コミュ障少女と月の魔女   作:龍翠

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24 大阪でのご飯

 

 ホテルを出たのがお昼過ぎ。まだまだ時間はたっぷりある。明日までは……観光だ! 食べ歩きだ!

 

「陽葵、美味しいもの、食べよう!」

「お前ってそんな食いしん坊キャラだっけ?」

「え……」

 

 あれ? そういえば、別にそこまでわたしは食にこだわってなかったはずなんだけど……。むしろ、パンの耳とかで過ごしていたことすらあるんだけど……。

 これって、もしかしなくても、わたしの中にいるリーナの影響なんじゃないかな?

 

――ちょっと、変な疑いをかけるのはやめなさい。そんなわけがないでしょう。

 

 そうなの? いや、でも……。

 

――美味しいものを体験して、もっと美味しいものを食べたいと思うのは当然のことよ。ええ、当然のことなのよ。私だけじゃないの。分かる? 私だけじゃ、ないの!

 

 あ、はい。そういうことにしておきます。

 

「最近、その……。お金が手に入って、美味しいもの食べるようになって……。それで、かな?」

「ふうん……。そういうものか。気持ちは分からないでもないかな」

 

 わたしですらあまり納得してなかったけど、陽葵はその答えで納得してくれた。優しい。好き。

 

「大阪と言えば、やっぱり粉もんだろ。たこ焼きとか、お好み焼きとか。串カツとかでもいいな」

「串カツって、お酒飲む人が好きなんじゃないの? 陽葵ってお酒飲むんだ……」

「その変な先入観はどっから来たんだよ……」

 

 違うらしい。町中で見たテレビの番組で、串カツ食べながらお酒飲んでる人がいたから、そういうものだと思ってた。

 

「ところでさ。菜月」

「うん?」

「夜に、教えてくれるんだよな?」

「うん。特別、だからね」

「ああ」

 

 陽葵には、わたしとリーナのことを教えようと思ってる。ちゃんと信頼関係を築いてから、なんてリーナには言われたけど、自分だけで抱え込むのがそろそろ辛くなってきた、とういのもあるから。

 それに。陽葵になら、裏切られても諦めがつきそう。なんとなく、だけど。

 ちなみにそれを言ったら、リーナにはとても謝られた。ごめんなさい、て。そういう意味で言ったわけじゃないんだけど。

 

「でも、夜まで待ってね。せめて人がいないところで」

「分かってるって。とりあえず食べ歩きを楽しもうぜ」

「うん」

 

 リーナもわくわくしてるからね。たくさん食べ歩きしよう。地元で食べられそうにないもの、がっつり食べるよ!

 

 

 

 最初に向かったのは、串カツ。夜はやっぱりお酒を飲む人が多そうだから、というイメージ。陽葵には呆れられたけど、どうしても先入観は拭えない。いやだって、串カツってそういうものじゃないの?

 

「菜月は店なんて知らないよな?」

「うん。陽葵は知ってるの?」

「ああ。ツレと何回か来てるからな」

 

 こっちだ、という陽葵の先導に従って歩いて行く。周りから視線は感じるけど、とりあえず無視だ。陽葵もあまり気にしていないみたい。

 

「ダンジョンの外なら魔女なんて有名でもなんでもないからな。なんかのコスプレと思ってるんじゃないか?」

「ああ……。こすぷれ。こすぷれね。こすぷれ、楽しいよね」

「とりあえず伝わってないことは分かった」

 

 いや、その……。だって、コスプレって知らないし……。

 

――コスプレっていうのはね。ゲームとかアニメのキャラクターの服装を着て楽しむことよ。

 

 え。なんでリーナが知ってるの? というか、それの何が楽しいの?

 

――普通に商店街のテレビのニュースでやってたわよ? 何が楽しいのかは……私もよく分からないわね。何が楽しいのかしらね……。

 

 不思議だねー……。とりあえず、陽葵にはリーナの説明そのまま伝えてみよう。

 というわけで伝えてみたら、陽葵はあからさまに驚いたみたいだった。

 

「なんだよ、知ってたのか。悪いな、疑って」

「い、いやあ……。あはは……」

「なんでそんな罪悪感たっぷりな笑顔なんだ……?」

「そ、そんなことは、ないよ……?」

 

 うん……。えと……。夜に、伝えます……。

 陽葵に案内された先は、天神橋筋商店街という場所。アーケード商店街だ。わたしの家の側にある商店街よりもずっと規模が大きい。人通りもかなりのものだ。

 

「す、すごい……! すごいよ陽葵! 人がいっぱい……!」

「なんというか……。ガキっぽいな。菜月」

「ガキっぽい!?」

 

 言うに事欠いて、ガキっぽい!? さすがにそれは怒るよわたしでも!

 

――いや、どう考えてもガキっぽいから。はしゃぎすぎでしょ。

 

 ぬぐぐ……!

 わたしがちょっと頬を膨らませると、陽葵は悪い悪いと笑って頭を撫でてきた。陽葵の方が背が高いけど、だからって子供扱いは納得できない。わたしが子供なら、同い年の陽葵だって子供なのに。

 

「それより、ここだよ。串カツ」

「え。うわ、なんか雰囲気がある……」

 

 陽葵が案内してくれたのは、商店街にあるちょっと古めかしいお店。二階建てのお店で、二階でもご飯が食べられるらしい。

 昼から夕方までは食事メインで、夜になるとお酒の提供も始まる、とのこと。

 

「やっぱり居酒屋っぽい……」

「そんなの言い始めたら、ほとんどの店でお酒出してるぞ」

 

 それはそうかもしれないけど。

 




壁|w・)サブタイトルを串カツにしようと思ったら、まだ食べてなかった……。
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