【あんこ】TSオリ主ちゃんガンダムに乗る   作:むにゃ枕

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エピローグ

 グラナダが有ったはずの場所には、ぽっかりと穴が空いていた。デブリが辺りを漂い、連邦艦隊が孤立したジオン軍の艦やMSを駆逐している。

 

「早く、ソドンへ。ぼやぼやしていると連邦に包囲されてしまいます」

 

 キケロガが、連邦軍のジムを蹴散らし活路を開いた。ジークアクス、ゲルググ、ギャンが続く。

 

「シャリア中佐、無事でよかったです」

「コモリ少尉味方への通信は?」

「確保済みです。集合地点も決定しました。通知しますか?」

「ええ。お願いします」

 

 コモリ少尉が、グラナダからの撤退路を生き残りのジオン艦艇に示す。

 

「ソドンが囮になるんですか…?」

「この艦なら逃げ切れるはずです。艦長の腕が良いですから」

「中佐にそこまで言われれば、やってやろうじゃないか」

 

 ソドンが、最大船速でグラナダから遠ざかる。分かりやすい陽動に、連邦軍は釣られたようだった。

 

「やりましたね」

「いえ、あれは連邦の囮艦隊です。バルーンやら無人船舶がほとんどですよ」

「そ、そうなんですか? よく分かりますね?」

「目が良いと、シャア大佐にもよく褒められました」

 

 アマテとリアがブリッジに上がってくる。賑やかしのニャアンとドゥーもいた。

 

「ヤバい……逃げなきゃ」

「リア中尉……?」

「悪意がこっちを狙っている」

 

 リアが、自分を抱きしめガタガタと震えていた。

 

「まさか、コロニー・レーザー…! 艦長すぐに進路NEに回避を!」

 

 シャリア・ブルのオーダーはすぐに実行された。

 

「わ、分かった」

「コロニー・レーザーの退避宙域からは出てる…はず……いえ、グラナダが消えたので、狙いが変わった?」

 

 光の柱が、ソドンからほんの僅か離れた場所で巻き起こった。

 

「レブン、カドイが巻き込まれました」

「なんなの!?あの光!? 味方のフネがやられた」

 

 リアが呆然と立ち尽くしていた。足元には水たまりが生じている。オペレーターシートからも、水滴が垂れていた。

 ブリッジクルーの中には、嘔吐しているものもいた。

 

「まさか、私たちごと撃つなんて……」

「これがギレン派のやり方ですよ。もし大佐がいたら…と思ってしまいますね」

 

 コロニー・レーザーの件で、ブリッジ内はざわついていた。

 

「ア・バオア・クー……そこに、シャロンの薔薇が有るの?」

「おや、アマテさん。それをどこで?」

「シュウジが言っていた。あの薔薇を咲かせてはいけないって」

「それが、アマテさんの答えなら、私もそうしましょう」

 

 ソドンは、生き残ったジオン艦艇と合流しア・バオア・クーに向かった。

 

 

 

 同時刻、ア・バオア・クーでは、ギレン・ザビが一人の技術士官と面会していた。秘書であるセシリア・アイリーンも、技術本部を預かるシャハト少将もいた。

 

「クワトロ大尉。シャロンの薔薇に関する報告とはなんだね?」

 

 シャハトが部下であるクワトロに尋ねた。クワトロは、優秀な技術士官である。彼は主にシャロンの薔薇を解析していた。

 

「ええ。薔薇の来歴が分かりました。あれは未知の世界からの飛来物です。あの中には、ニュータイプの少女がいます。彼女はララァ・スン。そして彼女は、私を求めている」

「ふ。冗談はよせ」

「いえ、本気です。ララァ・スンは確かにあそこに存在し、私を求めている。あれが目覚めたら大変なことになるでしょう」

 

 ギレンとセシリアは、狂人のようにクワトロを見ていた。

 

「なら、どうするのです? クワトロ大尉。要点を言いなさい。総帥は多忙な方なのです」

「失礼しました。こうするのです」

 

 クワトロは、腰の銃を引き抜きギレンを撃った。それから、セシリア、シャハトを殺害する。

 部屋の扉を蹴り倒し、完全武装の兵士が突入してくる。

 

「ご苦労、オーケストラの諸君」

「キャスバル様、これでア・バオア・クーは貴方のものです」

「准将。私は、そんなものに興味はないよ。君たちが、私ではなくアルテイシアを擁立する準備を整えているのは知っている。復讐というものは甘美なのだろう? だから君たちの口車に乗っただけだ」

「そんな……キャスバル様」

「それにだ。薔薇が目を覚ます。私は、アレに求められているらしい。生贄などまっぴらごめんだ」

 

 キャスバルの逃げ足は一級品だった。籠絡しておいた兵士を使いさっさとムサイに乗り込み消えていった。

 ダイクン派である黒いオーケストラの幹部は、その見事なまでの逃げっぷりに唖然とする外なかった。

 

