう。

 踏ん張った跡が地面に刻まれた。

 吹き飛んだ僕へと、ゼオンとブラゴが僕に意識を向けたのがわかる。

 容赦ないな……流石にここで追撃を食らう訳にはいかないか。

 

バチンッ!

 

 『ジオウ・レンズ・ザケルガ』の余波を弾き飛ばし、その場で踏ん張り手を前に向けた。

 

「くっ……ヴィノー!」

 

 帯電し震える腕に渇を入れて、ゼオンとブラゴを射程におさめた。

 

「使っていいぞ、『シン』だ」

 

 僕の言葉に、現状に呆気に取られていたヴィノーの表情が目に見えて明るくなった。

 僕の形態が変わっても、一方的に有利になっていない状況に少し焦りが見えていたからね……仕方無いか。

 

「大丈夫だ……そろそろ、一匹、減らそうか」

 

「オーケイ! イケるぜぇ! クリア! 『シン・――

 

 『シン』を放とうと構える僕達に、いち早く反応したのは、ブラゴとシェリーだった。

 僕に向けて両腕を向けたブラゴ、それに呼応するようにシェリーの持つ魔本が目映い光を放つ。

 

「やらせないわ! ブラゴ!」

 

「ああ!」

 

 二人の戦意は漲っている。

 今、僕を多少追い詰めていると思っている。

 僕が圧されている今、僕が放つ『シン』を出先で、力が発揮される前に押さえつけてしまえば、そのまま押し通せると思っている……。

 

 実際、彼等にはそれが出来るだけの実力があり、少なくとも僕が今『シン・クリア・セウノウス』を放てば、その動きはかなり抑制され、もしかすると負けてしまうかもしれない。

 仮にブラゴだけで押さえられなくとも、ゼオンとガッシュがいる、それらによって僕は競り負けてしまうかもしれない。

 

「『シン・バベルガ・グラビドン!!! 』」

 

 底の見えない程の崖を作り出す超重力……デュフォーの修行によって更なる高みに辿り着いたブラゴのその力は、高まりきっている。

 これをまともに受ければ『シン・クリア・セウノウス』も、僕自身も無事ではすまないだろう……。

 

 僕が、本当に『シン・クリア・セウノウス』を放つのならね。

 

キィンッ

 

「……!!! シェリー!」

 

「まずい、ゼオン!」

 

 答えを出す者(アンサー・トーカー)の二人は気付いたか。

 けれど、遅い。

 何もかもが。

 

逃げろぉおおおおおおおお!!!

 

 清麿の叫びが、空しく響いた。

 

――リア・ウルク!!!』」

 

ドゴンッ!!!

 

「…………え」

 

 僕の姿は、シェリーの隣にあった。

 先程まで、ブラゴがいた場所だ。

 いや、今もいる。

 ただ、顔面に僕の拳を食らい、地面にめり込んでいるだけだ。

 

 過不足なく、『シン・リア・ウルク』によって得た運動エネルギーの全てをその一点に叩き込んだ。

 受け止めきれなかった力が、僕が『シン・バベルガ・グラビドン』を()()()()()移動した事で発生した衝撃波が、一拍置いてからシェリーの体を浮かせ、ブラゴのめり込む地面を抉る。

 

ドンッ

 

ブワァッ

 

「あっ」

 

 ふわりと体が浮いた事を認識したシェリーは、焦燥を浮かべ、咄嗟に魔本を胸に抱いた。

 

がしっ

 

 更には、気付けば僕の足を掴んでいたブラゴ。

 ブラゴに関しては意識もなく、顔面の骨は粉々、頑丈な魔物とはいえ脳すら無事ではないだろうに……よくやる。

 二人の強い絆が垣間見える、そんな瞬間だった。

 

「…………」

 

ぬちゃ

 

 僕はそれを冷静に対処する事にする。

 そんなに僕にシェリーの元に行って欲しくないなら、君が行くといい。

 顔面の潰れたブラゴの胸ぐらを掴み、シェリーに向けて放り投げた。

 ぽい、と、軽く。

 哀れにも力なく宙を舞うブラゴへ、シェリーは思わずその手を伸ばした。

 反射、なのだろう。

 大事なパートナーを助けようとする、無意識の反射。

 

 代償は……二人の絆の象徴、繋がりの証――

 

パシッ

 

――それと、その存在。

 

 宙に放り投げられた魔本を掴み、そのまま無造作に放り投げた。

 手を翳す先は、ブラゴを抱えたシェリーの落下地点と重なる場所。

 ゼオンも、ガッシュも、間に合わない。

 その形相は必死なものだ……きっと、これまでの戦いや僕と戦う為の訓練で絆を育んだんだろう。

 そんなブラゴが、消える……ここに来るまでに既に僕に二人消されてる彼等にとっては、まったく耐え難い事だろう。

 

「クリアァア!」

 

 ゼオンが珍しく必死の形相で駆け寄っている……けれど、間に合わない。

 タッチの差だ、君がマントを伸ばしても届かない。

 それに気付いたのだろう、デュフォーの顔が苦々しく歪み、ゼオンの肩を掴むも……ゼオンは止まらない。

 マントを、ブラゴ達へと伸ばした。

 

ギュオンッ!

 

「『テオラディス!』」

 

バシュンッ!

 

 僕の放った消滅波はブラゴの魔本を消し飛ばし、無防備なブラゴを、そして本の持ち主(パートナー)のシェリーを……その全てを消滅させた。

 寸前まで伸びていたゼオンのマントが諸とも消滅したが……まあそれは誤差だろう。

 

 着地したゼオンの表情が歪む。

 ガッシュ達の顔は信じられない、とばかりに目を見開き、わなわなと震えていた。

 

ぽとっ

 

 シェリーの持っていた杖の先端が、抉れた地面に落ちた。

 これで……ブラゴは倒した。

 三対一から、漸く二対一になるか……さて。

 僕が魔界を滅ぼすまで――

 

「あと、2匹」

 

 ……意外と、何も感じないな。

 無造作に下ろした手から、ブラゴの血がポタリと地面に落ちた。

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