コミュ障少女と月の魔女   作:龍翠

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20 新しい関係

 

 陽葵のパーティは三層にいた。階段がある部屋で休んでいたみたい。階段がある部屋には魔物は寄りつかないから、休むには最適の場所だ。

 フードをまたしっかりと被ってから、三人へと話しかけた。

 

「もどり、ました」

「ああ……。無事でよかった……」

「心配したんだから!」

 

 魔法使いの二人がそう言ってくれる。この二人は優しそうな人だ。

 もう一人……。リーダーさんは、目がうつろだった。茫然自失としてる。

 リーダーさんがわたしにゆっくりと視線を向けて、言った。

 

「腕は……」

「…………。ごめんなさい……」

「そう、か……。そうかあ……」

 

 がっくりと項垂れるリーダーさん。かわいそうだとは思うけど、命が助かっただけ良かったと思ってほしい。ダンジョンで亡くなる人というのは、とても多いのだから。

 三人を連れて、地上へと戻る。道中の魔物はわたしが全部倒しておいた。

 そうしてギルドに戻って、受付さんに報告。こういう時の受付さんはとても淡々と対応する。感情移入しないように気をつけている、らしい。

 それでも。

 

「命だけでも無事で何よりでした」

 

 この言葉に、全てが集約されていると思った。

 陽葵のパーティは、予想通り解散、ということになった。

 腕を失ったリーダーさんは、ギルドが提携している病院に入院することになるらしい。治療費に加え、最新の義手とリハビリまで無料で受けることができる、とのこと。陽葵はそれを聞いて、ちょっと安心していたみたい。やっぱり心配だったんだね。

 魔法使いの二人は、探索者をやめるとのことだった。英断、だと思う。こんな危険なことより、普通にアルバイトとかした方がいいだろうから。

 というわけで。陽葵は無事にフリーになった。無事に、と言ったら怒られるだろうけど。

 

「改めて、よろしく、陽葵」

「ああ。よろしく、菜月」

「わたしと一緒にいたらいろいろ勘ぐられるだろうから、次からこの仮面つけてね」

 

 わたしは身元を隠してるけど、陽葵は隠していない。このままだと、わたしについて知りたい人が陽葵に殺到することになると思う。

 だから、わたしと行動する時は、顔を隠す仮面をつけてもらおうと思ったんだけど……。

 

「うわだっさ」

――なんだとー!?

 

 リーナ渾身の自信作、黒い仮面は陽葵には不評でした。わたしも正直、これはだめだと思う。

 

「えっと……。魔法で何か作ってみる」

「あ、ごめん。どうしようもなかったら、つけるから」

「うん……」

 

 ぷりぷり怒るリーナには悪いけど、陽葵をパーティに加えようと言い出したのはリーナだからね。ちょっと頑張ってもらおう。

 

 

 

 そうして、陽葵と別れてから次の学校。相変わらず汚されてる自分の机にため息をつきつつ、ささっと掃除。この掃除道具も、多分陽葵の私物なのかな。

 そうして、椅子に座って一段落して。がらりと、教室のドアが開いた。

 入ってきたのは、陽葵。周囲を軽く見回しただけで、教室が少し静かになる。これもあれかな、カリスマっていうのかな。

 

「改めて見ると、わたしの友だちかっこいい」

――それでいいの?

「いいの」

 

 人には言えないけど、あの子、わたしの友だちなんだよ。そう思うと、ちょっとだけ嬉しくて……。

 そして陽葵が、わたしの前の席の椅子に座った。

 

「おっす。おはよう、菜月」

「ふえ!?」

 

 え、え、陽葵!? 陽葵なんで!?

 これに驚いたのはわたしだけじゃなくて、クラスメイトほぼ全員だ。特に陽葵と仲が良かったグループは口をあんぐりと開けてる。わたしも同じ顔になってると思う。

 

「ちょ、どういうこと!?」

 

 グループの一人が叫んで、陽葵はにやりと笑って言った。

 

「あたし、菜月と和解したから。今は友だちだ。な? 菜月」

「あ、えと……」

 

 陽葵を見る。にやにや笑ってる。でもそれは、意地の悪い笑顔じゃなくて……。

 

「う、うん……。陽葵とは、友だち」

「はあああ!?」

 

 なんだか周りは騒がしいけど……。こうして学校でも友だちだって言ってもらえて、わたしは嬉しかった。

 

「また週末、ダンジョンだろ? 楽しみだな」

「うん……!」

 

 わたしが頷くと、陽葵はにっと笑ってくれた。

 

――うんうん。青春だねえ。

 

 リーナはちょっとおばさん臭いと思う。

 

――なん、だと……!?

 

 まあ、ともかく。友だちが一人、できました……!

 




壁|w・)陽葵(ひまり)が仲間になりました。というところで、第二話終了、なのです。
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