「准将! デラーズ大佐の親衛隊が突入してきました!!」

「ええい! 徹底抗戦だ! こうなったら我々だけでア・バオア・クーを抑えるぞ!」

 

 数に劣るクーデター派は、親衛隊の前に屈することとなる。

 

 ア・バオア・クーは、核パルスエンジンを増設されサイド3宙域へ移されていた。ソドンを含むグラナダの生き残りは、無事にア・バオア・クーへと辿り着いた。

 

「クーデターですか? ギレン総帥が身罷られたと」

 

 報告を聞いたシャリアは、頭を抱えた。キシリアが死に、ギレンも死んだ。シャアは偽キャスバルとして連邦軍に擁立されている。

 シャリアの目的は、ニュータイプの未来を作り上げることだ。ザビ家の排除は絶対条件だったが、それはなし崩しで果たされてしまった。

 

「こうなったら、アルテイシア様に頼むしかありませんね」

 

 とはいえ、ジオンが存在しなくなったら意味がない。ア・バオア・クーで連邦軍を跳ね除けなければ、ジオンに未来はない。

 

 連邦軍の兵力はジオンのおよそ1.5倍といったところだ。兵の質でもシオンに遜色はない。 

 連邦はソーラー・システムを。ジオンはコロニー・レーザーという大量破壊兵器を握っている。双方、戦争の趨勢を決める恐ろしい兵器である。

 

 9:15、連邦軍がサイド3宙域に出現した。連邦軍は、遠距離からのミサイル、ビームによる飽和攻撃を行った。

 それに対して、ジオンも応戦。要塞や艦艇から反撃を行う。

 

 9:55、総司令官となったエギーユ・デラーズ大佐は、ビグザム隊を出撃させた。

 

「ビグザム、全機出撃しました。護衛のゲルググ隊も全機快調です」

「ビグザムが開啓した進路を押し広げる。MS、艦艇を集中させろ」

「了解しました。ポイント810を中心に紡錘陣を敷きます」

 

 Iフィールドと多門のビーム砲を積んだビグザムは、まさに動く要塞である。ジオン独立戦争では、ソロモン戦役で使用され連邦軍に絶大な被害を与えた。

 それが20数機いるのだ。連邦軍にはもはや打つ手はないように思えた。

 

「ビグザム15号機、撃破されました」

「なんだと!?」

「連邦の特機です。これは、ガンダム……白い機体と金色の機体が」

「ええい! 護衛のゲルググ隊は何をしている!」

「ゲルググ隊、全滅しています。あぁっ!ビグザムが!」

 

 無敵かと思われたビグザムが、みるみるうちに数を減らしていく。残存5! 4、3、とカウントがされ、瞬く間にビグザム隊は全滅した。

 

「バカな…! アレは悪魔だ。白い悪魔だ」

「……どうします?」

「エースにはエースを当てる。ソドン隊を行かせろ」

 

 ソドンのMS隊が出撃していく。ニュータイプとニュータイプが激突するのだろう。

 

「アマテ、突出しすぎるな」

「リアこそ遅れないでよ!」

 

 ジークアクスと白いゲルググがMAVを組み、2機のガンダムに向かう。

 

「シャア、やれるか?」

「任せておけ。アムロ」

 

 2機のガンダムもそれぞれ阿吽の呼吸でアマテとリアに襲いかかる。双方が相手をニュータイプと認識しての割り切りだ。

 

「速い! 敵はニュータイプか!?」

「シャア! 私のことを忘れたの!」

「誰だ…? アルテイシアか…?」

「は? 違うんだけど!? このボケが早く記憶を取り戻せ!」

 

 シャアとリアが問答を繰り広げる中、アマテはアムロの乗るガンダムに翻弄されていた。

 

「なんなの!? ジークアクスが性能で負けてる?」

「子供が乗っているのか…? 違う。これは、俺か??」

「ジークアクスが、共鳴している?? なんなのこれって!?」

 

 青い光が戦場を包み込んだ。そして、La,La,Laという女性のコーラスのような高い音が、通信回線を無視して響き渡る。

 

「おいおい。勘弁してくれよ」

「まさか、アムロ? お前がやったのか?」

 

 ア・バオア・クーの司令部も大騒ぎになっていた。エギーユ・デラーズは禿頭を搔きむしり、制御を取り戻すよう部下に檄を飛ばしていた。

 

「ええい! 何をやっている!! 早くシステムを奪い返せ!!」

「ア・バオア・クーの9割が制御下に有りません。我が軍のMSの3割が制御を奪われました。システムの奪還は不可能です」

「なんだと。これが、連邦の新兵器だと言うのか??」

「いえ。これは、ゼクノヴァ反応です。中心点はここア・バオア・クーです」

「シャロンの薔薇か……下らん戯言だと思っていたのだがな……」

「薔薇ですか??」

「うっ。ぐっ、酸素。。がっ」

「デラーズ大佐!?」

 

 

 デラーズが藻掻きながら倒れる。ざわめきが広がるのと同時に、同様にオペレーターが苦しみ死んでいく。司令部に、生きている人間は一人もいなくなった。

 

 ア・バオア・クーは完全に制御を失い、ララァ・スンの支配下に陥った。青い光が、全てを吞み込んでいく。

 

 連邦軍でも同様の事態が発生していた。被害はジオンよりも連邦軍の方が大きかった。ララァ・スンの怨嗟がそちらにより多く流れていたからだ。

 艦艇やMSが突然制御を乗っ取られ同士討ちを始めるのだ。常人では対応が出来ない。

 

――蒼蒼蒼青々青々青あおあおあおあおaoaoaoao

 

――増殖する蒼が、戦艦をMSをスペースデブリさえも飲み込んでいく。

 

「こちら、ジオン公国軍中佐シャリア・ブルです。ジオン、連邦は直ちに停戦しシャロンの薔薇を排除してください。あの、蒼がゼクノヴァです。あれはララァ・スンを代理人とした宇宙を侵食する精神生命体です。ベタなセリフですが、世界を守りませんか?」

 

 ジオン、連邦両軍の砲火が止んだ。そして、そのまま背中を預けだす。

 

「アマテ。君との決着は後回しだ。あれに飲み込まれるわけには行かないからな」

「うん。やっちゃおうアムロ!」

 

 アムロのΖガンダムが、ジークアクスとMAVを組む。

 

「中佐。ニュータイプの世界なんて来なくても、人は分かり合えるのでは?」

「甘いですね。エグザベくん。彼らは単に恐怖によって団結しているだけですよ」

 

 連邦兵が、さっきまで僚機だった蒼に染まったMSを撃墜する。彼の表情は世界を呪いで壊せそうなくらい酷いものだった。

 

「ララァ・スンを殺します。援護を」

「はい。お供します」

 

 キケロガとギャンが、蒼の中心部であるララァのエルメスに向かって、宇宙を斬り割いていく。

 

「これは、予想外だわ。ちょっと、反動が大きすぎる」

 

 ララァは、エルメスの中で消えかけていた。ゼクノヴァを起こす精神生命体である()()を呼び出すコストはララァの精神力で維持できるものではない。

 

「失敗ね。でも、あの人が幸せならそれでいいのよ」

 

 ララァ・スンはそう言い残し、消えていった。この世界に湧き出た蒼も、アンカーであるララァを追って世界から消えていく。

 

「バカな!? 自滅したのか?」

「アムロ? これってどういうこと?」

「さぁな。そっちのエンデュミオンになった俺なら分かるんじゃないか?」

 

 ジークアクスの代弁者であるハロは、黙ったままだった。

 

「知らないみたい」

「なら仕方ない」

 

 蒼が消え去り、恐怖が薄れたことで戦闘が再開された。先程まで背中を預け合っていたMS同士が殺し合いを始めている。

 

「アムロ。ジークアクス。あれ止めたい。力を貸してくれる?」

「ああ」

「モチロン。チカラヲツカエ。マチュ」

「ありがと。じゃあ。行くよ!! エンデュミオンユニット!! 全開!!」

 

 正史であれば、サイコフレームの光と呼ばれたそれが、ジークアクスから溢れ、戦場を埋め尽くしていく。先程までの蒼とは違う、人間の可能性を感じられる柔らかい光だった。

 

「ごめん。ちょっと、チカラを使い過ぎちゃったみたい。この世界には居られないって」

「行くのか? 刻の向こうへ?」

「うん。だって、私まだ初恋を諦められないから!! 勝ち逃げしていったシュウジをぜっっったいに捕まえてやるんだ!!」

「そうか」

「そう。じゃあ、こっちのみんなによろしく。もし、戻ってきたらみんな私の結婚式に呼んであげる」

「さようなら。マチュ」

「さようなら。みんな」

 

 ジークアクスと、アマテ・ユズリハは、謎の発光現象を起こしてア・バオア・クー宙域から消えた。けれども、世界中のあちこちで、彼女とジークアクスは目撃されている。マチュと言えば、ちょっとした都市伝説のスターだ。

 

「あー。で、思い出した?」

「うん。思い出したよ」

 

 シャアとリアは、敵味方のMSでごった返すア・バオア・クーのベイにいた。停戦が為され、補給やら収容やらのためにMSが詰め込まれているのだ。

 

 シャアは、どうも化けの皮が剝がれたようだ。ノーマルスーツ姿のままヘルメットを外しリアの唇に己の唇を近づけた。

 

「ばか」

「どうして?」

「人が見てる」

「見せつけてやればいい」

 

 数年ぶりのキスは勢いが良すぎたせいか、お互いが前歯を痛める結果に終わった。けれども、二人の笑顔に偽りはなかった。

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